ビッグ・ベンチャーの定義はそもそも何か? – INDUSTRY CO-CREATION(ICC)

ビッグ・ベンチャーの定義はそもそも何か?

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「経済を通して社会をよりよくし、最終的には社会に対して何らかの貢献をするというのが起業家の役割だと思っています。我々(クラウドワークス)の場合は、『“働く”を通して人々に笑顔を』というミッションがありますが、そのための営業利益1兆円なので、定量的な指標としては営業利益1兆円、それを通して、『働くを通して人々に笑顔を』というミッションが最終的に成し遂げられたかということだと思います。」

経営者同士が「ビッグ・ベンチャーの作り方」を真剣に議論。「その1」の「ビッグ・ベンチャーの定義はそもそも何か?」を是非ご覧ください。

登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 1A  
「ビッグ・ベンチャーの作り方」
(スピーカー)
井上 高志  株式会社ネクスト 代表取締役社長   
鉢嶺 登   株式会社オプトホールディング 代表取締役社長CEO 
松本 恭攝  ラクスル株式会社 代表取締役  
吉田 浩一郎 株式会社クラウドワークス 代表取締役社長CEO 
(モデレーター)
南 壮一郎  株式会社ビズリーチ 代表取締役社長

南壮一郎 氏(以下、南) 皆さんおはようございます。記念すべき第一回目のICCのセッション1A。ここは(ICCパートナーズの)小林さんがモデレーターをされるべきできではないかなと、パネラー同士で話していました。

まずは自己紹介からお願いしたいと思います。井上さんお願いします。

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南 壮一郎     
株式会社ビズリーチ 代表取締役社長
1999年、米・タフツ大学数量経済学部・国際関係学部の両学部を卒業後、モルガン・スタンレー証券株式会社に入社。東京支店の投資銀行部においてM&Aアドバイザリー業務に従事する。その後、香港・PCCWグループの日本支社の立ち上げに参画し、日本・アジア・米国企業への投資を担当。
2004年、新プロ野球球団設立に興味を持ち、東北楽天ゴールデンイーグルスの創業メンバーとなる。球団では、チーム運営や各事業の立ち上げをサポートした後、GM補佐、ファン・エンターテイメント部長、パ・リーグ共同事業会社設立担当などを歴任し、球団事業においては不可能とされていた初年度からの黒字化成功に貢献。
その後、株式会社ビズリーチを創業し、2009年4月、管理職・グローバル人材に特化した会員制転職サイト「ビズリーチ」を開設。インターネットの力で、日本の採用市場を可視化し、日本の新しい働き方、企業の採用のあり方を提案。
さらに、20代向けレコメンド型転職サイト「キャリアトレック」やシンガポールを拠点とするビズリーチのアジア版「RegionUP(リージョンアップ)」も開設し、創業6年強で従業員数561名(2016年1月)の組織へと成長。
また2010年8月、ビズリーチ社内で、セレクト・アウトレット型ECサイト「LUXA(ルクサ)」を立ち上げ、同年10月に、株式会社ルクサとして分社化。2015年5月、ルクサはKDDI株式会社の連結子会社になる。

井上高志 氏(以下、井上) 井上です。おはようございます。簡単に自己紹介しますと、ホームズという不動産のポータルサイトをやっております。

弊社で目指していることは、「利他主義」と言いまして、世の中の人のためになるような事業をやっていこうということで、個人的には、「世界平和」のビジョンをどうやったら実現できるかということを日々考えながら、財団法人を一つと、社団法人を二つ運営しています。

