▶カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
▶新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
▶ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!
ICC KYOTO 2024 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇した、旧三福不動産 山居 是文さんのプレゼンテーション動画【“路地裏マイクロディベロッパー”として、空き家・店舗を魅力的に再生する「旧三福不動産」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。
▶【速報】アフォーダブルハウジング市場をつくり、母子家庭の暮らしを支える「LivEQuality大家さん」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2024)
▼
【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ
山居 是文
旧三福不動産
代表取締役
公式HP | 公式X
1978年、神奈川県小田原市生まれ。 2012年から地元・小田原に拠点を戻し、神奈川県西部初となるコワーキングスペース「旧三福」を商店街の空き店舗をリノベーションしてオープン。2014年、空き家、空き店舗など、新たに何か始めたい人がチャレンジしやすい物件を提供すべく株式会社旧三福不動産を設立。物件仲介、リノベーション、プロデュースなどをしつつ、小田原でごきげんな起業・移住を増やすのが仕事。創業以来10年間で、不動産仲介、リノベーションなどにより約110軒の店舗・事務所の開業に携わる。湘南ベルマーレと松原神社のお祭り、路地裏が好き。
▲
山居 是文さん 皆さん、初めまして、旧三福不動産 代表取締役 山居 是文と申します。
「旧三福です 不動産のフはフフフのフ」――こちらは、僕らの会社の社是です。
楽しみながら、ごきげんな町にしたいと、考えたものです。
社名に「不動産」と入っていますが、単なる不動産屋ではなく、空き店舗×リノベーション×メディアを掛け合わせた、「路地裏マイクロディベロッパー」として、空き家や空き店舗に、お店や移住者を増やすための取り組みをしています。
魅力的なのに人口が減少している小田原市
僕らが活動しているのは、神奈川県小田原市、日本中の町を足すと、きっとこのような町になると思われる、魅力あふれる町です。
お城があり、自然も豊か、伝統文化もあります。
▶️観光(小田原市)
しかし、日本中の町を足したような課題もあります。
2000年以降、人口は減少しており、かつてはこうして賑やかだった町に、空き家・空き店舗が次々と増えていきました。
チェーン店が並ぶどこにでもある景色の町に
一方で、ディベロッパーによる開発で、駅前やロードサイド(交通量が多い幹線道路沿い)は、大手チェーンが建ち並び、どこにでもある景色へと変わり、それに伴って地域のお祭りなどの地域行事も廃れていきました。
お祭りの活気には地域の豊かさが必要ですが、それが失われていくことをとても寂しく思っていました。
この思いが、僕が活動を始めたきっかけです。
もちろん、チェーン店は便利で、僕もよく利用しますし、否定する気はまったくないのですけれども、チェーン店以外は寂れた町というのが僕はとても嫌で、魅力的な個人店と両方ある町のほうが、多様で好きです。
空き店舗が放置される構造的な課題を解決するには
そのため、ディベロッパーが関与しない、放っておくと寂れてしまう場所を、どのようにすれば変えられるか、考えました。
空き店舗があるのは、借り手がいないからという理由だけではありません。
駅前の高い家賃は払えないけれども、よい場所があれば、自分の店を持ちたいと思っている方は、意外と多くいらっしゃいます。
しかし、空き店舗があったとしても、不動産屋で借りられないことも多いのです。
それは、なぜなのでしょうか。
古い空き店舗の大家さんは、貸すことを諦めています。
不動産屋も、家賃1カ月分が仲介手数料と決まっているため、賃料が安い物件より駅前の高い物件を扱うほうが効率がよいので、空き店舗は放置されてしまい、ずっと空き店舗のままになってしまうのです。
このような構造的な課題を解決できればお店を増やせるかもしれない、そう考える中で、2つの気づきがありました。
リノベーション工事を請け負えば、古くて安い空き店舗でも、収益を増やせます。
また、お店を開きたい方にとって、物件探しと内装の相談を同時にできるメリットがあります。
さらに、新しくできたお店やそのエリアの魅力を、メディアを通して伝えていくことができれば、不人気なエリアであったとしても人気が出るのではないか、ということです。
そうして考えたのが、空き店舗・リノベーション・メディアを掛け合わせた、こちらのモデルです。
