東南アジアは"平均年齢20代"の完全なるデジタルファースト市場 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

2. 東南アジアは“平均年齢20代”の完全なるデジタルファースト市場

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「教えてほしい!プロダクトのグローバル戦略」全7回シリーズの(その2)は、シンガポールを拠点としてアジア各国に展開するAnyMind Group CEOの十河 宏輔さんにお話を伺います。東南アジアマーケットの成長性から、海外展開のためのM&A、それに伴うPMIの注意点まで、幅広い議論が交わされました。ぜひご覧ください!

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2019のプラチナ・スポンサーの日本マイクロソフト様にサポートいただきました。


【登壇者情報】
2019年9月3〜5日
ICCサミット KYOTO 2019
Session 6F
教えてほしい!プロダクトのグローバル戦略
Supported by 日本マイクロソフト

(スピーカー)

鈴木 健
スマートニュース株式会社
代表取締役会長兼社長 CEO

十河 宏輔
AnyMind Group
CEO

玉川 憲
株式会社ソラコム
代表取締役社長

(モデレーター)

濱野 智成
株式会社トレンドExpress
代表取締役社長

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1つ前の記事
1. スマートニュースが米国進出に見出す勝機とは?

本編

濱野 では次は十河さん、お願いします。

十河 宏輔さん(以下、十河) AnyMind Groupの十河(そごう)です。よろしくお願いします。


十河 宏輔
AnyMind Group
CEO

AnyMind Group共同創業者兼CEO。全拠点における業務の成長拡大を牽引する。AnyMind Groupの前身にあたるAdAsia™ Holdingsを2016年に創業し、マーケティングテクノロジーを主軸とするビジネスを創業3年でアジア11市場、従業員500名以上まで拡大(2020年4月現在は13市場、17拠点体制、従業員700名以上)。また2019年にはForbes JAPAN「日本の起業家ランキング2020」TOP20に今年度最年少および創業最短で選出。

創業時から言語は英語、ウェブも多国語対応のAnyMind Group

十河 僕はこの7年ほど、ずっと海外にいました。

会社はシンガポールを本社として、創業は2016年です。

鈴木さんのスマートニュースと同じく、最初から海外で勝負しようと思って創業しました。

例えばウェブサイトをオープンした時は、最初から7ヶ国語対応をしていました。

これは創業メンバーに対してもそうですし、入社してくる社員に対しても、自分たちは本気でグローバルで勝負するんだというメッセージでもあります。

現在、海外11市場に13拠点を設けており、社員は580名規模まで伸びています(2020年4月現在は13市場、17拠点体制で従業員700名以上)。

日本人は全部で80人で、エンジニアチームに限っていうと日本人は5人くらい(イベント開催時)です。

それは世界各地の優秀なメンバーを採用しているからで、言語は資料も含めても全て英語ですから、海外で人材を採用するハードルはあまり高くありませんでした。

僕自身は日本人ですが、この会社を日本企業だとアピールはしていません。

鈴木 社内で日本語を使う頻度はどれくらいですか?

十河 日本法人とコミュ二ケーションをとる時だけなので、全体の20~30%くらいでしょうか。

日本法人でも海外メンバーがもともとはゼロでした。

鈴木 移行の苦しみがないのは羨ましいですね、僕はすごく苦しんだので。

写真左から、スマートニュース鈴木さん、AnyMind Group十河さん

十河 日本においては、英語が話せるから優秀とは限らないですよね。

ですから日本で会社の方向性などを伝えても、英語だといまひとつ伝わらないので、日本語でフォローアップします。

濱野 AnyMind Groupは、急成長していますよね。

2年半で11ヶ国ですし、従業員規模、売上額、調達額もすごいです。

なぜ短期間で急成長できたのでしょうか?

