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ICCサミット KYOTO 2018「人生100年時代の幸せな生き方とは?(シーズン2)」の書き起こし記事を全7回でお届けします。人間は誰しも幸せになりたいもの。私たちはつい「◯◯をしたら幸せになれるの?」「◯◯をしたら成功する?」と“答え”を求めがちですが、石川善樹さんはそうした思考パターンの危うさを指摘します。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2018 プラチナ・スポンサーのクライス&カンパニー様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2018年9月4〜6日開催
ICCサミット KYOTO 2018
Session 5A
人生100年時代の幸せな生き方とは?(シーズン2)
Supported by クライス&カンパニー
(スピーカー)
石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO
澤 円
日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員 マイクロソフトテクノロジーセンター センター長
仁禮 彩香
株式会社TimeLeap
代表取締役社長
(モデレーター)
南 章行
株式会社ココナラ
代表取締役社長
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▶『人生100年時代の幸せな生き方とは?(シーズン2)』の配信済み記事一覧
本編
南 章行さん(以下、南) 幸せになりたい皆さん、こんばんは!
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南 章行
株式会社ココナラ
代表取締役社長
1975年生まれ。名古屋市出身。1999年に慶応義塾大学経済学部を卒業後、三井住友銀行に入行。2004年1月に企業買収ファンドのアドバンテッジパートナーズに入社、5件の投資・経営に関わる。休職し、2009年に英国オックスフォード大学MBAを修了。帰国後、ファンドでの業務の傍ら、音楽を使った若者向け社会起業プログラム、NPO法人ブラストビートの設立を主導した他、NPO法人二枚目の名刺の立ち上げにも参加。2011年アドバンテッジパートナーズを退社し、自ら代表として株式会社ウェルセルフ(現株式会社ココナラ)を設立。「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」というビジョンを掲げ、個人の得意を売り買いするスキルのフリーマーケット「ココナラ」を運営している。
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石川 善樹さん(以下、石川) 「チームマネジメント」「SaaS」「SDGs」などのセッションが他会場で行われている中、このセッションに来られるなんて、すごい方達ですよね。
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石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がよりよく生きる(Well-being)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。 専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。近著に「問い続ける力」(ちくま新書)など。
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南 そうですね。ちなみにこのセッションは「シーズン2」となっています。
前回非常に好評で、満足度が全てのセッションの中で2位だったそうで、もう一度やらせて頂くことになりました。
▶参照:【一挙公開】人生100年時代の幸せな生き方とは?(全7回)(ICC FUKUOKA 2018)
今回も幸せについてまったりと語っていこうと思いますが、最初に僕から1つ、質問を投げかけたいと思います。
というのも、僕自身は結構幸せなんですね。
余り辛いこともないし、日々幸せに生きているなと思っています。
そんな、中3と小6の子どもを持つ僕が今思うことは、「いかにして自分の子どもを幸せにできるか」ということです。
幸せにするというとおこがましいですが、「幸せになれる子育てとは何だろう」と思う訳です。
石川 それは悩ましいですね。
南 自分は幸せなのでよいのですが、他者を幸せにするとは何だろうかと。
あるいは幸せになれる体質のようなものがあるとすれば、それは何なのか。
子どもにはできれば幸せになってほしいけれど、親というものは子どもに対して結構な影響力を持ってしまいます。
そういうわけで、「他者、特に子どもが幸せになれる体質をどうやって作ったらよいのか」というところから会話をスタートしてみたいと思います。
石川善樹さんの3歳の息子が感じた“幸せ”とは
澤 円さん (以下、澤) 石川さんはお子さんはいらっしゃるのですか?
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澤 円
日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員 マイクロソフトテクノロジーセンター センター長
立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、マイクロソフト(現日本マイクロソフト)に転職。情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。2006年よりマネジメントに職掌を転換し、ピープルマネジメントを行うようになる。直属の部下のマネジメントだけではなく、多くの社内外の人たちのメンタリングも幅広く手掛けている。数多くのイベントに登壇し、プレゼンテーションに関して毎回高い評価を得ている。2011年7月、マイクロソフトテクノロジーセンター センター長に就任。2015年2月より、サイバークライムセンター日本サテライトの責任者も兼任。2018年6月より、業務執行役員。著書:「外資系エリートのシンプルな伝え方」「マイクロソフト伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術」「あたりまえを疑え。自己実現できる働き方のヒント」。連載:ダイヤモンド・オンライン「グローバル仕事人のコミュ力」/エンジニアtype「澤円が解説!エンジニアキャリアNew Wave」。Twitter:@madoka510
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石川 うちには3歳の息子がいて、将来何になりたいかと聞くとですね…
南 もう聞いているのですか? 早いですね。
石川 そうなんですよ。
今のところ将来なりたいのは、「カエル」。
(登壇者・会場笑)
井上 浄さん(以下、井上) カエル?
