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GRA先端農場を初訪問! 1粒1,000円の「ミガキイチゴ」はどうやって作られているのか?

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4月16〜17日、ICCパートナーズは、下見旅行以外で初となる東北への視察旅行へと出かけました。こちらの記事では、その2日目に訪れた宮城県山元町のGRA「ICHIGO WORLD」の訪問レポートをお届けします。GRA岩佐大輝さん自らのガイドで、先端農業を見学して、ミガキイチゴが作られるアグリテックの最前線を学んできました。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月3〜5日 京都開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


ICC特別企画 山形・宮城ツアーの2日目。鶴岡市のスイデンテラスをチェックアウトして、ICCパートナーズ一行が向かったのは、宮城県亘理郡山元町のICHIGO WORLDGRAの岩佐大輝さんがミガキイチゴを作っている現場を見てみたいという、1年越しの願いがついに叶う日がやってきました!

1粒1,000円の高級イチゴ「ミガキイチゴ」で世界を元気に!農業生産法人GRAの夢と挑戦(ICC FUKUOKA 2019)【文字起こし版】

最上位のミガキイチゴは1粒1,000円

早朝、スイデンテラスを出発すると、4月中旬でも月山を超えるあたりでは雪がまだたくさん残っていました。車で走ること2時間半。ICHIGO WORLDが見えてきました。想像以上に広大な敷地に、ハウスが連なっています!

「ワクワク・ドキドキ・甘酸っぱい体験」が待っている!

これでも敷地の4分の1

この日、一緒に行きたい人はいませんか?と希望を募ったところ、ボールウェーブの赤尾 慎吾さんや岩谷 隆光さん、東京からも運営スタッフの高杉涼平さん、島田 知輝さん、カメラマンも兼ねる戸田 秀成さんが合流しました。はるばる福岡からは、九州パンケーキの村岡 浩司さんも飛行機と新幹線を乗り継いで合流です。

東京から到着!

笑顔で迎えてくださった岩佐さん(写真左)と村岡さん

絶好のお天気の下、岩佐さんと、村岡さんの明るい挨拶で、遠足気分が盛り上がります。しかし、一歩ICHIGO WORLDに足を踏み入れ、一粒1,000円のミガキイチゴを作り上げるまでの創意工夫を聞きながら見学を進めていくと、ワクワク・ドキドキの驚きと学びが満載でした。

もちろん甘酸っぱい体験も、存分に堪能させていただきました。早速その模様をお伝えしたいと思います。

GRAのあゆみとオフィスを見学

「農業を強い産業とすることで、地域社会に持続可能な繁栄をもたらす」ことがGRAのミッション

ICCサミットのプレゼンでも語られているが、岩佐さんが農業に関わるようになったのは、2011年の震災以降のこと。地元山元町は、特産のイチゴを作る農家129軒のうち、125軒が津波で流され、岩佐さんは復興支援として残った4軒の農家の手伝いを始めた。

農場を作り、研究施設を作り、「ミガキイチゴ」というおいしいイチゴのブランドができたのは、GRA設立の1年後。このブランドをほかの農家にも活用してほしいと思ったが、そうはすんなりといかなかった。外側からサポートするだけでは保守的な業界は変わらないと、岩佐さん自ら農業の世界に入ることにしたという。

岩佐さんの98歳の祖父(イチゴ農家)、母親やその友人、震災で娘を無くしたばかりの人など
GRA設立初期のメンバー写真

それから約8年、GRAは大きく成長し、岩佐さんは理科の教科書で活躍が紹介されるまでになった。イチゴ作りだけではなく、化粧品やインドなど海外法人での生産、新規就農支援(支援を受けてすでにGRA以上に大きな施設もあるという)、ミガキイチゴを使ったスイーツが食べられるカフェ「いちびこ」は2019年5月現在、都内に3店舗あり、さらなる出店を目指している。

【活動レポート】さらなるCo-Creationのために! スタディツアー第1回目「Mellow」、ブルーボトルコーヒー&ミガキイチゴのスイーツカフェ『いちびこ』を初体験!

