ビッグ・ベンチャーの組織の作り方 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

ビッグ・ベンチャーの組織の作り方

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「外部からすぐに取締役として入れてすぐに重職ポストにつけるということはやってないです。これは、僕ら(ネクスト)の企業文化内では、利他主義であることとか、パフォーマンスであるとか、ビジョンや理念への共感を社員全員がじっと見ているので、それが体現できて、人徳が備わっていて、専門性や成果も備わっているとなったときに、満を持して上がるような感じです。西郷隆盛が人を遇する時に、人徳はないけれども仕事の成果が出せる時には、禄で報えと言っているじゃないですか。要は給料を高くしてあげればよいと。ただし、要職、官職に就けるにはやはり徳のある人間じゃなければダメだよねということを言っています。」

経営者同士が「ビッグ・ベンチャーの作り方」を真剣に議論。「その2」の「ビッグ・ベンチャーの組織の作り方」を是非ご覧ください。

登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 1A  
「ビッグ・ベンチャーの作り方」
(スピーカー)
井上 高志  株式会社ネクスト 代表取締役社長   
鉢嶺 登   株式会社オプトホールディング 代表取締役社長CEO 
松本 恭攝  ラクスル株式会社 代表取締役  
吉田 浩一郎 株式会社クラウドワークス 代表取締役社長CEO 
(モデレーター)
南 壮一郎  株式会社ビズリーチ 代表取締役社長

前編はこちらをご覧ください:ビッグ・ベンチャーの定義はそもそも何か?


 今のお話の内容は、創業期から一貫して思われていることなのか、それとも会社が大きくなるにつれて変わっていったものなのか、教えていただけますか?

井上 創業の時に火種としてはあったんですけれど、段々その火種が成長してメラメラと上がってくるみたいなのはありますね。

僕は26歳で手元資金5万円からスタートしているんですが、その頃はたった一人だったので、きっとこんな感じだよねと思いながら理念を作りました。

そして数年後には書き換えているんですよね。経営者としてのマインドセットが揺るがなくなった時に、もう一回作り変えようと思って書き直した経緯があります。

 鉢嶺さんの場合は、ご自身が事業を始められて、会社が大きくなって上場されましたね。

今お話を聞いていると、自社だけではなく、その周辺の事業や会社も取り込んでビッグベンチャーという定義をされていたと思うのですが、その辺り、創業期から考え方が変わってきたということはありますか?

ビッグ・ベンチャーに対する考え方は変わるのか?

鉢嶺 基本理念は5つあるんですが、創業期から一回も変わっていません。

社是が「一人一人が社長」と言って、一人一人が自立することがそれぞれの社員の幸せだという考え方がベースにあり、一社で一万人の巨大会社を作りたいというよりは、100人の会社を100社作って一万人にしたいと思っています。

社員みんながチャレンジして、会社を作って欲しいというようなイメージですね。

 そうした創業期からのお考えを、今後も発展させていかれたいですか?

鉢嶺 そうですね。だから会社はちょうど一年前にホールディング化して、事業創造プラットフォームカンパニーという風に変えてしまいました。

広告代理店オプトは子会社の一社です。今十数社しかないですけれど、これから100社増やして、平均でいくと1兆円いくためには1社100億円ですけれど。1,000億の会社も何社かあり、十数億の会社も何社かあり、合計で1兆円に持っていこうというイメージを持っています。

 組織を作る上で、採用時からそういうメッセージングをして、人材が集まってくるという感じなのですか?

鉢嶺 そうです。研修でも、経営者育成研修みたいなものが、我々の研修プログラムでは最高峰に位置づけられていて、そこを卒業しないとグループ会社の経営陣にはなれないということになっています。

 松本さんは同じ時期に創業されて、先程マヨネーズの話にもありましたけれども、結構最初から、インフラという言葉がキーワードとして出てきていますよね。それは起業の時点で、ビッグベンチャー作りにおけるキーワードだとお考えだったのですか?

