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「ユニコーンを生み出すためにVCはどう変わるのか?」9回シリーズ(その7)では、JVCA(日本ベンチャーキャピタル協会)の国際比較調査から見えてきた、我が国のCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)の特殊性に迫ります。事業会社がそのCVC活動に求めるべきリターンとは? ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2019 ゴールド・スポンサーのfor Startups, Inc.様にサポートいただきました。
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【登壇者情報】
2019年9月3〜5日開催
ICCサミット KYOTO 2019
Session 4F
ユニコーンを生み出すためにVCはどう変わるのか?
Supported by for Startups, Inc.
(スピーカー)
朝倉 祐介
シニフィアン株式会社
共同代表
仮屋薗 聡一
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ
代表パートナー
志水 雄一郎
フォースタートアップス株式会社
代表取締役社長 CEO
永田 暁彦
リアルテックファンド 代表 /
株式会社ユーグレナ 取締役副社長
村田 祐介
インキュベイトファンド
代表パートナー
(モデレーター)
宮宗 孝光
株式会社ドリームインキュベータ 執行役員 /
DIMENSION株式会社 代表取締役
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▶「ユニコーンを生み出すためにVCはどう変わるのか?」の配信済み記事一覧
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最初の記事
1. ユニコーン創出のために考えるべき「6つの要素」とは?
1つ前の記事
6. シニフィアン朝倉さんが解説「そもそも、ベンチャー・キャピタル(VC)の役割とは何か?」
本編
宮宗 事業会社の成功体験の場を、VCやベンチャーを支援する側も一緒になってつくるべきでは、というのが永田さんの提言だったと思います。
村田さんはこの辺りについていかがでしょうか?
ストラテジック・リターンのみを追う日本のCVC
村田 先ほど少し触れましたが、昨年、JVCAのアウトプットとしてCVCの調査を国内97社、グローバルの約100社、あわせて200社弱を対象としてクロス集計しながら行いました。
▶我が国のコーポレートベンチャリング・ディベロップメントに関する調査研究(~CVC・スタートアップM&A活動実態調査ならびに国際比較~)(PDF)
その中で、アメリカの1X以上のパフォーマンスがしっかりと出ているという前提のVCに対し、「ファイナンシャル・リターンとストラテジック・リターン(※)のどちらを求めているか?」というアンケート調査を行い、海外と国内で分けて集計を出しました。
▶編集注:ファイナンシャル・リターンは、文字通り金銭的なリターン。一方のストラテジック・
リターンは、事業シナジーなどの経営戦略上のリターンを指す。
その結果、グローバルでは8割が両方を追っている一方、国内は7割がストラテジック・リターン「だけ」を追っていると回答し、国内ではファイナンシャル・リターンが評価されず、とにかくスタートアップに資金をぶち込むだけだ、ということを色濃く示した結果となりました。
アンケートを見た限りでは、日本の事業会社がどうやって既存事業の営業キャッシュフローを稼ぐか、ということばかりに頭を据えていらっしゃるような結果が出てしまっています。
結局ファイナンシャル・リターンが稼げなければ、そのCVC機能が継続していかない。50億円を消化して終わりました、結局リターンは20億円でしたとなり、成功体験とは呼べないものになってしまいます。
一方でアメリカ側の回答からは、「長く続けていかなければストラテジック・リターンは生まれない」ということをよく理解していらっしゃるのだなと読み取ることができました。
日本でも、リーマン・ショックをまたいでずっと長くやっていらっしゃるCVCとしては、KDDIやTBSイノベーション・パートナーズがあり、最近TBSの片岡正光さんも「僕は最古参だ」とおっしゃっていました。
ですから、長く個人の方が担当を続けることと、組織でそれをどう担保してあげられるかというのが、非常に大事なのではないかと思います。
グローバルCVCは、半数がハンズオン支援型
グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー 仮屋薗 聡一さん
仮屋薗 今の調査の件ですが、1つ顕著な違いがありました。
それは、海外のCVCは5割近くがハンズオン支援型であり、かつファイナンシャルとストラテジックの両リターンを追っている。かたや日本のCVCは基本的にパッシブ(受け身)でハンズオンの経営支援をせず、投資金額は小さくてストラテジック(シナジー)だけを追っているという点です。
2013〜2014年ぐらいからCVCを始めて、それこそ第一世代CVCはファイナンシャルにも成功していますし、結構ハンズオンの人が多かったかなと思います。
3周目で入って来ている方々が、本当に気持ちの部分でハンズオンをきちんとやり、そしてオープンイノベーションから何か得ようという意思を示して、それに対して応えられるかどうかが鍵だと思います。
宮宗 納得感のある話ですね。それ以外にも、未だ少ないハンズオンの姿勢を我々のほうで啓蒙して広めていければ、いい世の中になる可能性が見えてくるといったところでしょうか。
永田さん、いかがでしょうか。
グローバルCVCが追うKPIは業界ごとに千差万別
永田 村田さんに伺いたいのですが、アメリカではファイナンシャル・リターンだけを追うCVCというのはないのですか?