このほか、プレゼンでもおなじみの海外の農場も含むすべての環境管理を行う赤い壁のコントロールルームや、5℃に保たれているイチゴ専用冷蔵庫、執務オフィスも見学した。

イチゴだらけの冷蔵庫

右にはイチゴハウス、左にはオフィスが並ぶ

いよいよハウスの中へ入っていく。

イチゴの形の決め手は、ハチによる受粉

プラットフォーム栽培は、作業性が高いことと病気がつきにくくなるメリットがある

ハウスに入ると、天井から太陽がいっぱいに降り注いで明るく、温かい。このハウスは一般のお客様にイチゴ狩りスペースとして提供しており、規模感でいえば、マイクロバスが3〜4台同時に来ても余裕がありそうな広さだ。

苗は高さのある台に植えられ、整然と並んでいる。青々とした葉の間からは、大きなイチゴがぶら下がっているのが見える。床面に明るい色のシートが貼られているのは、イチゴにまんべんなく光を当てるためだそうだ。

岩佐さん「受粉する力のことを粘性といいますが、イチゴの粘性は弱くて、トマトのように振動や、人が付けたりするのでは受粉しません。ここではマルハナバチという1匹300円のハチが受粉を行っていて、現在100匹います。

マルハナバチってどんな虫?(マルハナバチ国勢調査)

マルハナバチは作物の主要な花粉媒介者で、生態系に不可欠な存在

ハチは曇天など光が弱いときは飛びません。イチゴの品種によっては、受粉に最適なタイミングが3日ぐらいしかないものもあります。受粉がきっちりできないと、イチゴが変な形になってしまいます。たとえば3日間曇天だと受粉がうまくいきません」

イチゴの白い花を目指して、ハチがブンブンと飛び回っている。おいしいイチゴには、彼らが不可欠な存在なのである。

虫つながりでいえば、GRAは農薬を撒かない天敵農法を採用している。イチゴの一番の害虫はダニのため、そのダニを食べるダニを撒いている。農業資材は、オランダやイスラエルが強く、GRAで使っている虫たちもオランダの企業から買っているそうだ。

日照時間は13時間まで

岩佐さん「イチゴは、日の長さが1日13時間以上になると、花が咲きません。だから日照時間の長い夏はできなくなるのですが、ここでは暗幕やクーリングシステムで管理して、夏でも栽培することができます。

光合成に大事なのは、湿度、光の強さ、温度に地中環境の組み合わせが必要で、苗は敏感です」

話をうかがっている間にも、ハウス内で何度もスプリンクラーのようなものからミストが噴霧された。それは一定のパターンで出るわけではなく、ハウス内の湿度をセンシングし、一定に保たれるように自動管理されている。

岩佐さん「今までなぜイチゴの品質が変わってきたかというと、そういった作業が手作業だったために、影響が出ていたのです。100%いい環境が作れなかったからではないかと思います。

インドの日照時間はぎりぎりで13時間あります。理論的には赤道直下で涼しい場所があれば、イチゴ作りには最適な環境です。

山元町と似た環境のヨルダンでも最近作り始めたのですが、夏は作っていません。日本の仕組みをすべて持っていくこともできるのですが、ノウハウベースのところでやっています。権利化しても、それはイコール実体がオープンになるので、権利を守ることにはつながりません」

果皮の硬度を保ちながら完熟させる

次に私たちは、岩佐さんがその場で採ったイチゴをひとつずついただいた。種も真っ赤、ヘタの際まで真っ赤に熟しているが、みずみずしく、新鮮そのもののイチゴだ。

甘酸っぱい果汁に満ちた表面はきれいな光沢があり、硬くもなく柔らかくもない。「厳選した最強のイチゴを選びます」と、岩佐さんは、あちこちから手際よくイチゴを摘む。

「おいしい! 今まで食べていたイチゴと段違い!」

口々に感激の声を上げている私たちに、岩佐さんが説明する。

岩佐さん「イチゴは糖度を外部から非破壊で計測することができませんが、しっかり管理するとこんな甘いイチゴができます。

イチゴがぶら下がった状態だと、果皮の硬度が上がります。すると完熟で収穫しても輸送性が失われません。たいていみなさんがお店で買っているようなイチゴは、このくらいで収穫します」

と言って、岩佐さんが手にとったのは、種は赤いが、ヘタのまわりや実は半分白いような、上の写真では中央に写っているようなイチゴだ。「食べてみてください」と勧められて口に含むと、見た目よりは甘い。

