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「M&Aによる成長を実現する組織統合マネジメント」【F17-7A】9回シリーズ(その4)は、レノボ・ジャパン留目さんに、グローバル企業におけるダイナミックなPMI(M&A後の統合プロセス)についてご経験をお話いただきました。外資系企業が国内企業を買収・少人数企業がより社員数の多い企業を買収といったケーススタディとしても大変勉強になります。是非御覧ください。
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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
2017年2月21日・22日・23日開催
Session 7A
M&Aによる成長を実現する組織統合マネジメントの秘訣
(スピーカー)
上原 仁
株式会社マイネット
代表取締役社長
留目 真伸
レノボ・ジャパン株式会社 代表取締役社長
/NECパーソナルコンピュータ株式会社 代表取締役 執行役員社長
平尾 丈
株式会社じげん
代表取締役社長
(モデレーター)
青柳 直樹
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最初の記事
【新】M&Aによる成長を実現する組織統合マネジメントの秘訣【F17-7A #1】
1つ前の記事
M&Aで成長加速!じげん平尾丈が考える「買収後にやるべきこと」【F17-7A #3】
本編
青柳 留目さん、ぜひもう一度改めてですが、規模感の話からPMI(M&A後の統合プロセス)プラクティス、上原さんや平尾さんがおっしゃった話を広げていただいて構いませんのでお願いします。
留目 はい。
レノボという会社は、基本的にM&Aで大きくなっている会社です。
2005年にIBMからPC事業を買収し、それ以降も継続してM&Aで事業を拡大しています。
元々はパソコンの会社ですが、今はタブレットも、スマホも、サーバー、エンタープライズシステムなどのビジネスも行なっています。このように、自社の事業を再定義し発展させていくプロセスとしてM&Aがありました。
パソコンは35年前にメインフレームにあったコンピューティングパワーを個人が使えるようにしたという素晴らしいイノベーションであったわけですが、その後はあまりに市場が順調に拡大していったため、各社とも基本的な性能をアップデートしていくことに集中し、近年になって成長率が鈍化しても(パソコン)単体では次の大きなイノベーションを生み出していけない状態になっていました。
しかしながら、ここから事業の再定義の仕方、ものの見方一つで、成長産業になるのか、そうではないのかが変わってくる訳です。
事業を再定義していくプロセスにM&Aがあった
留目 コンピューティングパワーは家の中でも、オフィスの中でも、外出先でももっともっと必要とされています。
自社の事業領域を「パソコン」として区切ってしまうと、箱を刷新していくだけのビジネスで、いかにコストを削減していくかという本当につまらないビジネスになってしまいます。
そこで、事業を再定義し、自分たちはコンピューティングパワーを提供し、それを繋げ、普及させるというビジネスをするんだと捉え直す。
コンピューティングをパーソナルにしていくということが元々のパソコンの思想だったので、考えてみれば当初のビジョンもそうだったはずです。
そうやって事業を捉えなおすと、スマホもやらなければならない。タブレットもやらなければならない。
サーバーも、クラウドの先にあるコンピューティングパワーも提供しなければならない。
今後も継続してM&Aを行っていくと思いますが、それは全てコンピューティングパワーをパーソナルに、もっとシームレスに、空気のように提供していく、というビジョンにつながっている訳です。
パソコンは35年間市場の成長が続いてきた訳ですが、今はあらゆる事業の寿命がどんどん短くなっていますよね?
新しい事業を創り出しても、そのほとんどはもう10年もたないです。スマホの市場だってそうです。
M&Aは取り組んで然るべきというか、M&A等を通じて事業を再構築するということを繰り返さなければ、企業は成長しないと思うんです。
業界の枠組みや、産業の枠組みはフレキシブルに変わっていくべきですし、それを変えていくツールとしてのM&Aは有効に活用していかなければならないと思うんです。
2005年にIBMのPC事業部を買収したのもグローバル市場でのプレゼンスを一気に高めるという戦略に基づく一大変革であった訳ですし、日本市場でいえば、ほぼゼロの状態からIBMのPC事業をベースに事業がスタートしています。
2011年にNECのPC事業の統合も、日本においては大変革でした。NECはIBM同様、PCの発祥のような会社で、長らく国内のPCにおけるトップシェアベンダーの座を維持してきています。研究開発は勿論のこと、工場やサービス拠点に加え、全国に支店も30カ所程度ありました。
青柳 人数や拠点を具体的な数字でいうと、どのような規模感の統合だったのですか?
