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じげん、ユーザベース、リンクアンドモチベーションの強さを組織から解き明かす!人気セッション「最強の組織戦略」シーズン2【ICC FUKUOKA 2019レポート#9】

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2月18日~21日の4日間にわたって開催されたICCサミット FUKUOKA 2019。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回は、モチベーションクラウドでお馴染みのリンクアンドモチベーションのスポンサードセッション「最強の組織戦略 〜じげん、ユーザベース、リンクアンドモチベーションのすべて~」の模様をレポート。各社が語る組織戦略とは? 麻野耕司さんが考えるICCサミットの魅力とは? ぜひご覧ください。

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをご覧ください。


今回スポンサードセッションをレポートをするにあたり、どれをフィーチャーするかとなったときに、まっ先に上がってきたのが、Session 5C「最強の組織戦略 〜じげん、ユーザベース、リンクアンドモチベーションのすべて~」だった。

モデレーターを務めるリンクアンドモチベーション取締役 / ヴォーカーズ取締役副社長の麻野 耕司さんには、ICCサミットの第一回目から登壇いただいている。毎回終了後の参加者によるアンケート調査では、常に高い評価を集めるセッションに登壇しており、特に組織論といえば、ICCサミットでは欠かせない方である。

モチベーションクラウドを導入している参加企業も多く、リンクアンドモチベーションは2017年の福岡から不動のトップ・スポンサーでもある。

プログラムの裏表紙でも存在感を発揮

2019年の福岡のセッション初日、4セッション連続登壇のうち、3セッションが組織論(うち1つは120分拡大版)、この日、最後の登壇がこの「最強の組織戦略 」セッションだった。

当初、クラウドワークスの吉田浩一郎さんも登壇予定だったが、開催2日前にインフルエンザが発覚したため欠席。その代わりに麻野さんが自社の戦略について語ることになっていた。

Session 5は、18日最後のセッションで開始時間は18時。麻野さん、ユーザベースの稲垣裕介さん、じげんの平尾丈さんが壇上に上がった。3人ともモチベーションクラウドのパーカーを着ている。

3人お揃いのパーカー姿で登壇

このレポートでは、後日書き起こし記事で配信予定のセッションのダイジェストと、登壇者の感想に加えて、麻野さんにうかがったICCサミットへの想いをお伝えする。

「最強の組織戦略」シーズン2!

このセッションは、2018年京都で好評を得た「最強の組織戦略〜メルカリ・ラクスルのすべて〜」に続くシーズン2。各社の組織戦略とそのために実施した具体的な施策を経営者が語り、その企業の個性や強さの理由を明らかにしていく。

3セッション連続登壇の疲れも見せずに、麻野さんが張りのある声で討論を開始した。

リンクアンドモチベーション 取締役/ヴォーカーズ 取締役副社長 麻野耕司氏

「カンファレンスなどの場では、各社が組織施策を発表して、共有されます。でも、組織施策の表面だけを見て、真似てもほとんど効果がありません。自社の事業戦略があって、組織施策があります。ひとまとまりで理解しないと、何がよくて悪いのか、なかなかわかりません。ここではそれを深堀りしていくセッションにしたいと思います」

ユーザベースもじげんも、これに先立って発表された決算は絶好調だ。まずはユーザベース稲垣さんから一言。

稲垣さん 「事業をどう経営しているか、何を突き詰めて経営しているかはカラーが出ると思います。私たちを一つの例としてご紹介したいと思います」

平尾さんは意味ありげな笑顔でマイクを握った。

平尾さん 「本日リンクアンドモチベーショングループに入社しました、平尾丈と申します!(笑)」

麻野さん 「クライアントにパーカーを着せるという、モチベーションクラウドの顧客の使い方の粗さ!(笑)」

平尾さんは「僕はあまりクライアントのTシャツを着たりしないのですが」と、戸惑った素振りを見せて、会場を笑わせた。リラックスした雰囲気のなか、真剣なディスカッションが始まった。

