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ICC KYOTO 2025のセッション「-「グローバル・コネクテッド」(シーズン2) – ICCグローバル・コミュニティを盛り上げよう!」、全8回の⑦は、“インド生まれ沖縄育ち”のスタートアップ、EF Polymer下地 邦拓さんが登場。世界唯一の有機認定が差別化点となる「超吸水性ポリマー」を紹介します。ヨーロッパ展開を象徴するトピックは、世界的シャンパンブランド、ヴーヴ・クリコとの実証試験です。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜 3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。
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【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 11C
-「グローバル・コネクテッド」(シーズン2) – ICCグローバル・コミュニティを盛り上げよう!
Supported by EVeM
スピーカー・リングサイド・モデレーター
(スピーカー)
① 北米でのビジネス展開事例(US)
任 宜
スマートニュース
Chief Strategy Officer
② 中国でのビジネス展開事例
金田 修
Yoren
CEO
③ 東南アジアでのビジネス展開
久保田 和也
4P’s Japan
Global Branding Director
④ ヨーロッパでのビジネス展開
下地 邦拓
EF Polymer
取締役COO
(リングサイド)
蛯原 健
リブライトパートナーズ
ファウンディング ゼネラルパートナー
柴田 尚樹
NSV Wolf Capital
Partner
坪井 俊輔
サグリ
代表取締役CEO
中山 充
B Venture Capital
General Partner
山田 陽介
オンリーワントラベル
CEO
山田 裕一朗
ファインディ
代表取締役
和出 潤一郎
PT. VENTENY Fortuna International tbk.
Founder and Group CEO
(モデレーター)
西井 敏恭
シンクロ
代表取締役
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▶『-「グローバル・コネクテッド」(シーズン2) – ICCグローバル・コミュニティを盛り上げよう!』の配信済み記事一覧
西井 中国、アメリカ、そして新興市場である東南アジアと来て、次はヨーロッパです。
完全な成熟市場において、どのようなことが起こっているかについて、最後に下地さんから聞かせていただきましょう。
よろしくお願いします。
世界唯一の技術をヨーロッパへ、EF Polymer 下地さん
下地 邦拓さん(以下、下地) EF Polymerの下地です、よろしくお願いします。

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下地 邦拓
EF Polymer
取締役COO
米大(国際関係論)卒業後、米国シンクタンク(ワシントンDC)、外資系コンサルティング会社(東京)を経て、2020年に出身の沖縄に戻り、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の職員として外部資金調達、産学官連携・地域連携に従事。 2022年8月にEFポリマーに参画し、現在はCOOとしてグローバルの事業開発・セールスを統括。
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簡単に自己紹介をすると、僕は沖縄出身で、沖縄に新しい産業を創ることを考えていました。

小さい頃、まず基地問題がどうにかしなければいけないと思ってアメリカの大学に進学し、日米関係を学び、新卒で入ったワシントンDCのシンクタンクで2年半、日米関係の研究員をしていました。
その当時は、外交官や防衛省官僚になりたかったのですが、時間がかかりすぎると思ったのと、官僚をイメージすると自分には向かないと気づいてしまって(笑)。
西井 入る前から(笑)。
下地 政治家の方々をワシントンDCのキャピタルに連れて行って議論をする機会があったのですが、そこで見た外交官の方々を見て、あ、合わないなと思いました(笑)。
その後、官民連携に関心を持つようになりました。
技術を持っていても、例えば、ドローンを皇居の上で飛ばすと捕まりますよね。
飛ばすためには皇居との連携が必要なので、官民連携にすごく関心を持つようになり、PwCはその領域で強かったので、6年ほどコンサルタントをさせていただきました。
技術を移転するということに関心を持ち、OISTの学長室に入り、地域連携、民間連携をしていた時に出会ったのが、弊社の技術を開発した、代表のナラヤンです。
沖縄で新しい産業を創りつつも、安全保障という意味で食や生産に関わり、「沖縄から世界へ」に取り組んでいる人間です。
EF Polymerは、「世界唯一の有機ポリマー技術で枯渇し劣化する生態系と地球の未来を潤す」と謳っています。


