「とことんやれ!とことん楽しめ!いい仲間作れ!」(ビズリーチ 南)
第一線で活躍する起業家が起業するにあたっての心構えや取り組み方など、起業やベンチャーを志す学生の方々との質疑応答形式でセッションが行われました。ICCカンファレンス STARTUP 2016 「人生は挑戦だ!」(後編)をご覧ください。
登壇者情報 2016年2月17日開催 ICCカンファレンス STARTUP 2016 Session 3 「人生は挑戦だ!」 (スピーカー) 仲 暁子 ウォンテッドリー株式会社 代表取締役CEO 千葉 功太郎 株式会社コロプラ 取締役Co-Founder 丹下 大 株式会社SHIFT 代表取締役社長 南 壮一郎 株式会社ビズリーチ 代表取締役社長 (モデレーター) 小林 雅 ICCパートナーズ株式会社 代表取締役
前編はこちらをご覧ください:「面白いという感覚を磨くためには、いろんなものに目を向け、自分を磨いていかないといけない」
中編はこちらをご覧ください:「とにかく20代のうちは貪欲に何にでも取り組むと、やがて光が見えてくる」
「雇うのは社員の人生を背負うこと。何が何でも食べさせるのが社長の仕事」(SHIFT 丹下)
小林 他に質問ある方? 今林さんどうぞ。
質問者5 東京大学4年の今林と言います。よろしくお願いします。人を雇うといううはどういうことなのかなっていうのをお聞きしたくて。雇うということは、その雇った人の人生に責任を負うことなのか、それとも、あくまで契約的なものなのかということをお聞きしたいです。
小林 いいですね。「雇うとは何か」いういうことをまずは丹下さんに聞いてみたいです。
丹下 そうですね。今 弊社(SHIFT)だと1000人ぐらいの従業員がいるんですけど、雇うのは、まず、その人たちの人生を背負うことだと思ってるんです。
僕は何でトライアスロンをやってるかというと、世紀末を意識してるんです。北斗の拳を。北斗の拳の死の灰が降ってくるんですよね。そこでドアが閉まっていって放射能を浴びないようにみんなを守るというのが北斗の拳なんですけど。1000人の人たちが飯が食えなくなっても、僕が一人で物理的に食わしてあげようと思っていて。そのためにトライアスロンをやってるっという話なんですね。
まあちょっと上からですけど、もうとにかくその人たちのご飯を食わせてあげようと思っているのが僕のスタイルですかね。
小林 南さん、どうですか。
南 なぜ、人を雇用するかっていうところがポイントなんじゃないかなと。雇用する必要があるのか、雇用する必要がないのか。別に雇用する必要がなければ雇用しないと思うんですよね。
海外の会社、日本の会社、自分の会社、いろいろやっていて思うのは、学校が究極の場所だということです。だってみんなお金を払って集まってるわけですよね。何か求めてるから来てるわけであって。会社の理想形というのは本当は、従業員が会社にお金を払ってくれて参加するかたちだと思うんですよ。究極ですよ。究極。だって、部活はみんなお金払って参加してますよね。部費を払って。
だから、面白いものがあれば、やってみたいなと思うことがあれば、人は集まってくる。雇用もなにも別にそんなに難しく考えなくても、人が一緒に働きたいと言ってくる。だから、会社が人を集めるとか呼び寄せる以上に、会社がすごい面白い事業をやっていたり、面白い人たちが集まっていたり、世の中を変えてるようなサービスを作っていたりすると、喜んで、お金を払ってくれて、参加する人がいてもおかしくないと。
それが、僕が考える理想の会社なんですよね。もちろんそうはならないんですけども。でも、理想がそれであるならば、自分が考える雇用というのは、お金を払ってもらえるから働いてくれているんじゃなくて、「ここで働きたいから働く」という形。「お金をもらわなくても働きたい」なと思うような事業を一緒に作ることができたら最高だなと思って、これまで7年間やってきてます。
それが究極の仲間だと思うし、経営者としてそれが理想の事業だったり、会社だったり、組織だったりするし。それを追い求め続けたいなと。それは、新入社員を雇うときも、中途の人を雇うときも、そういう気持ちで採用しています。そういういい関係が、自分の理想としてる雇用とか採用だと思っています。
小林 採用と言えば千葉さん! 千葉さんはどうですか。
千葉 僕はずっとコロプラで採用、中途も新卒も両方やり続けてきて、本当に新卒だけでもう1000人とかお会いしてる気がするんです。僕の考えは丹下さんと一緒です。僕は家族として迎え入れるつもりで、採用をして迎え入れています。
しかもコロプラは、終身雇用したいなと本気で思ってる会社で、新卒が40歳、50歳、60歳になったときのモデル年俸というのも実際イメージしながら作ってるんです。
だから一度入った会社で、昔ながらの昭和企業のように一生働いてほしい。ずっとコロプラにいてほしいっていうのが、想いとしては強くあります。ただ、イマドキではないのですが、お互い気が合う限り、本当にずっと、一つの会社、一つの仲間としてやってほしいなと。そしてそこに家族が生まれ、社員同士も結婚して結婚式で感動する。そして子どもが生まれる。
小林 仲さんはいかがでしょうか?
