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「AbemaTVはどこまで投資を続けるのか?」動画メディアのマネタイズ戦略【K17-5B #3】

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「モバイル動画メディアの今後を徹底議論」【K17-5B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その3)は、動画メディアのマネタイズについて議論しました。是非御覧ください。

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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


2017年9月5日・6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 5B
モバイル動画メディアの今後を徹底議論

(スピーカー)
明石 ガクト
ワンメディア株式会社
代表取締役

荒波 修
株式会社GYAO
代表取締役社長

小池 政秀
株式会社サイバーエージェント
常務取締役

高松 雄康
株式会社オープンエイト
代表取締役兼CEO

(モデレーター)
坂本 達夫
AppLovin
Director, Business Development

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【新】モバイル動画メディアの今後を徹底議論!【K17-5B #1】

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「AbemaTVはどこまで投資を続けるのか?」動画メディアのマネタイズ戦略【K17-5B #3】

本編

高松 この後話したい内容はやはりマネタイズです。

動画は非常にお金がかかるので、何をもってマネタイズするのかが非常に重要です。そこに向けてやったときに、ONE MEDIAさんのような分散型で本当に食っていけるのかがポイントだと思うのですが(笑)

坂本 食えるのですか、明石さん。

明石 それはですね、食えるんですよ。

坂本 今は分散型だけで、プラットフォームやメディアはやっていないですよね。

明石 やっていないですね。明日もFacebookの横山さんとのセッションがありますが、本当に今FacebookにBAN(アカウント停止)されたらどうやって食っていこうというくらい、分散型だけでやっています(笑)

坂本 それは今のマネタイズの話も含めると、当然勝算があってやっているのですね。

「映像」から「動画」の時代になった

明石 そうですね。

今世界の力学としてあるのは…こう話すと宗教家みたいに見えてしまうかもしれませんが(笑)、映像という大きな塊が細かくなっている時代だと思います。

・・・ついてきていますか?(笑)

坂本 ・・・もう少し解説して頂けますか(汗)。

明石 解説します。

これまでは映像の業界でお金を稼ごうと思ったら、テレビ局という大きな歴史のあるビジネスの仕組みに組み込まれる必要があったと考えています。

それは免許事業として守られていて、圧倒的なリーチの中にCMを差し込んでいくことでお金が儲かり、広告主体の映像産業が生まれました。

2017年においても広告費の比率でみたとき、テレビの規模は一番上です。

しかし実際にユーザー、生活者の行動や状況を見ていくと、スマートフォンで動画を見たり、電車の中でサイネージ(Digital Signage=電子看板)を通して動画を見たりする機会が増え続けています。

「映像」の代わりに、「動画」というものが生活の中に浸透してきています。

従来の映像を作る事業者の中で、その流れにフォーカスしているところはありません。

一方、ブランドがマーケティングのためにFacebookやSmartNewsに合わせた映像を作ろうとなると、そこで効果的な動画を作り続けているONE MEDIAに対して出稿したい、という話になります。

こういった動画タイアップの売り上げが、弊社では毎月伸び続けています。

もちろん今後Facebookが無くなったらどうするかとか、Facebookから「そういうのはやめてくれ」と言われたらという懸念は常にあります。

ここにいらっしゃる方は皆だいたい30歳以上だと思うのですが、子供の頃よりも今の方が”細かく”映像を観ていると思います。

僕もNetflixにしてもAbemaTVにしても、隙間時間に観ることが多いです。そういう状況がある中で例えばFacebookが無くなったからといって、動画を観たいというユーザーの気持ちが無くなるわけではありません。代わりにどこかのプラットフォームで動画を観るわけです。

それがGYAOさんやAbemaTVさんだったら、荒波さんや小池さんに「すみません、お願いします!」と言って動画を入れさせてもらうというという話だと考えています。

高松 分散型メディアが難しいと思ったのは、前回のセッションも話しましたが、強大なプラットフォームはメディアにあまり優しくないからです。

ここにFacebookの人がいたらすみませんが、結局あのようなプラットフォームでは最終的にオーガニックでファンを増やせません。広告を投下して買うしかない訳です。

▶︎編集注:なお、本当に会場にFacebook Japanの執行役員(横山さん)の方がいらっしゃり、質問タイムにて議論します。お楽しみに!

