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「人のつながり とは何か?」全10回シリーズの(その2)は、石川 善樹さんがイノベーションを生むための“ある法則”を解説します。全米ビルボードチャートNo1獲得数歴代3位の稀代の音楽プロデューサー、Max Martinに見る“人のつながり”の極意とは? ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2019年9月3〜5日
ICCサミット KYOTO 2019
Session 7C
人のつながり とは何か?(90分拡大版)
Sponsored by リンクトイン・ジャパン
(スピーカー)
石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
伊藤 羊一
ヤフー株式会社
コーポレートエバンジェリスト
Yahoo!アカデミア 学長
岡島 悦子
株式会社プロノバ
代表取締役社長
小林 正忠
楽天株式会社
Co-Founder and Chief Well-being Officer
(モデレーター)
村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表
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1つ前の記事
1. 今こそ議論したい!“人のつながり”とは何か?
本編
石川 早速ですが皆さん、「3倍の法則」はご存じでしょうか。
「ネットワーク科学」と呼ばれる研究分野がありまして、この分野の重要な知見に「3倍の法則」というものがあります。
人のつながりは「3倍の法則」で分類できる
株式会社Campus for H 共同創業者 石川 善樹さん
石川 5人をスタート地点として約3倍ずつ数を増やしていくと、15、50、150、500、1,500と増えていきます。
そしてその上の5,000が「直接民主主義の限界」と言われています。
どういうことかと言うと、1人の人間が完全に見ることが出来る限界が5,000人であるということです。
Facebookの「友達」の数の上限が5,000人なのも、おそらくここから来ているのではないかと思います。
岡島 ということは、友達が上限に達したからといってFacebookのアカウントをいくつも作っては意味ないということですね(笑)。
石川 もちろん個人差があるのですが、一般的な人の脳でいうと、そういうことだそうです。
これらの数字を順番に見ていきます。
5,000人が直接民主主義の限界ということでしたが、その下の1,500人は「顔と名前が一致する限界」と言われています。
岡島 そうなんですか!私はもっといける気がしますが……。
村上 それは岡島さんが人マニアだからですよね(笑)。
岡島 私「人フェチ」だから、30,000人ほどは一致できていると思います。
石川 そこの辺りは個人差になりますね!
次の500人というのが、「たまに会う人」の数です。
村上 これはすごく納得感がありますね。
石川 そして150人が「一緒にプロジェクトが出来る限界」だそうです。
軍隊も150人を超えるとチームを分けています。
なぜかというと、思考や感情を把握できる限界が150人だからと言われています。
そして「めちゃ仲いい」のは、古今東西だいたい5、6人です。
村上 最近はFacebookもInstagramも「親しい友達」という項目がつくようになりましたが、それはこの「5人前後」から来ているんでしょうね。
石川 これを踏まえて「じゃあ私は、どういう人とつながれば良いのだろうか?」と思いますよね。
そのポートフォリオを考え、整理する最良の機会が、日本人の場合は「年賀状」になります!
一同 なるほど〜。
石川 おそらく毎年送る年賀状の枚数も、多い人でも上限1,500人くらいではないでしょうか。
イノベーションを起こすために最適なチームサイズは「3人」
石川 科学雑誌「Nature」に、研究やテクノロジーなど、様々な分野のイノベーションとそれを生み出したチームサイズの関係を示した論文(※)が掲載されていました。
この研究で分かったのは、革新(Disrupt)を起こすチームは通常は3人ほどで、多くても5~6人程度の少人数チームであるということです。
大人数が集まるとどうなるかというと、改善(Develop)が起こります。
つまり目的に応じて、大人数でやった方がいいのか、少人数でやった方がいいのかが決まってきます。
例えばこちらにスマホがありますが、ベル研究所で携帯電話の原型が最初に作られた時のチームは3人でした。
▶『世界の技術を支配する ベル研究所の興亡』(ジョン・ガートナー/著)、文藝春秋、 2013
AmazonのAWSもサービスを開発したのは2人でした。
というように、革新的なものは少人数でやるべきだということです。
おそらくこのICCという場は、いかに組織を大きく成長させ動かしてゆくかという、右側の議論が多いのではと思います。
しかしあえて僕は、いかに少人数のチームでイノベーションを起こしてゆくのか、その秘訣を科学がどう明らかにしているのかご紹介したいと思います。
世界的音楽プロデューサーから学ぶ、イノベーションの起こし方
石川 皆さん、マックス・マーティン(Max Martin)をご存じでしょうか。ご存じの方は挙手いただけますか?