仲 私は、仕事が面白いから働くべきだと思うんですよね。朝、ベッドからわざわざ起きて、会社に行って、「さあ、今日もやるぞ」となるのは、仕事が面白いからなんですよ。
雇う側である私の最大の責任というのは、メンバーに対して、その一人一人が「今日も仕事が面白い!」と思っていただくことだと思ってます。長くいてくれればいるほど、うれしいんです。「面白い!」と思わなくなった瞬間にその人がいなくなる可能性があるなと思っているので。
いかに日々、その人が、「今日も仕事面白い!」と思えるかというのを、独自にいろいろ考えてる。それを定量化しているんですけど、いかに「面白い!」と思っていてもらい続けられるかというのを日々考えています。
「日本か海外か、どこで起業するかは関係ない。したいところですればいい」(ビズリーチ 南)
小林 他に質問ある方は?
質問者6 なぜ、日本で起業しようと思ったのでしょうか?
小林 この質問は南さんですね。
南 はい。正直、日本でも海外でも、僕はよかったと思ってます。個人的には。僕は学生時代の3分の2は海外にいたので、日本がアウェイなんですよね。中2から高3までしか日本にいないので、それ以外はカナダとかアメリカの学校に行ってました。
就職するときに僕は起業を一切考えてなかったので、たまたまいろんないきさつがあって、モルガンスタンレーという金融の会社に入った。いろいろな考えのもと、東京に戻ってこようと。日本に戻ってこようというふうになった。
いろいろな仕事をしていく中で、僕の一番大きなターニングポイントは30歳のときだったんですよね。今年40歳なのでちょうど10年前なんですが。30歳のときに、創業メンバーとして楽天イーグルスの経営をお手伝いさせていただいていて。外野のセンターのど真ん中で寝転がりながら30歳を迎えたんですよね。今後どうしようかなと。
一つ思ったのは、好きなときに好きなことをやりたいなと思ったんですよね。好きなときに好きなことをやりたいなと思ったときに、じゃあこの30代という10年間は何すればいいのかなと思ったら、やっぱり自由を手に入れたいと。
「自由」には3つあると思っていて。「時間的な自由」と、「健康的な自由」と、そして、「金銭的な自由」だと。この3つの自由を次の10年間で手に入れるためにはどうすればいいのかなって考えた。どこでも力を発揮して、どこの国に行っても何らかのかたちで経済活動ができて、何らかのかたちで結果を残す力を、この10年間で身に着けなきゃいけないなと思ったときに、まず一番最初に捨てたのは、「海外で働くこと」だったんですね。
なぜかというと、僕は日本語も話せますけど、多分日本語より英語のほうがうまいんですよ。皆さん以上に日本人ではないんですよね。しょうがないです、それは。生い立ちがそうだから。だけど、その、ある意味グローバルな力を30代で使っちゃったら、僕はずるいと思ったんです。「ずるい」というのは、要は圧倒的なアドバンテージがあるわけですよね。圧倒的なアドバンテージがあるものを30代で使ったら、基礎的なビジネススキルがまったく身につかないなと思ったんです。
20代ではとにかく何事も一生懸命やろうと、さきほど千葉さんもおっしゃってましたけど僕もそうでした。それが僕の一番の底力だった。
30代は、圧倒的な必殺技抜きで頑張ることで、その上に身に着けるさらなる底力を得られて、結果として40歳のときに、多分自由に好きなことができるようになると、こういうふうに思ったんですね。
ですので、僕個人としては、海外でやりたいんだったら、海外でやればいいし、日本でやりたいんだったら日本でいいし。別に個人的には正直どこでもいいと思ってます。海外でやりたいならやればいいじゃないと。ただ、長い、50年とか60年のキャリアを過ごすのであれば、やっぱり底力だったり、基礎的な力がすごい大事だと思うんですよね。そのベースにあるのが反復的に何事も一生懸命やっていくことだと思っているので。場所はあんまり関係ないんじゃないかなと、個人的には思っております。それよりも大事なことがある。
