産業エコシステムづくりのケーススタディ – 宇宙産業&伝統工芸産業【K17-5E #3】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

産業エコシステムづくりのケーススタディ – 宇宙産業&伝統工芸産業【K17-5E #3】

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「産業を創るためのエコシステム作りを徹底議論」【K17-5E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その3)では、SPACETIDE石田さんに宇宙産業エコシステムを創るための課題について語っていただきました。電通の各務さんにも、伝統産業をどう再生させるのかについて伺いました。是非御覧ください。

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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


2017年9月5日・6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 5E
産業を創るためのエコシステム作りを徹底議論

(スピーカー)
石田 真康
A.T. カーニー株式会社 プリンシパル / 一般社団法人SPACETIDE代表理事

各務 亮
株式会社 電通
プロデューサー

榊原 健太郎
株式会社サムライインキュベート
代表取締役

丸 幸弘
株式会社 リバネス
代表取締役CEO

(モデレーター)
西村 勇哉
NPO法人ミラツク
代表理事

「産業を創るためのエコシステム作りを徹底議論」の配信済み記事一覧

西村 石田さんと各務さんのお二人は、宇宙産業や伝統産業を創っていたり、復活させたりしている中で、どこからスタートをしているのですか。

石田 僕のやっている宇宙に関しては明確なエコシステムがありました。今もあります。

宇宙産業は歴史的に政府主導の宇宙開発プロジェクトとして発展してきたため、国を中心としたエコシステムが各国の宇宙産業に存在します。プレーヤーも関わる人も限られていて、なかなか多くの人が関われないエコシステムがあります。

ICC FUKUOKA 2017 Session 6D

しかし日本も含めて、宇宙産業は大きな変革期にあって、民間宇宙ビジネスビッグバンとも言えるイノベーションが加速しています。しかしながら新しい生態系にはどういう要素が必要で、それに関わるのはどんな人なのか、誰もが暗中模索しながら各国が動き出している状態です。

ICC FUKUOKA 2017 Session 6D

僕は4年くらい前に(ipaceが運営する)「HAKUTO」でボランティアを始めたのが宇宙に関わることになったきっかけでした。その時に丸さんの名前をお聞きしました。だから僕の宇宙歴はたった4年半しかありません。丸さんの方が長いですね。

国際宇宙開発レースの優勝候補!民間発で月面探査に挑む「HAKUTO」

その時に、民間宇宙ビジネスに必要な要素は5つあると思いました。

民間宇宙ビジネスには法整備と制作支援が絶対に必要

石田 1つは起業家精神です。必ずしも起業家だけが持つものではありませんが。あと、リスクマネーとテクノロジーです。ここまではどの産業も同じだと思います。

石田 しかし宇宙でやろうとするとあと2つ必要になります。法整備と政策支援が絶対に必要になります。

この5つが必要だということは色々な世界を見て直感的に分かりました。しかし問題は誰がこれを作る人なのかよく分からない、それぞれの要素がどう連携すればよいかが分からないことです。

リスクマネーの供給者と言うとベンチャーキャピタルとかエンジェル投資家ですが、宇宙にお金を出せるのか、規模と時間軸を考えると政府系ファンドなのではないかと、オプションがあります。

また技術と言うと、伝統的な航空宇宙技術を誰が有しているかは分かるのですが、例えば宇宙で使える3Dプリンターを持っている人が誰かというと分かりません。

AIが使えると言っても、世の中のAIベンチャー企業はほとんどが宇宙に興味がありません。宇宙に興味があるAIベンチャー企業はどこだろうと考えました。

そこで僕が思ったのは、5つくらいの要素を持っていそうな人が集まりやすい場を作るのが大事だと思いました。

色々なやり方があると思うのですが、そのうちの1つとして3年前にベンチャー企業の友達と創ったSPACETIDEというもので、カンファレンスを創ることにしました。

ICC FUKUOKA 2017 Session 6D

宇宙で仕事をしているはもちろん、宇宙に興味がある人に皆来てもらうというある意味で敷居を下げたカンファレンスをやってみました。

それまでの宇宙カンファレンスは半分くらいが政府関係者で、半分くらいが大手航空宇宙業界のエンジニアでした。それで成り立っていました。

しかし僕らがやってみたら、6割がまだ宇宙で仕事をしたことがないけれども興味があるという人でした。バックグラウンドを聞いてみると起業家や投資家などハイスペックの人が多かったです。

エコシステムの要素に関係のありそうな人が、とりあえず入りやすい入り口をどう創るのかというところが最初のきっかけでした。

エコシステムを作ってくれる参加者の集め方

西村 ちなみに参加者の属性が全く違ったのは、投げた先を変えたのか、それとも投げ方を変えたのでしょうか。

石田 少し意図的にやったのは、登壇者の方々を従来の宇宙カンファレンスとは別の起業家の方にお願いしました。

例えばインキュベイトファンドの赤浦さんや慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)の山岸さんや、TomyKの鎌田さんのように、目利き力を持って既に宇宙ベンチャー企業に投資をしていた方がいるのですが、彼らがなぜ宇宙に注目しているかを世の中で話したことはまだありませんでした。