ユーザベースの「原則」経営戦略

ユーザベースの稲垣さんは「原則を共有して、無駄を排除」という考えにのっとり、その考えが生まれた背景や具体的な施策を体系化していった道のりを語った。

ユーザベース 代表取締役社長(共同経営者)稲垣 裕介氏

共同経営者の梅田優祐さんに朝9時出勤を求められ、当時、夜間作業も発生するエンジニアだった稲垣さんが反発するといった「組織あるある」的エピソードに始まり、現在、BtoBはSPEEDA、BtoCはNewsPicksの絶好調を支える、ミッション・バリュー経営と、その具体的な施策を解説した。

基本はミッションである「経済情報で、世界を変える」と、バリュー「7つのルール」の2つの原則に忠実であること。加えて、ミッションをより深掘りして、「4つのやらない」を決めているのが異色だ。

麻野さん 「原則なのか、ルールまで落とし込むのかは、組織にもよります。いずれにせよ”暗黙の前提”でみんなが動くようにはしない、というのは大切ですよね。”暗黙の前提”は人それぞれ違って当然ですから」

稲垣さん 「僕らは創業から5年くらい、共同創業者3人のチーム経営でやってきました。創業メンバー同士の価値観は揃っていたのですが、そこから執行役員制度を導入して経営メンバーの人数が増えたら、経営会議のスピードが遅くなったのです。何を話しても、それはなぜ?ということの繰り返しでした。

でも1年かけて、原則の文脈の共有をしたら、そのあとは一気に早くなりました」

成長企業は、描く未来に共感してもらえないと採用が難しくなる。環境変化が激しい中で、「これはやらない」というNGゾーンを明確に設定しているユーザベースは、成長企業として非常にユニークだと麻野さんは指摘した。

稲垣さん 「そのあたりは、共同創業者の新野(良介氏、経営顧問)が思いをもって進めてきたところで、私は当初、反対する側でもありました。ルールで縛るのではなく、原則としてシンプルに伝えることで、組織にカルチャーとして浸透していきやすい気がします」

作り込んだ資料を用意してくださったユーザベースの稲垣さん(写真左)

平尾さん 「じげんは事業家集団なのですが、思想や哲学をしっかり体現されているユーザベースさんと、組織・人材開発の神様リンクアンドモチベーションさんに挟まれて、僕は困ってきてしまいました(笑)。うちは原理原則論にまで明言化していなくて、”イズム”でなんとかしてきたので。

絞りすぎると難しく、ユーザベースさんの”Not A”をちゃんと決めるところがすごいと思います」

ユーザベースはミッション・バリューのひとつひとつを言語化することで、採用もうまくいくようになったという。悩んだときには、リンクアンドモチベーションに入ってもらい、整理をすることもあったそうだ。

じげんの「スーパーゼネラリスト」組織戦略

続いて平尾さんが、じげんの組織戦略を語り始めた。逆説的な冒頭に、会場は聞き入っている。

じげん 代表取締役社長執行役員CEO 平尾 丈氏

平尾さん 「じげん創業時は細かな組織戦略がなくても良かった会社だと思っています。

学生ベンチャーの経験に大企業(リクルート)の経験を合わせてやっていて、自分と価値観の違う専門性の高い人を採ると遠心力が働くなどわかっていたので、他のベンチャーが最初の組織構築で躓いてる中で相対的には困りませんでした。むしろ今のほうが苦労しています。

なぜなら最近は働き方改革の文脈の中で、組織で集う意味が希薄化してきていて、エンゲージメントが大切になってきています。同じ場所で、同じモチベーションで戦うべきかという問題を経営者は考えていかないといけないタイミングになっています」

そこで平尾さんが採ったのは、メンバーを”スーパーゼネラリスト”に育てていくという戦略。専門性にも拡張した複線型組織を作りたかったものの挫折。その中でうまくいったのがこの戦略のじげんだったという。

”スーパーゼネラリスト”は起業や転職などの市場で引く手あまたとなり、やがて外に出ていってしまう。それがわかっているならば所属中に十分活躍してもらい、そういう人材を輩出する企業というブランディングにしていった。それを少数精鋭で進めていった結果、社内にさまざまな事業ができたそうだ。