小林 はい。江藤さんいかがでしょうか? ICCの運営スタッフを代表して質問をお願いします。
質問者7 東京大学の江藤と申します。さきほど雇用の話でもありましたけど、チーム作りはとても大事だなと思っています。起業家の方たちは皆さんグイグイ行かれる人たちだと思うんですけど、そうするとどうしてもついてこれなくなってしまう人たちも出てくると思うんですね。そういう人たちを、みなさんは切り捨てていくのか、それとも、やる気にさせる何かマル秘テクニックみたいのがあるのかというのをお伺いしたいです。
小林 丹下さんいかがでしょうか?
丹下 切り捨てないですよね。でも、1000人もいるといろんな人がいるんですね。例えば、会社を作りたいという人もいるでしょうし。ずっと30年ここで働きたいと言う人もいるでしょうし、夕方6時に帰りたい人もいるんですね。ベンチャー企業でもね。
僕は会社はガバメントだと思っていて、会社経営は「町」の経営なんですよね。どういう働きやすい環境を提供するかとか、そこに面白味があるかということを設計することが会社経営なんです。良いか悪いかわからないですけど、全員が満遍なく幸せになってもらう。ただ、(「パレートの法則」の)「2:8の法則」というのがあるじゃないですか。社内でもよく言ってるんですけど、「2:8」の2割の人たちにとって自由で責任のある会社にしたい。うちは新卒でも子会社の社長とかいるんですけど。とにかくチャンスがあると。そして給料もガッと上がる。
ただ、そうじゃない、「うわ、あの人たちキラキラしてるね」と思っている8割の人がいるんですよね。この人たちには、とにかく気持ちのいいカフェで働けるとか、とにかく気持ちいいコミュニティーがあるとか、サッカー部があるとかというのを敢えて作ってますね。
小林 南さんいかがでしょうか?
南 切り捨てるということは、滅多にないですね。本人がやる気があって頑張りたいと思っている限り、必ずチャンスはあると思ってる。人の成長ってどこで火が付くかわからないので。短期的に1年、2年のサイクルでどうとか。特に新卒とか20代の子に関してはまったく当てはまらないので。遅咲きの子もいっぱいいるんですね。30歳になってから急に伸びたりする子とかいるので。全然そこは気長にやる気があるかをみています。ただ、不貞腐れて、会社にも来ませんみたいな状態になったら、厳しい判断をせざるを得ないときもあると思いますけど。
一つ工夫としては、皆さんが大学に入るときの受験の塾のクラス別けみたいなイメージもあるかもしれないです。やっぱり同じレベルのチームというのは意外と機能するかなと思っています。つまり、塾でもありますよね。東大特進クラスとか、早稲田クラスとか。ある程度の同じレベル感の人たちでチームがまとまっていると、その中で切磋琢磨して8:2の法則で、ピカピカで頑張る子が出てきて、8がちょっと様子を見ているチームがあって。必ずその母集団が一緒だと、そういうふうに分かれてくるんですね。
一番よくないのが、あまりにもキラキラしてる人たちと、ちょっと普通の人たちがまざってる状態。絶対追いつけないなと思ってしまう。そこでやる気がなくなったりしてしまうんですが。うまくそこをバランスを取ってあげることによって、もしかしたら、とあるチームでは目立たない人が、そのチームを揃えてあげることで急にピカピカに活躍したりすることがよくあります。なので、そこに気を使ってる感じですね。1000人ぐらいだとそういうことができるようになったりもするんですよ。
質問者7 ありがとうございます。
小林 他に質問あるか方は?