岩佐さん「色は追熟によって赤くなるけれど、糖度は上がらないので、完熟したものより甘くないのです。市場流通させようとすると収穫から店頭まで数日かかるので、追熟も考慮した時点で収穫しますが、ミガキイチゴは果皮が硬いので、完熟してから出荷できます」

ICHIGO WORLDの売店では、ミガキイチゴを買って帰ることもできる。岩佐さんが「ジャムなど料理に使って」と言った、3パック強ぐらいが入った大箱は、その日はなんと1,000円だった。東京のスーパーでで買えば、何倍するだろうか。見るからに甘そうだ。

山元町まで来なくても、そんな完熟したミガキイチゴが食べられるのが、GRAが東京で展開しているカフェ「いちびこ」。前日に収穫したものが翌日スイーツとなって店頭に並んでいる。

成長点をピンポイントで省エネ管理

岩佐さんがプレゼンで語っている、イチゴ栽培の形式知化の部分は、制御パラメーターが命。日照時間やなどに加えて、土壌や育て方にも秘訣がある。

岩佐さん「土壌はヤシガラで、栄養分、温度、水分のセンサーが入っています。水が与えられた量と、排液(出てくる量)、CO2など、たいていのことは計測しています。農業はすべてそうだと思いますが、どういう温度でどの程度やるかといったソフトの部分が、ハードよりも重要です。

イチゴの成長点は、根元であるクラウンの部分。ここを温めたり、冷やしたりすることで、より苗が反応します。花が咲くタイミングもコントロールできます。

根元に黒いチューブが見える

冬はヒーター、夏は20度の水が、根元のチューブに必ず流れています。エネルギーを使って、ハウス内の温度管理をするよりも、省エネで管理することが可能です」

初期投資は当然かかるが、ランニングコストとしては普通の農家と変わらないとのこと。収穫したイチゴは倍の値段で売れるため、減価償却はできているそうだ。

イチゴは株分けして増やす

ここからは少々マニアックな内容になるが、イチゴ栽培の工夫や面白さ、イノベーションを、岩佐さんに存分に語っていただいた。

岩佐さん「これは、昨年11月に植えた親株です。そこからランナーというツルが伸びて、そこから子株の苗ができ、それをハウスに植え替えて増やしていきます。親株は再利用可能ですが、2年目はランナーよりも、栄養成長という葉の成長に傾くので、実が小さくなっていきます。

岩佐さんの手前に伸びているのがランナー。これが地面につくと根が生えて株ができる

1つの株からは、20本くらいのランナーが出ます。その1本からまた1、2つ取れるので、1株から数十株取れます。

親株の再利用は病虫害を持ち越す恐れがあるし、年数が経つと粘性も落ちるので、僕らは処分してしまいます。農業にはこういういろいろなメカニズムがあって、ハマると面白いですね。マレーシアでは親株を3年くらい使っていて、わさびか!というくらいに茎が太くなったりします(笑)。

苗の業者から買う農家さんもありますが、ここでは二次育苗しています」

4月は現在は定植させる時期ではないが、夏出荷用の苗を育てていた

病害虫との戦い

先に天敵農法でダニを使っている話が出たが、それだけでは病気は防げない。二重三重の管理をしているからこそ、無農薬でミガキイチゴが育つ。

岩佐さん「苗の段階でも処理があります。苗を密封して、二酸化炭素の濃度を70%くらいまで上げて、2日間放置すると、害虫の卵や成虫がすべて死にます。そういう苗を植えると害虫の心配はなくなりますが、それではカビ系の病気は死にません。

そのために蒸熱処理をします。ある一定の温度の飽和水蒸気を、一定の秒数かけることで、カビ系が死ぬので、無病苗として植えることができます。これは我々しかやっていないかもしれません。

病害虫の防除が、一番歩留まりを悪くするし、人の手数を増やすことがわかっているので、そこに投資しています。それでペイすることも分かっています。

防除用の施設を作る前は、もっと小さい規模のものを作って実験してから着手しました。最初は機械もないので、こういうことをしたいと要望を伝えて、メーカーと一緒に作っています」

