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「国籍・人種などのダイバーシティ(多様性)をいかにマネジメントするか?」
「日本人と外国人の構成比率を意識する必要があるのか?」
「海外で勝負するための日本人の強み弱みは何か?」
「スピードが求められる局面で日本人の緻密性・慎重さをどうのように変えていけばよいのか?」
「ゴール設定をどのように行うのか?」
第一線で活躍するトップリーダーが真剣に議論したICCカンファレンス TOKYO 2016の「世界で勝負するチーム・マネジメント」のセッションの中篇を公開しました。
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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 4C
「世界で勝負するチーム・マネジメント」
(スピーカー)
中竹 竜二 公益財団法人日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター/株式会社TEAMBOX 代表取締役
本蔵 俊彦 クオンタムバイオシステムズ株式会社 代表取締役社長
山口 文洋 株式会社リクルートマーケティングパートナーズ 代表取締役社長
(モデレーター)
彌野 泰弘 株式会社Bloom&Co.(株式会社ブルーム・アンド・カンパニー) 代表取締役
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最初の記事
グロース・マインドセットの人材は世界で活躍する
本編
彌野 山口さんのところは海外に進出する日本の会社ですが、どういった基準で海外に出す人間を選ばれていますか?
また、過去に海外に送ったけれどもうまくいっていない人達や、逆に思ったよりもうまくいった人など、そのあたりの人材要件はあるのでしょうか?
海外で成功するためのリクルートの人材要件や仕組みとは何か?
山口 僕が海外に出て、自分がやっているチャレンジも、自分以外のM&Aをした関係も見る中で思うのは、リクルートは採用の入り口で、グロース・マインドセットのメンバーを大勢採用しているということです。
ポジティブ×グロース・マインドセットだけではなくて、ネガティブ×グロース・マインドセットも含めて、そのバランスをとっている会社なのかなというのを改めて感じました。
その中で、リクルートがM&A中心にしながら海外に出て行く際には、試行錯誤しながらも何か新しい価値創造を推進してきた人が、ある期間それをクレジットとして貯めて、その人が国内のチャレンジにとどまらず、何が何でも海外に行きたいんだというかたちで実現します。
M&Aにおいても、自分がリーダーとなって、M&A先の企業の経営陣や社員を人間力によって巻き込み、お金の面ではなく、一緒にビジョンを実現しようよという合意によってM&AがDoneするのかなと思います。
そしてその人がトップとして乗り込んで企業経営する中で、社員のコミットメントや当事者意識が高まります。他の会社よりもM&A件数自体は少ないですが、その成功確率では、今のところ非常に高い結果を残していると思います。
そして、リクルートという会社は、日本企業っぽくなく、もしかしたら欧米企業に非常に近い企業カルチャーを持っているのかなと感じ始めています。
「個の尊重」という経営理念を掲げていますが、例えばダイバーシティー・インクルージョンとか、女性活躍とか、働き方の進化も含めて、日本の中ではパイオニア的であるように思います。
そこに、日本人と外国人の差を感じさせないようなコミュニケーションの秘訣があるのだと思います。
更に、リクルートは非常に結果主義の会社で、欧米のジョブディスクリプションのように、仕事の内容を結構明確に定義するんですね。
これも、M&Aの際に日本企業の働き方カルチャーを相手側に押し付けるのではなく、お互いのいいとこ取りでいこうというというスタンスの結果としてのPMI(Post Merger Integration 企業買収後の経営統合)です。
ですから、買収した後の一年間、外国人メンバーも含めてマネジメントする中で、日本でメンバーマネジメントした時とあまり差を感じなかったなというのが正直な感想ですね。
彌野 マネジメントする側は感じないけれど、例えば買収された側の企業で、外国人の人間はどう思っているんでしょうか?
日本企業に買収されたな、日本の企業だなと思ってるのか、あるいはあまり変わらないなと思っているのか、その辺のところを見られたことはありますか?
国籍・人種などのダイバーシティ(多様性)をいかにマネジメントするか?