村田 多くは両方を追っていて、片方だけを追っているCVCはとても少ないです。
永田 評価の仕方はどのような形なのでしょうか。
村田 各社ごとにかなりの違いがあるので、何とも言えません。
例として、SaaS大手のある会社は、創業者の方がRSU(制限付き株式)で株価を上げてなんぼだ、それだけで判断すると極端に振り切っているので、CVC部門も部門長も、そうしたスタンスが完全に浸透していると言っていました。
仮屋薗 先ほどの調査は大変興味深く、「あなたのCVCのKPIは何か?」という問いに自由筆記で回答してもらったところ、海外の企業でも見事に千差万別な結果が出ました。
これは大変学びになるのですが、多分事業の産業分野別にKPIが違い、そもそもストラテジック・リターンの内容も、ファイナンス・リターンの意味も違うからです。
ですから昨年は本当にCVC研究元年だったかなと思って、こうした調査をもっと進めたいという気がしています。
VC・CVCともにキャピタリストの求人ニーズは高騰
永田 志水さんに伺いたいのですが、例えば国内上場企業3,000社が全社CVCを持つとなったときに、3,000人も優秀なキャピタリストがいるかと言えば、それは絶対にあり得ないじゃないですか。
そこに何か1つの課題感があるのではないかと思うのですが。
志水 それが今、私がJVCA側にいる一番の理由です。
本当におっしゃる通りで、今VC・CVCのどちらにおいても、皆さまからの求人ニーズが本当に高すぎるという状況にあります。
でも、VCのキャピタリストに求められる人材と、CVCサイドに求められる人材は少しタイプが違うと思っています。
そして実際に、どちらもまだ、その役回りをやってやろうという人が非常に少ないのが実情です。
起業と一緒で、いかにしてベンチャーキャピタリストをもっとメジャーなキャリアにもっていけるかは、私だけではなく、会場にいらっしゃるヒューマンキャピタリストタイプの方々をはじめ、はっきりとしたテーマをもってやらなければ市場は育たないですね。
宮宗 とても同感できる話です。
私は戦略コンサルタントをやっているので大企業のご支援もするのですが、その時に、ひとつ大きく外海に出たほうがいい、鮭の放流だという話をよくします。
鮭は外海に出た後、産卵のため母川に回帰します。
おそらく、今までの既存の延長でやっていても、先ほど話にでたハンズオンができる人材は育たないままでしょう。
でも鮭の“交流”ではないですが、本日の5名とも全く違う取り組みをしながらも連携されていますし、JVCA側からの交流も盛んになってきています。
アメリカと比べて何が違うのだろうとか、見えないところをどうにかしていこうという取り組みが出てきているので、こういった動きが大企業側に伝搬されるといいのではないでしょうか。
また僕はアーキテクトの話をよくするのですが、物事を捉えたときに、どうやってやるのかなかなか分からない、助けて欲しいみたいなシーンが出てきた時に、VCの方が「一緒にやっていこう」と言える世の中になると、もっと伸びる企業も出てくるし、エコシステムも増えるのではないかと感じました。
では、最後の設問です。
最後は定性的な設問で、「どんな世の中を作りたい?」という内容です。
(続)
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続きは 8. 日本を代表するベンチャー・キャピタリストに問う「どんな世の中を作りたいか」 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/尾形 佳靖/戸田 秀成/蒲生 喜子
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