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「最先端の研究者/クリエーターが描く未来像」9回シリーズ(最終回)では、5名の登壇者が2030年に向けた「Will」を語ります。10年後という遠いようで近い未来、皆さんは世界がどう変わっていて欲しいと思いますか? 最後までぜひご覧ください!
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ICCサミット KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、IBM BlueHub(日本アイ・ビー・エム株式会社)様に本セッションをサポート頂きました。
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18日〜21日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをご覧ください。
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【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCサミット KYOTO 2017
Session 8B
最先端の研究者/クリエーターが描く未来像
Supported by IBM BlueHub
(スピーカー)
稲見 昌彦
東京大学先端科学技術研究センター 教授
博士(工学)
川原 圭博
東京大学 情報理工学系研究科
准教授
澤邊 芳明
株式会社ワントゥーテン
代表取締役社長
森本 典繁
日本アイ・ビー・エム株式会社
執行役員 研究開発担当
(モデレーター)
田川 欣哉
Takram
代表取締役
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最初の記事
1. 東大先端研・稲見教授が語る「人機一体のロボットシステム」とは?
1つ前の記事
8.「恋愛」の概念は、死や老化が克服された近未来に大きく変わる
本編
田川 ここまでは「2030年はこうなっているかな」という話でしたが、それでは最後に、2030年に向けて、皆さんの「Will」を聞かせてもらいたいなと思います。
自分はこうしたい、未来をこう変えていきたいというところを、お一人ずつ伺って締めたいと思います。
澤邊氏「車椅子から立ち上がり、もう一度走りたい」
澤邊 個人的な話で申し訳ないのですが、僕は18歳の時にバイク事故で車椅子生活になったんですね。
頸椎損傷といって、頸椎を脱臼し、首の神経を痛めているのですが、これって言わば電気信号が届いていないわけですよね。
モーターは本来動くのですが、電気が伝わらないので手足を動かせていない。
こういったものはデジタル化できそうですし、後は今iPS細胞の研究なども進んできています。
実際にいろいろな先生にも会って話を聞いていますが、医学分野の発展というのは大きく進むのだろうなと思っています。
僕としては、やはり2030年には走っていたいですね。
それは決して夢物語ではないと僕は思っているし、恐らくこの十数年で医療医学の分野で大きなブレークスルーがあるのではないかと期待していて、楽しみです。
田川 ありがとうございます。
森本さんはいかがでしょうか?
森本 今のトレンドから行くとAI、それから先ほどから出てきたいろいろなデバイス技術などがかなり進化してきて、新しい発見がたくさん出てきそうなんですね。
そうすると新しいベンチャーなどもたくさん生まれてくると思うので、私は定年するまでにもう少しお金を貯めて、その時の新規事業に投資できるようになりたいと思っています。
澤邊 待っていますよ!
田川 では、川原先生。
川原氏「技術移転を進め、皆で産業を創りたい」
川原 学生時代は、よくベンチャー企業に出入りしていました。
その時に、ビジネスモデルありきで創られたベンチャー企業ではテクノロジーがあまり活用されていないなということを感じて、大学に残るという決断をしました。
それがまさにこのICCサミットの趣旨でもある、皆が一緒になって産業を創るみたいな動きがようやく実現しつつあるようになって、ベンチャーを創る際の障壁もすごく低くなってきました。
言い換えれば、技術移転がしやすくなったので、ここで結果を皆で出せるかどうか、今後一緒に産業を創れるかどうかというのが、本当の意味で社会に問われるのが、2030年頃だと思います。
そのエコシステムの一員としてもグループとしても、このような環境創りにもう少し貢献していきたいなと思っていますね。
もっと技術移転をして、ベンチャーを創っていきたいです。
田川 ありがとうございます。
稲見氏「ATフィールドをなくしたい」
稲見 2030年くらいにやっておきたいのは、研究の話になってしまうのですが、ATフィールドをなくしておきたいなと思っています。
田川 ATフィールド。
▶編集注:ATフィールドとは、SFアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』で登場するバリア機能。
稲見 はい。要は自己と他者を隔てる壁という、身体的な壁というのがそろそろなくなってもいいのかなと思います。
例えば神輿を担ぐというのは面白くて、力学的につながることで複数の人が共同で同じ作業をしています。
後は綱引きとかもそうですね。
それがあることによって共同体を創れていきます。
つまり作業や身体を共有することによって、新しい共同体のようなものが多分2030年くらいにできるのではないでしょうか。
『デモクラティア』というSFマンガがあるのですが、1つのヒューマロイドを2,000人かな、大勢で動かすというものです。
そのようなことができると、おそらくその時のデモクラシーとかも変わってくるような気もします。
そういうところをちょっと目指しています。
澤邊 (スタートレックの)クリンゴン人ってそうでしたっけ、違いましたっけ?
