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「産業を創るためのエコシステム作りを徹底議論」【K17-5E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その2)では、リバネス丸さんやサムライインキュベート榊原さんに、産業エコシステムを日本で創るためにどう教育を変えればいいのか議論していただきました。是非御覧ください。
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2017年9月5日・6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 5E
産業を創るためのエコシステム作りを徹底議論
(スピーカー)
石田 真康
A.T. カーニー株式会社 プリンシパル / 一般社団法人SPACETIDE代表理事
各務 亮
株式会社 電通
プロデューサー
榊原 健太郎
株式会社サムライインキュベート
代表取締役
丸 幸弘
株式会社 リバネス
代表取締役CEO
(モデレーター)
西村 勇哉
NPO法人ミラツク
代表理事
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最初の記事
【新】産業を創るためのエコシステム作りを徹底議論【K17-5E #1】
本編
西村 僕も興味があることが2つあります。
1つは、進化の法則にとても関心があります。エコシステムというくらいなので、生態系の話ですね。
新しい生態系をどうやって創っていこうかという時に、だいたいは大量絶滅というときに新しいシステムが生まれます。
例えば恐竜が絶滅して哺乳類のシステムになっていくというような話です。
そのようにきちんと循環していたり、お互いにニッチを埋め合っていっているようなそのような仕組みをどうやって創っているのかを聞きたいと思っています。
先ほどの田川さんのお話にあったプロボノのポジションであるとか、働き方の話もありますし、それぞれの持っている分野の価値をどのように進めていくのかということもあると思います。
全体的にはそのようなエコシステムの話をしたいと思っています。
循環をしていくような、そしてニッチを埋めていくような仕組みはどうやったら創れるのかというところを議論できれば良いと思います。
エコシステムはイノベーションの仕組み
西村 もう1つはオープンイノベーションのセッションをお昼にやっていたのですが、「オープンイノベーションというのも最終的にはエコシステムではないかという話に変わってきている」と話しました。
(オープンイノベーション1.0→2.0(注:オープンイノベーション2.0は2013年の欧州委員会The Open Innovation Strategy and Policy Groupで行われたダブリン宣言に由来する)へ)
オープンイノベーション2.0の文脈では、つまり企業主体のオープンイノベーションではなく、企業主体から市民を、もしくは生活や社会課題を中心とした仕組みの中に、創発的にイノベーションは起こっているくのではないかという話に置き換わって来ている、ということです。
つまりエコシステムはイノベーションの仕組みとしても注目されてきています。
ベンチャー企業の創出や事業創出等は正に近いその観点だと思いますが、そこも考えていきたいと思っています。
この2つをまず置いて、ここからは皆さんどうやってエコシステムを創ろうとしているのかということをそれぞれの分野の状況からお聞きしたいと思っています。
例えば宇宙産業におけるエコシステムを創っていこうという時に、先ずどこから手をつけられているのか、というようなことをそれぞれの分野で伺いたいです。
循環とは「食う食われる」の関係
丸 先程エコシステムの話をされていましたが、僕は生物学者です。生態系というのは食う食われるの関係がバランスよくなければいけません。
大企業もベンチャー企業を食わなければいけないし、でも食い過ぎると無くなってしまう。同様に、知識も生まれては消えていかなければいけません。溜まり過ぎると毒になってしまいます。
お金もそうです。循環して初めて価値を持ちます。
大企業が傾いてしまったのも、基本的にはお金が余り過ぎたからだと思います。今まで溜めてきたものを、ずっと溜めたままにしてしまった。
生態系というマクロの中で、入れたり出したり、食ったり食われたりしてバランスを取るという感覚にならない限り駄目です。
