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2.世界に認められた「伝統を継承するビジネス」(和える矢島)

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「日本から世界ブランドを創りあげるには?」9回シリーズ(その2)は、和える矢島さんが、自社ブランドへの想いと事業展開について語ります。是非御覧ください。

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

ICCカンファレンス FUKUOKA 2018のダイヤモンド・スポンサーとして、Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.) 様に本セッションをサポート頂きました。

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【登壇者情報】
2018年2月20日・21日・22日開催
ICCサミット FUKUOKA 2018
Session 6E
日本から世界ブランドを創り上げるには?
Supported by Motivation Cloud(Link and Motivation Inc.)

(スピーカー)
朝霧 重治
株式会社協同商事/コエドブルワリー
代表取締役 兼 CEO

岩佐 大輝
株式会社GRA
代表取締役CEO

矢島 里佳
株式会社和える
代表取締役

山田 敏夫
ライフスタイルアクセント株式会社
代表取締役 / ファクトリエ 代表

(モデレーター)
各務 亮
株式会社 電通
プロデューサー

「日本から世界ブランドを創りあげるには?」の配信済み記事一覧

連載を最初から読みたい方はこちら

最初の記事
1.日本から世界ブランドを目指す「コエドビール」「ミガキイチゴ」の挑戦

本編

矢島 里佳氏(以下、矢島) おはようございます。朝一の便で京都からやってきました。

和えるを前から知っていたかたはいらっしゃいますでしょうか。

ありがとうございます。嬉しいです。


矢島里佳
株式会社和える
代表取締役

職人と伝統の魅力に惹かれ、19歳の頃から全国を回り始め、大学時代に日本の伝統文化・産業の情報発信の仕事を始める。「日本の伝統を次世代につなぎたい」という想いから、大学4年時である2011年3月、株式会社和えるを創業、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2012年3月、幼少期から職人の手仕事に触れられる環境を創出すべく、 “0から6歳の伝統ブランドaeru”を立ち上げ、日本全国の職人と共にオリジナル商品を生み出す。オンライン直営店から始まり、2014年、東京直営店「aeru meguro」、2015年京都直営店「aeru gojo」をオープン。“aeru room”、“aeru oatsurae”など、日本の伝統や先人の智慧を、暮らしの中で活かしながら次世代につなぐために様々な事業を展開中。
2013年、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科修士課程修了。同年、世界経済フォーラム(ダボス会議)「World Economic Forum – Global Shapers Community」メンバーに選出される。2014年、書籍『和える-aeru- 伝統産業を子どもにつなぐ25歳女性起業家』(早川書房)出版。2015年、第4回 日本政策投資銀行(DBJ)「女性新ビジネスプランコンペティション女性起業大賞」受賞。 2017年、書籍『やりがいから考える 自分らしい働き方』(キノブックス)出版。

今日初めて知ってくださる皆さまにも、どんな会社なのかお伝えできれば嬉しいです。

日本の伝統を次世代につなぐ「和える」の矢島氏

矢島 私自身はもともとジャーナリストを目指して大学に進学しましたが、一生をかけて何を伝えて行くジャーナリストになろうかと考えたときに、私は日本に憧れる日本人である事に気がつきました。

幼少期、身近に日本伝統があったという方はいらっしゃいますでしょうか。

あまりいらっしゃらないですよね。

皆さんも気がつかないだけで、もしかしたら日本に憧れる日本人なのではないかと思います。

私は東京で生まれて千葉のベッドタウンで育ち、文化や伝統が身近ではなくなっている世代でした。

それで日本を伝えていくジャーナリストとは、自分自身の興味関心をまさに深掘りできる仕事、そういうジャーナリストがいてもいいのではないかと思いつきました。

そのため大学時代に職人さんの取材を始めました。

そこでふと気がついたのが、なぜ私みたいな日本を知らない大人が増えていったのだろうかということです。

今日生まれた赤ちゃんが、日本のことを知らずに成長して行く社会環境の循環があるのだと気づきました。

私はジャーナリストとして、今日生まれた赤ちゃんに日本を伝えるところから始めようと思ったのがすべての始まりでした。

就職する気は満々でしたが、赤ちゃんや子どもたちに言葉では伝わらないし、どうやって伝えようかと思ったときに、物を通して伝えるという伝え方に行き着きました。

普段使う器やコップ、おもちゃや産着などを職人さんと一緒に作る会社に就職したら、私は伝統を伝えるジャーナリストになれると思いました。

しかしそのような会社が見つからず、職業としてまだこの世に存在していないのであれば、自分で作ろうと決めました。

そうして和えるは2011年3月16日に誕生し、今年で7年を迎えます。

私たちは日本の伝統を次世代につなぐ仕組みづくりをする会社です。

いろいろな事業部があり、2031年には12事業部になる予定です。

私は会社を「和えるくん」と呼んでいます。会社は息子です。

法人格は法の下の人格です。

創業者はお父さんお母さんで、生まれてきた会社は赤ちゃんであると私は考え、息子である和えるが20歳、成人するまでに、初代お母さんである私は何をしあげられるかと考えたときに、12事業の展開が見えてきました。