松本 ラクスルの場合は、自分達がどうあるかということには一切フォーカスしていなくて、「仕組みを変えれば世界がもっとよくなる」、「世の中の仕組みを変えていこう」ということを考えていました。

古い産業の中にインターネットというツールを持ち込んで、産業のあり方やバリューチェーンを変えて、新しい価値を作っていこう、20世紀型の産業構造を、21世紀型の産業構造に作り変えていこうという、どちらかというとミッションに近いようなことを実現するための組織がラクスルなんだと思っていました。

メンバーにどうなって欲しいということは一切ないんですね。

もしかするとタスクフォースなのかもしれないですけれど、世の中を変えていく、世の中をよりよくしていくために、ラクスルという会社に集って欲しいという思いです。

ですので、創業を決めてDay1からビジョンはあって、ずっとぶれずにやってきていますし、採用の面においても、世の中をどうするかということに対して強い意志を持っているメンバーのみが同じ船に乗って、このミッションに取り組んでいるかたちですね。

 採用時に特に気をつけてられてることはありますか?最初のお二方のお考えは、松本さんのお考えと少し違ったように感じましたので。

松本 私は、過去採用にすごく失敗したこともあります。ちょうど24歳の時に、井上さんのようにワンルームマンションの一室から初めたので、南さんの会社のようにいきなりマネジメント経験のある優秀なメンバーがいたわけではありません。

彼らももちろん優秀でしたが、どちらかというと20代で、学生プラスアルファベンチャーみたいなところからスタートしましたので、「人」の部分に関しては、共有したビジョンをエグゼキュートできる組織なのかどうかという点で、かなり試行錯誤しながらやっていましたね。

吉田 ところで、役員が結構辞められたじゃないですか。そこからどう立ち上げていかれましたか?

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松本 いいご質問ですね。

吉田 僕も、やはり一回目の会社で役員が抜けたからこそ学んだことって結構あるんですよね。

彼とは結構長いんですけれども、やはりそういうところ(浮き沈み)があるじゃないですか。

役員が辞めて、そこからどう立ち上げていったのかについて、最近の話を聞かせていただきたいですね。

松本 あまりいい抜け方ではなかったのですが取締役が抜けて、その後結局、別の取締役や役員が入ってきました。

今までは、どうしてもメンバークラスから会社を作っていこうとしていましたが、これをきっかけに作り方をがらっと変えて、役員から揃えるというやり方にしました。

役員を揃えてメンバーを揃えて、その後にミドルマネジメントを入れるというやり方です。役員の部分に関しては…

吉田 どこから採用したのですか?

井上 何人くらいいつ頃辞めたんですか?

松本 15人いた会社で5人辞めました。

井上 5人辞めた?

松本 5人辞めて、その間に7人入って、人はぎりぎり増えていたんですけれど、

井上 どうして辞めたんですか?

松本 売上高は急成長する中で、多分 私のマネジメントに問題が多々あっただろうなと思っています。

あとは、自分自身にもマネジメント経験がなく、そもそも会社にマネジメントがなかったんですよね。

吉田 基本はA.T.カーニーのコンサル出身なので、詰めキャラなんですよ。(笑)

井上 そこからマネジメントスタイルなどを変えられたのですか?

松本 距離を置いて現場を見なくするというのをやりました。

吉田 一回現場から離れて、自分が一切口を出さないということをされたご経験はありますか?

井上 あります。

吉田 それはいつくらいでしたか?

井上 それはケースバイケースで、委ねてからずっと離れっぱなしではなくて、状況を見ながら現場に入る時と、任せきって何も言わないという時とを、わざわざ振り子のように作っています。

吉田 部門や事業にもよると思うのですが、どれくらいのスパンで委ねられますか?

井上 大体、モードチェンジするのは、オリンピックイヤーな感じですよね。3〜4年に1回くらい大きくモードチェンジしてプンッと振る感じですかね。

 井上さんは、一回人が大量に抜けるとか、あるいは会社が猛烈に傾いたといった、大変なご経験をされたことはありますか?

