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「VRもARもMRに行くためのプロセス」gumi國光氏が語る複合現実への道【K17-10C #4】

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「ポストスマホ!AR時代を大激論!」【K17-10C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その4)では、VR/ARが今後どのように我々の生活を変えていくのか議論しました。VR/ARに比べMRという言葉は聞いたことがない人が多いかもしれませんが、テクノロジーの未来を考える上で必須のキーワードです。ぜひご覧ください。

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ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、レノボ・ジャパン株式会社様に本セッションをサポート頂きました。

ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5-7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 10C
大激論 ポストスマホ!いよいよAR時代到来!
Supported by レノボ・ジャパン

(スピーカー)

荒木 英士
グリー株式会社
取締役執行役員

國光 宏尚
株式会社gumi
代表取締役社長

横山 直人
Facebook Japan
執行役員 新規事業開拓 兼 パートナーシップ事業部

(モデレーター)

尾原 和啓

「ポストスマホ!AR時代を大激論!」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】ポストスマホ!いよいよ到来するAR時代を大激論!【K17-10C #1】

1つ前の記事
モバイルARの出現で人間の生活は大きく変わる!?(GREE荒木)【K17-10C #3】

本編

國光 先ほど、ARの未来についてのお話がありましたが、人類の歴史を振り返って考えても、絶えず多くの情報量を求め続けてきて、一旦多くの情報が手に入るともうそれ以下には戻れません。

映像にしても、もう白黒には戻れないし、一旦ハイビジョン(High Definition television=高精細度テレビジョン放送 )を見始めると、SDTV(Standard Definition Television=標準画質テレビジョン放送)には戻れませんよね。

VRも当然そうですよね。

情報にまみれるという意味で言うと、スマートフォンが出て以降、テレビを見るとか、空いた時間にぼーっとするなんてことはもう皆無理で、とにかく新しい情報に触れていこうといったところがありますよね。

ですから、先ほどのこの、AR時代の「ディストピア」コンセプトムービーをご覧になって、こんなにたくさん(情報が)あって煩わしいなどと思われた方もおられたかもしれません。

実は、ムービーの最後でこの情報が無くなっていくんですよね。

尾原 全ての情報がね。

横山 そう。荒廃した世界が流れて。

國光 あの情報が無くなった瞬間に、「えー!? スマホを持ってない」みたいな。

今スマホが無くなったら、皆さんもうイライラしてしまいますよね。

横山 フラストレーションがたまりますよね。

國光 あのような情報量に一旦慣れてしまうと、それが無くなった時、もう、「うわー」となってしまいます。

人類は増え続ける情報量という「刺激」に慣れていき、こうなるともう不可逆です。

ARで情報のノイズを消すことができる

尾原 しかし一方で、ARの世界が面白いのは、アドオンしているというだけではなくて、上書きしているという点なんですよね。

例えば「Insta360 ONE」という360°カメラで撮影すると、この撮影棒が消えるんですよ。

つまり何が言いたいかというと、実はマイナスする、ノイズを消していくという方向性でのARもあって、本当に見たいものを見るために、見なくてよいものを消すということもできるということなのです。

荒木 渋谷なんかには、ものすごく沢山の看板がありますよね。

交通標識も見えなくなるくらい沢山の看板があって邪魔なのですが、あれらが全てデジタル化されれば、オプトアウト(拒否)さえすれば見えなくなる訳です。

そうすることで穏やかな生活を送ろうと思えば送ることができるし、忙しくもなれるしという、選択の権利がユーザー側に与えられるというのがよいところかなと思います。

尾原 そうですね。

街看板というのは現状もある意味、強制的ですね。まるで楽天の広告のように(笑)

どうしてこんな自虐ネタを入れなければならないんですかね。(笑)

横山 期待していましたよ。(笑)

尾原 …。

そうしたものさえも、オプトイン(自発的に承諾した受信者にのみが送られること)を取らずに、やっていくみたいなところも大きな価値です。

とはいえ、先ほど申し上げたように、どのようにステップアップしていくかが知りたいところですね。

横山 方向性については、皆がこちらの方向に行くだろうと信じているんですよね。

そして、FacebookやGoogleのようにテクノロジーにフォーカスしている大きな会社というのは、VRやARに結構な力を入れて開発しています。

では、これがいつ来るのかといった話が…。

荒木 いつ来るのか、どういう過程をたどるのかというのが一番気になるところですよね。

尾原 それについては、プラットフォーマーとしてどうなって欲しいと思われますか?

横山 ハードウェアの問題が大きいですね。

そもそもインターネットの会社なのにハードウェアを使うということで、現場で非常に苦労していますけれども、例えばMicrosoftさんなどがゲームを始められたりするように、色々なプレイヤーがチャレンジをし、その中で経験を積んで発展させていっていると思います。

我々も今まさにその段階にあるという状況ですね。

ハードウェアの部分について、我々のタスクとしてしっかりやっていかなければならないということに加えて、VRやARの良さを理解してもらえる体験・機会がまだまだ限定的だという問題もあります。

その2点は越えなければならない非常に大きなハードルだと思っています。

「ライトなAR」の可能性とは?