稲見 クリンゴンもそうですね。
稲見 後は、ボーグもそういうところがありますね。
澤邊 確かに。
田川 それは稲見先生、先ほどの仕組みのすぐ延長に入ってきますね。
稲見 ロードマップの1つです。
田川 楽しみにしています。
稲見 頑張ります。
澤邊 田川さんは何かありますか。
田川氏「とにかく時差をなくしたい!」
田川 2030年には、先ほどお話ししたように、とにかく時差をなくしたいという思いが強くあります。
僕は、地球上の人たちがうまく働ける仕組みというのがあるといいなという風に心から思っています。
テレプレゼンスなど、移動を解決する研究もあるけれど、やはり最終的に時差が一番難しそうなんです。
だからそこが解けると、相当なブレークスルーがあるのではないかと思っています。
その一方で、投資さえすればできてしまうような気もします。
川原 今、睡眠の研究はすごいですね。
田川 でもあまり聞かないんですよ、そこをテーマにしようというのは。
稲見 睡眠障害を治すことを目的とした研究は多いのですけどね。
いろいろと私も睡眠に興味があるのですが、睡眠工学というのはまだないんです。
だからその辺りの、生体時間を操作するような工学、先ほどのスイッチを切るというのもそうなのですが、それは非常に関心がありますね。
田川 皆が社会の中で、別時間帯で働いていてもいいというような環境は、少し新しいのではないかとは思うんです。
川原 多分もうできるんですけど、それは医療行為に該当するのかというような話になるので、そこの、それだけの問題だと思います。
時差ボケ解消の薬を飲めば自由にコントロールできる。
睡眠時間を前とか後とかには多分できると思うので。
田川 そうなんですか。
稲見 東大先端研の中邑賢龍教授がとても面白いことをやっていて、ワークショップの参加者に「Lucky Clock」 というiPhoneアプリの時計を配るんですね。
実はその時計は少し早く進むようになっていて、ワークショップ中にやたらと時間がおしているなと思うのですが、でも最後に終わってみると、1時間半くらい時間を得している。
これから「飲みにいけるじゃないか!」となります。
「ちょっと嬉しい時計」みたいなことをやっているイベントがあったり、意外とそのような、医療系とかではない、情報ハックでもできるかもしれません。
田川 イケるかもしれないですね。
澤邊 でもそうなると結局ね、残業問題なんかもそうなのですが、法律が全然追いついてないですよね。
田川 法律は追いつけないですね、そこは。
澤邊 こっちサイドの方がガンガン前に進んでいるのに、そこが問題になりますよね。
何かもう少し動きを早くしてくれないと駄目だと思いますね。
今の時差を解決する話なんか全部引っかかってしまいます。
さっき医療行為という話がありましたけど、確かに問題になります。
全部深夜残業になっちゃいます。
田川 全部、深夜残業ですね。
澤邊 そういうのを含めて、日本が2030年へ向けて変わっていけたら一番いいんですけどね。
田川 そうですね。
ちょうど時間になりましたので、本セッションはこれで締めたいと思います。
最先端の研究者とクリエーターと語る2030年頃の話をいろいろとお伺いできて、勉強になりました。
今日の登壇者の皆さんに、ぜひ大きな拍手をよろしくお願いします。
皆さんありがとうございました。
一同 ありがとうございました!
(終)
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編集チーム:小林 雅/本田 隼輝/尾形 佳靖/戸田 秀成/鈴木ファストアーベント 理恵
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