鉢嶺さんや三木谷さんと新経済連盟の理事もしており、規制改革を進める取り組みをしています。今日はよろしくお願いします。

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井上 高志     
株式会社ネクスト 代表取締役社長  
新卒入社した株式会社リクルートコスモス(現、株式会社コスモスイニシア)勤務時代に「不動産業界の仕組みを変えたい」との強い想いを抱き、1997年独立して株式会社ネクストを設立。インターネットを活用した不動産情報インフラの構築を目指し、不動産・住宅情報サイト『HOME'S(ホームズ)』を立ち上げ、掲載物件数No.1(※)のサイトに育て上げる。2011年からは『HOME'S』のアジア展開にも着手し、タイ、インドネシア、台湾へ出資。2014年には、40ヶ国以上でサービス展開する世界最大級のアグリゲーションサイトの運営会社である、スペインのTrovit Search, S.Lを子会社化。日本のみならず世界で情報インフラの構築を進め、国籍や言語に関わらずスムーズに住み替えができる仕組み創りを目指す。
座右の銘は、ネクストの社是でもある「利他主義」。究極の目標は「世界平和」で、事業活動を通じて、「不安」「不満」「不便」といった社会に存在する「不」の解決を目指す。ネクストの事業の他、個人でもベナン共和国の産業支援プロジェクトを展開し、一般財団法人Next Wisdom Foundation 代表理事、一般社団法人デモクラティアン 代表理事を務める。
※リサーチ・アンド・ディベロプメント調べ(2015.3.16発表)

鉢嶺登 氏(以下、鉢嶺) オプトの鉢嶺と申します。2004年にインターネットの広告代理店として上場を致しました。

その3年後位、まだ売り上げが500億円 満たなかった当時、日本電産の永守さんと食事をする機会がありました。

永守さんから「まさか目標が1,000億円とか言っているんじゃないだろうな?1,000億円を目標にして1,000億円を達成するのと、1兆円を目標にして5,000億円を達成するのはどっちがいいのか?」と聞かれて、「5,000億円です。」と答えると、「そうだろう。小さくまとまってはダメだ。」という風に言われまして、そこからビッグベンチャーを目指すことになりました鉢嶺です。(笑)よろしくお願いします。

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鉢嶺 登        
株式会社オプトホールディング 代表取締役社長CEO 
1967 年6 月生まれ。千葉県出身。91 年 早稲田大学商学部卒。
森ビル(株)にて 3 年間の勤務の後、94 年米国で急成長しているダイレクトマーケティング業を日本で展開するため、オプト設立。99 年に e マーケティングに特化。2004 年に JASDAQ(2389)に株式公開。2005 年には、(株)電通とe マーケティング分野全般における資本・業務提携を結ぶ。また、2010 年には、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)とデータベースマーケティング事業において、資本・業務提携を結ぶ。2013 年10 月、東京証券取引所 第一部へ市場変更。2014 年度の売上高は 669 億円(連結)、ネット広告取扱高は日本一。社員数は約1459 名。「一人一人が社長」という社是のもと、未来を見つめ、自ら考えチャレンジする自立人財の育成に努めてまいりました。
「成長に挑戦する企業と人を応援し、次代を切り拓くイノベーションを生み出し、未来の世界への繁栄エンジンとなる」という当社ミッションの実現に向け、邁進し続けます。

 ありがとうございます。松本さん、願いします。

松本恭攝 氏(以下、松本) 松本です。このパネラー4名の中では唯一未上場で、ビッグベンチャーとはまだまだ程遠いですが、ビッグベンチャーを目指して頑張っています。

ラクスルという会社で、日本の印刷会社をネットワークすることで、空いている時間を有効に使って印刷をして届けるという、印刷のEコマース事業をしています。

印刷だけでなく物流の事業もしているのですが、古い産業にインターネットを持ち込むことで、その産業構造のあり方を変えていきたいと思っています。

将来ビッグベンチャーになった姿を想像して最近話すことは、自分の作ったサービスが、毎日当たり前に使われるキューピーのマヨネーズみたいになれると、ビッグベンチャーになれるんじゃないのかなということです。よろしくお願いします。

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松本 恭攝     
ラクスル株式会社 代表取締役 
1984年生まれ。富山県出身。大学卒業後、外資系コンサルティング会社のA.T.カーニーに入社。クライアント企業のコスト削減プロジェクトに従事する中で、印刷費が最もコスト削減率が高いことに気付き、印刷業界に興味を持つ。6兆円の巨大市場で歪な業界構造があることに注目し、インターネットの力で印刷業界の仕組みを変えるべく2009年9月にラクスル株式会社を設立。

 ありがとうございます。では、吉田さんお願いします。

吉田浩一郎 氏(以下、吉田) おはようございます。クラウドワークスの吉田と申します。2011年にクラウドソーシングを創業しまして、そこから3年後の2014年に上場を果たし、現在は赤字のまま投資を続行しています。