“魔法の箱”でクリスマスのイチゴを作る

「あの先に見えるのは、”魔法の箱”です」と岩佐さん。

写真の奥の灰色のハウスが「魔法の箱」

線路のようなレールの上に、滑車付きの台があり、奥には灰色のシートに覆われたハウスが見える。

岩佐さん「あれは『夜冷処理庫』といいます。イチゴは普通に育てるとクリスマスに出荷できません。でも、真夏にあの箱に苗を入れて日照時間は13時間、秋口の気温で管理すると、花が咲く環境を擬似的に作れて、クリスマスシーズンのイチゴが作れます。苗をユニットごと持ってきて、4段スライドで数万株を入れることができます。

これは伝統的な方法で、祖父のときは”山上げ”をしていたそうです。夏に蔵王の山へ苗を持っていって、寒いところに置いておき、花芽をつけさせる。その次には、”暗黒処理”という方法がありました。ずっと暗黒に入れておくと花はつくのですが、イチゴがうまく育たないため、収穫量が減るという問題がありました。

この『魔法の箱』はそのふたつの折衷案で、暗くしたり、太陽光に当てたりと出し入れができます」

イチゴ農家のビジネスモデルが変わる発明

岩佐さん「いま、ビジネスモデルが変わるようなインパクトのある発明ができつつあります。イチゴの親株がいらなくなり、種から育てるというものです。現在、いろいろな研究機関が取り組んでいます。

黄色いボックスが発芽機

イチゴの種をまいて発芽機に入れて発芽させ、人工光の植物工場に入れると苗ができます。さきほど説明した、ランナーから苗を増やす手間がなくなるばかりか、種なら病気のリスクもなく、輸出なども非常に容易になります。そんな種子繁殖型イチゴが、これからはやるだろうと言われています。

種子繁殖型品種で生まれる変革(種子繁殖型イチゴ研究会)

ただし、同じ株でも違う性質を持った種になるので、親株から分かれるのとは違って、さまざまなイチゴが生まれます。種子全体が兄弟で、みんな個性が違うのです。

人工光育苗室

発芽したら、苗にストレスをかけたり、悪い病気をかけて、強いものを選別していきます。強さ、作りやすさというのは非常に大事だからです。そこで選んだ苗を、種をとって増やしていきます。新しくおいしい品種が出てくるには、約5年ほどかかります」

約30年前に、コシヒカリに次ぐ人気を誇った米、ササニシキは病気に弱かったことから、作付面積を多く減らしたという歴史がある。農業のPDCAは長く、そのノウハウは長らく体得によるものだったが、岩佐さんらのように形式知化したものが蓄積されてきたからこそ、こういったイノベーションが起き始めているのだろう。

イチゴ狩りタイム!

さて、イチゴについての勉強が終わると、岩佐さんに摘み方を習って、ICC一行、イチゴ狩りタイムがスタート!

ミガキイチゴはGRAの先端農場で栽培された上質な複数品種(とちおとめ、もういっこ、よつぼし)の統一ブランドで、プラチナ、シルバー、レギュラーなどのランクに分かれている。今回私たちがイチゴ狩りを楽しんだのは、「よつぼし」のハウスだ。

ふたつの指で挟んで引っ張るだけ

言われたとおり指で茎を挟んで軽く引っ張ると、完熟したイチゴは茎も株も傷めずあっさりと摘むことができる。

鈴なりのイチゴが私たちを待っている!

練乳の入ったトレイをもらい、摘みながら食べていくが、驚いたのはどのイチゴにもハズレがないこと。聞いた通り、ヘタまで赤い完熟を選んでいくと、どれも甘酸っぱくて、食べごろピークのものばかりだ。

1つもハズレなし、全部おいしいミガキイチゴ

収穫が追いつかないものは加工品にまわしているそうだが、生で食べるのがおいしく、練乳をつける必要がないほど甘い。甘いだけなら食べ飽きるが、わずかな酸味がさわやかな後味となり、私たちは人生で一度に、こんなにイチゴを食べたことはないのではと思うぐらいイチゴを楽しんだ。

ボールウェーブ赤尾さんは「甘さ以外の匂い成分のプレゼンスがある」とさすがのコメント

カメラマンとして参加してくださった戸田秀成さん(写真左)

奥の列から攻めていたICC小林

このときのイチゴがあまりにおいしかったので、帰京してからもしばらくイチゴを買い続けたが、何度買っても、このときほど全部甘くおいしいものに当たらなかった。これを味わってしまうと、再びICHIGO WORLDに帰ってきたくなる。

