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5.売上データの共有でスタッフの行動が変わる

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「クラウド化とデータの活用で経営はどのように進化するのか?」8回シリーズ(その5)は、クラウドによるデータ共有のメリットを現場目線で考えます。データ共有でなぜ売上が上がるのか。その答えの鍵は「組織の変化」にあり? ぜひご覧ください!

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(インターン)の募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、ジョブカン(株式会社Donuts)様に本セッションをサポート頂きました。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCサミット KYOTO 2017
Session 1B
クラウド化とデータの活用で経営はどのように進化するのか?
Supported by ジョブカン

(スピーカー)

大宮 英紀
株式会社リクルートライフスタイル
ネットビジネス本部
グローバルソリューション事業ユニット長

倉橋 健太
株式会社プレイド
代表取締役社長

東後 澄人
freee株式会社
取締役COO

宮田 昇始
株式会社SmartHR
代表取締役CEO

(モデレーター)

山内 宏隆
株式会社HAiK
代表取締役

「クラウド化とデータの活用で経営はどのように進化するのか?」の配信済み記事一覧

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最初の記事
1.クラウド・サービスの注目プレイヤーがデータ活用のリアルを語り尽くす!

1つ前の記事
4.企業へのクラウド導入に対する反発や既存システムとの被りにどう対応するか?

本編


山内 雇用に関する話が出てきたので、少し突っ込んで聞いてみたいのですが、僕はクラウドの行き着く先というのはAI(人工知能)化だと思っています。

やはり、オンプレミス(※)のシステムとクラウドでは、データの溜まり方や供給者側のサービスのいじり易さが全然違います。

▶編集注:オンプレミスとはクラウドの対義語で、サーバーやソフトウェアなどの情報システムを自社環境で運用すること。コストはかかるが、カスタマイズが自由で、セキュリティ面で強く、他の社内情報インフラと接続・統合しやすいのがメリット。

段々と機能を付け加えてデータが溜まっていき、しかもそれをAI化することによって、自動でリアルタイムにユーザー企業に何か付加価値を提供できるようになったら、究極的には既存人材とのカニバリゼーション(※)を起こす気がしています。

▶編集注:カニバリゼーションとは、本来競合すべきでないサービス・製品・人材が競合し、双方を侵食しあってしまう現象。

今のところはまだそうしたカニバリゼーションが起きておらず、「人手も足りないし、楽になった」とお客様は感じると思うのですが、皆さんの企業のサービスがどんどん進化していった時、最終的にはどうなるのでしょうか。

株式会社HAiK 代表取締役 山内 宏隆 氏

皆さん、AIのところにも手を付けていらっしゃいますよね。

リクルート社は会社を挙げてやっていらっしゃいますし、freee社も最近話題が1つありましたので、皆さん最終的にはそのような方向へ進むと思います。

ウェブ接客は自動化と一番相性の良い分野だと思っていますし、人事情報はどちらかというとこれまで遅れていた分野ながら、各社とも狙っていると思います。

大宮さんは、クラウド・サービスにおけるAI化をどのような軸で考えていますか?

「気づき」を与え「行動」を後押しする人工知能

大宮 僕は、AIを使ったユーザーエクスペリエンス(UX)には、いくつか種類があると思っています。

自動化というのはその1つですが、UXに関してAIを使ってできることは、新しい何かを「発見する」「予測する」「リコメンドする」そして「自動化」という4つの軸があるのではないかと考えています。

前者3つの「発見して、予測して、リコメンドする」というのはドラえもんと一緒で、人の行動をロボット・AIが支えてくれると。

「自動化」は本当に仕事がなくなる話ですが、この前者の3つというのは、人の行動をどちらかというと支える方向に行くと思っています。

なので、相対的には人が必要なくなる方向にはあると思うのですが、前者の3つを高めることによって、新しい価値を生み出せないだろうかというのが、僕にとっての究極のテーマです。

株式会社リクルートライフスタイル ネットビジネス本部 グローバルソリューション事業ユニット長 大宮 英紀 氏

Airレジでも、地方に言って「煩わしさを減らして、自分らしいお店作りができるようにします」というミッションを話したりします。

ただそれは、煩わしい業務を減らすとか、売上を上げるとかいう「How」の話が中心で、「その仕事が減った後の、創造的な活動って何ですか」ということを何も定義していないんですよ。

山内 分かります。

大宮 振れ幅が大きいので、リクルート的に「Follow Your Heart」と言って敢えて定義していませんが(笑)。

山内 (笑)。

大宮 その点については、今後本当に日本全体が考えていかなければと思います。

なので、「自動化」以外の3つ、つまり「発見して、予測して、リコメンドする」ことにより、何かしら人と人のコミュニケーションや体験がより増えるということを、これからのUXとして大事にしていきたいです。