「情熱があって、ビジョンがあるところに、人は集まる。自らそういう場を作るべき」(ビズリーチ 南)
質問者7 さきほど仲間をあつめるときに仲良しがいいのか、プロフェッショナルを集めるのがいいかという話しがありましたが、自分が起業に際してアプローチできるのは、知り合いしかいないんです。皆さんは創業期にどのようにに仲間を集めたのか、何か工夫されたことをぜひ伺いたいです。
小林 仲間集めをどうしたか。丹下さんお願いします。
丹下 まず僕は5年間サラリーマンをやっていたんですけど、そのサラリーマンをやってる会社がベンチャー企業だったんですね。僕はずっと社長になりたかったんで、ずっと(インクスの)社長に聞いてたんですよ。どうやって会社を創業したんですかとか、どうやってチームを作ったんですかとか。
聞いてると一つの法則性があって、それを真似したんです。何かと言うと、まず僕は一人で会社を作ったんですね。それは、一人でご飯が食べれないと他の人を養えないじゃないですか。それ、重要ですと言われて。
あと、2番目の社員に「イエスマン」を雇ったんですよ。それ、すごい大切で。今、うちの会社で社員番号2番の子は役員でもないんですよ。平社員なんですよ。どんどん他から入って来て抜かされる。
会社というのはピボット(方向転換)するじゃないですか。どんどんピボットするので、イエスマンがほしかったんですよ。3番目もイエスマン。で、僕がとにかく金を稼ぐ。4番目から初めて実力のある人というのが、僕が本当に仲間集めしたやり方なんです。
小林 なぜイエスマンがいいんですか?
丹下 会社を作りたての頃だから喧嘩をしますよね。「お前とは音楽性が違うよ」みたいな。その音楽性の違いが出ちゃうとバンドとして成立しないじゃないですか。なのでもうとにかくイエスマンをとった。
小林 南さん いかがでしょうか?
南 このテーマは質問をよく受けるので、「共に戦える仲間の作り方」というまさに仲間つくりの本を、3年ぐらい前に出したんです。
本当にみんなピンキリだと思うんですよね。ただ、僕自身、結構業界を変えてます。前職の知り合いが、同僚が、もしくは業界の方々がまったく関係のない業界に行ってるので、通用しないケースが多いんですよね。金融からプロ野球、プロ野球からインターネットなんて。
僕が起業したときに、楽天の三木谷さんと話したんですよね。前職の上司が三木谷さんだったんで。三木谷さんに言われたことがすごい僕の中では、組織作りの中で大切にしています。
彼に言われたんですよね「どんな会社作りたいんだ」と。そこで僕は「楽天みたいな会社作りたいです」と言ったんですけども。そしたら「5000人の会社作りたいのか」と。当時、楽天は5000人ぐらいだったので。僕も「はい。5000人の会社が作りたいです」と。そうしたら、すごい僕が尊敬してる先輩である三木谷さんが、「南、でも5000人の会社作りたいんだったら、必ず組織はこういう三角形になる」と。「お前が最初にやらないといけないことは、この5000人の会社のこの一番てっぺんにいる、この数十人なのか、数百人を一番最初に雇いなさい」と。
「もし本当にお前がね、会社をやって、それが別に一人の会社だろうが、50人の会社だろうが、5000人の会社だろうが、それは創業者だったり経営者の自由だけども、本当に大きい会社、5000人の会社を作りたいんだったら、とにかくこの上の人を一番最初に雇いなさい」と。
なぜかと言うと。彼はよく、失敗パターンというのを話してくれるんです。ほとんどの失敗パターンというのは、社長と、せいぜいナンバー2がいて、あとがお子ちゃまたちみたいな組織になりがちだと。それが大きくなっていくと、それをマネジメントする人がなかなかいないために、外から採用してくる。外から採用してくるとここまで頑張ってきたお子ちゃまたちが「何で、何でだ?」とか言って騒ぐ。
かといって、そういう人たちを、マネジメントしたことがないひとたちを下からマネジメント層に上げていくと、やったことがないからなかなかマネジメントできないっていう。これはあくまで大きい会社の作り方だけれども、一番最初にとにかく優秀な人たちを集めるだけ集めるのが大事だと。
どうやって探すかと言ったら、どういう人が必要かと考えて、そういう人がいるところに行く。僕は大学生だからといって気にすることない、30歳前後の人たちをバンバン、10人、20人雇えばいいじゃない。仲間に引き込めばいいじゃない。別に年齢関係ないし。
