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五島つばき蒸溜所の門田クニヒコさんは「土地の物語」を、GOODNEWSの宮本 吾一さんは「ナラティブ」を自分たちのブランドを作るにあたって大切にしていることだと語ります。人口減少が進む土地で、独自の価値観を掛け合わせることで、産業を生み出す仕組みとは? その作り手自らが語ります。
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは中小企業基盤整備機構です。

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【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 7D
地方から強いブランドを創るには?(ローカル・コネクテッド連動企画)
Sponsored by EVeM
(スピーカー)
石川 勤
石川樹脂工業
専務取締役
井手 直行
ヤッホーブルーイング
代表取締役社長
門田クニヒコ
五島つばき蒸溜所
代表取締役
宮本 吾一
GOODNEWS
ファウンダー取締役CCO
(モデレーター)
岩田 真吾
三星グループ
代表
各務 亮
電通
クリエイティブ プロジェクト ディレクター
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▶『地方から強いブランドを創るには?(ローカル・コネクテッド連動企画)』の配信済み記事一覧
岩田 (前パートのヤッホーブルーイングの)お酒つながりということもあってか、深く頷いていらっしゃった門田さん、お願いします。
五島つばき蒸留所 門田さんが考える強みは「土地の物語」
門田 クニヒコさん(以下、門田) 五島つばき蒸溜所の門田と申します。

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門田クニヒコ
五島つばき蒸溜所
代表取締役
28年間、酒類メーカーでマーケティング、商品開発に従事。数々のヒット商品を開発(キリン極生、氷結ストロング、一番搾りフローズン生、47都道府県の一番搾り)。当社では、経営全般およびマーケティング、製造、業務全般を行います。三国丘高校/横浜国立大学卒業。
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もともとは28年間、キリンビールで働いていましたが、50歳を機に自分のお酒を造りたいと思い、五島列島の福江島に移住して、今はクラフトジンの製造をしています。
地方ブランドの武器ということですが、キリン勤務時には、安心安全で美味しくてリーズナブルなものをたくさん造ってたくさん売るということを日々してきました。
そのことは今でもすごく誇りに思っていますし、社会的なインフラとしての役割だったと思っています。
でも一方で、やはりお酒は、アルコールに酔うだけではなく、お酒が持っている物語に酔うという要素があります。
キリンを辞めて自分のお酒をつくろうと考えた時、キリンと同じことをしても仕方がないので、今度は物語のあるお酒を造りたいと考え、キリンの同僚3人で会社を飛び出しました。
お酒の物語には、いろんな物語があります。
歴史や文化もそうですし、土地にまつわるもの、こだわりや思いなどいろんな物語がありますが、僕たちにとって一番魅力的なのはやはり土地の物語でした。
五島の土地のお酒になりたい

門田 地酒というキーワードを持ってきました。

地酒は地方の酒と思われがちですが、そうではなくて、土地の酒なのです。
フランスのワインだとテロワールですし、世界中の蒸留酒や醸造家たちは、土地をお酒で表現したいのです。
物語や歴史文化がある土地は日本全国各地にたくさんあると思います。
僕は生まれてから大阪で18年過ごして、東京で30年ほどサラリーマンをしていましたが、正直、大阪や東京の土地の物語をお酒で表現したいという意欲は全然わかなかったです。
候補地は色々あったのですが、静岡の蒲原、愛媛の西条、五島を回って、中村 直史さんにまんまと引き込まれて五島を選びました。
岩田 人さらいに遭って(笑)。
門田 はい(笑)。
どの場所も本当に手仕事や文化が息づいていて、自然も豊かです。
地方に未来はないみたいなことを言われますが、そんなことは全然なくて、土地の魅力がすごくあります。
それをお酒で表現していきたいと思って場所を選びましたし、今、GOTOGINを飲んでくれている方たちの中に、五島の風景や土地の物語を感じて熱狂的なファンになった人もいると思っています。
岩田 ブランド名に五島を入れようと思ったのも、それが理由ですか?
門田 そうですね。五島のジンなので、一番分かりやすくGOTOGINです。

