超人スポーツって何だ? 東京大学 稲見 氏が語る人間の機能拡張とは?【K16-9A #2】 – INDUSTRY CO-CREATION

超人スポーツって何だ? 東京大学 稲見 氏が語る人間の機能拡張とは?【K16-9A #2】

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「AIや技術の進化によって人間はどのように再定義されるのか?」【K16-9AI】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!6回シリーズ(その2)は、東京大学の稲見さんにテクノロジーによる人間の機能拡張の研究と現在取り組まれている新たなスポーツの発明についてお話を頂きました。身体拡張について最先端のお話となっております。是非御覧ください。

日本アイ・ビー・エム株式会社はICCカンファレンス KYOTO 2016のプラチナ・スポンサーとして本セッションをサポート頂きました。「いまIBM Watsonが取り組んでいること」もぜひご覧ください。

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ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級の招待制カンファレンスです。次回ICCカンファレンス FUKUOKA 2017は2017年2月21〜23日 福岡市での開催を予定しております。日本アイ・ビー・エム株式会社はICCカンファレンス FUKUOKA 2017のプラチナ・スポンサーです。

登壇者情報
Session 9A
AIや技術の進化によって人間はどのように再定義されるのか?
Supported by 日本アイ・ビー・エム株式会社
 
(スピーカー)
安宅 和人
ヤフー株式会社
チーフストラテジーオフィサー
 
稲見 昌彦
東京大学
先端科学技術研究センター
教授
 
鈴木 健
スマートニュース株式会社
代表取締役会長 共同CEO
 
福田 剛志
日本アイ・ビー・エム株式会社
東京基礎研究所 所長
理事 博士(情報科学)
 
(モデレーター)
尾原 和啓
Fringe81株式会社 執行役員

その1はこちらをご覧ください:「人間を定義することの意味とは何か?」スマートニュース鈴木氏が熱く語る【K16-9A #1】


尾原 皆さん、ここに来たことを後悔していないでしょうか?(笑)。まだまだですよ。稲見先生、お願いします。

稲見 昌彦 氏(以下、稲見)  鈴木さん、基調講演有難うございます(笑)。

(会場拍手)

2016年4月から東京大学の先端科学技術研究センターにおりまして、身体情報学という分野で講座を受け持っております稲見と申します。色々な研究をやっておりますが、基本的には、身体性をシステムとして理解し、どう設計していくかということを考えています。

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その道具として、ウェアラブルなどのデバイスを開発しています。今私が着けている眼鏡は、JINS MEMEと言いまして、JINSと一緒に開発したものです。

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スマホとつながって、私の瞬きや頭の動きを計測・分析します。このように視線を分析することによって、例えば、英語の文章を読む目の動きを分析することで、大阪府立大のグループはTOEICの点数を推定することが出来ます。

私はもともと研究していたのは、VRやARについてです。1999年に博士課程を取得したのですが、そのときの論文のタイトルが、「オーグメンテッドリアリティにおける視覚提示法の研究」です。

今、ポケモンGOが世界を席巻している様子を驚きとともに見ています。というのは、偉い研究者の間では、VRやARが世の中に出ていくためには、様々な技術的なハードルを超えなければならないと1998年頃から議論されていたわけです。

ポケモンGOは、その内のハードルの2つ位しか満たしていないのですが、あっという間に広まりました。これはどういうことかということで、色々とフィールドワークを行いました。

東大正門前で学生と戦っておりまして、昨日レベル26になりました。学生には負けません(笑)。

私が研究するVRやAIがどういう風に位置づけられるのかを考えますと、1つ目は、インタラクティブなシステムをパブリッシュする世界で初めてのシステムかと思っています。

これは産業革命と言われていますが、私は文化・情報や身体の革命だと思っています。つまり、バーチャル・リアリティというのは、環境や体験というインタラクティブなシステムを、どう記録して、どう伝送して、どう再構成するか。

また、AIはアプリケーションが色々とありますが、アプリケーションの1つとしては、例えば、今ここで皆さんから色々と情報をもらって、私が処理して返すというシステムを、どう記録して、どう伝送して、どう再構成するかを各々実現する技術と位置づけられるかと思います。

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そういったことを背景にしながら、私は人間拡張工学ということで、超身体、脱身体/幽体離脱、どう変身・分身・合体させるかといった、いわゆるSF用語に聞こえるのですが、これをきちんと基盤的な技術から研究をしています。

技術ともに進化し続ける”超人スポーツ”

最近は、「スーパーヒューマン誕生」という本を出版しました。

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技術が進化していったときに、我々は一体何をやるのかという話ですが、ロバート・アンスン・ハインラインのSFの頃から、1960年代にはGEがハーディマン(パワーアシストスーツ)といったシステムを開発するなど、色々と取り組みがあるわけです。

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結局何をやってきたかといえば、メンテナンスや重労働を助けてきました。今後AIやロボット技術が発展していったときに、我々人間は、やりたくない仕事はAIやロボットに任せて、やりたいことを志向するようになります。

実は去年、超人スポーツ協会というのを中村伊知哉先生や暦本純一先生と立ち上げまして、今50名以上の仲間と運営しております。

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2020年を目指して、技術ともに進化し続ける人技一体のスポーツを発明出来ないかということで、活動しております。