我々は、「働き方革命」を掲げ、20年で営業利益1兆円を目指しています。

やるからには、トヨタもソフトバンクも超えられるようなチャレンジをしていきたいと、IRの中でも一貫して言い続けています。

そのような中でも、上場後にイギリスの長期保有の機関投資家が(弊社の)株式を5パーセント程保有してくださっています。

このように、営業利益1兆円という目標を信じてくださる人が徐々に現れてきて、現在頑張っています。

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吉田 浩一郎  
株式会社クラウドワークス 代表取締役社長CEO 
1974年兵庫県神戸市生まれ。東京学芸大学卒業後、パイオニア、リードエグジビションジャパンなどを経て、ドリコム執行役員として東証マザーズ上場を経験した後に独立。事業を拡大する中で、ITを活用した時間や場所にこだわらない働き方に着目、2011年11月に株式会社クラウドワークスを創業。翌年3月にサービスを開始したクラウドソーシングサービス『クラウドワークス』(http://crowdworks.jp/)は「"働く"を通して人々に笑顔を」をミッションとして事業を展開。2014年12月東証マザーズ上場。2015年11月現在、登録会員は79万人、利用企業は上場企業をはじめとして11万社にのぼる。2015年には、経済産業省 第1回「日本ベンチャー大賞」審査委員会特別賞を受賞、グッドデザイン・未来づくりデザイン賞受賞。著書に『クラウドワーキングで稼ぐ! ―時間と場所にとらわれない新しい働き方(日経新聞出版社)』『クラウドソーシングでビジネスはこう変わる(ダイヤモンド社)』などがある。

 ありがとうございます。私は、株式会社ビズリーチで即戦力人材の転職プラットフォームを運営しています。

企業と求職者の間を可視化して、企業の主体的な採用活動と、個人の主体的なキャリア形成を通じて日本の生産性を上げていこうということを一貫してサービス展開して、ちょうど7年目になります。

では早速ですが、ビッグベンチャーの作り方という大きいなテーマについて、お話を伺ってみたいと思います。

パネラーの方4名を見ると、巨大で歴史が長いベンチャー2社と、新しいイケイケのベンチャー2社とに大きく分かれますね。

それでは、まずは井上さんに質問させていただきたいと思います。

会社を作るうえで、ヒト・モノ・カネが重要ですが、「ヒト」の観点で振り返ってみた時に、ビッグベンチャーになるために注力していてよかったなと思うことは何だったか、是非お聞きしたいと思っています。

先程も、創業当初から大きな事業を目指して、かなり大きなミッションを掲げておられたと仰っていましたよね。

井上 ますは「ヒト」の観点からのご質問ですよね。その前に、ちょっとここで質問してよろしいですか?

 はい。

ビッグベンチャーとは何か?

井上 ビッグベンチャーの定義って何でしょうか?

売り上げ1兆円ということにフォーカスして戦略をお話するケースと、大きな雇用が創出できることで定義する場合と、ソーシャルインパクトの大きさで定義する場合とでは多分議論がずれいてしまうので、一回そこをすり合せませんか?

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 是非。これには多分、吉田さんが適任だと思いますので、最初に吉田さんに、井上さんからの質問をお答えしていただければなと思います。

吉田 基本的にはやはり経済を通して社会をよりよくし、最終的には社会に対して何らかの貢献をするというのが起業家の役割だと思っています。

我々の場合は、「“働く”を通して人々に笑顔を」というミッションがありますが、そのための営業利益1兆円なので、定量的な指標としては営業利益1兆円、それを通して、「働くを通して人々に笑顔を」というミッションが最終的に成し遂げられたかということだと思います。

井上 営業利益1兆円の規模になれば、雇用も社会的なインパクト=影響力も充分あるだろうということでしょうか?

吉田 そうですね。やはり、一つ具体的な目標を持つということは、資本市場においては重要だと思っていて、ベンチャーの時には「俺はソフトバンクを超えるんだ!」という人はたくさんいますが、上場してそういうことを言うと叩かれがちになりますよね。

プロ野球選手になったら日本一を目指すじゃないですか。だから資本市場に入ったら日本一を目指していいじゃないかと思うんです。

井上 ちなみにそれは、売上高ではなくて営業利益なんでしょうか?