井上 最初の失敗としては、会社を作って3年位の時に、役員が、社員を引き連れて辞めていったということがありました。いれゆる喧嘩別れですね。

その時に、やはり経営理念や、コミュニケーションレベルでいうと、三階層くらいある中の本当に本音のところで繋がっていないとダメだなっていうのをものすごく強烈に感じた記憶があります。

普段は「俺たち頑張ってるよな」とか「売上 伸びてるぜ」とか「いい人入ったね」とかすごく上っ面な会話をしているんですよ。こんなものだろうと思っていたんですが、違ったなというのが素直に分かりましたね。

吉田 私も、一回目の会社は、国内で収益を出してベトナムに投資するという形で結構お金も儲かっていましたが、事業がたくさんありすぎて、気づくと理念もへったくれもなくなってきていたんですよ。

それで先程仰っていたのと同じことになって、役員が取引先を持っていってしまった時に、やはり理念が一番大切なんだということを改めて痛感しました。

日々の振り返りと、この会社でしかできない夢の設定が一番重要なんだなということで、2回目の起業時に「働くを通して人々に笑顔を」というビジョンを練りに練り、今に至って使っています。

井上 当時は、どのくらいの規模だったのですか?

吉田 私の会社は、日本とベトナムで15人くらいでした。

受託やコンサルで稼ぎながら自社事業をやるというスタイルでした。

逆に、投資を受けずに自己資金と融資だけでやっていたので、そういうスタイルになりますよね。受託の収益を投資するような、ありがちな最初の形です。

井上 本音のところ、その時はどういう風に感じていましたか?

裏切られた引き抜かれたみたいな感じですよね?

吉田 Gメールを管理者アカウントで見たら、半年前くらいから準備されていて、「私にはこのクライアントのこの仕事任せておいて下さい。吉田さんはベトナムの仕事が大変だと思うので、集中して下さい。」という風に私に言っておいて、クライアントには、「吉田さん、どうして来ないんですかね?」と。

ベンチャー企業にありがちなケースですね。

井上 それ、うちのケースとそっくりですね。

吉田 そうですか?(笑)

井上 しかも人数も20人から25人くらいだから、同じような規模の時ですね。

吉田 だから任せ方というのは難しいですよね。任せすぎるとそうなるので。

井上 そこは鉢嶺さんのところはすごく上手にやってきた感じですよね。みんな残っているから。本当のところはどうなんですか?

鉢嶺 そういう、裏切られたというのはあまりないかもしれないですね。

井上 しかも創業以来の役員が結構残っていますよね?

鉢嶺 そうですね。恵まれましたね。

井上 それはどのようにされたからなのですか?

鉢嶺 どうやったという訳でもないですが。

 役員同士はどういう関係性なんですか?

今でもよく飲みに行く関係なのか、それとも仕事は仕事、プライベートはプライベートという感じなのでしょうか?

鉢嶺 どちらかというとそうです。プライベートと仕事は全然別だったかもしれないですね。

だって今日来ている野内とかは、前の森ビル時代から親友だったんですけれど、むしろ会社を起こしてから飲みに行く機会は減ってしまいましたね。

井上 スタートアップの時点では親友だと思いますが、どこで親友から仕事仲間へとモードが変わるのですか?

鉢嶺 やっぱり僕も松本さんと同じようにマンションの一室でスタートして、野内が来てくれるようにずっと口説いていたわけです。

ただ、ようやく来てくれた時に、もう既に10人くらい社員がいたので、「来てもらえるのはすごく有難いし、パートナーだと思っているけど、普通の中途社員と同じ待遇でやるからね」と伝えました。

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吉田 そうなんですね。

鉢嶺 それを了承の上で来てもらっていますので。その後の海老根も、普通の社員と全く待遇が同じで、役職もヒラから始めましたが成績がメキメキ上がっていきました。

大企業を辞めて来ているわけだから、当然腹も据わっていて成果が出るわけです。

それを見た周りの人が、野内さん、海老根さんはやはり役員になるべきですよね、と評価して、どんどん上がっていくわけですから、やり易かったんじゃないかなと思います。

 ネクストもオプトも、途中から大きくなられたわけですけれども、途中で役員クラスやマネジメントクラスの人材を採用する際に、気をつけられたことは何かありますか?

