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ICCサミット FUKUOKA 2020 新・雑談シリーズ「テクノロジーはどこまで進化するのか?」の全文書き起こし記事を全7回シリーズでお届けします。(その4)は、人間がサイボーグ技術をインストールすることによって、どの部分が拡張され、何が可能になるのかを議論。過度の技術信奉にアーティスト土佐さんが警鐘を鳴らして仲間割れ!? ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プレミアム・スポンサーのオープンエイト様にサポートいただきました。
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【登壇者情報】
2020年2月18〜20日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 11A
新・雑談シリーズ「テクノロジーはどこまで進化するのか?」
Supported by オープンエイト
(スピーカー)
粕谷 昌宏
株式会社メルティンMMI
代表取締役
千葉 功太郎
DRONE FUND 代表パートナー / 千葉道場ファンド ジェネラルパートナー /
慶應義塾大学SFC 特別招聘教授
土佐 尚子
京都大学
総合生存学館/凸版印刷アートイノベーション産学共同講座(産学共同)/特定教授
(モデレーター)
西脇 資哲
日本マイクロソフト株式会社
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト
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▶「新・雑談シリーズ『テクノロジーはどこまで進化するのか?』」の配信済み記事一覧
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最初の記事
1. 新・雑談シリーズ登場!テック系の4人が語る、最近驚いたことは?
1つ前の記事
3. 宇宙には何で行く? モハベ砂漠でDRONE FUND千葉さんが見た、驚異の飛行訓練
本編
(この直前の議論で、粕谷さんは「本当に宇宙にいる感覚を味わうには、身体をアップグレードしないといけない」と主張しています)
西脇 そこで言うサイボーグの定義というのは、自分の努力ではなく、装着によって得られるといったものなのでしょうか。
いまいちイメージが湧きませんので、サイボーグの定義というのもちょっと教えて頂きたいです。
生体信号と人工物の組み合わせがサイボーグ
粕谷 サイボーグは、生体信号と人工の身体を組み合わせて人類の可能性をさらに広げるもの、という少しメタなレイヤーで定義しています。
脳波や神経信号といった生体信号というヒトの身体の中を流れている電気信号と、ロボット、もしくはバイオ的なものかもしれない人工の身体、その2つを組み合わせることにより、今人間では出来ないこと、人類に対しての可能性をさらに広げるというものです。
ですから、コンタクトレンズだけでサイボーグというのは微妙ですが、これが生体信号を感知し、誰々の電話番号は何だったかなと思ったときに、その生体信号をキャッチして、その番号がピッと出てくるようなものは、サイボーグ技術と言えるのではないかという感じです。
土佐 ちょっとテレポーテーション(※)のような感じでしょうか。
▶編集注:離れた場所に瞬間移動する現象、能力のこと。
粕谷 テレポーテーションもそうですね。
例えば、もう一つの身体が地球の反対側にあって、意識だけを飛ばすと、擬似的にテレポーテーションできることになりますし。
西脇 コンタクトレンズで最近話題になっているのが、装着していて見えづらい時に、自由に自分でズームが出来るというもの、それが今厚みを変えるなどして、徐々に出来つつあるそうですね。そういった感じの定義がサイボーグというわけなのですか。
▶まばたきでズームするスマートコンタクト 米で試作に成功(Newsweek)
粕谷 そうです、生体信号と人工物の組み合わせです。
西脇 なるほど。私の世代は、アニメでサイボーグがありましたね。
全身スーツのようななものを着て、マスクでシュッと顔を覆った人達のことをサイボーグと言っていました。
土佐 エヴァンゲリオンみたいなやつね。
粕谷 僕の言うサイボーグとはロボットスーツを着用するのではなく、もっと自分の身体にインストールするといった身体の一部になる感じです。
西脇 そして、生体信号と相乗しあうということですかね。
粕谷 僕の個人的な考え方ですと、自分の身体とマージするものですが、メルティンMMIとしては人工的な部分と自分の身体を分け隔てていても、そう呼ぶようにはしています。
土佐 人間拡張ということですよね。
粕谷 そうですね、人間拡張の部分でもあります。
西脇 今、サイボーグはどこまで来ているのか、宇宙へ行けるようになっているのでしょうか。
粕谷 例えば目の話で言えば、眼球がなかったとしても、脳の視覚野へ直接映像を送ることはできるようになっています。
宇宙へ行けるようになっているかと聞かれると、まだですとしか申し上げられませんね。人間の身体自体を完全にリプレイスするという文脈までは、まだ行きつけてはいません。
西脇 今日は「どこまで進化するか」がテーマですから。宇宙へ行けるまで進化しなければいけませんからね。
土佐 宇宙は行けるでしょ。
(一同笑)
テレポーテーションは、量子力学がもう少し発達すると、自分がマルチプルになっていくような世界ができます。
今は千葉さんではありませんが、命が一つしかないからまだ行けないと皆そう思うわけじゃないですか。
すると、まずは自分の代理が行くとか、そういった時代の形になっていくのではないかと思うのですよね。
「脳さえあれば」はもう古い!?
