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4. オフィスで不稼働スペースが生じる理由は「設計ミス」より「運用ミス」?

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「成長企業のオフィス戦略」全8回シリーズの(その4)では、昨今ベンチャー企業をはじめ導入が広がる「お昼寝スペース」の話をきっかけに、“せっかく作ったのに使われなかったオフィススペース”に話題が及びます。OKANの沢木さんは、そうした不稼働スペースが生じるのはオフィスの「設計ミス」ではなく「運用ミス」が理由であるのことが多いと指摘します。ぜひご覧ください!

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(インターン)を募集しています。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 ゴールド・スポンサーのフロンティアコンサルティング様にサポートいただきました。


【登壇者情報】
2020年2月18〜20日
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 10F
成長企業のオフィス戦略〜そこに込めた思い、狙いとは?
Sponsored by フロンティアコンサルティング

(スピーカー)

沢木 恵太
株式会社OKAN
代表取締役 CEO

田中 弦
Fringe81株式会社 代表取締役CEO /
Unipos ファウンダー

森 雄一郎
株式会社FABRIC TOKYO
代表取締役社長

(モデレーター)

森山 和彦
株式会社CRAZY
代表取締役社長

▶本セッション開催に先立ち、フロンティアコンサルティング社のオウンドメディア「Worker’s Resort」にて、各社のオフィス取材記事が公開されています。ぜひあわせてご覧ください。

OKAN:
「ABW」「バイオフィリックデザイン」「五感の刺激」「データ分析」で最先端オフィスを構築するOKAN

Fringe81:
「ベンチャーはユニークさの追求」をオフィスで体現するFringe81

FABRIC TOKYO:
小売系IT企業FABRIC TOKYOが「オープンなカルチャー作り」を徹底した東京・代々木本社

「成長企業のオフィス戦略〜そこに込めた思い、狙いとは?」の配信済み記事一覧


連載を最初から読みたい方はこちら

最初の記事
1. 今こそ考えたい「オフィスの魅力とは何か?」成長企業のオフィス戦略を徹底議論!

1つ前の記事
3.「18時半以降お酒飲み放題で残業減」Fringe81の福利厚生制度“フリーダムアルコール”の効果

本編

森山 今ふと思ったのですが、オフィス内にある狙いを持ってつくったけれども、使われていない場所、使われていない施設はありますか?

こう狙ったのだけれども、全然意味がなかったとか、いかがでしょうか?

オフィスの「昼寝スペース」は使われる? 使われない?

写真左から、CRAZY森山さん、OKAN沢木さん、Fringe81田中さん、FABRIC TOKYO森さん

 弊社では、今のオフィスに移転するにあたって「昼寝スペース」のような場所をつくりました。

「アリーナ席」と呼んでいる階段形式のスペースがあるのですが、その裏側にオットマン(フットスツール)が置いてあって、足を伸ばしながら休憩できるスペースを4席つくりました。

これが意外と使われなくて、物置化してしまっています。

田中 弊社ではそういったスペースは完全に「真っ暗」にしていて、とてもよく使われています。

マットしか敷いていないのですが、目隠し的にのれんがあって誰がいるか分からないようにしたら、結構使われるようになりました。

森山 同じ寝る・休むためのスペースだけれども、使われる会社と使わない会社があるのは面白いですね。

 弊社の場合、昼寝スペースなのにそこにかなり日差しが当たるのです。

森山 設計のミスではないですか?(笑)

 カーテンを買ったら皆集まるのでしょうか。素晴らしいヒントをいただきました(笑)。

田中 あとはハンモックなどもいいかもしれません。

こちらが弊社の休憩スペースです。ここでも皆さんよく寝ています。

沢木 これは気持ちよさそうですね。

田中 すごく気持ちがいいです。

 しかも眺めが良さそうですね。

田中 はい。でも補強がすごく大変で、工事費がこれだけでかなりかかっています。しかもこれが2基あります。

 左側にあるのがハンモックですか?

田中 はいそうです。その右の黄色いのもハンモックなので、相当なハンモック好きです。

森山 逆に使われない、失敗したなと思うところはありますか?