スケールするにはすごく大事なポイントですが、我々3人がまだ通過していない部分だと思うんですよね。

途中で役員クラスや経営クラスの人材を入れていくということは、やはりかなりデリケートな問題を含んでいると思います。何かアドバイスがあればよろしくお願いします。

井上 今は過渡期で、まだそんなアドバイスできるほどではないのですが。

ただ一応気をつけて、外部からすぐに取締役として入れてすぐに重職ポストにつけるということはやってないです。

これは、僕らの企業文化内では、利他主義であることとか、パフォーマンスであるとか、ビジョンや理念への共感を社員全員がじっと見ているので、それが体現できて、人徳が備わっていて、専門性や成果も備わっているとなったときに、満を持して上がるような感じです。

西郷隆盛が人を遇する時に、人徳はないけれども仕事の成果が出せる時には、禄で報えと言っているじゃないですか。要は給料を高くしてあげればよいと。

ただし、要職、官職に就けるにはやはり徳のある人間じゃなければダメだよねということを言っています。

ある程度の期間、2年とか3年の間見て、成果を見て、それで上に上げるという形にはしていますね。

ただ、それだとスピードとか規模の拡大に追いつかないというギャップが出てくることもあるので、その辺は悩みながら内部から育てて引き上げていくというのと、外部から取り入れていくというのをバランスさせないとと思っているところです。

ただ、本業を伸ばすという柱に加え、新規事業のスケールやグローバル展開といった、二本目三本目の矢を次々に作るという作業が急に増えてくると、本当に自分の分身か、僕以上に仕事のできる人を早急に集めなきゃいけないという場面に遭遇しますよね?そんな時はどうされているのですか?

鉢嶺 弊社もまさに井上さんの会社と同じ過渡期にあり、パラシュート人事はしません。

元大企業で役員をやっていたような人を、いきなり要職に就けて失敗している人をたくさん見ており、弊社もやはりそれで上手く稼動した経験がないので、(パラシュート人事は)しないです。

ただ、井上さんが仰ったように、会社を大きくする上では、LIXIL(リクシル)もしたようなことをどこかでしないといけないのかなと思っています。

歴史的にも、そういうことをして成功している国がたくさんあるわけだから、孫さんがニケシュを引っ張ってきたようなことをどこかでしなければいけないんだろうな、というのはやっぱり思いますよね。

 吉田さんは初期のマネジメントチームって、比較的若かったじゃないですか。そこでは何か、意図的にされたことがあるんですか?

吉田 36歳で一回目の会社が失敗した時に、自分はそんなに能力が高くないということを自覚しました。

そして、熱意や変革へ挑戦する意識は誰よりも突出しているけれども、それ以外はほとんどの点でみんなの方が優れているということを強く思ったので、割と株も持ってもらって、きちんと任せています。

当時私が37歳で、CTOが5歳下32歳で、CFOが27歳で、CEOが22歳と5歳刻みでいて、創業時から次の世代の経営陣をどう作るかということをリクルートのようなイメージで考え、自分が死んだ後に成熟していくようなタイムラインの会社にしていきたいなというようなイメージを持っています。

 実際に立ち上がって、組織も非常に大きく成長していく中で、創業期から比較的次の世代のメンバーを経営のコアにという考え方によって、実際にどういう影響が出ていますか?

吉田 すごくいいですよね。

先日、会社をみんなに任せてサンフランシスコに行っていたんですが、その分、役員の当事者意識がぐっと上がりました。

ただ一方で、副社長である成田はまだ27歳で、27歳としては突出した部分と、27歳なりの部分ってあるわけですよね。

この27歳なりの部分というのは、今僕が言ってもダメで、多分彼が自分自身で試行錯誤しながら、ともすると私がとったような間違いも含めていろいろなことを経て、彼が学んで上にいった時というのを待たないといけないんですよね。

そういう意味では、今は任せた上で待つというタイミングだと思っていて、すごく胆力がいる仕事ではあると思っていますが、見守って把握をして任せて待つということを今やっていますね。

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 先程のお話で、松本さんは、一回失敗をされて組織を立て直そうとされた時に、どういうような人を仲間として探しにいかれたんですか?