粕谷 そういうことでやっているのが、今のアバター事業です。
▶2018年3月のリリース。
世界初のパワフルかつ器用な手を持つアバターロボット「MELTANT-α」を発表(MELTIN)
アバターという1つのヒトの身体のようなものを再現して、そこに自分の意識だけを乗り移らせることで危険な場所で作業ができたり、地球の裏側に一瞬で行けたりなど、そういう事業を今行っています。
千葉 映画の『アバター』の世界ですよね。あれは実際できるのでしょうか? 意識だけ別の物体なるものに飛ばすことは、実現可能なのでしょうか。
▶「アバター」続編4部作は2020年から順次公開!完結は2025年(映画.com)
先程仰っていた感覚については大変重要だと思っていて、アバターの世界のロボットが得た匂い、風、紫外線が降り注ぐ感じ、宇宙船がビリビリきている感じをきちんと伝えられるのでしょうか。
粕谷 その点は絶対にサイボーグ技術でなければ出来ません。
何故かと言いますと、例えばサーモグラフィーで赤外線を見ることは既に可能になっていますよね。
しかし、それは本当に赤外線を見ているわけではなく、赤外線の映像を人間が見える赤や青の色に変換しているだけなのですよ。
赤外線のカメラで見た赤と本当の赤は、人間は区別できないわけじゃないですか。
そういった感覚のレンジの拡張を考えたときに、自分の脳に直接アプローチして感覚というクオリア(質感、質的特徴)自体を拡張するしか方法はなく、だからこそ、それはもうサイボーグ技術しかコミット出来ないのです。
千葉 そうなると人間は脳だけ生きていればいいということになりますか。
粕谷 極論はそうですね。
西脇 アバターがあると極論そうなるのでしょうね。脳さえあれば、アバターが動かせると。
千葉 変な話、他の臓器は壊れるかもしれないじゃないですか。でも、脳だけなんとか生かせる技術をつくれば、ずっと延々に生きられるのではないでしょうか。
土佐 いえ、それはもう古い古い。
(一同笑)
西脇 古いんですか!
土佐 最近まで信じられていた考え方ではありますが、今や手などの様々な細胞にも脳と近いような機能とか能力があると言われていますよね。
千葉 心臓もそうだと言われていますよね。
西脇 この手の中に脳と同じような判断をする細胞があるということですね。
土佐 だから万能細胞みたいなiPSといったものが生まれたのですよ。
西脇 だから皮膚からも脳や心臓、幹細胞が作れるかもという話なのですね。
土佐 そうなんですよ。今、それが急ピッチに研究されている分野です。もちろん中央コントロールみたいなところはあるかもしれませんが、脳だけがやっているわけじゃないですね。
1つの脳で動かせるのは1つのアバターだけ?
西脇 アバターの話に戻りますが、先程千葉さんが言われた、脳で司令を出した色々なことをしてくれるのがアバターじゃないですか。
私がアバターの話題の際に必ず投げかける意見は「人間の脳は一つの身体を動かすことしかまだ能力を発揮できていないし、多分そのぐらいの力しかないと思う」というものですが、皆さんはどうお考えになりますか。
千葉 いや、そんなことないと思いますよ。
西脇 そこを議論したいのですよ。例えば、ここに1つアバターがあり、これは自分の脳で動かしますと。
そして、こっちにもアバターがあるようになってきて物理的にいくらでも増やせるようになります。
そうなると、我々の脳はさらに覚醒していかないといけないと思うのですが、いかがでしょうか。
土佐 例えば宗教においては、1人の人間が多くの人をコントロールしたという言い方も出来るじゃないですか。
粕谷 そうですね、その通りですね。
土佐 だから、あまり技術だけを信じていては駄目ですよ。もう少し、何がこの問題に対しての本質なんだろうかということを考えるべきで、技術信奉はあまりよくないです。
西脇 土佐先生に諭されました(笑)。千葉さんはいかがお考えでしょう。
(続)
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続きは 5.評価が両極端に分かれるイノベーションは、やり抜けば絶対成功する をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/蒲生 喜子
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4. 人間の感覚や能力を拡張できるのは、サイボーグ技術だけ