山口 それに関しては、今クイッパーという会社を経営する中で、経営陣が全員日本人であることを少し課題に感じているところです。
もともと英国法人で立ち上げた時点で、CEOもCTOも日本人で、今も経営陣4人が全員日本人です。マネージャーを含めると日本人比率が約7割なので、下から見ると、日本人中心でやっているよねという空気が若干あります。
それを乗り越えるために今取り組んでいるのは、英語を中心としたマネジメントと、メンバーに話をする際に、日本人が主という感じを出さないようなコミュニケーションの仕方です。
その他には、ダイバーシティー(多様性)も含めて日本人以外の積極的な採用と、キャリアアップを率先的にしていています。ちょうど一年後くらいには社員比率における日本人の割合が約15パーセントになる予定ですが、マネジメント比率も半分くらいに引き上げていくことが、目下の自分のミッションだと思っています。
彌野 素晴らしいですね。日本企業で、海外に行くんだけれど従業員のほとんど日本人みたいなことがよくあると思うんですが、ラグビーの日本チームも今回は結構外国人が多いそうですね。
日本人と外国人の比率はだいたいどのくらいがいいのかと議論されることもあるようですが、ちょうどいいバランスというのはあるのでしょうか?
全員が外国人というのも大変だと思うのですが。
本蔵 先程ダイバーシティ(多様性)という言葉がありましたね。弊社は日本の技術ではありますけれども、組織は本当に多様性に富んでいます。
まず国籍からいっても、シリコンバレー採用をしたとしても、中国国籍だったり、ブルガリア人、ニュージーランド生まれのイギリス人、スペイン人だったり、とにかくいろいろな人がいます。
多様性という意味では、我々はDNA解析装置を作っていますけれども、半導体を使うので、半導体のエンジニアだったり、ライフサイエンスのエンジニアだったり、プログラマーだったり。
そして年齢も、60代もいれば20代もいるという、カオスのような感じになっています。ですので、割合を決めて最適化するというよりは、自分があるいは会社が成し遂げたい目標を実現できる技術と能力を持っている人をとにかくかき集めている感じです。
それをマネジメントするのが、もちろんマネジメントの役割になります。
先程も、ダイバーシティについてのお話や、人間の2つのタイプについてのお話がありましたけれども、多様性のマネジメントと、グローバルにいくという今回のテーマはほとんど同じだと思っていて、逆説的だと思うのですが、多様であればあるほど、シンプルな原則がないと対応できないのではないかとすごく感じています。
例えば日本はこうなので、日本の技術者がこう言っているときは日本のマインドセットになってやり、米国のメンバーが言っているときはこうやり、とやっていると、八方美人にとられてしまいますし、結局まとまらないんですね。
ですので評価という観点も、もちろんスポーツであれば努力をするとか、長期間かけて育成をするというところまで考えれば、努力の跡を認めていくというのはあるのですが、我々は本当にシンプルで、結果だけですね。
いわゆるフィックスト・タイプの方が、努力しているグロース型よりも成果を出せば、それはもう評価として認識するという極めてシンプルなやり方です。
もともとのご質問は割合ということでしたが、最後の最後は、チームが成し遂げたいこと、スポーツであれば勝つということ、会社であればそれなりの目標があると思うのですが、それを成し遂げるためにどこで戦うかということになります。
我々がシリコンバレーにいるというのは、そこに人材がいるからで、そこに強いチームを作るために行っていますけれども、そこからスタートしてできる限りシンプルに、余計なものは入れず、やりたいことにダイレクトに繋がるような評価や組織やマネジメントスタイルを徹底してやるようにしています。それが我々の会社のスタイルです。
彌野 先程山口さんが仰っていた、15パーセントくらいというのは、日本人の比率としてかなり少ないと思うんですよね。
ある方の言葉を引用すれば、「グローバルという国はない」ということですよね。グローバルとはいろいろな国の人達が集まっていることであると考えると、日本人がマイノリティーであるくらいがちょうどいいんじゃないかなという気がしています。それについてはいかがですか?
日本人と外国人の構成比率を意識する必要があるのか?
中竹 去年のワールドカップラグビーなんかは3分の1が外国人で、ダイバーシティがあるといえばそうですが、ベテラン勢も多く、実はあそこにいた外国人の殆どがいわゆる僕らの世代で、僕からすればあれは日本人ですよね。
逆に若手の選手達の方がちょっと世代間ずれで、我々の感じで言うところの日本人ではないんですよ。だから外国人かどうかという表面的なこと、いわゆるダイバーシティは僕の中ではあまり関係がなくて、それよりも、先程仰っていたように、シンプルなものを繋げることで成果が上がると思っています。
エディジャパンの時には、とにかく「忍者ボディ」、「サムライアイズ」、つまり、忍者のような体で、サムライのような目をもって素早いプレーとハードワークをするという目標が一つありましたが、ダイバーシティになればなるほど、シンプルに何を握っているのかが大事になってくるなというのはすごく感じましたね。
今回のチームには外国人もいるし、実は世代も、同じ年齢でも個性はバラバラなんですよ。面白いのがやっぱり、九州出身か、関西出身か、関東出身かでやっぱり大分変わりますし、ポジションによっても全然性格が違うんですよね。
これは結構いい言葉だなと思っているんですけれど、「Action always beats reaction」という言葉があるんですよね。分かりますか?