だから投資をしてもらった宇宙ベンチャー企業経由でお願いをして、SPACETIDEの狙いや思いをお伝えしたら快く引き受けてくださいました。

宇宙に興味はなかったかもしれませんが、宇宙に投資をしている投資家の方の話は聞いてみたいという人は結構いて、登壇者の皆さんに自分たちからお願いをしてフェイスブック等で宣伝をしてもらったりして、その方々のフォロワーやファンが来てくれました。

西村 その結果としてそのカテゴリーはどのくらい埋まりましたか。5つのカテゴリーに対してどのくらい上手く出会いが生まれましたか。

石田 少しずつ前進しています。政策の面で言えば、自分も委員として関わりましたが、内閣府で宇宙産業ビジョン2030が今年(2017) 創られました。たった30ページの政府の資料に「ベンチャー」がというキーワードが40回くらい出てくるくらいです。

宇宙産業ビジョン 2030 (PDFファイル)

日本の宇宙ベンチャー企業の資金調達額は過去3年間で合計100億円を超えていますし、少しずつですが進んでいる気がします。

西洋化によって無くなった和のライフスタイル

西村 各務さんは伝統産業なので新しく創るというよりは再生というイメージだと思いますが、その再生をどうやって仕掛けているのかを伺いたいです。

また、その中での難しさがあればそれも教えてください。

新しく立ち上げるだけではなく、今あるものを次に進化させたいという人のためにお話を伺いたいと思います。

各務 伝統産業というとやはり和のライフスタイルというのがエコシステムのベースにありますが、それ自体が現在は西洋化されて無くなってしまっています。

着物、お茶、お花、お能も今のライフスタイルにリアルにないということがそもそもの問題です。この会場を見渡しても誰も着物を着ていないということが問題です。

そこで伝統文化を、それを構成する美、素材、技術、物語に分解して今に活かすという戦略で再生に挑戦しています。

「GO ON」というプロジェクトで「伝統産業=クリエイティブ産業」と再定義し、そこに共感くださる方たちを呼び込みコラボレーションを生み出しています。

注目の地域プロデューサー対談 – 京都の伝統に新たな光をあてる電通 各務氏の挑戦

もちろんみんなが着物を着たら良いなとか、和のライフスタイル、能やお花がリアルに愉しまれる時代が来るといいなと思いますが、それにはかなり長い時間をかけて、それこそ教育も含めてやっていなければいけないことだと思っています。

伝統産業からスターを生みたい

各務 今の伝統工芸の職人さんの平均年齢は65歳以上、半分は後継者がいないというかなり危機的な状況なので、先ずは何か突破口を開かなければいけないというのが伝統産業におけるエコシステムの問題です。

波及力のある第1歩と考えると、スターを創ることが大切なのかと思います。

例えば20年前のサッカー業界のように。当時はまだ日本にサッカーがカルチャーとして根付いていなかった。けれど、そこに三浦知良さんや中田英寿さんのようなスターが出てきて、そこに憧れる子どもがじわじわ増えて、その結果Jリーグも発展してきました。

同様のことが、伝統産業の中でどうやって創っていくことができるか?世界で確実な結果を残して頂くために、選りすぐりの職人達ににチームになってもらって世界に殴り込みをかけています。

「GO ON」のメンバー(写真提供 各務 氏)

「彼らにできるなら自分も」と、GO ONの活躍をみた、次世代の職人さんが、自信や勇気を持って新しい挑戦に一歩踏み出せるという状況を僕なりに少しでも生み出せればと思い各種プロジェクトをプロデュースしています。

生きるか死ぬかという状況の方がチャレンジする

西村 スター候補はどうやって見つけてきたのですか。各務さんのお仕事はもともと伝統工業とあまり関わりがないと思います。またご出身が京都でもありませんね。

各務 運や縁が基本ですが、「GO ON」という旗を立てたことで、そこに共感くださる方が向こうから近づいてきて下さったと言えると思います。

日本の職人さんは、全員がスター候補だと思っています。結果を出せるかどうかは、勇気を持っているか否かだと感じています。

実際、伝統産業の中でも格式のある方より異端というか、守られていない方の方がアグレッシブに挑戦をして結果を出していらっしゃる気がします。

そういう方にこの旗にお集り頂いて、その危機感を持った、生きるか死ぬかみたいな人と一緒に手をとりあって崖っぷちのチャレンジをしたこと、それが振り返ってみると上手くいったポイントかと思います。

(続)

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続きは 産業エコシステムにあるべき「つながり」と「お金の循環」 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸

【編集部コメント】

石田さんが、宇宙産業エコシステムに参加する人集めの際に工夫しているポイントは他業界も参考に出来そうですね!(横井)

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