吉田 営業利益だと思います。

井上 こだわりはおありですか?

吉田 はい、営業利益だと思っています。やはり売上高というのは、どの業種でも、グロスの計上の仕方がいろいろあるため、統一した見方があまりできないと思うんですよね。

今、一休などのネット計上のビジネスも出てきています。そういった意味でいくと、やはり利益なのかなと。

利益というのが、経済活動を通して、会社という器を通して社会に貢献する時の一つの指標です。だからちゃんと利益を出せているかなということが大切だと思います。

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井上 なるほどね。鉢嶺さんはいかがですか?

鉢嶺 僕も結局一緒で、僕達が次世代の繁栄を作り上げようという、定性的なことがあります。

そして、新しい産業を生み出すのが僕達起業家の役目でもあります。それを定量的に落とし込むと、連結の会計数字目標として、売上高1兆円、経常利益が1,000億円というのがあります。

出資先なども結構あり、そういった弊社のOBや出資先も含めると、全体で時価総額100兆円が目標になっています。

井上 時価総額100兆円、売り上げ1兆円、経常利益1,000億円ですか?

鉢嶺 そうです。時価総額というのは、オプトの単体時価総額ではなくて、オプトが出資・支援して上場した会社のものも含まれます。毎年12月末に計上してホームページにアップしているんですよ。今年ようやく1兆円越えました。

井上 確かネクストも入っていますよね?

鉢嶺 入っています。(笑)ありがとうございます。

井上 そろそろ抜いていただいてもいいですか?(笑)

鉢嶺 ネクストだけで1兆円いきますか?

井上 (1兆円)いってしまいます。…というのは冗談ですが。(笑)

 松本さんも?

松本 そうですね。営業利益1兆円の会社ってどこがあるんだろうな、と今考えていました。

トヨタが多分売上高27兆円で、経常利益は3〜4兆円くらいでしょうか。通信会社系は多分1兆円くらいですよね?

参考資料:トヨタ自動車株式会社 業績ハイライト

吉田 ソフトバンクが、30年で1兆円、KDDIが、33年で営業利益が8,000億円を超えたくらいですかね。

松本 銀行などだとちょっと(1兆円は)いっていない、そんな感じですかね。

国内でいうと、多分10社いかないくらいの、それくらいのレベルを目指すとビッグベンチャーと呼べるのではないかなとすると、結構分かり易いかなと思います。

私には、インフラ化するというのが一つのテーマとしてあります。電車やタクシーやユニクロのように、サービスが人々のインフラとして浸透すると、売り上げも利益も十分な規模になっていくのではないかなと思っています。

そこを実現した会社をビッグベンチャーだと思っていて、それを一代で築けるというのが大きい要素だなと思っています。

その指標として営業利益が1兆円というのは、確かにそうなのかなという気はします。

 なるほど。井上さんはいかがですか?

井上 すごくよく分かります。

僕らも、時期の明言は控えますが、売上高1兆円、営業利益3,000億円の会社にはしていきたいという、ターゲットとしている規模感があります。

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でも弊社の場合、ブータンの国王のようなことを言うんですけれど、世の中の最大幸福を作れるのが、ソーシャルインパクトとして一番大きいなと思っています。

例えば我々のような営利企業の場合であるのならば、売上とか利益とかというのが、とても重要な指標(KPI)としてありますが、それはそれなりの社会的な価値を提供した裏づけとしての、売上とか利益であると思います。

ですから、冒頭で申し上げた「利他主義」というのがKPIで測定した時にどれくらい実現できているのか、結果として売上と利益がどうなっているのかというのは重要視しています。

これって、冒頭でご質問された「ヒト」や「組織」の戦略で言うと、弊社の採用時には、スキルやポテンシャル以上に、我々のビジョンに共感しているかどうかというのが一番重要なチェックポイントになっています。

グローバルで世の中の最大幸福が作れるようなプラットフォーマーになっていこうということに対して、「絶対やりたいです!」と言える人達を採用しています。

(続)

編集チーム:小林 雅/Froese 祥子

続きはこちらをご覧ください:ビッグ・ベンチャーの組織の作り方

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ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンフ ァレンス「Industry Co-Creation(ICC) カンファレンス」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。