自分自身が本当に強い組織を作りたいんであれば、強い人を探すべきだし、大学生だからといって、大学生のチームを作る必要は、僕はまったくないと思ってる。パッション(情熱)があって、ビジョンがあって、「こういうことがやりたい!」というものに、人はさきほども話したように惹きつけられて集まってくるのだから、そういう人たちが集まる誕生会に行ってもいいし、別にこういうカンファレンスでナンパしてもいいし。千葉さんにお金出してくださいって言ってもいいわけだし。
年齢とか、大学生であるという身分は、起業の世界ではまったく関係がない。マイナスでもなければ、プラスでもない。ある意味、僕たちと勝負するわけですよ。ですので、仲間探しも、僕たちと勝負するつもりで探しに行かない限り、強いチームは作れないと僕は思っています。とにかくいろんなところに顔を出して、声をかけたらどうかなと思います。
小林 仲さんはどうですか?
仲 ウェブサービスの場合は絶対エンジニアが必要になるんですよね。うちも、今でもコアメンバーになってる初期の開発メンバーは、(自社サービスである)Wantedlyで採用しました。
スタートアップはお金で人を買えるものでもないじゃないですか。だからパッション(情熱)でしか人を集めることができないんですよね。「こんな熱いこと考えてる」という想いや情熱に惹かれて素晴らしいメンバーたちが、初期に入社してくれたというのがうちのパターンです。
千葉 仲さんも話していましたが、エンジニアと、あとデザイナーは死ぬ気で探したほうがいいと思います。それ以外の方が多いと思うので。もし起業するんだったら、エンジニアとデザイナーいないとやっぱり始まらないので。
さっきの南さんの話だけど、いるところにツイッターでナンパするもよし、何でもいいからとにかく行く。得意、不得意関係なく潜り込む。勉強会もやってるし、ハッカソンもあちこちやってるし、デザイン系のUX、UIの、いろんなイベントをやってたりするのに、とにかく行って。大学に行ってもいいじゃないですか。多摩美術大学に行って、それらしいサークルに入るみたいなのでもいいですし。とにかくやっぱりエンジニアとデザイナーがいないことにはスタートアップは始まらないと僕は思ってるので、貪欲に探してください。
南 うちの会社でどうやって仲間を集めたかというお話します。お友達で、nanapiというサービスをやってる古川さん(通称 「けんすう」)という起業家がいて。「けんすう」さんに「エンジニアを紹介して」と言ったら、「エンジニアの友達いません」と言われたんです。でも「南さん、こういうサービスは面白いですよ」というのをいくつか教えてくれて、それを見て僕はウェブマスター全員にメール書いたんです。そこで何人かお会いして、会ったうちの一人がうちの最初のエンジニアです。コンタクトして嫌だと思った人は返信してこないので。どういうメールを出せばいいかというの、いろいろ自分で考えればいいと思いますけど。意外にみんな声をかけてないだけなんですよ。
本当にエンジニアとデザイナーが大事であるならば、東京大学の工学部だとか、ほかの大学の工学部とかに行って、「エンジニアいませんか」と全部に回っていくとか。誰かに会ってそこから芋づる式にどんどん会っていくっていうのを、やっていくしかないかな。それが多分、スタートアップのひょっとしたら創業者の一番大事な仕事かもしれないと、個人的には思います。
小林 はい。そろそろ時間なんですけど。じゃあ、3本目。あ、女の子どうですか。どうぞ、どうぞ。隣に座ってるので。どうぞ、所属と名前を。
質問者8 東京大学の修士1年の◯◯と申します。今、就職活動してるのですが、ファーストキャリアの選択の仕方についてお聞きしたいです。ファーストキャリアとして、大企業、ベンチャーあるいは、起業するのかというのを選選択肢があります。私は女性なので将来を考えても、20代のうちは、速いスピードで、一番成長できる環境にいたいんです。そう考えたときに、教育制度とか研修制度の整った大企業を選択するのか、あるいは自分の力でやりたいことを自分で考えて実行できるベンチャーに行くのがいいのか。どちらがいいのかという、ファーストキャリアの選択の仕方についてお聞きしたいです。
小林 南さんいかがでしょうか?