リアクションは大事なんですけれども、アクションは常にリアクションを陵駕するという言葉です。
要するに、日本人のように小さな民族は、海外のデカい相手に勝つには、相手が何かしてきたからこうかわそう、というのではなくて、相手に関係なくまずこちらが仕掛けて、相手がリアクションする前にもう一度アクションするという、このトリプルアクションとでもいいますか、とにかく先手先手を打つということが大切です。
様子見て様子を待って、相手がこうきたからアジャストしていくというのはもうあり得ないよ、ということを一番大切にして今チーム作りをしていて、その中にはかなりダイバーシティが出てきましたね。
同じ世代で同じ日本人ですけれども、アンダー20には少しずつダイバーシティが出てきましたね。
山口 僕も、外国人の比率は全く意識したことがないですね。僕は経営陣や、マネージャー陣や、会社全体のチームを、ラグビーやサッカーのようなスポーツチームに例えているんですね。
経営陣も金太郎飴のように皆同じではダメで、サッカーのベストイレブン的なメンバーの役員勢にしなければいけないと思っていて、どういう人にどういうポジションをあてるかということを考える際には、人種は全く考慮する意味がないと思っています。
僕が一番大事にしているのは、僕らのビジョンやミッションや成し遂げたいものに対して、自分の人生の一部をかけても一緒にやってみたいと思ったり、僕らが求める行動規範に人種の壁を越えて共感してくれるメンバーがどこまで集まるかということです。
その人達にシンプルなゴール設定とシンプルなルールを課すのです。
その他には、僕は最近、関係の質作りに対して非常に気を払っています。それはどうしてかというと、全世界5拠点でグローバルなチームマネジメントをしていると、日々日々は非常にバーチャルなコミュニケーションになってしまうからなんですよ。
各国内ではFace to Faceのリアルなコミュニケーションがありますが、国をまたいだマネジメントのツールは、非常にバーチャルなテレカンです。
テレカンだとリアルなコミュニケーションがなかなか難しいと思っているので、2ヶ月に1回くらいはどこかしらの国に行って、一週間たっぷり、経営陣を集めてマネジメントをするとか、あとは3ヶ月に1回は、150人のメンバーをバーチャルながら同じ時間帯で1時間から1時間半集めてキックオフミーティングをやったりしています。
僕らが全世界がつながって一つの仕事をしているんだというような雰囲気を出すということが一番のポイントかなと思っていて、そこに人種はないなという風には最近感じていますね。
彌野 カルチャーとしては、日本のカルチャーというよりは本当に多様性のあるカルチャーというのをまず築いて、シンプルなゴール設定とシンプルな評価軸できちんと評価していくということなんですね。
ちょっと違う質問になるんですけれども、僕がシンガポールに行った時に強烈に感じたのは、やはり日本人にも強いところと弱いところがすごくあるなということです。
インドなんていうのは10億人いて、そのうちでシンガポールに出てくるような人間というのは、本当に数が知れていて、トップ中のトップで、英語は話せるし計算は速いしアグレッシブだし、そんな中で日本人はコミュニケーションも遅いし、英語も得意ではないし受身だし。
ただやはり、日本人の強みというのは、計算の緻密さだったりとか、繊細さだったりなのかな思いました。そういう日本人の強み弱みみたいなところというのは、皆さんの会社や普段の生活の中では、どういう風にご覧になっていて、どういう風にうまく使われているのでしょうか?
海外で勝負するための日本人の「強み」「弱み」は何か?