今は5つの事業展開をしているのですが、それぞれ、物を通して伝統を伝えているので、小売業に分類されがちだったり、ホテルや旅館の空間を通して、伝統を伝えるという空間を通して伝統を伝えるお仕事しているのでプロデュース会社に見えたり。

他にも企業さんの商品開発を弊社が一緒にやって職人さんのお仕事につながっていくようなことをしたり、いろいろやっているので、和えるとは何屋さんなのか、と聞かれる事もあります。

一言で言うと、和えるはジャーナリスト集団で、これはジャーナリズム業なのです。

テレビ局や雑誌社には様々な番組や雑誌がありますよね。それと同じように、様々な伝え方で和えるは日本の伝統を専門的に伝えています。
私たちはそのように伝える職人集団なんだということで私も社員も腑に落ちています。

「和えるって何屋さん?」と聞かれたら「あそこはジャーナリズム業、伝える職人集団なんだよ」とお伝え頂けたら嬉しいです。

ビジネスとして文化をつなぐ仕組みを作る

スタートが、「赤ちゃんと伝統産業を和える」です。和えるは和え物の和えるです。

ですから赤ちゃんと伝統産業の職人さんのどちらのために始めたのかと聞かれますが、どちらのため、という訳ではありません。

双方が出会う事で、足りていなかった部分を補い合い満たされていく感覚です。

和えるの事業は全部が和えられていく感じなので、自分と相手と社会のためであることが大切です。

三方よしでありたい、ということと、確実に伝統が次世代につながる事業であること、そして後ほどお話ししていくことになるかもしれませんが、文化と経済両輪での成長の3つを大事にしている会社です。

出産祝い用に本藍染の産着を職人さんと作りましたが、これは日本の藍(愛)で赤ちゃんをお出迎えしようという想いから生まれました。

本藍染の職人さんが仕事がなくて困っているから、商品開発したとよく思われますがそうではないのです。

日本のものでお出迎えするために何を贈ろうかと考えていたときに、職人さんが協力してくださって本藍染の産着で愛情と藍でお出迎えする、出産祝いセットが誕生しました。

『こぼしにくい器』離乳食から大人になっても使い続けられる、こぼしにくく自分ですくいやすい器や、

最近の住宅には襖や障子がなく和紙に触れる機会があまりないので、おもちゃで和紙に触れられるように生まれた『和紙のボール』など、子どもたちに触って感じてほしいもの、伝えたいものを、私たちは生み出しています。

他にも、”aeru onaoshi”というお直しを承る事業もあります。

2012年にオンライン直営店から始まり、2014年には、東京直営店「aeru meguro」という和えるくんのお家が出来て、

2015年には、和えるくんのおじいちゃんおばあちゃんのお家、京直営店「aeru gojo」
が誕生しました。築百年以上で京都の町を見守ってきた町家でお店をさせて頂いております。

私が住んでみたかった日本とはまさにこのような世界でした。

そしてついに、2月から私も京都に住み始めました。

他にも空間を通して伝えるというところでは、”aeru room”事業があります。

これは実際に泊まって頂けるホテルのお部屋です。

皆さんはホテルに泊まって朝、目覚めて、どこにいるか分かりますか。

全然分からないということが多いの出はないでしょうか。

私も職人さんを訪ねて全国各地へ行くのですが、朝、目覚めた時に自分がどこにいるのか分からないお部屋が多いと感じ続けてきました。

そこで地域の文化や伝統を感じ、触れられるような地域の伝統の発信拠点にホテルのお部屋を変えていくお仕事がaeru roomです。

今日は海外というテーマということでしたので、最後にこちらをご紹介します。

2017年にAPEC域内の女性起業家のコンペティションがありまして、各国1人ずつ代表が出るのですが、2017年は私が内閣府さんからご推薦頂き、APECのビジネスアワードに行って参りました。

出るからには何か賞を日本へ持ち帰りたいと思い、一生懸命に取り組んだところ優勝し、さらにベスト・ソーシャル・インパクト賞と、2つの賞を頂きました。

これは私たち「和える」がすごかったという話ではなく、これは新興国、先進国に関わらず全世界的に、自国の文化や伝統が失われることが、喫緊の課題となっているということです。

だからこそ、伝統を継承することを持続させていくために、ボランティアではなく、ビジネスという手法を用いて、継続性を担保し、伝統や文化を次世代につなげる仕組みを作るということが、今回世界から表彰を頂いた理由だと私は考えています。

文化というものは、少し前はお金持ちが楽しむものだったり、道楽という文脈もあったかと思います。

しかしもはやこれは、これからの世界での日本の存在感を示し、日本が日本である理由の一つの大切な基幹産業になっていくのではないかという可能性を感じながら、日々職人さんとともに、次世代につないでいける仕組みづくりに取り組んでおります。

今日はどうぞよろしくお願いします。

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 3.減り続ける「日本産」アパレルの現場を変え、世界にファンを創る(ファクトリエ山田)をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/浅郷 浩子/本田 隼輝

【編集部コメント】

京都のお店も、手がけられているホテルの客室内装も、雰囲気があってとても素敵です。外国人に「日本はなぜ古いものを残さず、新しくするのをよしとするのか」と言われることがありますが、このように意識的に残していく作業が必要なのだと感じました。(浅郷)

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