実際にいろいろな実験をやっているのですが、たとえば飲食店でいうと、「本日のおすすめ」などをスタッフが案内するかしないかそれだけで、売り上げが1割くらい上がります

山内 大きいですね、1割というのは。

大宮 そうなんです。

ですので、将来的にはAIで精度を高めてズバリ「これを案内しなさい」ということも可能かもしれませんが、まずはAIで「これを案内してみてください。データが推奨しています」というのが大事だと考えています。

行動経済学でいうと、人の行動というのはナッジ(nudge)、つまり背中を押してあげるだけで、それが“まやかし”めいたことであったとしても非常に大きく変わります。

このように、人の活動を中心に据えた時に、どういうきっかけや気付きを与えて「行動」を後押しするかというのが一つ。

もう一つは先ほど言った、入力作業や仕分け作業とか、面倒くさい、誰でも良いような仕事は自動化する。

この二極化をきちんと考えてサービスとして提供するということが一番大事だと思っています。

山内 さすがリクルート社ですね、そこまで考えていらっしゃると。

大宮 いや、そうしたいなと思っています(笑)。

山内 「行動」を促すことで飲食店の売上の1割アップは大きいですよね。

死活問題ですよね、カツカツでやっていますから。

売上データの共有でスタッフの行動が変わる

大宮 たとえば17時くらいから飲食店が始まりますよね。

スタッフを10人くらい集めて、店長がiPadを見ながら、「昨日の売上がこうで、今日の目標はこうだから、このくらい達成できたら良いよね」みたいな話をスタッフにシェアするだけで、活動が変わります。

「アルバイトには売上を見せたくない」「この情報を見られると困るから権限機能を付けてくれ」と言われたりもしますが、一歩引いて見ると、上手くいっているお店というのは、店長やオーナーとスタッフの人たちの間の壁がほとんどなく、コミュニケーションが密です。

情報をオープンにしてシェアをしていくことによって、人の自発性が促されて、上手くいきやすいのだと思います。

山内 以前、Amazonの方とディスカッションした時に、AWS(Amazon Web Services:Amazon社が提供するクラウド・サービス)によって結局何が変わるんですか、というようなことを聞いたら、「究極的には組織が変わるはずだ」とおっしゃっていました。

僕はその時あまり理解できなくて、そんなものなのかなと思ったのですが、今の事例はまさに組織が変わる例ですよね。

クラウドを入れて、しっかり情報を把握して共有することによって、結果的に組織全体が活性化するとか、能動的になると。

大宮 そうですね。

いろいろなところに足を運んで上手くいっている飲食店の方とお話しして、彼らを客観的に見ると、本当にオーナーの人がスタッフとの間に壁を作らず情報を共有しています。

上手くいってない店では、店長だけが「売上が(目標に)いっていない」と悩んでいます。

スタッフは売上のことなど知らないので、楽することしか考えない。

そうではなく、情報をシェアして、コミュニケーションのきっかけを作ってあげることによって、気付きが生まれたりするのではないでしょうか。

または、目標に対する結果や「近くのお店がこういう状態だから、もう少し頑張った方が良いよ」というような競争原理など、次の一歩を頑張れるような形でデータを見せてあげると、コミュニケーションが増えると思います。

もちろん、データをスタッフに見せたくないという人はたくさんいて、そこには考え方の違いがあります。

「こういうことがAirレジを使った活動として良いんですよ」ということを僕たちは言うようにしていますが、やはり一番は、お店の方に「これ使ってよかったよ」思ってもらえる良い事例を増やしていくことです。

そして、実際に組織やワークスタイルが変わるという体験を、積極的に広げようとしています。

山内 なるほど、良いですね。

少し話が戻りますが、クラウド・サービスのAI(人工知能)化と、それによる副次効果としては、組織が変わるなどいろいろなことが起きると思います。

ウェブマーケティング、ウェブ接客は、まさにAI化が進んでいく分野だと思っていますが、倉橋さんはいかがでしょうか?

(続)

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続きは 6.一人ひとりのユーザーから得られるデータを大切に をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/戸田 秀成/本田 隼輝/尾形 佳靖/鈴木ファストアーベント 理恵

【編集部コメント】

前回に続き、“私たちが本当にやりたいことは何か?”を追求する大切さを考えさせる回でした。次回は、クラウドで様々なデータが集まる時代に本当の意味での「インサイト」を与えてくれるデータとは何かを探ります!(尾形)

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