南 真面目に答えようとすると、例えば、大きい会社とか、ベンチャー企業という言葉をおっしゃってましたけれど、定義が割と難しいですよね。
僕からすると、コロプラは時価総額数千億円の日本を代表するようなゲーム会社だけども、多分、千葉さんはベンチャー企業だと思ってるんだと思うんですよ。ですので、皆さんの認識と会社の実態が乖離してるというところは、就職活動の現場を見ると感じる部分があります。
もっと言うと、今、大きい会社と、10年後に大きい会社は全然違うと思うんですね。コロプラは10年前には存在しなかった。逆に、10年前には素晴らしいという会社が今、大きくリストラしていたり、ガタガタしている。会社に期待している、会社がガタがきたときに本当に路頭に迷うというのが、多分これから当り前のように起こる。もっと言うと、皆さんが年を取っていくと、100歳とか120歳まで生きるんですよね。そうすると80歳とか90歳まで働かなきゃいけないわけですよ。
ということは、20代というのは、さっきからずっと言っているように、何か一生懸命打ち込むことだと思います。基礎練習する期間だと思ってます。20代で得られる専門性はなかなか少ないと思うんですよね。僕はずっと小学校から大学まで、体育会、サッカー部ですけどもサッカーを小学校1年生のときにもし始めた場合、何をするのかって考えたらやっぱり基礎練習だと思うんですね。音楽もアートもスポーツも多分一緒だと思っていて。
今日集まってる皆さんは比較的、素晴らしい大学を出ていらっしゃると思います。じゃあ、勉強し始めた頃ってなにをやってたかというと一生懸命「ひらがな」を練習していたたと思うんですよね。ですので、僕は20代は、自分自身が基礎能力をちゃんと付けられる場所。もっと言うと、皆さんにちゃんとお金を投資して教育してくれるような場所を選ぶべきかなと。
そのスタンスがある会社というのはどういう会社なのかっていうのを、経営者を通じて見るとか。そこで働いている人を見るとか。もっと言うとそこで3年間、5年間働いた人たちがその後どうなってたというのを徹底的に調べてみる。その3年後とか5年後のほうが大事なわけですよ。今の入り口よりも。その3年後とか5年後に、自分自身がどうなってるのかっていうのを、その先輩たち、新卒で入った先輩たちがどうなってるのかっていうのを、よくよく調べてみる。
それが自分自身のライフスタイルだったり、描いてるその未来に近づいてるのかというのを、確認するのが一番いいんじゃないのかなと個人的には思います。ちなみにビズリーチでも新卒採用やってますので。ぜひ受けに来てください。
「20代なら1番は起業、2番はベンチャー、3番は大企業」(コロプラ 千葉)
小林 はい。ということでお時間になりましたので。最後に一言ずつ。締めということでね。熱いメッセージを皆さんに送っていただければ。仲さんから一言。最後に南さんで締めるという流れでいきましょう。
仲 皆さんは学生なので、起業を含めてキャリアをどうしていこうかって悩んでる方が多いと思うんです。でも、あれこれ考えるよりは、実際に環境に身を投じてみるとそこからの思考が発展することがあると思います。Wantedlyを使うと、いろんな会社に遊びに行けるので、皆さんは使ってるとは思うんですけど、ぜひ遊びに行ってください。あと、うちの会社もオープンなので、ぜひ遊びに来てください。はい、以上です。
千葉 今日はありがとうございました。もう、ICCに参加してるということは、皆さんなんだかんだベンチャーに興味があると思うので、ぜひベンチャーに入ってください。あるいは起業してください。悩まずに。
さきほど言った通り、20代のうちにどれだけ濃密に経験が積めるかというのが、大切だと思っています。一番しんどいのは起業することですよ。どう考えてもしんどいです。2番目が、ベンチャー。でも、やっぱりしんどい経験ができます。大企業は大企業でいいところがあるわけですけど、僕はベンチャーをおすすめします。今日はありがとうございました。