(会場を見渡して)いらっしゃらないようですね。
この方は世界的に有名な音楽プロデューサーです。
世界の秋元康、世界の小室哲哉だと思ってください。
彼は1990年代にブリトニー・スピアーズやBACKSTREET BOYSをプロデュースしてデビューしました。
BACKSTREET BOYSの「I Want it That Way」という曲をご存じでしょうか。
▶︎Backstreet Boys – I Want It That Way (YouTubeより)
“I Want it That Way”は、実は英語として意味をなさない言葉です。
「意味はないけど、なんか語呂が良い」ということを発明してデビューした人なんです!
(会場笑)
村上 このラインナップは本当にすごいよね。
石川 はい。このまま2000年代、2010年代と進みまして、黄色い文字のアーティストが、ビルボードチャートで1位を取ったアーティストです。
とにかく、彼のように30年間活躍し続けている人はなかなかいません。
岡島 才能が枯渇しないということですよね。
石川 しないんです。
彼は1971年生まれの48歳なのですが、高校生の時に自分の才能を確信するあまり、高校を中退してパンクバンドを作りました。
ですが、全く売れませんでした。
その後プロデューサーへ転身し、ビルボードチャートで1位を獲得すること実に22回。
これは歴代3位の成績で、1位がポール・マッカートニー、2位がジョン・レノンです。
村上 これはこれで、いかにビートルズがすごかったかの証明でもありますね。
石川 そうなんです。
そんなポールやジョンの記録を超える可能性がある唯一の人間が、マックス・マーティンです。
実は彼はほとんどメディアに出ないので、彼の創作の秘密は知られていません。
そこで本日お持ちしたのが、こちらのスライドです。
出典:Billboard Ghosts: Who Really Writes Hits
これは、彼が誰とコラボしているのか、そのつながりをネットワーク図で表現したものです。
ちなみに大きい丸がマックス・マーティンを表しています。
このように僕ら研究者は、ブロードウェイミュージカルの脚本ネットワーク、研究者のネットワーク、アメリカの企業の取締役メンバーのネットワークなど、誰と誰がつながっているかを研究して、ネットワークの観点から人間の特徴を見ようとしています。
ベテランと若手の組み合わせがイノベーションを起こす
石川 本題に戻ります。先ほどのネットワークから何が分かったのか?
それは、マックス・マーティンはいつも若い人とコラボしていたということです。
つまり、イノベーションを起こす少人数チームの特徴の1つは、幅広い知識・経験を持つベテランと、深い専門性を持つカッティングエッジな若手の組み合わせと考えることができます。
もちろん、若手ながら異常に幅広い知識を持っている方や、ベテランなのにカッティングエッジな方もいらっしゃいますので、必ずしも年齢ではありません。
ただほとんどの場合は、今言ったようなベテランと若手の組み合わせをつくることがポイントになります。
これがその証拠です。
アップルもスター・ウォーズもナウシカもこのモデルの通りです。
村上 間違いないですね(笑)。
石川 だいたいのイノベーションは、このようにベテランと若手のつながりで起こります。
一言で言えば「広さと深さ」です。
皆さんにはぜひ、そういうチームをたくさん組んでいただきたいと思います。
村上 いつも知っているメンバーで馴れ合っていてはいけないということですね。
石川 そうなんです!
ベテランと若手の間には壁が存在します。そこを突破していただきたい!
それが、Industry Co-Creationであるということです!
伊藤 趣味嗜好が全く違う人というよりか、ベテランと若手というのが重要なんでしょうか?
石川 その通りです。趣味嗜好は同じでも違ってもどちらでもいいのですが、ベテランと若手の組み合わせが鍵になります。
こういったネットワーク、つながりの観点からご紹介したいエピソードがたくさんあるのですが、ひとまず僕の話はここで終えて、モデレーターの村上さんにバトンをお戻ししたいと思います。
村上 この善樹さんのお話は非常に興味深いですよね。納得感があります。
正忠さんに先ほどの「チームの人数」について伺いたいのですが、正忠さんは楽天のCo-founderでいらっしゃいますよね。
楽天は最初何人で始められたのでしょうか?
(続)
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続きは 3. VCとスタートアップ、プロデューサーとアーティスト、ベテランと若手……その共通点とは? をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/小林 弘美/道下 千帆/戸田 秀成
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