経済成長してきて右肩上がりだった時は、得たものをどんどん溜め込んでいきました。そのおかげで、ある意味新しい大きな仕組みができました。
そこを保たなければいけないという意識、つまりサラリーマンが当たり前というような意識になってしまうと、これは毒物が溜まっている状況です。
だから、エコシステムを作るためには日本の社会のマインドを少し変えないといけません。
サラリーマンが当たり前という時代から、もともとは個のネットワークで仕事をしていた、プロボノ、隣人を助けるなど、戦前はこれが当たり前だった、という話にもう一度変われば良いだけです。
そこが1つ原点としてあります。生物学としては、エコシステムとは食う・食われる関係だということです。
100年後のために教育の考え方を変える
丸 僕たちが最初にやったのは実は教育です。
先ほどお話に出た22世紀というのが一番大事な話で、長期的視点に立ち、長期的資産のためにやると考えない限り、生態系をつくることに意味はありません。
3年後の話だったらエコシステムはいりません。金をつぎ込み力技でいけます。しかし100年後の話は力技ではいけません。
僕たちが最初に考えたのは、この考え方を教育しなければいけないということで、小中高校で最先端科学の出前実験講座を行うことです。生態系を創るために最も儲からないビジネスとして、子供の教育と研究者教育をやりました。
キーワードは、知識と研究、そして経済圏です。
知識と言えば、伝統工芸もそうです。ここには、溜まりまくった知識があります。
研究というのも知識の塊で、それを固めると技術になっていきます。
知識研究経済圏がベースなので、100年先を考えたら教育の考え方を変えないといけない、というところから入りました。そこが僕たちのスタートラインです。
こんな感じで宜しいでしょうか。
西村 最高のスタートを切れたと思います。ありがとうございます。
日本人は大事なことを忘れている!
榊原 丸さんがおっしゃったように、”エコシステム”とは皆さんが忘れているからもう一度考えるためにあえてワードにしてエコシステムと言っているんだと思います。
例えば、僕はイスラエルに行ったりスタートアップ支援をしたりしていますが、日本では大企業の方々も、もともと皆さん起業してスタートされています。これをもう一度思い出そうと言っているだけなのです。
イスラエルというと戦争の国、怖いというイメージがありますが、そうではなく、もともとフェイスブックやGoogleをはじめ、今ある金融システムを誰が創ったかというとユダヤ人の方々です。
それを皆忘れているので「忘れては駄目ですよ」と。
自動車も同じで、皆”自動車”と言っているにも関わらず日本は自動運転車の開発が非常に遅いです。自動車と言っていますが半自動車です。
イスラエルでなぜあんなにイノベーションが起きているかというと、たくさんの方が亡くなるといった悲しい出来事を経ているからイノベーションが起きているのです。だから日本も悲しい経験を経た結果イノベーションが起きました。それを思い出す必要があると思っています。
子どもにたくさんのメンターを付けたい
榊原 丸さんがおっしゃったように、僕も教育が大切だと思っています。
榊原 今は皆レールの上を歩いていると思っていますが、やりたいと思っているのは小学校の中に半分コーワキングスペースを創ることです。
小学生が勉強したり遊んだりしているかたわら、そこで色々な人が働いていたら、先程出た障害者の話もそうかもしれませんが、子供達が色々な職、弁護士だったり丸さんや西村さん、宇宙関連の人など多種多様な人と触れ合えるようにしたいです。
今は親がプロゴルファーでない限り天才的なプロゴルファーにはなれません。
僕も子供がいるので分かりますが、やはり憧れるのは機関士や消防士、警察やプロスポーツ選手等で、一般的な職種に対して夢を持つことは少ないのが実際です。
大人になると子供の頃夢だと思っていた職種がブルーカラーであまり良くないイメージです。そのギャップが何なのかと思いました。
だからこそ、子供の頃から色々な産業や職業の方がいて日本が成り立っているというのを、学校の先生だけではなくて自然と色々な人が教えられる環境があったら良いのではないかと思っています。
榊原 こう思ったきっかけは、以前「いじめをどうしたら失くせるか」というセッションをしたことです。しかしいじめは簡単になくなるものではありません。
そもそもの脳の構造があって、子供の頃は、虫とかも潰したりしていましたが大人になるとそんなことはできなくなります。子供達は基本的に残虐です。
では、どういう子がいじめをしないかというと、周りにメンターがいる子供です。