沖縄にOIST(沖縄科学技術大学院大学)という大学院があり、そこ発のアグリと素材のスタートアップです。

我々の特異性は、世界で初めて有機認定を取得可能な超吸水性ポリマーを作ることができた点です。
これを利用した干ばつに苦しむ農業従事者支援を通して、経済的にも環境的にも持続可能な農業の実現を目指しています。
ポリマーは、皆さんの身近にあります。
オムツや保冷剤、また、化粧品をどろっとさせるための増粘剤としても使われます。
世界市場におけるトップシェアを持っているのが日本触媒ですし、花王も取り組んでいます。
また、グローバル企業だと、BASFやエボニックなどの会社があります。
化学ポリマー界では最近GX(グリーントランスフォーメーション)も求められているので、我々はGXパートナーとして事業を展開しています。
多くの方々が干ばつの影響を受けています。

そして農業が利用する水の量はかなり多いため、この2つの要素が合わさると、収量を減らしてしまう、もしくは収量がなくなってしまう生産者がいます。

個人農家が多いため、家計にダイレクトにヒットして大変なことが起きています。
我々の会社の代表はインド出身の研究者ですが、これを救いたいという思いがあります。
同時に、肥料も高くなってコストがかなり上がっており、欧州では特に土壌をいかに守ることが注目されています。


90年代には、鳥取砂丘を緑化するプロジェクトで、化学ポリマーを使えばどうにかなると思っていましたが、化学ポリマーは土壌に残り続けてしまうので土壌を汚しますし、吸水量が大きすぎて作物からも水を吸ってしまうという問題が分かりました。
そこで、土壌をいかに守るかというトピックもかなり重要になってきています。
完全有機・完全生分解性を有する超吸水性ポリマー
下地 この状況を打開するために我々が作ったのが、完全有機・完全生分解性を有する超吸水性ポリマーです。

原材料は、これまで捨てられていた残渣です。
我々は、オレンジの皮から多糖類ペクチンを抽出して重合化するというプロセスで特許を持っています。
スライドの右側にあるように、粉と顆粒状のプロダクトがあります。
これを土に混ぜ込んでいただきますが、1gあたり、その50倍の水を吸います。
吸って吐いてを半年間繰り返し、1年間で完全に生分解され、土に還っていく、微生物に食べられるポリマーとなっています。
これにより、水の利用量を40%減らします。
減らすというのは、非常に日本的な表現です。
日本も乾燥することはありますが、水があふれているからですね。
物理的に雨の降らなくなった、水の量が半分になったという地域では、土壌に残った水の量を少し増やすイメージです。
肥料も水に溶け出して流れてしまうので、それも防ぎます。
水と肥料を長期化していくことで収量を増やしていきます。
我々のポリマーは微生物に食べられるので、土壌の改善にも効果があります。
ビジネスモデルはシンプルで、直接売ったり、代理店を通して販売したりしています。

世界で唯一、有機認定を取得
下地 我々の唯一性は、現時点で、世界で唯一、有機認定を取れていることで、これが他の化学ポリマーメーカーとの差別化点です。

日本、EU、それからUSでも最近取れました。
化学ポリマーはSAPと呼ばれ、SAP業界の巨大企業は、まだこの技術を開発できていません。

我々は自社を「インド生まれ沖縄育ち」と表現しています。

インド出身の社長が、ラジャスタン州の300人の村で小さな工場をまず作り、そこから広げて、今は月産100トンくらいのポリマーをそこで作って世界に輸出しています。
日本に本社があり、インドに製造拠点があるという形です。
アメリカには進出しましたが、農業の資材を売るにあたって、アメリカは1州ごとに販売承認を取らなければいけないのと、土壌テストも結構大変です。
いろんなところに釣り糸を垂らしてどこに売上が立つかを見ながら、今、攻め始めた欧州で芽が出てきているので投資をしています。
カリフォルニアで試験を始めたのですが、進出後の2年が、たまたま雨が降ってしまう年でした。
雨が降ることは農家にとってハッピーなことなので、農家がハッピーなら僕らもハッピーなのですが、僕らのビジネスにとってはあまり良くない(笑)。
こういうリスクもあるので、いろんなところに釣り糸を垂らす必要があるのです。
フランス、イタリア、ポルトガル、スペインは乾燥が厳しいのですが、同時に農業大国でもあるので、狙っています。
技術や利用法が確立できると、それを応用展開できるだろうという意味で、スライドに矢印をつけています。
細かい話ですが、我々のポリマーを使えば玉ねぎも大きくなって生産性が上がります。
ニンジン栽培でも、最初の発芽の様子が明らかに違います。