松本 吉田さんとは違い、私には経験がないので、自分よりも圧倒的に優秀な人だけを採ろうと思いました。

もちろん同じ方向を向いているとう大前提のもとに、自分よりも優秀な人で構成される組織を目指しました。

鉢嶺さんが仰っておられたように、そもそもスタートアップ時には人数があまりいないので、後から入ってくる人が上のポジションに立つということも結構ある会社ですね。

ただし、いきなり役員というのはないです。例えば半年やそれくらいの期間を経て、人望のある人物であることも前提にしつつ、組織図を最初に描いてポジション配置を考え、そういった中でビズリーチを使わせて頂いています。

ラクスルはビズリーチで構成されているような感じですよ。(笑)

 いつもありがとうございます。

松本 そのようにして半年くらいの期間でカルチャーフィットを見て、その期間には他のメンバーからの信頼も考慮しながらポジショニングをしていきます。

ポジション自体は、結局役割でしかなく、やれる人がやることによって、組織がより安定的に高いパフォーマンスを発揮できる状態を作っていくためのものだと思っています。

みんながそれを受け入れる状態を作って、中途の採用もするし、育成もするしという感じですね。

鉢嶺 一つお聞きしていいですか?

松本 もちろん。

鉢嶺 結構優秀な幹部クラスが採れているようなイメージがありますが、ビズリーチを使う時にどこまでをご自身でされるんですか?

検索から面接まで全部ご自分でされるのか、そしてどこまでを人事に任されているのですか?

松本 面接はもちろん全部出ていますけれど、

鉢嶺 抽出のところはご自分でされないんですね?

松本 しないですね。

吉田 面接は全部出られていますか?

松本 採用する人は必ず全員出ます。

吉田 鉢嶺さんは?

鉢嶺 僕は今は任せてしまって出ていないのですが、グループ会社が全部それぞれでやっているので、それではいけないなと思っているところです。

吉田 どれくらいのタイミングでご自身が出られなくなりましたか?

鉢嶺 年々出なくなっていきました。中途採用については、もう結構早い段階で出なくなって、ずっと僕がやっていた新卒も、遂に昨年からノータッチになりました。

吉田 井上さんはどれくらいですか?

井上 だいたい創業経営者って新卒採用が好きなんですよね。中途より新卒が好きなんです。喋っていて楽しいからね。みんなふんふんって話を聞いてくれるからさ。(笑)

 僕は元々楽天イーグルスの立ち上げメンバーとして働いていました。今の会社の創業時に三木谷さんと二人で食事をする機会があり、すごくいいアドバイスを受ましたね。

「君、どれくらいの会社を作りたいんだ?」と言われたんですよね。

「僕は楽天くらいの会社を作りたいです。」とゴマをするわけですけれども、「5,000人くらいの会社か?」と言われました。

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そういう風に言ったつもりはなかったんですけれども、「5,000人くらいの会社です。」と答えたら、「5,000人くらいの会社の作り方を教えてあげる。とにかく5,000人になると、組織が必ずピラミッドになる。君が創業社長としてやらなければならないことは、とにかく5000人のピラミッドの頂上に立って、最初の200人を、一番最初の200人で雇うことだね。」と。

それが大きい会社の作り方であるし、その利点について、失敗例から説明して下さいました。上手くいっていない会社のほとんどが、社長とお子様達のサークルみたいな会社になっているのだと。

会社の規模自体は社長の胆力で30人くらいにはなるけれども、そこから大きくなると階層を入れていかないといけない。その時に社長とお子様達だけしかいないと、外から採ってこなければならない。

そうすると元々いたメンバーと対立したり、もしくは、下から上げていくとやり方が分からないからなかなか組織としてスケールしない。

だからこそ最初の100人とか200人に、何千人の組織になるということを目標としたマネジメントチームを作っておくように言われました。

そこでみんなで汗を流していったら、組織がスケールした時に、すごくいい運営ができるというのは、今から7年前くらいに創業した時にアドバイスを受けたことです。

井上 いいアドバイスですよね。

採用というところでは、僕は新卒の最終面接に関わっていました。今は新卒も中途も採用は全て任せていますけれど、当時、部門ごとの管掌役員に採用を任せられるかどうかのリトマス試験紙として、社長面接で90パーセントの通過率になるかどうかを見ていましたね。

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それ以下であればまだ見る目がないとフィードバックして、そういうことを続けながら最終面接に関わっていると、段々と目線が合ってきましたね。今はもう目線が合っているので任せられるようになりました。