タッチポイント上はプロモーション(メディア認知向上)のためにFacebookとかtwitterとかやるにせよ、最終的にはGYAOやAbemaTVみたいに自分たちで資産を持たないと垂れ流しになってしまいます。

だからもう一度聞きますが、明石くんのところは本当に食えるのでしょうか(笑)

(会場笑)

動画サービス事業は儲かりにくい?

坂本 要するにフローとしてはキャッシュが回るかもしれませんが、積み上げストックでユーザーが資産となっていかないのではないかということですね。

高松 そうですね。そう思いませんか。

荒波 動画サービス事業者はどこもそんなに儲かっているところはないと思います。小池さん、そうですよね?

小池 そうですね。自分のところもまだ儲けるつもりがあまりありません(笑)

荒波 そして儲けるためのハードルが非常に高いというか、今だとYouTube一強というような形になっていると思います。

自分の経験では、広告モデルで成立させようとすると、デイリーアクティブユーザーが4~500万人くらいいないと成立しないと思います。

月額課金でいうと、200万人くらいというのが肌感です。

そこまで一気にグロースさせないとなかなか儲けられないというのが今の構造だと思います。

小池 そうですね。今弊社は利益を出すというところよりは、売上を上げながら上げた分だけコンテンツを増やしていくというフェーズですが、おっしゃったような規模は必要だと思います。

ただ僕たちは広告と課金を両方やりながらも、周辺で自分たちでビジネスをやっていますので、それ掛けるAbemaTVでやりながら儲ければトータルで合っていけば良いというのも少しあります。

色々な利益の変数を増やして行きたいと思っています。

AbemaTVは結局どのようにマネタイズするのか?

坂本 AbemaTVさんはどこまで(資金を)つっこみ続けるのですか?

小池 今のところは来年も頑張ろうと思っています。暫く行くと思います。

高松 どういった根拠を持って今、大きく投資したのですか。

小池 やるしかありません。仕上げるしかないです。

高松 何をもって仕上げるのですか。(2017年度にAbemaTVに投資するとされている)200億円を10年、20年できる訳ではないですよね。

小池 基本的には広告で今は売上を立てていますし、課金もやっていますが、やろうと思えばそんなに遠くない範囲で、トントンまでやれるイメージはつくと思います。

そこまで奇跡みたいなことではなく、手応えはあります。そこにすっと、予定調和的にいくというよりはどんどん進めていくところです。

去年スタートした時は何だかよくわからなかったので、とにかく大きく投資して全方位的に手を突っ込んでなんとか食らいついてやっていきました。その中でどれが当たるのか大体の取捨選択はできるようになりました。

今度は突っ込むところのやり方が変わってきています。やめるところも突っ込むところも新しいところも結構計画的に回ってきています。

それとマネタイズの手応えを総合的にみると、そんなに無謀な感じではなくなってきていると思います。

高松 一番聞きたかったのは、マネタイズのポートフォリオの中で何に一番ウェイトを置いているのかということですがどうなのでしょう。

小池 先に広告、その後に課金だと思っています。

明石 広告のところで、AbemaTVさんの進め方を見ていると、GRP(述べ視聴率数)の延長を取ろうとしているのではないかと思いました。

例えば、僕たちのような分散型の動画コンテンツだと再生回数の積み上げにプレミアムを付けて売っているのですが、AbemaTVさんは同時視聴性(ライブ)なので、GRPをそのまま延長できます。

今はハードウェアが非常に安いので、200億円のうちの何億円かを、「AbemaTV」という実際のテレビのようなものを上京してくる若い子に配る端末に使って、「20代女子が一番観ているGRPはここにあります」というようにしていくこともできるのでないかと思います。

そういう考えはありますでしょうか。

小池 そうですね。実際、AmazonさんのFireとかAppleTV等に対応して頂き、テレビでの視聴が結構伸びてきています。デバイス比率で言うと今3~5%くらいになってきています。

後は市場の伸びに連動してどうなっていくかだと思いますが、それが上手くいけば今言ったようなお話もあります。

その3~5%のユーザーに一番観られているのはアニメと将棋なのですけどね。

今はユーザー層が偏っていますが、デバイスが一般層にまで普及してくれば結構新しいチャンスが生まれるかなと思っています。

荒波 動画広告を考えたときに、テレビCMの延長としての広告と、バナー広告としての延長としての動画広告があると思います。

AbemaTVさんやGYAOはインストリーム広告(動画コンテンツの前後途中に動画広告が挿入される)なのでテレビ広告の延長ですが、アウトストリーム広告(ウェブサイト上の広告枠に配信される)でいくと少しまた違うあり方になると思っています。