留目 当時NECでPC事業に携わっている人が2,500人位いたんですね。
これは研究開発、工場や販売拠点、サービス拠点も含めての数字です。
当時レノボの社員は日本では700人位でした。
「外資に買われてしまった」を乗り越えて
青柳 700人 対 2,500人。
日本ではNECさんがトップシェアだったのですか?
留目 はい、日本では長年に渡りトップシェアです。
いわゆる伝統的な日本企業なので、皆さん大卒でNECという会社に入って、転職経験は無く、定年まで何十年と勤めあげていくというスタイルの社員がレノボに移り、「なんだか分からないけれどレノボという外資系の会社に買われてしまった」というところからスタートしています。
青柳 その人数が、いかに大変かということを、私はしみじみ感じるのですが。
留目 はい、会社としても個人としても、大変なことです。でも、それは合理的な判断であるが故に、可能なことだと思うんですよね。
事業の再構築として、どう考えてもパソコンを「箱」の事業として定義して苦しんで継続するよりも、コンピューティングパワーをパーソナルに提供していくビジネスと定義した方が、事業価値が大きくなりますよね?
だからこそレバレッジが効くはずですし、そのような絵を作ることができたのです。
青柳 じげんさんは今300人ですが、1,000人の会社を買うということですね。
平尾 そうですね、すごいですね。
青柳 そういった時のPMIでやらなければならないことにはどんなことがあり、特に最初の1年はどんな日々になるのですか?
留目 PMIはDay1以前からクリーンルームでのNDAベースでの情報交換から始まり、統合のために必要な検討・準備・実行のロードマップを引き、進めていくのですが、これは多分規模に関わらず同じと思います。
勿論もともと計画はあるわけですが、『何のためにするのか?』というそもそもの目的をより具体的にクリアにした上で、統合のレベルやプライオリティ、スケジュール等、一つ一つのプランを、目的に基づく形で議論を重ねてロジカルに明確化していく、ことが重要です。
良く言われることですが、やはりカルチャーの統合が一番困難で時間がかかります。これは規模が大きければ大きいほど、関わる人が多ければ多いほど大変になります。2011年からもう5年間経っているのですが、正直な話、私の結論は「カルチャーは統合できない」です。
これは、一つになれない、ということを言っているのではなく、「統合はできないけれど、作ることはできる」ということです。
青柳 なるほど。
留目 だからこそ目的やビジョンが大切だと思っています。パソコンの会社同士を統合してどちらかのカルチャーに合わせる、ではなく、新しい事業、パーソナルコンピューティングの会社を一緒に作っていきましょうということだと思うんです。
どちらかに染めていくものではないと思います。
青柳 上原さんも「今第二の創業だ」と取り組みされている。
上原 そうです。
PMIは気合です
上原 弊社も2016年11月にクルーズさんのゲーム事業300人を買収させていただいたのですが、発表された当日に皆の前へ行き「これから、この300人全員で新しい会社を起業するんだ」という所からスタートしました。
その瞬間、そのマインドに乗ってくれるのは2割だけなのですが。(笑)
ひたすら「気合だ、気合だ」と言い続けていると、だんだん人はこちらを向くようになるんですよね。
今日本当に伝えたかったことをここで伝えさせていただきますが、PMIは気合ですよ。
(会場笑)
気合です。
弊社の場合は今私が行なっていますが、PMI責任者がどれだけ気合を入れ、この仲間を引き連れて次のステージに行くのかということに気合を入れているかだし、その気合に共鳴してもらえるかという話だと思っています。
(続)
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続きは まず隣で同じ釜の飯を食おうーM&A後の組織統合を成功に導く第1歩 を配信予定です。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/鎌田 さくら
【編集部コメント】
前職はM&Aコンサルティングの会社にいましたが、事業の再定義があってこそのM&Aであるという留目さんのお話は金言だと思いました。いわゆる持込み案件に飛びつくようなケースであればあるほど、そうした再定義の検討なく失敗してしまうケースがあまりに多いです。投資銀行が儲かるだけ…(榎戸)
続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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