尾原 そういう意味でお二人にお聞きしたいのですが、VR・ARというと、皆さんは割と重たいVR・ARのことを考えがちだと思うんですよね。

でも、実は今日紹介されたFacebookのものや、「Snapchat」のように顔を加工できるものなどは、日常のコミュニケーションの中で現実を豊かにするというところから始まっているものですよね。

尾原 LINEが急速に広まったのも、スマホの中にスタンプというコミュニケーションの要素を入れたからです。

ガラケーにおけるFlashでGREEがなぜ最初に覇権を握れたかというと、「クリノッペ」というデジタルとしては力が弱いのだけれども、(コミュニケーションを)豊かにするものを作ったからではないでしょうか。

そういう意味で、先ほどのアバタ―コミュニケーションのようなものなど、割とライトなARの可能性について、是非荒木さんにお聞きしてみたいんですよね。

荒木 やはりコミュニケーション領域ではバイラル(Viral=情報を受け取った人がそれを紹介・推奨することで“ウイルスが感染するかのように”広まること)が働くからいいなと思っています。

「SNOW」はまさにそうですし、「Pokémon GO」はAR的な世界観をゲーム化したらどうなるかという世界を一つ切り拓きました。

これからもああいったものが沢山出てくると思っているので、やはりまずはカジュアルに、ゲームなのかコミュニケーションなのか曖昧なくらいライトなものがいいのかなと思っているんですよね。

ARになるといいなと思っているのですが、VRだと誰かと一緒にやるマルチプレイで、オンライン対戦なのでオンラインマッチングして、皆が同じロビーに入ってやることになり、いわゆるオンラインゲームのお作法になってしまいますよね。

でも、これがARになると、取り敢えずこの机を囲んでいる皆でこうして(スマホを)かざせば一緒にできるから、共有する感じが随分高いんですよね。

尾原 一人でやるインターネットから、皆でやるインターネットになるということですよね?

荒木 そうです。

スマホを通した世界も見えているし、隣の友達も見えています。

わざわざロビーでIDを交換して云々とやらなくてもその場で皆でできるから、そういう意味では、スマホでできるカジュアルでソーシャル性を持ったARコンテンツは、キラーコンテンツになり得ると思っています。

VRもARもMRに行くための過程

國光 今回の「ARKit」も含めて重要なポイントは、最終的な目標がMRなのだということです。

ですから、VRもARも、MRに行くための過程なのですよね。

要するに、どれくらいリアルで、どのくらいバーチャルで、どのくらいのバーチャルがリアルに付加されているかというところだけの話なのかなと思います。

國光 そういった中で、VRがなぜ早いと思われていたのかというのには2つの理由があります。

1つは「Microsoft HoloLens」のようなARグラスよりもVRの方がテクノロジー的に簡単だということと、あとはもう1つ、やはりVRにはゲームというキーコンテンツが存在するからです。面白いゲームをプレーするために、高額ハードにお金を払うお客さんがいるというので、まずはVRが先行したのです。

それに比べ、ARはアーリーアダプターが使うキラーコンテンツを想像するのが難しく、少ししんどいなと思われていたのです。

「Microsoft HoloLens」を使って、この辺にメールを呼び出せるし、チャットやLINEなどもできるし、天気予報も見られるし、ニュースも見られるし、YouTubeも見られるけれど、でもそのくらいです。

ですから、どうしてもすごく高いものを使ってというところまでのユースケース(Use Case=適用領域や適用例)がなかったのが今までのARです。

尾原 コストに合わないということですよね?

荒木 ですから今までのARの応用例や、きちんとお金を稼げているのは産業用途のものなんですよね。

國光 B to Bですね。

コンテンツが多かったらハードが売れるし、ハードが沢山売れていればコンテンツを作る人が増えるという、この「鶏と卵の関係」からARが抜け出すことは難しいと思われていました。

ただし、先ほど話したとおり、iPhoneが対応してきて、このスマホでARができるようになってくるというのは決定的ですよね。

スマホでのARがどういうものかというと、これには結構色々あります。

お2人(荒木氏、横山氏)は若いけれどもオッサン世代からいくと…。

荒木 (國光氏も)まだ若いですよ。

國光 スマホでのARがどういうものか考えるには、スマホ時代のサービスの変化を考えてみれば良いと思うんですね。

スマホ時代には全く新しいサービスが出てきた訳ではなく、元々あったもののUI、UXをスマホファーストで再構築したに過ぎないんですよね。

結局、「スマホファースト」、「UI、UXの再構築」というのが一番大きかったのかなと思っています。

AR時代にも、UI、UXが結構大きく変わるでしょうね。

例えば、飲食店系のアプリを使うにしても、「ご飯何にしようか? 」と京都の町を歩きながら調べるのは面倒じゃないですか。

それがスマホの「Google Lens(※)」をパッとかざすだけで画像が認識され、そのお店のレビューや、店内の様子や、空席状況も分かります。

服や家電を買いに行っても、スマホをさっとかざすだけでレビューを見ることができ、なお且つもっと安いところや類似のものを参照できます。

レストランでも、メニューにスマホをかざすだけで内容を知ることができたり、スマホを料理にかざすだけでカロリーや糖質を調べられたりと、今のスマホで検索しようと思ったらできるけれど、あまりにも面倒だからやっていなかったことが、スマホをかざすだけでできるようになるのです。

(続)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/Froese 祥子

【編集部コメント】

MRについて2分でわかる動画をマイクロソフトが公開していますので、ぜひご覧ください!(横井)
▶「MR(複合現実)とは?」 2分で解説したアニメをマイクロソフトが公開(MoguraVR)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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