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8.経営学の視点からも学び多きローマ帝国、まだまだ話し足りない!【終】

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歴史好きにはたまらないセッション「歴史から学ぶ『帝国の作り方』(シーズン3)」は、お待ちかね「帝国中の帝国」ローマ帝国がテーマです! 全8回シリーズの(最終回)は議論のまとめ。ローマ帝国は経営学から見ても学びの深い題材だそうです。最後まで議論が盛り上がるなか、話し足りない気分を残してシーズン3終了。続きはあるのでしょうか? ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 ゴールド・スポンサーの住友生命保険にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICCサミット KYOTO 2021
Session 5E
歴史から学ぶ「帝国の作り方」(シーズン3)
Sponsored by 住友生命保険

(スピーカー)

宇佐美 進典
株式会社CARTA HOLDINGS
代表取締役会長

北川 拓也
楽天グループ株式会社
常務執行役員 CDO(チーフデータオフィサー) グローバルデータ統括部 ディレクター

深井 龍之介
株式会社COTEN
代表取締役

山内 宏隆
株式会社HAiK
代表取締役社長

(モデレーター)

琴坂 将広
慶應義塾大学
准教授(SFC・総合政策)

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最初の記事
1. スタートアップから超大企業へ!今回のテーマは「帝国の中の帝国」ローマ帝国

1つ前の記事
7.M&Aした属州にも同じ制度を与える! ローマ帝国をさらに繁栄させた同化政策

本編

ローマ帝国繁栄の理由④戦略の型を作る

琴坂 最後に取り上げるのが、「戦略の型を作る」です。

私は歴史大好きなんですけど、経営戦略の有力な査読誌に、『Strategic Management Journal』という雑誌があります。少し前に、そこにローマ帝国の経営に学べという論文が出ていました。

CAPTURE, GOVERNANCE, AND RESILIENCE: STRATEGY IMPLICATIONS FROM THE HISTORY OF ROME. ABRAHAM CARMELI, GIDEON D. MARKMAN: Strategic Management Journal, Vol. 32, No. 3 (March 2011), pp. 322-341

手法の厳密性や、その議論の立て方などには確かに少し議論があった論文ですが、歴史学から学ぶことを経営戦略の領域に高い水準で持ち込んだ優れた論文でした。実際、近年では歴史から学ぶ重要性は経営学の世界でも再認識されています。

この論文の主張は、端的に言うとローマ帝国には一定の領域成長の型があったという主張です。

武力侵攻して、自国の領域を広げて、その新領域を自国に統一して、その新しい領域を経営していく。細かくは説明しませんが、ローマ帝国には、その方法論としての、saving powerという手法や、stronghold baceという手法や、Isolating and weakeningという手法があったとこの論文では解説しています。

特に面白いのは、そのローマ帝国の経営手法を、AT&Tに似ているとか、iPadではこうだったなど、現代の経営手法と比較検討しているところかと思います。

まさに、我々が今ここでしていることと同じかなと感じています。ローマ時代を、現代の経営に接続することを、学術論文という媒体で実践していた面白い論文でした。

ぜひ、後で読んでいただければいいなと思っています。

あっという間に時間がたってしましました。最後にご感想や、何を学んだのか、何を議論したのか、心に残ったことを、ぜひ一言ずつお願いします。

語り合うことで学びが広がるのが歴史の良さ

北川 僕は非常に勉強になって、面白かったなと思うのですが、同時に全然腹落ちしなかったストーリーラインもあったなと思いました。

とくに僕が腹落ちしなかったのは、共和制をなぜ作ったのかというストーリーが、たぶんすごく納得していなくて、きっと何かもっといろいろあったんだろうなと。

琴坂 いろいろ人間ドラマがあったんじゃないかと。

北川 だから、逆に分からないからこそ、面白かったですね。

琴坂 ええ。これはもう宿題で。

深井 調べると、「くやしかったから」だそうです。

(一同笑)

深井 本当はどうか分からないですが、本を読むと書いてあることは、7代目の王様タルクィニウス・スペルブス(不詳~紀元前495年)の王子が、ルクレティアという貴族の奥さんをレイプするのです。

その事件の前からエトルリア人の王に対して、ローマ人は自分から呼んできてたくせに、やっぱりちょっと嫌なんですよ。ムカついている。

ムカついているところにそんなひどいことを起こしたので、もう本当に怒りが大爆発して、とにかく王様という存在が超嫌いになるのです。

琴坂 たまりにたまったマグマがあったからですね……。

深井 (王様を)嫌い過ぎたというのが、共和制ができた理由という、僕は結構そのストーリーが好きですね(笑)。

北川 腹落ちしないところがあって、それをみんなと話し合うことで、学びがどんどん広がっていくのは、やっぱり歴史の良いところだなと思いますね。

琴坂 いろいろな視点をね。

今回われわれは一定文献を読み込んでから登壇しているので、楽しいわけですよ、普通に(笑)。

(会場笑)