中竹 スポーツであれば、日本人はテクニックやスキルになどの細かいことにかなりこだわりますよね。
スポーツは根性っぽく見えますけれど、科学が進歩してはっきり分かったことがあります。我々は今ランニングコーチを入れているんですよね。
そういった走る専門家を入れたりとか、メンタルコーチももちろん入れていますけれども、スキルコーチというのは結構大事です。
人と人が当たる時に、パワーは「スピード×重さ」なので、今まではデカくて重い人が強いと思われていたんですよね。
当然そうなんですけれども、人間の力は地面からしか来ないので、当たる時にどちらが地面を先に踏んでいるかの方が大事なんですよね。
お分かりですか?アメフトもそうだと思うんですが、当たる瞬間にどちらの足が先に着くかが大事なんですが、普通に走るとタイミングがとれないんですよ。
そこだけの練習をやったら、40キロ差、つまり向こうが120キロくらいでこちらが80キロくらいでも、一発で倒せるようになるわけですよね。
実はこれ、科学的には分かっていたんですが、そういうスキルトレーニングがなかったので、最近進化したのと、僕、それを解析するのが結構得意だったんですよね。
今回それをやったら成功したのですが、そんなところにこだわれるのは、多分日本人だけだと思います。
グラウンド上の細かさに関しては多分日本が一番だと思っていて、あともう一つ勝てるのは、準備ですよね。これだけ一生懸命頑張って準備ができるのは日本人だけです。
僕は去年も世界大会に行ったのですが、他の国よりも圧倒的に、たくさんのミーティングと、グラウンドに行く前のミーティングルームでのストレッチやモビリティを入れましたね。
お前らまたミーティングをやってるのかと、他の国から馬鹿にされるくらいでした。
けれど我々がどんどん強くなっていくと、途中から他の国も真似しだしたんですよね。準備するのと細かさに関しては、世界で勝てる気はしますね。
本蔵 私もすごく同じような印象を持っています。我々はエンジニアなんですけれども、細かいところをしっかり地道にやっていくというのは、日本人はすごく得意だなと思います。
中竹 好きですよね?
本蔵 そうなんです。それをやりたがるんですよね。一方で、それがいい面に繋がる時もあるんですけれども、悪い面に繋がる時もあって表裏がありますよね。
中竹 分かります。小さいところしか見えなくて、そもそも何のためにやっているか忘れてしまうんですよ。
本蔵 そうなんですよ。あとは、過剰なまでにクオリティにこだわったり、自信を持って何かを言うためには、その根底に努力と成果の蓄積がないと言わないという姿勢。
海外のメンバーは、何もないのに結構すごいことを言っていたりします。結果としてどちらがいいのかというのは状況によって変わるんですけれども、先程の「Action beats reaction」のお話にもあったのですが、スピードが求められる時に、その緻密性とか蓄積しないと言わないというところが、ネガティブに働くことが多いような気がしますけれどもどうでしょうか?
スピードが求められる局面で日本人の「緻密性」「慎重さ」をどうのように変えていけばよいのか?
中竹 もう本当にそことの戦いですよね。面倒くさいですが、すごく細かいスキルをやって、練習の前後に何を話すかというと、「ゴールデン・サークル」の話をするわけですよ。何事もWHYから語らなければダメだよねと、そのスライドを使って何度も「ゴールデン・サークル」ですね。その連続ですよね。もうそこは苦しみましたね。
本蔵 我々は日本人というところにはこだわっていないのですが、成果を出す時に、日本人はちゃんとした成果というかモノがないと何も言わないので、大きなゴールも、保守的にちょっとできるようなものを設定して、できましたと言う傾向がありますね。
一方で、そこのゴールを高いところに設定するのは、逆に海外のメンバーがやったほうがよかったりします。それは国籍ではなくて人の個性でもありまうので、個性のマネジメントにもなりますけれども、緻密にやったりしっかりやったりというところと、ドーンとゴール設定をして6割くらいしかできていないのにどんどん先へ進んでしまうスピードとかというのは、日本と海外のミックスのチームであればあるほど、うまくマネジメントすればいいとこ取りができる可能性があるのではないかなという感じはします。
あとはゴール設定のトレーニングをするといいんですよね。
「ゴール設定」をどのように行うのか?