“デジタルファースト”の東南アジア市場における勝機

十河 一言で言うと、運が良かったというのはあります。

インターネット広告とインフルエンサーマーケティングの事業をやっているのですが、市場でかなり伸びているタイミングでした。

特に東南アジアは平均年齢が27歳なので、テレビ離れ、デジタルファーストの状況です。

ですから、広告主の予算もネット広告に流れてきたタイミングでした。

濱野 日本のビジネスモデルを海外に持って行ったら、タイムマシンのように先駆者になれたということですか?

十河 むしろ、どこでも通用するプロダクトを作っています。

アドテクの世界には本当に色々なプレイヤーがいるので、それをアグリゲート(集約)して最適化できるソリューションは、どこでも通用すると考えました。

そこで2016年、アドテクノロジーのアグリゲーションプラットフォームとして東南アジアでビジネス展開をしました。

そういうプロダクトやポジショニングをとることが戦略だということです。

濱野 日本にいると競争が激しいけれども、他の国に持っていくと強いポジションがとれるということもありますよね。

我々(トレンドExpress)も、中国のマーケティングを強みにしてポジションをとったので、中国関連の案件は全てうちにくるようになりました。

とはいえ、アドテク業界は参入障壁が低い業界だと思います。差別化はどうされていますか?

十河 一つのプロダクトだけで戦える業界ではないので、常に新規プロダクトの開発を行っています。

ですからプロダクト数で言うと、市場変化は激しいですし、10個以上はローンチしています。

濱野 トレンドを軸にしていますよね。

十河 簡単に言うと、波に乗るのが上手な会社です。波が来た時に、それに乗れるようにしています。

海外展開のためのM&A、PMIにおける注意点とは?

濱野 M&A(企業買収)の状況はいかがですか?

十河 AnyMind Groupでは、これまで3社(登壇当時)のM&Aを行っています。

冒頭のコンサルティング会社の方の質問にもありましたが、グローバル展開においてM&Aは非常に大事な手段の一つです。

例えばタイでビジネスをするとなると、タイのことをよく分かっていて、ビジネス能力が高い人材を現地法人の社長に置く必要があります。

創業者で経営者マインドセットがあって、現地での実績がある人材を採用するにはやはり買収が早いです。

濱野 M&Aはとても大事ですが、PMI(M&A後の統合プロセス)は難しいですよね。

十河 キャッシュでM&Aとなると、買収先の経営者にとっては“イグジット”になってしまいがちです。

結果、せっかく雇った人材が辞めてしまっては困るので、株式交換を活用し「一緒に上場を目指す」というビジョンに共感してもらえるような企業、経営者を検討します。

玉川 アクハイヤー(人材獲得型のM&A)のリスクとして、チーム単位で雇うと、そのチームごと辞めてしまうこともありえますよね。

十河 そうですね。マネジメントチームに取り込むことになるので、僕はM&A先の社長とウマが合うかどうか、合意できるかどうかを重視しています。

海外において「人材の定着」は日本よりもシビアな課題

濱野 非常に順調に事業を伸ばしていらっしゃるAnyMind Groupですが、とは言え想定外なことも多々ご経験されていると思います。

これまで乗り越えてこられた大きな失敗、痛手などをラーニングと併せてシェアしていただけますか?

十河 結構たくさんありますが、一番大きい悩みは人材ですね。

事業規模が拡大しどんどん従業員が増えていく過程では、所属する人の種類も変わっていくべきです。

具体的に起こった問題としては、僕たちはシリーズAで15億円を調達して攻めの態勢になり採用も強化したのですが、100、200人規模になった時、むしろ経営チーム側に彼らをマネジメントし適切に経営するだけのキャパシティがなかったのです。

海外では、どんどん転職もしますし、競合からも引き抜かれます。

鈴木 しかも、複数拠点だと大変ですよね。

十河 おっしゃる通りです。タイは半年前にそういう事態になり、そうかと思えば今度はインドネシアで、次はベトナムでという感じでした。

ただ、タイでそれを経験した分、事前対策はできるようになってきたかなと思います。

濱野 これまで、具体的にどういうことを行ったのですか?