システム論では説明できないスキピオの登場

山内 僕はスキピオ(スキピオ・アフリカヌス、紀元前236年~紀元前183年頃)推しなので……。

琴坂 スキピオを読んでください?(笑)

山内 真面目に説明すると、基本的にローマ、特に共和制ローマは、システマティックに因数分解して、それを学習につなげるという、マッキンゼーみたいな話なんです(笑)。

(会場笑)

属人的ではなくて、システムなんです。

マッキンゼー卒業生が、入社1年で「一生使える」仕事の技術を持てるワケ(ITmedia エンタープライズ)

だから因数分解して、ちゃんと考えて修正しろという考え方が2,000年前からできていた、僕はそういう理解なんです。

ただ、それでもいくつか説明できないことがあって、最も説明できないと僕がローマ史を見て思うのは、ハンニバル将軍に滅ぼされそうになったローマを、なぜああいう救国の将軍(スキピオ)が出てきて逆転したのかという話なんです。

これは僕はよく理解できないんですよね。

琴坂 なるほど。

山内 カルタゴを滅ぼしてからは、非常にローマはポジショニングが良くなります。

要するにローマは、もともと立地が悪くて四方を敵に囲まれているのですが、南と西の敵が消えるんですよ。

だからユリウス・カエサル(紀元前100年~紀元前44年)は素晴らしいですが、北のガリアだけ攻めることは優秀な人だったらカエサルでなくてもできただろうなという感覚があります。

でも、第二次ポエニ戦争で、あの危機に瀕した状況を逆転した、スキピオがなぜ出てきたかは、システム論だと説明できないんです。

これは経営論が全部システムで説明できない、とんでもない起業家が出てくるとか、そういう話に近くて、とくにベンチャーを経営している方は、スキピオを勉強するといいかなと思っています(笑)。

北川 必然性が無かったと。

山内 必然性が無いんです。そこだけ説明できないんですよ。

琴坂 なるほど、スキピオの宣伝でしたね(笑)。

深井 そこにすごく思うことがあって、歴史を勉強していると、これは確率論なのではないかと思うんです。

ローマの共和制では、有事の際に優秀な人間が出てきやすいですよね。

出てきやすい環境下において、たまたまこういう才能のある人間が出てくることが、何パーセントかの確率で起こる状態をたぶん作っていたのです。

運が良かったので、これが本当に実現したんじゃないかなと、歴史を勉強して、すごく感じるんですね。

環境と人物の確率論なんじゃないかなみたいに。

琴坂 逆に言うと、確率論を作るところというか、システムを設計するノウハウみたいなところは、現代でも学ぶ価値があるということですよね。

深井 そうですね、確率を上げていこうとすることができるんじゃないかなと思います。

琴坂 そうですね、ありがとうございます。

ローマについては、まだまだ話したりない

宇佐美 前回(シーズン2)の帝国の話と、今回もつながっている部分があるなと感じました。

▶ 【一挙公開】 歴史から学ぶ「帝国の作り方」(シーズン2) (全9回)

なぜローマは名誉や公の意識を作れたのか、さっき深井さんがお話をされましたが(Part.5参照)、前回、「国民国家」の意識の話がありましたよね。

3. 第一次世界大戦で、国民意識が芽生えた「国民国家モデル」の帝国が勝った理由

第一次世界大戦で勝った帝国と負けた帝国の差はどこだったのかという話がありましたが、実はローマ帝国は2,000年前に、「国民国家」の意識を、都市国家のときから脈々とローマ帝国になるときまで維持し続けられた国なんじゃないかなと思います。

結果として滅びたときは、逆に国民国家の意識が無くなっていたから、滅びたんじゃないかと思うんです。

琴坂 なるほどね。

宇佐美 今日そこまで話ができれば良かったなと思いながらも(笑)……。

(会場笑)

琴坂 まだまだ消化不良なところもありますね(笑)。

宇佐美 まだまだ話したりないですね、ローマはね(笑)。

琴坂 今回もたくさんいい議論ができました。

私としても、これだけサイエンスが進化しても、ソーシャルサイエンスは全然進化していないと感じました。

本当に、2,000年前の事実からもたくさんの学びがありました。皆さんもぜひこれを契機にして、歴史を見直して、歴史から知見を得て、日々の経営に活かしていただければと思います。

本日はご清聴ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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