中竹 多くの場合、ゴール達成のトレーニングにいきますけれども、ゴール設定のところでトレーニングするといいですね。
我々は今、TEAMBOXという会社でそれをやっています。やはり日本人はゴールを低く設定してできそうなところにいくんですけれども、これが5回くらいやりとりすると設定が上がるわけですよ。
だって、最初から高いところにあるゴールを目指したほうがいいよねというのがあるじゃないですか。
日本人の癖として、低めのゴールしか狙わないというのがありますが、ゴール設定能力はゴール達成能力とはまったく別の話なので、これをやるといいなと今回すごく思いましたね。
本蔵 例えば今回のワールドカップのラグビーはすごい活躍がありましたけれども、どういう仕掛けで、勝つ前に、本当にできるんだという自信を持たせることができるのでしょうか。
もちろん、地道に練習をすれば自信がつくというのはスポーツの基本だと思いますが、地道さと緻密さに頼らなくても自分達でできるんだという自信ですね。
高いゴールを設定しても、これは絵に描いた餅というか単なるゴール設定ではなくて、本当に成し遂げられるゴールなんだという、自信の醸成みたいなことは、スポーツチーム、例えばラグビーではどんなやり方でされているんでしょうか?
中竹 勝った時に、エディー・ジョーンズに「何が大事だった?」と聞いたら、「まず俺が信じたことが大事だった。」という言葉が返ってきました。
日本中の人が苦笑し、日本中の人が失笑した、南アフリカに勝つということを俺はまず信じてたと。
ヘッドコーチが信じることが大事だと。そしてゴール設定したと。
ゴール設定、ビジョン設定しただけでいいかというと、当然勝つだけではなくて、会社と同じで、勝って何を成し遂げたいかというビジョンを言うわけですよ。
日本のラグビーの歴史を変えようと、エディー・ジョーンズはそれを作ったんですよね。世の中に勇気を与えようみたいに。それだけでもダメだと。
やはり、それに耐えうるだけの準備が大事で、プランニングが大事で、多くの人が、日本人は特に、いいプランニングをしたらそれで満足をするのだけれど、大事なのはどれだけやるかで、その時にやみくもに根性だけでやるのではなくて、そのやっていることがいかに科学的にいいかということと、やろうと思ったことを妥協せずやり抜くかというのが相当重要だったと思うんですよね。
彌野 エディ・ジョーンズさんの場合は、結構外人ぽく見えて実は日本人ぽいキャラクターだったりとかしますか?
中竹 あれはエディ・ジョーンズ人っていう感じですね。国籍は問題ではなく、彼ぐらいしかできないと思いますね。
今回イギリスに行っても、13年ぶりのグランドスラムというヨーロッパの大会に優勝したんですね。
多分、彼には自分なりの哲学があって、言っていることは常に一緒で、ゴールではなくてちゃんとしたビジョンを掲げて、プランニングして、最後までやり切る。
エクゼキューションのところですね。ここに多くの人は妥協するんだって言っていましたね。
彌野 ゴール設定はすごく大事ですね。アメリカ系の会社ではゴールがクリアに設定されていて、言ったか言っていなかったかというのがすごく大事です。
逆に言うと、評価をされるのがそこなので、欧米人のほうがゴール設定を慎重にしがちだという側面もあるんですよね。
マネジメントの役割としては、高い目標まで行かなければならないし、行けるだろうという風に説得力を持たせることがすごく大事で、そこのコミュニケーションの押しの強さというのはとても重要だったなと思っています。
本蔵 そうですね、今日の冒頭にもお話しましたが、やはりビジョンの高さや魅力や、これが本当にできそうなんだという可能性ですね、そういうモチベーションで人が集まり、優秀なチームがさらに優秀な人を呼ぶと思います。
そしてそういうサイクルのボタンを押すことが、リーダーの大事な役割だと思いますし、そういう意味で、リーダーが本当にこれを成し遂げるんだと信じるそこからスタートするというのは、すごく共感できます。
それが多分、アントレプレナーの一番大事なところで、細かいところまで全部自分が面倒を見てやるというのは基本的には難しいわけで、それができるようなチームを集めるその最初のところですね、そこのビジョンや信じる力というのは重要だと思います。
私は東京大学のアメフト部でしたが、その時は東京大学のアメフト部がかなりいいところまでいきました。当時の主将の山本さんのすごかったところは、本当に信じていましたし、それをずっと言い続けていたところです。
それをやるとチームの中に、本当にできるのかよみたいな、懐疑的な人達も出てきますが、それでもお構いなしに自分はできるんだ、チームはできるんだと言い続けて、それを最初に言い始めて、常に言い続けるという、そこがスポーツもビジネスも、リーダーの一番重要なところなんじゃないかなという気はすごくしますね。
(続)
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編集チーム:小林 雅/Froese 祥子
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