高松 僕たちも荒波さんがおっしゃったような広告が最初は主な収入だったのですが、広告でずっと動画メディアが食べていくのはきついと思っています。

坂本 制作にかかるコストを回収するには何千万回必要なのかという世界ですしね。

動画メディアは広告モデルでは成り立たないのではないか

高松 もちろんそれもありますが、先ほど出たようにどうしても規模の話になってきます。

先ほど出たテレビも含め、最近ではバナーの比較やアドネットワーク、単価の話等になってしまいますし、クリエイティブだとコンテンツ費がどうという話になってきてしまいます。

広告一辺倒はやはり難しい。そのため、その辺についてはどのような可能性があるのかと思っているので、それを聞きたいです。

弊社は仕組みや仕掛け側に行こうとしています。

動画メディアを動画コンテンツと広告に結びつけるのは短絡的だと思っていて、そこに対して仕組みや仕掛けを作っていくマネタイズの方に興味があります。

単純に視聴に対する課金といったことではなく。

坂本 例えば、ルトロンさんで動画を観たことによってこのようなユーザーの態度変様や行動が起こったから、ということでフィーをもらったりするとかでしょうか。

高松 いわゆるライブコマースもそうですね。ただ、動画を観てもらって売っているという話ではないと思います。

坂本 ライブコマースについても、色々な会社さんが始めていらっしゃいますね。皆さんはライブコマースはやられていないと思いますが、どのように見られていますでしょうか。

登壇者はライブコマースをどうみる?

小池 当然テレビみたいなモデルもあるにはあるので、ライブコマースは近いうちに取り入れたいと思います。

坂本 通販番組をAbemaTVにも入れるというような。

小池 そうですね。企画出しは始まってきているので、それがはまって映像のイメージが最終的につけばスタートしたいです。

高松 Eコマースと同様にライブコマースで儲けるには、結局は倉庫等の流通を抑えることが必要かと思います。

(ロハコなども展開する)ヤフーさんを見れば分かりますが、全部抑えないと儲けられない仕組みです。

しかしサイバーエージェントはそのような方向でやってきてはいませんよね。そこまで想定してそれを置こうともってらっしゃるのですか。

小池 基本的にはメディアとして映像としてやって粗利益が低くても売れる母数を作れるようになりたいです。

そこから始まり、規模がついてきたら物流、倉庫、自社ブランドという風に進む流れかなと思っています。それか、パートナーさんと一気に組むかですね。そういう形ではないかと今は考えています。

コマースは弊社の場合だとやってきていない分野なので、やっていきたいという強い思いはあります。

明石 ライブコマースは、旧来のECサイトが持つ商品の品揃え等の魅力の代わりに、ライブ配信で魅力を語る人で売るという仕組みだと思います。

それの究極系がジャパネットたかたの高田社長だったと思いますが。あれは、ジャパネットたかたが高田社長というエクスクルーシブなタレントを持っているから強いわけです。

そうなると、ライブコマースのこれからはユーチューバーを色々な事務所が抱えるというように、自分たちが独占できるライブコマースタレントの争奪戦になってくると思います。

例えば僕がライブコマースで売りまくる人だったら、強いディストリビューションを持っているところに移籍したいという風になっていってしまい、そういったタレント争奪の”仁義なき戦い”になるのではないでしょうか?

坂本 高松さんのところはライブコマースをやるご予定はありますか。

高松 ありません。僕は前職のアイスタイル(アットコスメ)でECの部門も統括して見ていましたが、規模が重要なビジネスなのでスタートアップベンチャーが手を出すのは結構大変だと思います。

最大利益率がどのくらいかも知っていますが、仕入れモデルでやっていくにはハードルが高すぎます。物流で収益モデルを解決するしかない中で、ライブコマースは時間のシェアで奪っていくビジネスです。

単品商売でどこまで規模が出るかというのは(サイバーエージェントのような)巨大なプレーヤーがやるのは良いかもしれませんが、スタートアップにとっては中々ハードルが高いと僕自身はまだ思っています。

小池 先ほど明石さんがおっしゃったように、僕たちも「出演者」勝負だと思っているので、その育成には力を入れていきたいと思っているのですが、移籍、移籍という仁義なき戦いにならないようにどうしようかと考えています。

(続)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸

【編集部コメント】

注にもあったように、会場に本当にFacebookの方がいらっしゃり、質疑応答で質問をいただきました。そちらもお楽しみに。(立花)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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