ニンジンは、発芽に水が必要です。
沖縄もそうですが、収穫前に雨が急に降ると、実がパカっと割れて出荷できなくなりますので、ポリマーで出荷量を安定させることができます。
我々のポリマーを使うと、早く大きくなる可能性が今、見えています。

植え付けや出荷のタイミングをずらせる可能性が出てきているので、試験をたくさんしています。
小松菜も、我々のポリマーを使うと、大きさやみずみずしさが変わってくるので、お店の棚に並べられる期間が長くなる可能性も感じています。

農業以外の可能性としては、さまざまな業界で使われている化学ポリマーですが、製造、利用、廃棄の観点で環境負荷が高いと言われているので、それをどう解決していくかが課題です。

それで、僕らが簡単に代替商品を作ることができたのが、アイスパックでした。

岩谷産業との共同開発で、中の化学ポリマーを変えました。
これまでの保冷剤は、クリスマスなどにケーキを買って、冷凍庫の隅に置いておいて、年末に捨てるみたいなサイクルで使われていたと思いますが、化学ポリマーを変えると、例えば、出張中に観葉植物の保水に使えるようになるので、行動変容が期待できます。
この商品は今、無印良品に卸しています。
最近は、将来的に農業のマルチシートや保冷パックに使えるかもしれない、吸水シートを作っています。

LVMH傘下の世界的なシャンパンブランドと連携
下地 欧州展開の象徴的だと思われるトピックはLVMHとの連携で、世界的なシャンパンブランドヴーヴ・クリコ (Wikipedia) の畑で試験をしています。

ICCグローバルコネクテッド2025KYOTO_page-0112.jpg
ペクチンはいろんな作物に含まれていて、ブドウの皮からも作れます。
乾燥により、ブドウを植えた後の生存率が低くなっています。
そこで、自社の残渣を使ってその課題に取り組むプロジェクトです。
彼らはコットンも作っているので、コットンの畑にもポリマーを入れています。
また、オーガニック化粧品にも活用できると、自社の残渣を使って製品を作れることになるので、連携をしています。
▶EF Polymer株式会社 – 【お知らせ🌍🎉】 #EFポリマーニュース この度、Moët… (Facebook)
このスライドの右下にあるのが、今話したMoët HenessyのWorld Living Soils Forumです。

アメリカでも、カゴメが50億円ほど出資して作ったSVGが運営する、アグリテックアクセラレーターTHLIVEでも優勝(※)し、出資をしてもらっています。
▶EFポリマー、THRIVE Global Impact Challengeで総合優勝を飾る(EFポリマー)
資金調達は、シリーズBが終わったところです。
アメリカ最大のトマト農家と試験をしており、良い結果が出ているので、これから広がっていくだろうという感覚を持っています。
このセッションで僕はヨーロッパ担当ですが、インドの話をします。
インド生まれ沖縄育ちと先ほど表現した通り、今日は日本のスタートアップの顔で話していますが、明日はインドのスタートアップとして話すこともできます。
これは、沖縄のOISTだからこそだと思っています。
(一同笑)
海外起業家が日本でスタートアップを作ったとして、例えばグローバルサウスであればその顔をすると刺さりやすいストーリーを作れたりとか、それは結構、僕の強みだなと思って。
インドのグローバルサウス議論においては、ビル・ゲイツがよく来ると言われます。
ビル・ゲイツとメリンダ・ゲイツが唯一訪れた農地が、僕らの農場だと思います。
アフリカもそうですが、今グローバルサウスでは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団と連携して、今後もしかしたら投資家として入っていただける可能性もあると思っています。
試験をしたり、釣り糸をいろんなところに垂らしたりして、どう広げるかを考えています。
当社の海外展開については、ニーズは確かにあり、それが高まり続けていることは間違いありません。

