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7. 創業360年・菊正宗酒造に学ぶ、“変化を前提にした”会社経営とは?

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『最近「面白い」と思っていることを雑談!』8回シリーズ(その7)は、兵庫は東灘、創業360年を誇る酒造メーカー「菊正宗酒造」の経営論に迫ります。万治2年(1659年)から令和まで、菊正宗は時代の変化にどうのように対応してきたのでしょうか? ぜひご覧ください!

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2018 プレミアム・スポンサーのLexus International Co.様にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2018年9月4〜6日開催
ICCサミット KYOTO 2018
Session 11A
Fireside Chat シリーズ
最近「面白い」と思っていることを雑談!
Supported by Lexus International Co.

(スピーカー)

尾原 和啓

千葉 功太郎
投資家 / Drone Fund General Partner

丸 幸弘
株式会社リバネス
代表取締役 グループCEO

村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表

吉藤 健太朗
株式会社オリィ研究所
代表取締役CEO

(モデレーター)

西脇 資哲
日本マイクロソフト株式会社
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト

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最初の記事
1.「ワンちゃんの感情が分かるIoT」「無殺菌牛乳」動物の“気持ち”にアプローチするビジネス最前線

1つ前の記事
6. リバネス丸さん、ICCサミット会場の中心で「100年企業」を叫ぶ

本編

西脇 千葉さん、先ほどのエアモビリティについてもっと語っていただいていいですか。

最近、飛行機で空を飛んでばかりいらっしゃるとのことですが、そのお話をぜひ。

千葉 先月1ヵ月間、ハワイにこもって1人合宿して、ずっと飛行機を運転し続けていました。

投資家 / Drone Fund General Partner 千葉 功太郎さん

35年モノの中古のセスナ機を買って、毎日朝から学校に行って、鬼教官に怒られながらパイロットになる訓練をしていました。

僕はもともと宇宙に行きたいと考えていて、そのための訓練もしているんですけど、飛行機を操縦していると重力から解放されるんですよね。

操縦していると全く上下感覚がなくなって、水平が全く分からなくなる。

尾原 基準点がないからね。

千葉 そうなんです。Gと遠心力のおかげなんだけど、データでしか自分の水平が表せられない世界です。

もともと僕は歩いていても自分が上から見えているんですけど(編集注:詳細は本セッションのPart6をご覧ください)、重力からも解放されると、今日も体が地面にくっついていて「何か不便な感じだな」と思いながら、何でみんなこんな不便な生き方をしてるんだろうなと思うわけです。

だから、オリィさんの言っている話もなんだか最近、結構腑に落ちるようになってきています。

昔はこの人何か変な人だなと思っていたんだけど(笑)。

人間の身体拡張ってやっぱりすごいなと思っていて、たぶん脳はどこまでも進化すると思うんですよ。

村上 生存戦略として適用できるようにできているんだよね。

千葉 適用できる。たぶん火星に行く時も、放射線の問題も大丈夫な気がするんだよね。

 それはバイオテクノロジーの力で。

千葉 何だっけ、何とかムシ?

 クマムシ。ゲノム編集すればいけそうだね(※)。

▶編集注:クマムシは0.05〜2ミリほどの生物。乾燥・高温・高圧・放射線等への高い耐性で知られる。一方のゲノム編集とは、近年開発された、生物のゲノムを構成するDNAの塩基配列を任意に編集する遺伝子工学技術。東京大学の國枝武和准教授らによる研究(Hashimoto T et al:Nat Commun, 7:12808, 2016)によると、クマムシのゲノムにはストレス耐性に関わる遺伝子がショウジョウバエや線虫より多く存在するほか、クマムシはX線照射からDNAを保護するユニークなタンパク質を保有していることが発見された。それらの発見を元にヒトに対してゲノム編集を適用することで、過酷な環境に適応可能な人体を創れるのではという発想。ヒトの遺伝子を編集することには倫理的な議論がある。

創業360年「菊正宗酒造」に学ぶ会社経営とは

写真左から、尾原さん、千葉さん

千葉 だからもう最近は本当にアメリカ的なゼロイチ的な、それこそ尾原さん的な発想ではなくて、全部取り込めばいいんじゃないかなと。

 その通り、ほら、来ました。

千葉 あとね、100年企業の話をすると、僕は前職のコロプラで、最先端ゲーム会社と地方の老舗企業を連携する「コロカ」という取り組みを行いました。

老舗企業は100年以上続く企業に限定して、200社の連携をやったの。

▶編集注:コロカとは、携帯電話向け位置情報ゲーム「コロニーな生活」内におけるアイテム。提携する老舗の土産店などでの商品購入により入手することができる実物のカードであり、カードに記載されたシリアルNoを入力することでゲーム内でアイテムを購入することができる。このように、インターネットを通じてリアル店舗などでの購買に影響を及ぼすような活動やビジネス形態は「O2O/OtoO(online to ofline」と呼ばれる。

尾原 やってたね、懐かしいね。

千葉 それと、皆さんご存知の菊正宗という酒造会社がありますよね。

菊正宗酒造は東灘にあるんですけど、創業360年ぐらいの企業です。

 すごい!

