己の「小欲」を、社会のための「大欲」に変える(ユーグレナ出雲社長) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

3. 己の「小欲」を、社会のための「大欲」に変える(ユーグレナ出雲社長)

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『起業家よ、大志を抱け!社会課題を解決するビジネスを創るための「志」とは?』全7回シリーズ(その3)は、ミドリムシで地球の課題解決を目指すユーグレナ代表取締役社長・出雲充さんの「志」に迫ります。10年以上に渡り、他者からの批判に悩み続けていたという出雲さん。それでも志を絶やさずに事業に心血を注いで来られたのは、ある教えのおかげだと語ります。ぜひご覧ください!

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2019 ゴールド・スポンサーのクライス&カンパニー様にサポートいただきました。


【登壇者情報】
2019年9月3〜5日
ICCサミット KYOTO 2019
Session 5F
起業家よ、大志を抱け!社会課題を解決するビジネスを創るための「志」とは?
Supported by クライス&カンパニー

(スピーカー)
出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長

木南 陽介
株式会社レノバ
代表取締役社長 CEO

髙島 宏平
オイシックス・ラ・大地株式会社
代表取締役社長

田口 一成
株式会社ボーダレス・ジャパン
代表取締役社長

(モデレーター)

小林 正忠
楽天株式会社
Co-Founder and Chief Well-being Officer

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最初の記事
1. なぜ今、起業家に「志」が求められているのか?

1つ前の記事
2. 社会的事業こそ、スケールを目指すべき(レノバ木南社長)

本編

ミドリムシで地球の課題解決を目指す「ユーグレナ」の出雲社長

出雲 ユーグレナの出雲です。今日はよろしくお願いします。


出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長

東京大学農学部卒、2002年東京三菱銀行入行。2005年8月株式会社ユーグレナを創業、代表取締役社長就任。同年12月に、世界でも初となる微細藻ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養に成功。世界経済フォーラム(ダボス会議)Young Global Leaders選出(2012年)、第一回日本ベンチャー大賞「内閣総理大臣賞」(2015年)受賞。著書に『僕はミドリムシで世界を救うことに決めた。』(小学館新書)。

私は、人と地球を健康にしたいと思っています。

また、バングラデシュで100万人の子どもたちに栄養を届けて栄養失調を無くすこと、そして資源の乏しい日本で国産のバイオ燃料を作ること、この2つを言い続けています。

私だけではなくみなさんもご経験があるかもしれませんが、「社会起業家」という肩書きが付くと、純粋なビジネスではないというか、人によっては“保険”のようにも聞こえるそうです。

つまり、ビジネスがうまくいかなかったとしても「これは社会に良いことをやっているので許してください」というエクスキューズになるように、保険を掛けているのではないかと誤解されることがあるのです。

私も昔はよく、「格好つけてる」と言われて悩んでいました。

でも、それを解決してくれた方がいて、今では誰に何を言われても悩まなくなったので、そのことについてみなさんにシェアしたいと思います。

もしかしたら、昔の自分のように悩んでいる人がいらっしゃるかもしれませんので。

個人の「小欲」を、社会のための「大欲」に

出雲 仏教では、小さい欲と大きい欲、つまり「小欲」「大欲」とがありますが、何事もボリュームで判断する資本主義では、それら二つを区別することができません。

仏教における「小欲」とは、自分が出発点となる、自分に関わる欲のことです。

その自分が良くなりたいという欲からスタートして、家族が良くなってほしい、村が良くなってほしい、地域が良くなってほしい、国が良くなってほしい、地球が良くなってほしいと、欲の源泉が大きいものへと変化すると「大欲」に変わるのです。

小欲は、仏教においては罪とされます。

自分が他の人よりも多く取りたいとか、欲張りたいとか、そのような欲として否定されるのです。

でもこれが大きな欲になれば、応援されるべきものとして仏教でも認められるのだからと、京都・妙心寺の松山大耕さん(※)が言ってくださったことで悩みが吹っ切れました。

▶参考:松山 大耕 (著)『ビジネスZEN入門』 (講談社+α新書)

正忠 それは、偶然どこかでお話を聞かれて、自分の中で悩みを解決されたのですか?

それとも、出雲さんから松山さんに悩みを打ち明けられたのですか?

出雲 そうです。

「いろいろとご批判もあって、自分でも苦しんでいることがあるのです」ということを相談し、教えていただきました。

正忠 相談されるまで、何年ぐらいお一人悩まれていたのですか?

出雲 結構長いです。10年以上ですね。

正忠 ほう。自分は良いことに取り組んでいるのに、周りからは「こいつ、良いことっぽいことをやりやがって」と言われる状況で、10年間ずっと耐え続けられたのはなぜでしょうか?

過半数の人が応援してくれれば、批判も乗り越えられる

出雲 後ほどこの話をするタイミングがあるかどうか分かりませんが、自分が流れを見極める時に一番大事にしているのは、51%、つまり過半数ということです。

100人中100人全員に好かれたいとか、褒められたいとか、良く思われたいとか、そんなことが無理なのは当たり前です。

ただ、51%、つまり過半数の人にしっかり伝わるかどうかを常に検証し続けていて、「半分以上の人は応援してくれる、だから続けてみよう」という風に思ってきました。

正忠 悶々としている間も、ポジティブに、自分に共感・共鳴してくれる人たちの声を信じて何とか継続できていたということですか?

出雲 はい。そうでないと、スケールするということにもならないと思います。

正忠 10年くらい経って、悩みを打ち明けて相談しに行かれたのには、何か理由があったのですか?