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井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO
博士(薬学)、薬剤師。リバネス創業メンバー。博士課程を修了後、北里大学理学部助教および講師、京都大学大学院医学研究科助教を経て、2015年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授に就任(兼務)。2018年より熊本大学薬学部先端薬学教授および慶應義塾大学薬学部客員教授も兼任。研究開発を行いながら、大学・研究機関との共同研究事業の立ち上げや研究所設立の支援等に携わる研究者。株式会社ヒューマノーム研究所代表取締役、経済産業省 研究会委員、NEDO技術委員、株式会社メタジェン技術顧問、株式会社サイディン技術顧問、等を兼務。
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石川 そう、カエルなので、体操教室とかお稽古へ行って「石川◯◯く~ん!」と呼ばれると、「ゲロゲロ~!」って言うんです(笑)。
澤 幸せですよね。
石川 そうなんですよ。だから雨が降ると嬉しくて仕方がなくて。
井上 もう、ほとんどカエルですね。
澤 そのうち虫を食べ出しますね。時間の問題です。
南 ちなみに石川さんは、どうやったら子どもが幸せになれるか考えたことはありますか?
人間は「◯◯をしたら幸せになれる」という話が大好き
石川 先日、「Life is Tech ! 」(※) というIT・プログラミングのイベントで、水野くん(同社代表取締役CEO・水野雄介氏)から、中学生・高校生に向けて話をするように言われたんです。
▶︎参照:Life is Tech ! (ライフイズテック) :中学生・高校生のためのIT・プログラミング教育サービス
刺激のある話を1時間するように言われて、久しぶりにすごく考えました。
その結果、僕が中学生・高校生に言いたいことは「特にない」ということに気が付きました。
なぜなら、彼らのことが分からないからです。
分からないので、逆に「皆さんはどんなお悩みがあるのですか?」と尋ねたら、ちょうど前の方に座っていた中2の男の子が「ハイっ!」と手を挙げました。
その中2の男の子が「今の時代は、いい学校に行っていい会社に入って、一生を終える時代ではないと思います!」と言うのです。
「じゃぁ、今はどういう時代なの?」と聞くと、
「大企業からスタートアップまで、色々と経験するのがいいと思っています」と。
井上 中2で? すごいですね。
石川 そして逆に聞かれたのは「どういう順番で、どういう経験をすればよいですか?」という質問でした。
そう言われて僕は「分かりませんっ。次っ!」と答えました(笑)。
(会場笑)
澤 答えなかったんですか!?
石川 はい、だって分からないじゃないですか!
でも僕は思いました、「彼は正解を求めているのだな」と。
彼はきっと、人生には正解があってそれを辿ればよいと考えているのです。
そのモデルは変わってきているのですが、本質的には人間が一番好きな思考パターンというのは「これをしたら幸せになれる」とか「これをしたら成功する」といったような“因果関係”だと思っています。
そういう因果関係の鎖からどう抜け出すのかというのは、今日の1つのテーマかなと思いました。
「自分にとっての幸せな状態」をどう認知するか?
仁禮 彩香さん(以下、仁禮) 幸せの感じ方というのは、人それぞれ違うものですよね。
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仁禮 彩香
株式会社TimeLeap
代表取締役社長
1997年生まれ/21歳。慶應義塾大学総合政策学部在学。中学2年生の時に株式会社GLOPATHを設立、最高経営責任者に就任。教育関連事業、学生/企業向け研修などを展開。高校1年生の時に自身の母校である湘南インターナショナルスクールを買収し経営を開始。2016年に株式会社Hand-C(現株式会社TimeLeap)を設立し、代表取締役に就任。同年 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビューが選ぶ未来を作るU-40経営者20人に選出。リーダーシップ研修や、こども達の自己認識を促し「自分の人生を切り開く力」を育む小中高生のためのサタデースクールなど、こどもから社会人までの人材育成プログラム開発/運営を行う。現在新しいカタチの学校づくりにむけて準備を進めている。
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そして、他の人から見てどんなに幸せそうな状態でも、自分自身がそれを「幸せ」だと認識しなければ、それは幸せではありません。
普段、私は、小学生から高校生までの子ども達と接しているのですが、彼らが最初に必要としているのは「自己認識」つまり自分を知るということです。
幸せという文脈で言えば、「自分にとっての幸せって、何なのだろうか?」ということを自分の中で理解するという、メタ認知のような側面もあるかもしれません。
澤 認知という観点から、少しお話しをさせてください。
実は、うちには子どもがいません。
妻も私も、子どもを作らないということを条件に結婚しています。
僕は子ども時代が全くハッピーではなくて、楽しかった思い出がほとんどありません。
ある中学校に「卒業講演をしてほしい」と頼まれてスピーチをしたことがありますが、その時は、これまで僕がどんな失敗や挫折をしたかということを散々話しました。
僕の小学生の頃の夢は、リレーの選手でした。
オリンピックとかではなく、学校の運動会のです。
なぜならば、すごく足が遅かったからです。
小学校や中学校の時点で足が遅いとかスポーツができないというのは、男子としてどれだけ致命的か分かりますか?