社内コミュニケーションで当事者意識を高める

十河 2年前は1ヶ月に11ヶ国を回り、各国のマネージャー、幹部層との1on1も行いました。

濱野 会話の量は大事ですよね。モチベーションクラウドが海外にあればいいのにと思います。

十河 それから、社内に向けてよりオープンなコミュニケーションを心がけるべきです。

会社がどういう方向に向かっているかとか、これからどういうイベントが起こりうるのか、何ならファイナンスの話も含めて、メンバーから聞かれれば、応えられる範囲でしっかりと共有します。

そうすることで、AnyMind Groupが「自分たちの会社」と思えるように、つまり当事者意識を埋め込みやすくなるのです。

玉川 人材関係はやはり大変で、辛いことが多いですね。

社会のために良かれと思ってやってきた事業なのに、そこにいる人がハッピーじゃない、活躍できていない、辞めたなどなると、何のためにやっているのか分からなくなります。

ソラコムでも、日本のチームはこれまでほとんど辞めてこなくて、みんな幸せそうに働いてくれています。

でも海外のチームは初期の頃、みんなつらそうでした。

核となるチームにコミュニケーションパワーを与える必要がありました。

そのコミュニケーションパワーに影響を与える要因の一つは、社内情報の伝達システムの「言語」でした。

最初は日本のチームが大きかったので、重要な情報のほとんどが日本語で作られていました。

もちろん英語に翻訳はして伝えてはいましたが、それでもオリジナルが日本語情報だと、英語で受け取るメンバーにとっては情報のパイプが細いと感じますし、それがやがて不安になり、辛くなります。

そこに気づくまでに時間がかかり、海外のチームが安定しないということがありました。

“グローバル経験があるローカル人材”の獲得競争

(写真右)株式会社ソラコム 代表取締役社長 玉川 憲さん

玉川 もともと僕の持論として、それぞれの国のCEOは現地の人材が担当すべきだと考えていたのですが、それが、現場メンバーにきちんと情報を伝えられていなかった原因の一つだったのです。

そこで、情報を現地向けにローカライズしてくれる人材として、現地の言葉がネイティブレベルでできて、かつ日本語ができる人たちに入ってもらったところ、急激に関係が良くなりました。

問題は、そういう人材がほとんどいないことですね(笑)。

僕はもともとアマゾンで、AWS(Amazon Web Services)の日本事業の立ち上げを担当していましたが、日本で育って日本語ができて、日本でビジネスをしてアメリカでMBAと英語を勉強して、Amazonに憧れを持ってやっていました。

翻って、グローバル展開する日本企業にマッチする、そのような思いやスキルのある人材を探すのは容易ではありません。

ソニーやトヨタなど、ハードウェアがあればその製品が語ってくれますが、ソフトウェアの場合は人が製品を語る必要があります。

鈴木 DeNAやGREEでアメリカ進出に挑戦した人が、うちに入社してまたアメリカ進出に挑戦しています。エンジニアだと、TwitterやGoogleにそのまま転職するような人もいるのですが。

つまり、会社がグローバル展開に挑戦することで、それができる人材を生み、彼らが市場に流れることによってエコシステムを作っていかなければいけないなと思います。

玉川 そうですね、打席に立って失敗する経験を積むことですね。

鈴木 いつかスマートニュース出身の人も、他の会社で絶対出てきますね。

玉川 AWSの海外展開における主要ポジションがどの企業出身の人が多いかというと、SalesforceやVMwareなどので成功を積んだ人が活躍しています。

そういう人が、前職での経験をもとにちょっと上位のポジションに挑戦している、という光景がよく見られます。

(続)

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続きは 3. スマートニュースが米国ユーザー理解のために“一般人100人”に行った現地調査 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/小林 弘美/大塚 幸/戸田 秀成

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