もうこれ以上は無理だ、というような感じだったのでしょうか。

出雲 いえ、そんなことはないです。たまたま。タイミングがよかったのです。

正忠 なるほど。

少欲を満たす個人的な夢は「志」にあらず

株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役社長 田口 一成さん

正忠 田口さんも、想定外の壁や悩みにぶつかったことはありますか?

田口 壁はないですが、先ほどご説明した我々のプラットフォームは、フリーライドしようと思えばいくらでもできますので、僕のところにもいろいろな人が来ます。

出雲さんから小欲と大欲についてのお話がありましたが、僕はいつも、「夢」と「志」の違いを見極めなくてはならないと思っています。

「夢」は個人的なもので、「志」はみんなの夢なのです。

言葉としては良いことを言っていながら、自分の手の届く範囲で自分の好きなようにやりたいと言うのと、社会のために自分を変えながらやっていこうとするのとでは、かなりの違いがあります。

社会起業というのはみんなの夢なので、いわゆる競合は結構少ないのではないかと感じています。

野球に例えるとサードとショートを守っている人がいるけれども、三遊間に穴が空いていて、「じゃあ俺が三遊間を守ろう」というように、社会の漏れを無くしていくような活動だからです。

例えばオイシックスさんが大地を守る会などと連携されているのは、流石だと思いました。

本来ならば単なる競合であるところとビジョンを共有して組んでいくという、社会をつくるための事業展開になっています。

先ほどの出雲さんのお話を聞きながら、改めて、自分のためにやるのか社会のためにやるのかという線引きがとても大切だと思いました。

「志」の大きな経営者には、よいプロデューサーが必要

オイシックス・ラ・大地株式会社 代表取締役社長 髙島 宏平さん

正忠 髙島さんの取り組まれていることは、まさにそれですよね。

髙島 はい。楽天さんも似ていると思いますが、「社会起業」はブルーオーシャンを開拓することになりがちです。

つまり、一般的なビジネスのようにマーケットがあって競合がいて、シェアをどのように取っていくかというアプローチではなく、まだ解けていない社会問題を解くことは、まだそこに無いマーケットをつくるアプローチなのです。

そして、社会起業家型の経営者というのは、ビジョンが大きめで「トチ狂ってしまった」ような感じになる場合が多いので、セカンドペンギンというか、その人をプロデュースしてくれるナンバー2、ナンバー3の存在がとても重要になってきます。

例えば、出雲さんにとっての永田さん(ユーグレナ副社長 永田暁彦さん)や、三木谷さん(楽天 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史さん)にとっての正忠さんのような方がいてくださると、「この会社はきちんとしているのかもしれない」「あの夢にも実際は何か裏付けがあるのかもしれない」と思えるわけです。

弊社でも、ダイエーの中内㓛さんの右腕だった方に役員として入っていただいてから、社員の安心感が増し、会社がすごく変わりました。

木南さんのところでも、今日いらっしゃっている、千本さんが入られたことは大きいのではないでしょうか。

僕たちのようなブルーオーシャン型の社会起業家にとってすごく重要なのは、僕たちをうまくプロデュースしてくれたり、僕たちと社員の間でメッセージの翻訳をしてくれたり、僕らの言っていることが「本当っぽく」聞こえるようにしてくれる、2番目、3番目の人の存在だと思います。

正忠 確かに僕は、三木谷の言っていることをよく翻訳しました。

特に、彼はよく英語を使うので、地方の事業者さんや店舗の方には伝わらないことが多くて(笑)

「社会によい振る舞い」は、企業経営にもプラスになる

正忠 大きなビジョンを持つ起業家とそのプロデューサーの組み合わせというのは、小欲を大欲に高めていくように同じ志を持って同じ方向を目指すのであれば、バラバラに戦うのではなく一緒に社会課題を解決していこう、ということですね。

髙島 僕たちの場合はまさにそうでした。

オーガニック食品市場は、アメリカでは1社で売上1兆円を超える規模ですが、僕たちの場合は3社(※)合わせて600億円を少し上回るくらいです。

▶編集注:オイシックス株式会社、株式会社大地を守る会、らでぃっしゅぼーや株式会社の3社。現在の社名(オイシックス・ラ・大地)は、この3社の社名に由来する。(同社HP沿革より)

この600億円のマーケットにいる人たちが競い合っても、意味がないと思うのです。

体に良い食べ物がニッチで、選ばれた人にしか食べてもらえないような環境は、僕たち流通業がだらしないせいです。

だからこそ、バラバラに頑張るより一緒に取り組んだ方が、社会のためには良さそうだということです。

資本市場に対して、どのようにシナジーを出すのか? 余剰人員は生じないのか? などの説明責任は生じますが、それでも長期的に見れば、社会に良い側に振る舞った方が企業経営としも正解なのではないかと思い、経営統合を行うことにしました。

正忠 今、髙島さんのお話を伺いながら感じたのは、視座の違いです。

「自分の欲を実現するため」という小欲にとどまっているうちは、視野が狭いので周りが敵にしか見えないけれども、視座が引き上がって社会全体を見ることで、視野が中長期になっていくということですね。

「この半期はどうか」ということではなくて、中長期を見ることができるようになるので、やはり視座を髙めていくことは大事だと思いました。

(続)

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続きは 4.「社会的事業ゆえのまったり感」と「新興事業ゆえのスピード感」にどう向き合うか をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/フローゼ 祥子/戸田 秀成

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