井上 分かります。
澤 それから、僕は名前が「円(まどか)」といいます。
僕は男子三兄弟の末っ子で、両親がどうしても娘が欲しくて女の子のような名前になりました。
親兄弟に悪気はないのですが「お前は娘のはずだった」と言うんですよ。
子どもの頃って、そういうことが結構堪えるんですよね。
「俺は間違って生まれてきたのか」という風に思ってしまったのです。
今では後姿も女性っぽくなってしまったのですが(笑)。
石川 希望通りにいっているじゃないですか!
(壇上笑)
澤 残るは染色体だけですね(笑)。
それはさておき、先ほどの「認知が大切」というところはまさにそうなのです。
子どもの頃に、「あなたは幸せになる子どもなんだよ」という認知を与えられたとは全く思っていないのです。
もちろん、親兄弟は僕を不幸にしようと思ってやっている訳ではありません。
でもその認知が足りていなかったのと、足が遅いことを自分で勝手に失敗体験だと思ってしまったということで、出来ないことばかりに目がいくようになって、「出来ること」を認識できなくなってしまっている自分に気が付きました。
ようやくここ5年くらいから、妻と一緒に「これ、何だかおかしいよね」ということを言語化していって、最近は2人ですごくハッピーな状態になっています。
幸せをサイエンスすることの幸せ
石川 井上さんは澤さんとは真逆のような気がします。
普段から、極めて楽しそうじゃないですか。
井上 だって、楽しいでしょう。
僕は研究者をしているのですが、とにかく「世界初」を自分で見られるというのが楽しくて仕方がないです。
それを皆さんと一緒にやっていくというのがすごく楽しくて、前回の「シーズン1」の際にもお話したのですが、幸せを数値化できないかなということをすごく考えていたのです。
そして僕の中に出た1つの答えが「差分」でした。
幸せと感じる前と幸せを感じる時、楽しい時とそうではない時の「差分」が、が幸せの正体なのではないかと思って、自分で「差分」を求めながら生活してみたのです。
しかしこれが全然楽しくなかったんですよ(笑)。
(壇上笑)
幸せに再現性が取れなかったんですよね。
それは多分、自分で分かっていたからかなと思います。
今すごく興味があるのは、他人が「幸せ」と思っている五感を全部トレースして、その中に自分が「幸せ」と感じるものがあるのか、それを調べることで「幸せとは何か」が何となく見えてくるのではということです。
前にもお話ししましたが、脳内で(幸福感に関わる神経伝達物質である)ドーパミンが出さえすれば人間は幸せなのか、という話だと思うんですよね。
つまり、こう(指を)パチンと鳴らせば脳内でドーパミンが分泌されるような技術が出来たとして、果たして人間はみんなパチン、パチンとするのだろうかと。
他人の視点や、そうした実験のようなものを、今採れるデータや方法で研究してみたいですね。
石川 我々研究者はそうですよね。
石川善樹さんが友人に指摘された「認識の甘さ」とは
石川 先ほど「認知」というお話がありましたが、僕は普段「自分は認識が甘い」と思っています。
先日も友人にそれを指摘されました。
皆さん、ジャック・マーさんってご存知ですか?
中国には「キャッシュレスで支払いができる」という仕組みがあるそうです。
お金が要らないのです。
▶編集注:石川さんによる“ジャック・マー”ネタは、2018〜2019年のICCサミットにおける「鉄板ネタ」となっています。(参照:ICCサミット KYOTO 2018 第一回プレ・イベントなど)
澤 石川さん、大丈夫ですか?
石川 僕、ビジネス情報が遅いんですよ。
澤 遅すぎでしょう(笑)。
石川 そして「これはいい情報を手に入れた」と思い、歴史学者の友人に話したんです。
「知っているか? 今、中国はキャッシュレスで支払いができるんだ。すごいだろう」と。
すると、その友人に
「お前は認識が甘い」と言われたんです。
日本は、1400年以上前から遣隋使や遣唐使を中国に送り「中国は今お金を使っている」という情報を入手しました。
そして、中国の貨幣をモデルにし、大慌てで「和同開珎」(※) を鋳造・発行しました。
▶編集注:「和同開珎」とは、日本ではじめてに鋳造された通貨のこと。唐(現在の中国)で流通していた「開元通宝」(かいげんつうほう)を元に作られたとされている。
1400年前には「中国はお金を使っているぞー!」という情報を得て貨幣を作り、1400年後の現在「中国はお金を使ってないぞー!」という情報を得てキャッシュレス化を進めようとしている。
過去も現在も「中国をまねしている」という点では一緒なんだと言われました。
このような歴史的背景を知らないなんて、「お前は歴史の認識が甘い」と言われたのです。
僕は確かにそうだなと思いました。
だから違う人から意見を聞くというのは、非常に大事だと思いました。
南 これ、何の話でしたか?(笑)
石川 ジャック・マーがすごいという話ですよ!
南 認知という話題を拾ったのではなかったんですか?
石川 すみません、続きをどうぞ。(笑)
(続)
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編集チーム:小林 雅/三木 茉莉子/尾形 佳靖/戸田 秀成/Froese 祥子
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