東大・稲見教授「2030年には『人型』という概念はなくなる。私はコップになっているかもしれない」 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

7. 東大・稲見教授「2030年には『人型』という概念はなくなる。私はコップになっているかもしれない」

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「最先端の研究者/クリエーターが描く未来像」9回シリーズ(その7)は、登壇者が描く2030年の未来像がテーマ。東京大学の稲見教授は「2030年には『人型』という概念はなくなる」と語ります。デジタル空間だけでなく、リアル空間でも“人型”でなくなる時代とは? ぜひご覧ください!

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ICCサミット KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、IBM BlueHub(日本アイ・ビー・エム株式会社)様に本セッションをサポート頂きました。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18日〜21日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCサミット KYOTO 2017
Session 8B
最先端の研究者/クリエーターが描く未来像
Supported by IBM BlueHub

(スピーカー)

稲見 昌彦
東京大学先端科学技術研究センター 教授
博士(工学)

川原 圭博
東京大学 情報理工学系研究科
准教授

澤邊 芳明
株式会社ワントゥーテン
代表取締役社長

森本 典繁
日本アイ・ビー・エム株式会社
執行役員 研究開発担当

(モデレーター)

田川 欣哉
Takram
代表取締役

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1. 東大先端研・稲見教授が語る「人機一体のロボットシステム」とは?

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6. 最先端の研究者・クリエーターが絶賛するSF映画を一挙紹介!

本編

田川 そうしましたら、セッションも後半に入ってきたので、ここで皆さんのビジョンというか、イマジネーションを伺いたいと思います。

よく「未来」と言った時に、何年先くらいを未来と想定するかという話がありますが、何だかよく分かりませんが、皆「2030年」と言うんですよね。

何となく2030年と言うんです。

では仮に2030年を一番手の届きそうな未来だと置いた時に、今と決定的に変わっているところは何だと思いますか?

例えば、「こんなものは世の中からなくなっている」とか、「見たこともないものこんなものを人間は持っているだろう」とか、「こんなビジネスが登場している」とか。

先ほどのSFとかデザイン・フィクションの話でも思うのですが、多分90%ぐらいはあまり変わっていないけれども、残りの10%くらいは圧倒的に違うだろうなと思うんですね。

この圧倒的に違っているというものが、2030年に何なのか。

技術的な話でも何でもいいですが、これを皆さんに順番に聞かせていただきたいなと思います。

稲見氏「2030年には『人型』という概念はなくなる」

稲見 では、いつも最初に回ってきてしんどいのですが、私から。

先ほど『第9地区』の話があったので、それにつなげていきますと、多分、人間が「人型」とはもう限らなくなるかもしれないという時代が起き始めているのではないかと思います。

田川 それは人間自身が、ということですか?

稲見 そのとおりです。

(写真左)東京大学先端科学技術研究センター 教授 稲見 昌彦氏

例えば「肌色」って、今やあまりポリティカル・コレクトではない言葉になっていますよね。

同じように、「人型」ということ自体が、もう少し違う概念になる可能性がある。

ただしそれは物理世界ではなくて、バーチャルの世界の中での話かもしれませんが。

田川 確かに。

稲見 いわゆる「人型ロボット」と呼ばれる人型というのは……。

田川 どんなものを「人間の体」だと言うか、ということですかね。

稲見 はい、でもそれは確かに「人」だと。

分からないですけれど、もしかすると私はコップになっているかもしれません。

「そっちの方が楽しいから」とか。

あるいは猫になっているかもしれないません。

そういうように、肌色という言葉を使わなくなったように、自分の体についても「人型」という言葉を使わないというような人たちが、2030年ころに出始めてもおかしくないのではないかと考えています。

田川 それは、リアルからデジタル側に移った時の話でしょうか?

つまりVR空間の話だけですか?リアル空間の存在もですか?

稲見 リアルからデジタルに移るかもしれないですし、リアルの空間でもその身体の多様性というものが、その時に本当に活かされるのではないかと思います。

田川 それは、先ほどの話ではありませんが、自分自身が再編集して、何かオブジェクトに投影するようなテクノロジーが出てくるということでしょうか。

稲見 出てくると思います。

パラリンピックとかの方が、今のオリンピックよりも遥かに人気のスポーツになっている可能性はあると思いますね。

田川 やはり、大規模に身体性の編集が起こるということですね。

稲見 きっと2030年ぐらいだと、皆そのことに気が付くのではないかなと思います。

田川 さっきの、車にどこかからジャックインしている人がいるというのも、「車という人」なのかもしれない、みたいな話も含めてですね。

稲見 今までは、人と機械との間をつなぐためのインターフェースを作るという設計でしたよね。

だったら、いっそのこと人の方が変身してしまえばいいではないかと思います。

田川 先ほどの状態化のような話ですね。

稲見 そういうことが、その頃にはできているかもしれないです。

広まっているかどうかは分からないですが。

田川 ありがとうございます。

では、川原さん。

川原氏「現金はなくなり、便利な家庭ロボットが活躍する」

東京大学情報理工学系研究科 准教授 川原 圭博氏

川原 僕は割と保守的で、後13年くらいなので、今既に技術的にはできているけれど、価値観的には受け入れられていないものが浸透するという感じかな、というくらいの予想ですね。

田川 スマホは、13年後も皆使っていますかね?