あとは三木谷さんが仰っていたストラクチャーの作り方でいくと、多分、どれが正解というのはないと思うんですよね。

結局、ビジョンや採用は、結構オーソドックスなところからの派生でいくと思っています。例えば鉢嶺さんが仰っていた、100人で子会社100社みたいなお話には僕もすごく考えさせられました。

これはちょっと皆さんに聞いてみたいんですけれど、今日のテーマに「ビッグベンチャーの作り方」ですよね。そこにおいて、人と組織と戦略というのはものすごく重要になるじゃないですか。

そのあたり、どういう巨大なストラクチャーを作ろうとされているのか、お考えを聞いてみたいです。

僕に関して言えば、ソフトバンクの孫さんがやっていおられるような形や、楽天の三木谷さんのよにカリスマ型の天才経営者で、中央集権的にグッと束ねるというような形は、僕のキャラクターでもないなと思っています。

中央集権的にグッと束ねてスピードアップして、豪腕で市場を作っていくというスタイルというよりは、どちらかというと、人に任せて遠心力でやっていくような、バージングループのような遠心力を効かせた連邦国家スタイルみたいなものを志向しているんですよね。

ですので、僕は鉢嶺さんに近いと思うのですが、100人の経営者を作って100社子会社を作って、100カ国に展開していって、それぞれは小規模組織なんだけれども、それぞれが自分達の裁量で活躍しているというようなスタイルがいいですね。

人を育てるという意味においては、経営者を育てるには経営者をやらせるしかないと思っているので、経営を任せて口出ししないという場を作らなければならなくて、そういった中から最終的にグループ全体を経営する人が出てくるだろうと考えています。そのあたり、いかがですか?

松本 私は逆で、ワンプロダクトでまずは国内トップシェア、グローバルトップシェアを作っていこうというスタイルです。事業を増やしていくと、どうしても分散してしまう感じがしてしまいます。

リーダーシップチームは、一定の求心力を持って事業を深掘り、一つの産業を変えられるようなチャレンジをしていきたいと思っているので、数を増やしていくような組織作りはあまり志向していないですね。

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井上 すみません、何だか分かったような分からないような感じで。結局、組織戦略としてはどのような戦略をとるというイメージですか?

先程南さんが仰っていたのは、三木谷さん曰く、最初の200人が超重要だと。そこさえガチっと固めたら、スケールする形ができるぞということですよね。

松本 それです。まずは上を固めていくという。

井上 マヨネーズ哲学ですよね?

松本 そうです。

井上 それぞれに尺度が違うので混乱してますけど。マヨネーズですよね。マヨネーズのようになる時って、何人くらいの従業員がいるイメージで、そこに向けてどのくらいのコアメンバーを最初にガチっと固める感じなんですか?

かつそれは、プロパーでの新卒で育てていくことを考えているのか、外からプロフェッショナルをガンガン入れていくのか、どういう戦略になるのでしょうか?

松本 それについては、お恥ずかしながらあまり考えたことがなかったなと気がついたんですけれど、あまり人数が多くなるイメージはないですね。

オペレーションを直接的には持たず、提供価値をあまり複雑化していきたくないので、グーグルの検索みたいに、一つのものをシンプルに、一番いいものを提供していきたいですね。

僕の場合は印刷にフォーカスして作り上げていきたいなと思っているので、コールセンターというオペレーションを入れると人が増えるんですけれど、そこを除くと200人位ですね。

 吉田さんはいかがですか?