「誰が寝ているかすぐ分かる休憩スペース」の失敗

(写真左) Fringe81株式会社 代表取締役CEO / Unipos ファウンダー 田中 弦さん

田中 2年半に一度大がかりな模様替えをしていて、その度に同じデザイナーさんにお願いしています。

「あそこが使いにくかった」「ここは使わなかった」などのフィードバックをもとに設計しているので、そうした失敗は今のオフィスにはあまりないですね。

ただ六本木の旧オフィスでは、少し小さめのモニターを9個並べて超巨大パネルにして、それを2基作ったのですが全く使いませんでした。

また、前のオフィスではさぼっている人をきちんと把握しようと思って、誰が寝ているかすぐに分かるようなオープンスペースをつくったら、これもまるで使われませんでした。

ですから、個室まではいきませんが「どうやって見えないようにするか」は今回しっかりと考えました。

とは言え、この大きな照明なんかもまるで意味がないんですけどね。

森山 結構高いですよね、この照明は。

 インテリア的なアクセントにはなっている感じはしますね、

田中 そうですね。そう言っていただけると嬉しいです(笑)。

弊社のデザイナーさんは、ホテルなどを手がける店舗設計系の方です。

オフィス設計はあまりされていない方ですが、オフィスの場合は想定される動線などをものすごくこだわって設計してくださっています。

ですから、先ほど申し上げたように全てが説明可能なのです(本セッションPart1参照)。

「なぜこの廊下は、この広さなのですか?」とその方に聞いたら、「ここは何人くらい通りますよね。その人たちがすれ違う時、オフィス的には若干近づくくらいがよくないですか?」と言われて、すごいなと思いました。

そういったことに気を配ってやってくださっているので、提案を見る度に面白いなと思います。

スペースが使われないのは「設計ミス」より「運用ミス」?

株式会社OKAN 代表取締役 CEO 沢木 恵太さん

森山 沢木さんのオフィスで、使わなかった場所はありますか?

沢木 弊社では全員Macを持っているのですが、Macにビーコン(Bluetooth発信機)を張り付けています。

私たちのオフィスはABW(Activity Based Working)を取り入れていて、オフィス内のゾーンを区切り、ゾーンごとにお勧めの業務を定義しています。

▶参照:フリーアドレスはもう古い 働き方を根本から変える「ABW」の破壊力(ITmedia ビジネスオンライン)

そこで、各ゾーンにiPhoneを受信機として設定して、誰がどこにいるかが検知しABWを評価する仕組みをつくりました。

どこの滞在率がどれほど高いかのログを取って、それによってチューニングしています。

滞在率が異常値を示すと「なぜそのゾーンが使われないのか」を考えますが、基本的に、ゾーンが悪いというよりはオペレーション・運用が悪いことが多いですね。

先日も「起立」と呼ばれるスタンディング・ゾーンの稼働率が下がっていたのですが、よく見てみると、床に荷物が散乱していて皆それが嫌で行っていなかっただけでした。

それを片付けると、また稼働率が上がりました。

他にも、社内向けモニターを設置したけれど、運用ルールがきちんと決まっていなかったために何も表示されていなかったことがありました。

そのように、オフィスの特定のスペースが使われない理由には運用面のミスが多く、「そのスペース自体が問題」という感じはあまりないですね。

 このように可視化されていることを、嫌がる社員さんはいないのですか?

沢木 個々の従業員がどこに何時間いるのかなどのユニークデータはあまり追っていなくて、統計データでしか見ていないので、そこは気にしていません。

むしろメンバーがこの管理画面を使って、お互いがどこにいるのかを調べていたりします。

組織サーベイを組み合わせたOKANのオフィス運用

沢木 弊社では、このログと自社開発の組織サーベイ「ハイジ」を使っているので、そのエンゲージメントスコアとの相関性を見ながら、どのゾーンに人を寄せたほうがいいのか、ゾーンの拡張をどうすればよいかなどを考えます。

例えば、「このゾーンに来ている多くの人のエンゲージメントが高いので、ここは拡大しよう」などです。

オフィスというのは一度移転をするとどうしてもそのままになってしまうので、このように途中でチューニングできる仕組みを取り入れています。

左のゾーンに行けば行くほど照明が暗くなっていて、静かで集中できるようになっています。

逆に、右側のゾーンに行けば行くほど、ワイワイ人が多いといった設定をしています。

事業と同じように、オフィスも、定量的に研究したり評価したりしようとすれば、もっとできるはずなんですよね。

(続)

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続きは 5. リモートワーク推奨下で考える「オフィスの本当の価値」とは をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/小林 弘美/フローゼ 祥子/戸田 秀成

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