岩佐さん「今度ICC枠で、苗の植え付けとかしませんか?(笑)」

甘酸っぱさに酔いしれている私たちに、なんと魅惑的な提案なのだろうか。

ミガキイチゴと九州パンケーキのコラボレーション

一行11人、本当に遠慮なくイチゴ狩りを楽しませていただいたが、それでもまだまだ完熟イチゴが残っている。後ろ髪を引かれながらハウスを出ると、九州パンケーキの村岡さんが、イチゴパンケーキパーティの準備を整えてくださっていた。

イチゴのシャンパンとイチゴミルク用のコンフィチュール、九州パンケーキ

「イチゴ産業に貢献すべく、しっかりがんばりましょう!乾杯!」

ふわふわもちもちの食感が特徴の九州パンケーキ

九州パンケーキは、古代米の黒米や赤米など、九州の七県の7つの素材で作っており、真っ白い粉ではない。九州産のバターミルクパウダーが配合されていて、焼き立てのパンケーキは一言でいうと”幸せの味”だ。

イチゴとバター、練乳をたっぷりと

イチゴパンケーキ、メチャクチャおいしい!

お寿司も握れる村岡さん

村岡さん率いる九州パンケーキは、年間100回ぐらい出張してパンケーキを焼いているそうで、アウェーでの調理もお手の物だ。15名の九州アンバサダーというメンバーもいて、各地で食育教室も行っているという。台湾では3店舗を展開しており、入店に1時間待ちという人気店になっているそうだ。


いちごに続いて、至福のパンケーキタイムの後、次の予定まで時間の余裕があったため、岩佐さんの「海にでも行きますか!」という提案で、一同は分乗して海へ向かった。岩佐さんいわく「貸し切り状態でサーフィンしている」ところで、ICHIGO WORLDから車で数分の距離である。

海が近くなると、建物はまばらになり、造成中の土地や植栽ばかりの景色になってくる。

海水を受けた土壌の復活には時間がかかり、植栽の丈もまだ低い

この海から来た津波が、たった1日で山元町のイチゴ農家の95%を飲み込み、人口の4%を奪ったことを思うと、一行は自然と口数が少なくなってしまう。しかし岩佐さんは「村岡さん、九州まで続いている海ですよ!」と笑わせた。

山元町の現状から極めて現実的、かつ有効な露地植えではない農業に取り組み、失われた特産のイチゴをさらにパワーアップさせて雇用を産み、外から人を呼ぶ。その栽培の形式知を世界にも送り出して農業を強い産業にすることで、地域を豊かにする。

月並みな表現だが、なんと大きな、意義のあることに取り組んでいるのだろう。一度マイナスにまで振り切れた状況を、ITを活用して再生しながら、私たちには甘酸っぱい幸せな体験を与えてくれている。それを五感で学んだ、まさに百聞は一見にしかずという訪問になった。

岩佐さん、村岡さん、貴重な機会をありがとうございました!

<今回ご案内いただいた岩佐さん、村岡さんのプロフィール>

岩佐 大輝
農業生産法人 株式会社GRA
代表取締役CEO

起業家。GRA代表。ひと粒千円のミガキイチゴを生み出す。著書に『絶対にギブアップしたくない人のための 成功する農業』など。人生のテーマは「旅するように暮らそう」。趣味はサーフィンとキックボクシング。


村岡 浩司
株式会社 IPPEI Holdings
代表取締役社長

“世界があこがれる九州をつくる”を経営理念として、九州各地に多数の飲食店舗を経営する一方、食を通じたコミュニティ活動にも取り組んでいる。オール九州の素材を使って作られた「九州パンケーキ」ブランドは、台湾、シンガポールへ進出。アジア全域でのグローバル展開を目指す。また、廃校となった小学校をリノベーションした本社(MUKASA―HUB)は地元起業家が集まるローカルベンチャー育成の拠点となっており、「九州廃校サミット」の代表発起人として九州全県での廃校ネットワークによる九州の活性化を目指す。著書に「九州バカ 世界とつながる地元創生起業論」(発行:文屋、発売:サンクチュアリ出版)。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/ICCパートナーズ

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