正に今のスタートアップの環境のエコシステムを子供の世界にも持っていけば良いと思っていて、子供達にたくさんのメンターがついていれば色々な夢も持つことができるし、いじめは起こしません。
夢を持っている子供はいじめはしません。だからそこから変えていくのが良いと思います。
子供の頃からどうやって世の中が成り立っているのかというのを分かることが必要だと思います。
また、僕の妻と娘は岐阜の田舎に住んでいます。そこでは道を歩いていると皆が普通に挨拶を交わします。物々交換もしますし、家は開けっ放しです。Airbnbやメルカリがサービスとして成り立たせていることを普通にやっています。
田舎はコミュニティを意識して創っているわけではなく、以前からしていることを継続して行なっているんです。
だからなぜ”エコシステム”と言葉にして皆言うのかと言うと、もともとは日本人が田舎でやっていたことを忘れているからで、思い出すことが大事だと思います。
また世の中がどのように動いているかという本質を考えて動けば、新たなエコシステムはできると思います。そこが原点だと思います。
丸 今、若くしてスタートアップをする人が減っています。
そういうコミュニティの中でやることで、若い人たちが「隣のおじさんがやっていたからちょっとやってみようかな」となり、そのまま僕たちに対して「メンターやってよ」と言う時代が来て、こっちが止めるくらいになるのがちょうど良いですよね。
無難ではなく有り難い人生を選ぼう
榊原 本当にそうです。起業をしていると「リスクは無いですか?」と良く聞かれますが、イスラエルで道を歩いていると壁に「Enjoy Your Problem」と落書きがしてあります。
▶「Enjoy Your Problem, It’s Life」イスラエルから学ぶ起業家人生【F17-2D #7】
榊原 イスラエルは周りが敵だらけなので課題が多いんですが、それについて「It’s life(それが人生だ)」と言います。
そして日本に帰って来て生きていて嬉しいこと、生きている意義は何かと考えると「ありがとう」という言葉を貰うことなのかなと思っています。
しかし、ありがとうという言葉の意味を考えたことがある人はあまりいません。「有り難い」つまり「有ることが難しい」という意味です。要は問題を解決するために人は生きているのです。
問題がある人生と問題がない人生のどちらが良いかというと問題ない人生が良いという人もいますが、言い方を変えると「有難い人生」と「無難な人生」です。そう言うと有難い人生の方を選びます。
日本人も問題をクリアすることによって生きている価値を感じるということを忘れています。だから「ありがとう」と言っているのに、その意味も知りません。
西村 思い出した後、一歩目に起こってくる行動とはどのようなものですか。
榊原 やはり僕は「伝える」ということだと思います。
「なぜ生きているのか」と聞くと、色々と難があり苦しんでいる人がいますが、これが生きていることを実感している、という考え方に変わります。HARD THINGSもそうですね。
西村 コミュニケーションからエコシステムが回復していくということですね。
榊原 そうですね。伝え方とか何のために言っているのかとか。
「エコシステム」も、そもそも忘れているから思い出すために言っているのだというとハッとされます。
西村 その辺りについて、石田さんと各務さんのお二人は、宇宙産業や伝統産業を創っていたり、復活させている中で、どこからスタートをしているのですか。
(続)
▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(正社員&インターン)とオフィス/コミュニティマネジャーの募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。
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続きは 産業エコシステムづくりのケーススタディ – 宇宙産業&伝統工芸産業 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸
【編集部コメント】
産業エコシステムを創るために教育を改革するとのお話が興味深かったです。教育の効果が出るのはずっと先になるかとは思いますが、今から始めないと手遅れになりそう。(横井)
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