小林 ありがとうございました。
丹下 僕は、自分を遅咲きだと思ってます。皆さん、登壇者の人たちは20代ですごく有名になった方々で、キラキラしてるんですよね。ここに来ている皆さんもすごいなと思っています。
僕からのメッセージとしては、「人生最後に勝てばいい」ですよ。だから、焦らないこと。20代であいつはすごい成功してるのに、俺は何もしてないな言わずに、30代でも40代でも、多分やる気を出せばいくらでも勝てるし。僕は新卒のときに(大手経営コンサルティング会社の)マッキンゼーに入りたかったんですけど、入れなかったんですよ。
だけど今の僕だったら入れる自信があるんです。今では自分が培った経営のノウハウもあるし、いろいろできる。そういう意味では、「人生最後に勝てばいい」のかなと思っています。自分のペースがあるじゃないですか。もう、学校みたいに、中学、高校、大学みたいに、2年、3年、4年とかで決まる世界ではないです。自分の人生を、自分の時間の中で、でも焦りながらやっていけばいいのかなと思います。地に足ついたように頑張っていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。
「とことんやれ!とことん楽しめ!いい仲間作れ!」(ビズリーチ 南)
南 はい、皆さん今日はありがとうございました。20代、どういうふうに過ごせばいいのか話そうと思います。22歳の人、24歳の人、いろいろいるかもしれませんけど。社会人の最初の5年間。5年間ってどういうものなのか。
とことんやれ! とことん楽しめ! いい仲間作れ!」 ビズリーチ 南 壮一郎 氏
ぜひ動画でご覧ください。
「とことんやれ! とことん楽しめ! いい仲間を作れ!」 ビズリーチ 南 壮一郎 from Industry Co-Creation on Vimeo.
皆さんが社会人になったら50年ぐらい働くんですよ。もっと働くかもしれない。もし50年働くということが仮説としておくと、最初の5年というのはたったの10%なんですよね。皆さんは働いたことがないから、不安になったり、どうすればいいのか、どんなことがあるのかっていうのを迷うのかもしれませんけど、学生時代はこれまでだってやってきたわけですよ。
小学校に入学してから、6+3+3+4だとしたら、大学4年生の場合は16年やってるわけですよね。学生時代というのは社会人になるための時間なんですよ。社会人になるために充分皆さんトレーニングしてきているわけですよ。16年間。
学校に行くうちの10%って1.6年ですよね。皆さんの社会人の最初の5年って、小学校入ってから1.6年。つまり、1年生と2年生の1学年の間のこの1.6年分ぐらいなんです。
3年生とか4年生になってね。むしろ自分の小学校1年生のとき、どんなアドバイスするのか考えてみてください。何てアドバイスします?「楽しくやれよ」と。「一生懸命やれよ」と。「学校で先生の言うこと聞け、親の言うこと聞けよ」と。「いい仲間作れ、いい友達作れ」と。「好きなことやれ、一生懸命」
多分、そう言うと思うんですよね。それが多分、僕の皆さんへのメッセージです。20代のみんなへの。「とことんやれ」「とことん楽しめ」「いい仲間作れ」
仕事というのは、それの一つの延長線上にあるものであって、一生懸命やる中の一つの環境です。人生というのはすごい楽しいものなので、ぜひ20代。これから、もっともっと楽しんで、もっともっと世の中を面白くしてってもらいたいなと思います。ありがとうございました。
小林 最後に素晴らしいまとめ、ありがとうございます。これにて終了にしたいと思います。どうもありがとうございました。
(終)
編集チーム:小林 雅/小林 泰/根岸 教子/藤田 功博
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