▶参照:32年ぶりの社長交代は菊正宗酒造に何をもたらすのか? 嘉納治郎右衞門(じろえもん)新社長が語る、新しいキクマサのあり方(SAKETIMES)

千葉 現在の社長が第十二代目なのですが「何で360年も続くんですか?」と聞いたら、もう見ている視点が違うんですよね。

まず、時代ごとに覇者が変わると。リーダーが変わったり、国が変わったり、いろいろな変化があるけれど、変わることを前提にして会社経営を設計しているのだそうです。

たまたま今の日本は総理大臣だったりするけど、以前は天皇陛下であったり、それこそ徳川だったりするわけです。

飢饉もあったし、いろいろな災難もあるけれど、要は根底から何もかも変わることを前提に会社経営を設計していると。

「何があっても、会社という組織が残るようにしている」ということを教わりました。

村上 それは、具体的にはどういうことを設計されているのですか?

千葉 例えば「拡大しない」ということですね。

村上 あ〜なるほどね。

吉藤 そういうのが、創業者の言葉みたいな形で残っているんですか?

一代目がこういう風にしなさい、と言ったようなことを社訓にして引き継いでいるとか。

千葉 たぶん、一子相伝だと思います。血族で繋がれてきているのも重要だと思っています。

西脇 それに対して「獺祭」を作っている旭酒造さんは創業60年ぐらいですよね。

千葉 そう考えると、50年企業がむしろスタートアップに見えますよね。

一同 確かに。

 だからスタートアップっぽく見えるんだな。

▶参照:跡を継ぎたいと思ったのは「獺祭のうまさ」に気づいたから(Forbes JAPAN)

千葉 何百年企業の人たちというのは、ビューが違うんですよね。社会が根底から変わることを前提として考えている、というのが我々にない感覚です。

次のプラットフォームは何だ、Facebookの次は何だ、なんて考えるのは薄っぺらいなと思ってしまいます。

 小さいなと。

千葉 小さい。比較してしまうと、我々が交わしている議論自体が小さいわけです。

でも、エアモビリティはありだと思っています。要は今まで人間が何百年と地を這って重力にくっついたところから、空に行くわけですから。

僕も宇宙に行くわけですよ、たぶん。

なので、もっと人間の幅というか、活動の幅を広げるべきじゃないかなと思います。

吉藤 先ほどの話に戻すと、エアモビリティを100年企業にするには何が必要なんでしょうね。

千葉・丸 ……いい質問!

尾原 いい問いだね~。ちょっと今、石川善樹みたいだった。

村上 今日一番でいいこと言ったよ、オリィさん。

そもそも、ボーイングやエアバスなどの航空機メーカーはどのくらい続いているの?

100年以上続いているでしょ?

吉藤 調べてみましょう。

西脇 普通に見てるじゃん!

写真左から、村上さん、吉藤(オリィ)さん

村上 しかも音声入力だった(笑)。オリィさん、やっぱり新人類だよ。

吉藤 うるさすぎてだめでした(笑)。

▶編集注:オリィさん(吉藤さん)は、正面を向きながら手元でスマホが見える改造メガネを装着しています。詳しくは本セッションのPart5を参照。なお、ボーイング社は1934年、エアバス社は1970年の創業でした。

千葉 どうすればいいんだろうね。やっぱり、日常になることだと思うんですよね。

だからわざわざ、(肩にかけているロボットを指して) こういう感じ?

こいつ何もしてくれないのに、さっきから肩からずれて直しているんですけど、こういうのも完全に組み込まれる必要があると。

ICL(眼内コンタクトレンズ)はすごい!

千葉 ところで、ちょっと話を戻すとICL(眼内コンタクトレンズ)はすごいですよね。

僕は5年前にレーシック手術を受けたんですが、その頃は日本でのICL実施件数がまだ数例しかなくて……。

西脇 ICLってそんな新しいんですか?

千葉 そう。滅茶苦茶新しい技術です。

▶編集注:日本においては、ICLは厚生労働省より高度管理医療機器「有水晶体後房レンズ」として2010年に初めて承認されました。

知らない方のために説明すると、レーシックは目の角膜を削る手術です。僕は角膜に厚みがあったので、あともう1回削って再度視力を矯正することができます。

一方のICLは、文字通りコンタクトレンズを眼の中に突っ込む手術なんですよね。

角膜部分を切開して、その中にコンタクトレンズをブニュっと入れます。

西脇 手術したあと、違和感はあるんですか?

吉藤 初めは違和感はありました。あとは、目に治癒的集中をしているから、意識がそっちにとられてその日はすごく変なミスが多くなりました。

千葉 僕自身はレーシックで目がよく見えるようになって、それはそれでよかったんですけど、ICLがすごいと思うのは完全にサイボーグじゃないですか。

吉藤 しかもこのレンズは抜けるんですよ。抜きたければ取り出すことができる。

西脇 え、じゃあ、取り換えられるの?

吉藤 今入っているレンズを外して、また違うレンズを付けられるんです。

尾原 次はディスプレイ付きとかできるんじゃない?

 今度、センサー入れようよ。

村上 今度は、こうダブルクリックするとズームするようになるんでしょ?

吉藤 (笑)

千葉 たぶん違和感があるのって、最初の1日、2日でしょう?

吉藤 そうです。

千葉 だからやっぱり、これからはインプラントが大事なんですよ。日常生活で意識すらしないように、完全に体にくっつけしまうと。

オリィさんのこのメガネも、まだ若干違和感があるじゃない。

吉藤 そう、メガネなんですよ、まだ。

西脇 若干じゃない、かなり違和感あるよね (笑)。

 すごいなぁ、このセッション。何話してもいいんだ。

村上 何でもいいの。だって雑談だもん。

西脇 千葉さん、今後は宇宙にも行くんですよね。宇宙計画はどんな感じなんですか?

(続)

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続きは 8.「AMAZING EXPERIENCE」直感力を高めるために、起業家・経営者は何をすべきか?【終】 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/戸田 秀成/鈴木ファストアーベント 理恵

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