川原 スマホは使っているのではないでしょうか。

なくなる可能性があるのは、現金かなという気がしています。

田川 現金。

川原 今でもアメリカなどへ行くと、ほとんど現金を使わずに生活していますけれど、日本ではなぜまだ10円、20円を出しているのだろうみたいな話があります。

それがなくなるだろうなという気はしますね。

あとは、ロボットがもう少し違う形で、特に家庭などに入ってくるだろうなと思います。

田川 それはどういう形ですか?

川原 例えばペッパーなども、今はコミュニケーション相手として、どちらかというと、まだペットとしてかわいい感じの存在ですが、もう少し便利さが出てくるのではないかと思います。

本当のロボットが得意なことというのは、単純労働をずっとしてくれるとか、ちょっとしたことをアシストしてくれるとか、「猫の手も借りたい」の「猫」になることだと思います。

だからそういうロボットによる自動化がもっと家庭に入ってくるのではないでしょうか。

田川 その頃には洗濯機が自分で洗濯物をたたんでいますかね。

川原 そうですね。

たためるかどうかは分かりませんが、ちょっとした単純作業を任せるロボットや、あるいは「自動○○」というのが、どんどん出てくると思います。

田川 家庭の中に、ロボットがいっぱい入ってくると。

では森本さん、いかがでしょうか。

森本氏「銀行はなくなり、貨幣の概念が変わっていく」

森本 そうですね、いろいろ共通しているところもあるのですが、少し違うところで言えば、銀行がなくなるような気がしますね。

田川 お、これは重なりましたね。

いや違うか、現金ではなくて銀行、もっとラディカルですね。

森本 ええ。

田川 大丈夫ですか、これ、IBMさんが言ってしまって。

(会場笑)

(写真右)日本アイ・ビー・エム株式会社 執行役員 研究開発担当 森本 典繁氏

森本 違う形に変わると思っています。

私は2016年までシンガポールにいたのですが、シンガポール最大のDBSという銀行の頭取さんが自分で言っていました。

田川 銀行はもうなくなると。

森本 今の形態の銀行はなくなる。

なくなるというのは、「違う形態に変わる」というこということです。

田川 それは今までのような銀行はなくていいということですよね。

森本 そういうことですね。

今は皆当たり前のようにATMでお金をおろしていますが、少し昔に時代を巻き戻してみれば、私の若い頃は、通帳を持ってお金を預けに行っていました。

しかも、預けた銀行の支店でしかお金を引き出せなかったという時代も、多くの方は知らないと思われますが、ありました。

そこからここまで変わってきた期間と、その変遷から考えると、さらに今のデジタルキャッシュやブロックチェーンの趨勢から考えると、銀行がなくなるのはそれほど遠くない未来のような気がしますし、多分起きてもサプライズはないと思います。

ただ、それにともなう価値の移転とか、そのものをどう流すかという部分が変わってくると思いますね。

それから大きく変遷していくでしょう。

田川 いわゆるお金というものが、情報として取り扱われるようになってきました。

そうすると証券化もできるし、いろいろなタイプの貨幣が出てきかねないわけですが、その時銀行というものはどうなるのでしょうか?

森本 たぶん、貨幣という概念自体が変わるのではないかと思います。

貨幣がリアルで受け渡すものから、情報のやりとりというものに変わっていくという大きな変化が、もう既に一部起きています。

現在はその過渡期のような気がするので、延長上にあるような気がしています。

稲見 プライバシーや生体データなどを預けるような、情報銀行的なところにはなってくるかもしれません。

もしくはそういった機能は必要かもしれません。

森本 そうですね。

澤邊 後は、通貨は流通するけれど、現金は流通しないという風に変わるだけで、結局通貨の保証機関としての銀行の存在はあるかもしれません。

ただ、発行権を持っている銀行が一部なので、おっしゃるようにある程度統合されていく可能性はあるかなとは思います。

現金は確実に減るでしょうね。

田川 なるほどね、ここはお二人が「お金」という点で合いましたね。

それでは澤邊さんは、どうでしょうか?

(続)

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編集チーム:小林 雅/本田 隼輝/尾形 佳靖/戸田 秀成/鈴木ファストアーベント 理恵

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