ただ、有機ポリマーの技術優位性は時限的だと僕は思っています。
競合にも製品を配っているので、多くの化学メーカーで、僕らの製品を使って研究されていると思いますがまだ模倣はされていないので、難しいし、時間がかかるのだろうと思います。
農業資材の普及はやはり時間がかかるのですが、早めに効果を見せて、同時に乾燥の問題も厳しくなっていますので、それを感じていただきながら広めていきます。
競合が同じようなものを作れたとしても、同じように試験をしなければいけないので、一度入れば、プロダクトライフサイクルは長いと思っています。

僕らの持っている方向性のイメージは、日本触媒のように他領域展開をしながら、コカコーラのように技術を守り、ゴアテックのようなブランディングをすることです。
ブランディングはつまり、農業資材にEF Polymerがこっそり入っていれば良いプロダクトに見える状態にすることです。
競争相手ではなく、共創相手として、共にEFP展開を進めていきたいと考えています。
現時点では、売上構成比が一番多いのはインドで、日本、フランス、アメリカ、その他と続きます。
インドは1位ですがマージンが結構小さいです。
海外の農業資材メーカーが日本に来るのは、実は日本はマージンが大きいからです。
日本の農家が一番高く買ってくれるので日本のマーケットは獲得しますが、日本は規模が小さいです。
畑の規模と、環境資材に1ユーロ多く払えるヨーロッパ市場を狙いながら、アメリカも伸ばしながら事業を行っていくというのが、僕らの今の考えです。
農家を助けることが優先
下地 何かのフレームワークを使った方が整理しやすいかと思って、4Pに当てはめてみました。

Productとしては優位性がありそうです。
農業資材においてPMFは、撒けるところまでだと定義しています。
北海道の畑は平均30haですが、沖縄の畑は1haありません。
インドはもっとないです。
ヨーロッパやブラジルだと1,000haを超え、農機や農業資材の規模が全然違います。
ですのでPMFには時間がかかり、1年目でできたとしても、雨が降ったり、撒けなかったりすると、再度行う必要があります。
価格については、優位性があります。
日本、ヨーロッパ、アメリカ、インドの順で高く設定できるので、まずは欧州向けに出す予定です。
化粧品だと5倍の金額になるので、化粧品から始めた方がいいのではと言う人もいますが、僕らは農家を助けることを徹底しています。
基本的に直販とディストリビューターを通した販売です。
クイックにサンプルを届けられるので、フランスに在庫を置いています。

販促については、現地人材でなければ現地の農家の深いところに入っていけないので、基本的に現地の人材を雇うようにしています。
フランス、イタリア、スペイン、ポルトガルに1人ずついて、僕が監督している感じです。
実験は、数とデータをベースに説得していかなければいけないので、蓄積をしています。
展示会にも出ており、その時にLVMHやカルフールなど、大きい農家契約を持っているところにアプローチをしています。
僕はまず各国の日本大使館と、日本にあるその国の大使館に行って紹介を依頼するのですが、結構つなげてくれます。
乾燥は大きな問題なので、すぐにいろんな人を紹介してくれます。
そうやって、数をかなり打っています。
結局、農業資材は最終的に口コミの力が強いと言われているので、良いKOL(Key Opinion Leader)を捕まえて、良い商品だと言ってもらうことを目論んでいます。
それが、サステナブルフードガストロノミーのようなレストランまで行けると最高だと思います。
例えばフランスだと、フランス版ミシュランでアジア人で初の三ツ星を獲得した小林圭さんとか、フランスのレストランに卸している日本人生産者につながって、良いと言ってもらえるようなブランディングをしていけないかと考えています。
西井 ありがとうございます。
(続)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成