「次元を超える事業家集団」ということに特化したじげんを称賛した麻野さんだが、そうしたことへのデメリットを尋ねることも忘れない。

理路整然とした語りに稲垣さんもたじたじ

それに答えた平尾さんは、6つのアントレプレナーの定義のもと、目標は相当高く、責任は重くという組織づくりをした結果、やりがいの大きな仕事になっているが、一方2:6:2の法則に組織が集約していったときに、採り切れていない人材がいることに自覚的だ。しかしそれを踏まえてなお、メリットのほうが大きく感じられるという。

シンプルな原則を定め、課題を1つ1つ解決しながら組織を作り上げてきたユーザベースと、”ビジネスモデルおたく”というほど戦略を研究し、自らを俯瞰しながら組織を磨き上げるじげん。あまりに違う2つの企業の組織戦略に麻野さんは適宜、最新のトレンドや、質問をはさみながら解説を付け加えていった。

麻野さん 「組織戦略の大事なことはリンクすることなのだなと改めて思いました。平尾さんの組織でユーザベースのやり方をやってもうまくいかないし、稲垣さんがじげんに入ってもうまくいかないでしょう。

成長企業には一貫性、オーナーのキャラが一致しているのが非常に大事、自分のストロングポイントに合わせて、そこから一貫性を持って組織戦略をするのがとても大事だと思いました。さて、質疑応答いきますか」

平尾さん 「あれ?リンクアンドモチベーションさんのプレゼンは? みなさん期待していますよ!」

平尾さんの催促を受け、では簡単に、と麻野さんがマイクを手に取った。

事業転換に伴うリンモチの組織変革

5つの組織改善ポイントについて語る

麻野さん 「僕らはコンサルティング事業からモチベーションクラウド事業に変わるという、事業転換がありました。事業転換に伴い、それに合わせて自分たちの組織を変える必要がありました。

そういうときに、他の会社の組織戦略を自分のところにそのまま持ってくるのは愚かなことです。とにかく今日は、それを一番伝えたいです。

僕らの組織を変えるためには、5つありました。まずは目標設定をどうするか。以前はとにかく売上を追う組織でしたが、ミッションに立ち返るとそうではないと考え、リピート率を重視することにして、それがブレイクスルーとなりました。そこで生まれたのがモチベーションクラウドです」

それ以外の4つは人員選定、意思疎通、意思決定、共感創造について。以前の組織を変更するというよりも、別の組織を創るぐらいの変革を行っており、それが現在の成功につながっているかが詳細に解説されたので、後日の書き起こし記事をぜひお待ちいただきたい。

麻野さん 「組織を創っているのは経営者ではなく、社員全員です」

この言葉が、現在の組織を表す端的な表現となるようだ。

麻野さんの語る組織戦略については、『ビジョナリー・カンパニー』を超えるつもりで構想1年、執筆したという2019年4月3日に発売される最新刊『THE TEAM〜5つの法則〜』でも紹介されているとのことだった。

そのあとは会場からの質疑応答があり、平尾さんの熱烈なモチベーションクラウド大推薦の弁があり、語ることが尽きないまま時間となってセッションは終了した。

握手でセッション終了

「文化の違いは、会社の可能性でもある」

セッション終了後、明晰で畳み掛けるようなトークで会場を圧倒した平尾さんはすぐに帰京されるとのこと、「僕がじげんに入ったらすぐ怒られそう…」と言って場をなごませていた稲垣さんに感想を伺った。

ポリシーのある組織づくりを語ってくださった稲垣さん(写真左)

稲垣さん 「じげんの平尾さんとは、笑えるぐらいに違いましたね(笑)。文化の違いは、経営者のカラーで、会社の可能性でもあります。

私たちはミッション・バリュー経営、平尾さんは事業家集団、それぞれの軸で突き抜けていく。それを追求することで組織カルチャーとして定着させ、会社全体の強みにできるかが重要です。

まったく対照的な2社だったので、個人的にもおもしろかったです。

ICCサミットに参加するのは2回目です。参加がきっかけで協業につながったこともあります。今後もテクノロジーやグローバル展開など、ベンチャーと大企業が共創していきたいシーンは絶対あるので、こういう場所は意味があると思います。