吉田 我々の働き方革命というのは、20世紀的な我々の労働の概念を、ロボット、AIも含めて再提案していくことです。

働き方も正規雇用・非正規雇用ではなくて、いろいろな働き方を均等に扱えるような世の中にすることです。

それをするために、個人の信用データを貯めていく。履歴書で自称であるものが、リファレンスがとれるデータを取れるようにしていくという。

食べログみたいなものが個人版になっているというのが、我々の中長期のイメージなんですけれど、それに繋がるのであれば、あらゆるものを包含する可能性があると思っています。

例えば民泊であれば、滞在場所の掃除をする人やリネンを換える人などがいるわけです。Uberのドライバーも、我々にとっては信用できるデータになりうるわけですので、そういったところの事業のストラクチャーがまずあります。

クラウド経済圏のような感じで、クラウドソーシング、シェアリングエコノミー、HR Techのような話があり、そこに事業を作っていって人を当て込んでいくイメージなので、先程の200人というお話はなるほどなと思い、そうした方がいいのかなとまさに思い始めたところです。

基本的には、事業の構想がいろいろあり、営業利益が1兆円だと全体の利益が10兆円位トランザクションがあるというイメージの中で、これくらいの事業が必要でこういうものが必要だなという、事業から作っていっていくイメージが、今僕の頭の中にありますね。

そういう意味では、事業における「ヒト」のイメージが二の次になっているということに気づきました。三木谷さんのお話を、もう少し早く私にも教えて欲しかったですね。(笑)

 確かに。

井上 ちなみに、生物学的には凝集性の限界が150固体*だという話を聞いたことがあります。

(参考情報) ダンバー数(ロビン・ダンバー) : 人間にとって、平均約150人(100-230人)が「それぞれと安定した関係を維持できる個体数の認知的上限」である (出典 Wikipedia)

要するに、150人を超えると何だか一体感がなくなってセクショナリズムが出てくるということです。150人の一騎当千の人達と、150人のメンバー達で会社を展開させると、掛け算して2万2千人位になるのでグローバル展開ができる、そんな感じになっていくのかなと。

吉田 ちなみに、ちょっとご相談なんですが、弊社はまさに4月1日に正社員ベースで130人を超えます。

アルバイトや派遣社員の方々を入れると200人から250人になるのですが、セクショナリズムをどの程度まで許容したらいいのでしょうか。

要するに、セクショナリズムを皆無にするのは無理で、人である以上ある種の好き嫌いは出てしまいますが。どの辺にラインで引いて許容しておられますか?

井上 それには定量的な指標があるかというとそうではなくて、肌で感じる言うと表現した方がいいですかね。

あそことここ、蛸壺化していがみ合ってるよなというのは、自分の感覚的に嫌だなと思うところなので、そうすると組織をいじり始めますね。シャッフルしたり…

吉田 それは、たゆみなく観察し続けるということですか?

井上 そうですね。その場の空気を見てると言うほうが近いですけれど。

吉田 その辺は鉢嶺さんや南さんはいかがですか? 組織の規模が大きいと思うのですが。

鉢嶺 僕らのグループでいうと、広告代理店オプト単体で700人位いるので、そこはやはりセクショナリズムが出てきちゃってるんですよね。

それ以外のグループ会社は、一番多くて120人くらいなので、まだ大丈夫です。セクショナリズムは本当に嫌なんだよね。

吉田 そうですよね。

鉢嶺 僕がトップをやっていた時は、学閥なども作らないように心がけました。

「社長は早稲田ですよね、早稲田で飲み会やりましょう!」みたいな人へは、極力そういうことはするなと強く言って、そういうグループを作らせないようにしていました。

吉田 そうですよね。

鉢嶺 そう。

 弊社では、いろいろなグループを横断的に作っていますね。

今仰った、早稲田飲み、慶応飲みもやればいいし、同期飲み、80年生まれ全員集まって飲むとか、去年の年末は、会社の納会で世代別合唱コンクールもやりましたよ。

23歳から25歳、25歳から28歳みたいなかたちで、6世代に分けて合唱コンクールをしました。

井上 それはすごく楽しくて良さそうですよね。セクショナリズムというよりはこう、クロスでコミュニケーションがとれるという。

 見ていて、日本だろうが海外だろうが、結局セクショナリズムは起こってしまうと思いましたね。

ですので、縦横斜めなどいろいろなグループを意図的に作っていって、この前は静岡出身で静岡飲みをしましたよ。それも結局クロスじゃないですか。

吉田 そういうことを奨励していくことによって、部分的にできるという。

 部活というのもそうですし。

吉田 それはまた勉強になるな。

(続)

編集チーム:小林 雅/Froese 祥子

続きはこちらをご覧ください:ビッグ・ベンチャーの資金調達の考え方

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