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立ち上げただけで、ウォール・ストリート・ジャーナルなど様々なメディアに取り上げて頂きました。

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その中で、私が1番びっくりしたことがあります。私は幼少の頃からスポーツがとにかく苦手で、スポーツからものすごい勢いで逃げ回ってようやくここまでたどり着いた感じです。

地球は回るので、逃げると一周してしまうという感じで、今年8月のNumberというスポーツ雑誌に出てしまいました(笑)。

一生縁がないと思っていた、有名スポーツ選手が表紙を飾るような雑誌に出てしまいました。

(会場笑)

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このプロジェクトは色々な方と行っておりまして、例えば、攻殻機動隊を実現するにはどうしたらいいか、ドローンレースはどう組み合わせられるか、あるいは、テクノロジーを使った福祉機器とは何が出来るかといったことに取り組んでいます。

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また、地域振興の取り組みもあります。岩手は今年国体をホストしているのですが、国体と合わせて新しいスポーツを創っていこうという取り組みをしています。

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私はいま靴が泥で汚れているのですが、なぜかと言いますと、昨日広島に行って実験をしていました。広島のコベルコ建機と広島大学のフィールドに行って、建機を使ったスポーツが出来ないかという実験です。

意外と頑張るとドリブルも出来ます。将来オンラインで、16倍再生で見ると、迫力ある試合になるかもしれないですよね。

これまでシリアスな目的や課題に活用されていた技術を、エンターテイメントに使うと面白いことになるというのが分かり始めています。

バーチャル・ヒューマンという存在

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最近私が読み直した本として紹介させて頂きたいのが、皆さんロバート・フックという方を聞いたことありますか?中学の理科Ⅰ、理科Ⅱで出てくると思います。理科Ⅰだと、バネの法則で、理科Ⅱで細胞を発見した人として紹介されています。初めて細胞を顕微鏡によって見た人です。

この方が「ミクログラフィア」という本を17世紀に書いていますが、この序論がすごく面白いです。何を言っているかというと、「人類はもともと完璧な存在であった。それが様々な理由によって欠損している。3つの欠損がある。

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1つ目は、感覚の欠損、2つ目は、記憶力の欠損、3つ目は論理的構成能力の欠損である。細胞を発見しようと思って顕微鏡を作ったわけではなく、光学機器を使うことで、人間を完全な存在に取り戻すために、この研究を始めた」ということです。

ロバート・フックが、人間補完計画の元祖のようなことを書いているわけです。これは身体拡張の発見について、顕微鏡の始祖のような方が示唆しているのではないかという気がしています。

本日の話題に絡めますと、バーチャル・ヒューマンというトピックですね。つまり、我々は今フィジカル・ヒューマンで、肉体としての人が存在しています。もし、これがバーチャル化出来るのであれば、我々はどういう存在になるのだろうか。

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その1つの可能性として、ユビキタス・コンピューティングがあります。ユビキタスは元々「神は遍在する」というラテン語から来た言葉です。

我々が、バーチャル・リアリティやテレプレゼンスといった出揃いつつある技術を使って、世界に遍在出来る時代になったときに、どのようなことが可能になるのか、我々の人間間の膜はどう変わっていくのかを議論出来ればと思っています。

シャノン界面とウィーナー界面

膜という話で、私が最近研究しているのが、シャノン界面とウィーナー界面という話です。デジタルと物理を分けるのが、クロード・シャノンにちなんで名付けたシャノン界面です。これが大抵のインターフェイスやインタラクション、デジタルテクノロジーの世界で語られていた話です。

もう1つが、ノーバート・ウィーナーが世界を直接制御出来るものと制御出来ないものに分けようと言っているウィーナー界面です。これは実は、ダニエル・デネットが自分とは何かを定義したときに、自分が直接制御出来るものすべてと語っているわけです。

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そういう意味では、実は、鈴木さんがおっしゃる膜の定義はいくつかあるかもしれませんが、ウィーナー界面もそうかもしれません。この性質を考えていくことによって、先ほどのユビキタス性に至るかもしれないと思っています。

最後に鈴木さんのスライドに合わせて準備しました。我々人間の定義として何か創る生き物というものがありました。

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私がもし今言えるとしたら、これはまさにゲーデル・エッシャー・バッハ的ですが、「自分自身の身体を再構成可能な生き物」と言えるのではないかなと思っています。

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尾原 いいですね。なんだか重なりつつ広がって来ましたね。それでは、福田さんよろしくお願いします。

(続)

続きは 日本IBM 東京基礎研 福田所長が語るWatsonがもたらすコグニティブの時代と人間の変化【K16-9A #3】 をご覧ください。

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/藤田 温乃


【編集部コメント】

続編(その3)では、日本IBM東京基礎研究所の福田所長に、コンピューティングで進化するコグニティブ(認知)とより重要になる人間とコンピュータのインターフェイスについてお話を頂きました。いま話題のWatsonも登場する議論を是非御覧ください。是非ご期待ください。感想はぜひNewsPicksでコメントを頂けると大変うれしいです。

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ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンフ ァレンス「Industry Co-Creation(ICC) カンファレンス」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。