空き店舗をリノベーションしてお店を増やす、そして、その魅力をメディアで紹介する、このような積み重ねで地域の価値が上がり、あとに続いて出店する人が増えると考えました。
町の魅力を様々なメディアで発信
僕らは、WEBはもちろん、フリーペーパーや地図など、様々なメディアをつくっています。
こちらは、WEBサイトです。
不動産屋ですと、物件情報がずらっと並ぶのが一般的ですが、僕らはそうではなく、地域の紹介や新しくできた店の紹介など、多数のコラムと併せて掲載しています。
不動産情報だけでなく、この町で、自分の暮らしがどのようになるのかを知りたい方も多いため、町の魅力を伝えることで、「自分も小田原で暮らしたい、お店を始めたい」と思ってくださる方が増え、僕らを信頼して訪れてくださいます。
空き店舗を地道にマッチングし、お店づくりに協力
たとえば、こちらの方は、「数十年、料理人として勤めてきたけれども、やはり、自分の店を持ちたいのです」とおっしゃって訪ねてくださり、僕はぜひお店づくりに協力したいと思いました。
そういった方々と、空き店舗を一軒一軒、地道にマッチングさせていった結果、小田原に新しいお店が増えていきました。
しかも、駅から離れた、家賃が安く寂れていたエリアに、多くなってきたのです。
10年間で、計117軒のお店や事務所・工房などができました。
ちなみに、アドレスさんの拠点も、この中のひとつです。
▶️「ADDress」は、都会と地方の課題を解決する多拠点居住生活で、全国創生を目指す(ICC FUKUOKA 2021)
小田原は、アクセスもよいので、ぜひ皆さんにお越しいただきたいと思っております。
本日、皆様のお手元に、こちらのスライドと同じ地図「小田原ごきげんマップ」をお配りしていますが、 僕らの活動を通じて、新しく増えた素敵なお店の一部を、ご紹介いたします。
スライドの地図の赤い四角のエリアについて、お話ししていきます。
魅力的なお店が続々オープン、出店希望の絶えないエリアに
この赤い四角のエリアは、かつては栄えていたけれども、寂れてしまった歓楽街です。
最初に手掛けたのは、こちらです。
こちらの元カフェレストランが、ゲストハウス&バーへと、変わりました。
彼が店主です。
11年前、僕が会社を設立する直前に、知り合いました。
当時、まだ小田原になかったゲストハウスをつくりたいけれども、これから長野県のゲストハウスに修行に行くため、その後、小田原に戻ってきたら、物件を探してほしいとおっしゃって、旅立っていきました。
そして、8年前、本当に小田原に戻ってきてくださり、お店を始めました。
彼のあとに続き、お店が次第に増えてきています。
元テーラーだった、こちらは、このように変わって、人気のワインバーになりました。
店内は、このような感じで、ワインを買って帰ることもできます。
元割烹料理店だったこちらは、牛たん屋になりました。
僕が今まで食べた牛たんの中で、最も美味しいお店です。
元ふぐ料理屋だったこちらは、がらりと変わって、スパイス焼き菓子店になりました。
多いときには50〜60mの行列ができるような、人気のお店です。
お店を開きたいという一人ひとりの夢が叶って、一軒一軒、魅力的なお店が町に増えてきました。
このようにして、お店が増え、10年前とはうって変わって、出店希望者の絶えないエリアとなりました。
10年目の売り上げは3.4億円に
こうした活動をともに行う社員は現在10名おり、10年目の売り上げは3.4億円です。
これからも、ひとつひとつ積み重ねていきます。
日本中にある小田原のような町を「フフフの町」に
そして、現在、新しくチャレンジしたいことも、できました。
小田原には日本中の町を足したような課題があると冒頭にお話しさせていただきましたが、小田原と近い規模の町は、全国に80ほどあり、おそらく課題も似ています。
ほかの町でも、路地裏マイクロディベロッパーとして、お店や移住者を増やしていけると考えています。
現在、1つ目の支店を構える準備をしている最中で、さらに広げていきたいと思っています。
皆さんの地元にも、こういった町並みは、ございませんか。
やはり、こうして見ると寂しいですよね。
でも、想像してみてください。
皆さんの町にもある空き店舗が、素敵なお店に変わっていくと、町の方々にとって、嬉しい町になると思うのです。
皆さんの地元をはじめ、日本中にフフフと嬉しくなる町を、ともに増やしていきましょう。
まずは、ぜひ、小田原にお越しください。
ご清聴、ありがとうございました。
(終)
▶カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
▶新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
▶ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!
編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成