私たちも機会があれば、また参加したいですね。これだけ質が高く、場の強度が保たれている場をつくれているのはすごいと思います」

麻野さんは疲れも見せず、「いや〜面白かった!」と繰り返している。組織の話をし続けても、この日4つ目の登壇であっても、興味は尽きない様子だ。

学んでも学んでも、学び足りることはないという姿勢が印象的だ

麻野さん 「僕も組織や人事を勉強して10年以上になりますが、面白かったですね。今のセッションの中でもいろんな気付きや学びがあり、けっこうメモをとりました。すごく面白かったです。

スポンサードセッションでは、僕とマーケティングのチームで、パネラーやモデレーションを考えています。みんながこの人の話を聞きたいだろうという人、または僕らがお手伝いしていて知っている企業で、この会社の話を聞いてもらいたいという企業の方々に登壇いただいています。

組織のカラーは十人十色で、いろいろなセオリーがあると思います。じげんとユーザベースは業績と時価総額を見ると、どちらも非常に成功していますが、こんなに組織が違うこと、そして一貫したポリシーが大事なんだということが学べました。

平尾さんの(モチベーションクラウドの)プレゼンがきて、頼んでもいないのにびっくりしましたけど(笑)、2社の熱量高いプレゼンから、強みを強化するのが大事ということを実感しました。今日はグリーの田中良和さんの話(3Cの完全オフレコセッション『組織の壁(シーズン4)~過去の失敗から学んだこと~』)もとてもよかったんですよね」

「お客様扱いされないところが、逆に楽しい」

麻野さんはICCサミットに、どのような気持ちで臨んでいるのだろうか。

学びあり、笑いありのディスカッションを繰り広げた

麻野さん 「ICCサミットの第一回目、スポンサーが2社だったころ、モチベーションクラウドをリリースしたばかりのころからずっと一緒にやらせてもらっています。僕がICCサミットの一番いいなと思っているところは、”ともに創る”というコンセプトで、スポンサーも全然お客様様扱いされないところです。

スポンサーセッションであろうと、全部アンケートの結果が開示(※)されるから、めちゃくちゃ緊張感があります。終わった時に、スポンサー同士で『どうだった?』と聞きあったり、新しいスポンサーの方には、セッションをどうやって作ったらいいのか、どうしたら満足度が上がるのかなど、聞かれたりします。

【開催御礼】ICCサミット FUKUOKA 2019 セッション評価レポート

お客様扱いされないところが逆に、みんな楽しいのだと思います。与えられた場より、ともに創る場のほうが熱も帯びます。準備は大変なのですが、返ってくるものも大きい。

今回もめちゃくちゃパワーアップしていますよね。今朝着いて、エレベーターを上ってきたときに、こんなに人がいるんだと思いました。実際に人数も増えていると思いますが、会場の熱気が過去最大でした。どんどん周りの人も参加するようになっていて、勢いが素晴らしいと思います。

モチベーションクラウドも同じで、最初は誰も知らないようなプロダクトだったのが、今はHR TechやSaaSの中でも牽引できるようになってきたので、ICCサミットとはともに成長してきた感覚が強いです」

セッション終了後、カタパルトに登壇したMarketing-Roboticsの田中亮大さんが挨拶に

現在、ICCサミット参加者のなかにモチベーションクラウドの利用者は100名程度いるという。

この後のプレミアム・パスのパーティに参加した麻野さんは、HLAB高田さんの披露するマジックに自ら参加して、一番楽しんでいた。「これ、絶対見たほうがいい!」と子どものように喜んでいる。4セッション連投の、長い長い1日の仕事を終えた後にである。

まさに、自らが「燃えている人だから燃やすことができる」のであって、ビジネスはもちろんのこと、面白いと思ったこと、良いと思ったもの、自分の学びまで、周囲の人たちに伝播せずにはいられないのだろう。そうでなければ、多忙な毎日を縫って100冊以上の文献を読み、本を執筆したりしない。

この翌日の「CRAFTEDカタパルト」では、目をうるませるようにして、プレゼンに聞き入る麻野さんの姿を見た。その理由は別レポートでお伝えしたい。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子

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