土地の酒になりたいと思って名前をつけています。
物語の観点で、五島にポテンシャルを感じた
岩田 キリンでは、飲んだことがあると全員が手を挙げそうなすごい商品をたくさん開発されましたよね。
それで50歳で退職というのは、ない話ではないと思いますが……最近の若い人と話すと、将来は地元を盛り上げたいという考えで、都会で働いていても地方に戻るケースはありますが、縁のない町に行くのはあまりないですよね。
先ほど、良い場所を探していたとおっしゃっていましたが、どういう背景なのでしょうか?
門田 もともと大阪に18年いて、今も実家は大阪にありますし、東京にも30年ほど住んでいましたが、コミュニティがあったわけでもなく、根無し草のような感じがしていたのです。
50歳で会社を辞めようと思ったのは、実はキリンでは、57歳で役職離脱となり給料が半分以下になるからです。
早期退職割増金などの説明会を含む50歳研修でそれを聞き、年表を書かされたのですが、自分の会社員人生があと7年で終わると思ったのです。
しかも辞めた後、お酒の会社で働けるか、ものづくりができるかも分からない、だったら自分の会社を作ってお酒を造ろうと思ったのです。
自分の好きな場所で、気の合う仲間と、自分のお酒を造るって、最高ですよね。

岩田 それは絶対そうでしょうね(笑)。
門田 家も所有していなかったこともあり、自分が住んでみたい、かつ、お酒として表現したい土地を探して、五島を選んで移住して、お酒を造っています。
岩田 ありがとうございます、各務さん、一言お願いします。
各務 GOTOGINを選ぶお客様には、五島の何が刺さっているのか、もう少し聞かせていただけないでしょうか?
というのも、そこに悩んでいらっしゃる人が多いのではないかと思うからです。
もちろん、土地に誇りを持っているし、ストーリーを伝えている、でもそれが本当にお客様にとって価値のあるものなのかどうかという戸惑いをどうしても感じてしまっているのではないかと思っています。
門田 少しずるいのですが、僕は土地を選んでいるのです。
我々の蒸留所の横にも104年も経つ古い教会堂が建っているのですが、五島は世界文化遺産の島で、カトリックの文化があり、隠れキリシタンの文化遺産があり、空海の歴史もあります。
つまり、物語という観点で、五島自体にすごくポテンシャルがあると思ったので選んだわけです。
▶五島の島たび【公式】- 長崎県五島市の観光・旅行情報サイト (五島市観光サイト)
五島は特別なのではと言われれば、そうかもしれません。
でも僕は、どの場所にも素晴らしい風土、歴史、文化がある気がしますけどね。
各務 ありがとうございます。
岩田 ちなみに、五島では何と呼ばれているのでしょう?
門田 最初は「キリン」と呼ばれていました(笑)。
(会場笑)
「キリン! 絶対に五島にしろ」と言われて。
他の場所とは違い、五島では、市役所の方ではなく、地元の人々が蒸溜所の候補地を8箇所提案してくれました。
水が良くて海の見えるところがいいという希望を出していましたね。
岩田 親しみを込めてあだ名で呼びたいと思いましたが、さすがにキリンとは呼べないですね(笑)。
よろしくお願いします。
では吾一さん、お願いします。
GOODNEWS 宮本さんが考える地方の強みは「ナラティブ」

宮本 吾一さん(以下、宮本) 栃木県の那須高原でお菓子を作っています、GOODNEWSの宮本と申します。

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宮本 吾一
GOODNEWS
ファウンダー取締役CCO
1978年東京都生まれ。2000年、オーストラリア滞在を経て栃木県那須町へ移住。2002年「リアカーコーヒーUNICO」を開業。2005年「HamburgerCafeUNICO」を手がける。以降、「地域に根ざし、未利用資源を価値へ転換する循環型の事業づくり」をコンセプトに、2010年、生産者と消費者をつなぐ「那須朝市」を立ち上げる。2014年、マルシェ発の実店舗「Chus」を開業。2018年、酪農家と連携し那須銘菓「バターのいとこ」を開発。2022年、那須町の森に地域共創拠点「GOOD NEWS」を開業。2025年「那須冬市」を開催し約4,000人を動員。同年、地域循環型事業の取り組みが評価され「第20回ニッポン新事業創出大賞」最優秀賞を受賞。
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地方発ブランドの武器は何かについては、僕は「ナラティブ」ではないかと思います。

「社会課題を『おいしい』に」という副題をつけています。
ナラティブとは物語です、では物語とは何かと考えた時、課題がナラティブに変わっていくのではないかと。
岩田 すみません、ナラティブとはどういう意味ですか?
宮本 僕は、物語や文脈と捉えています。
岩田 ストーリーとはどう違うのでしょう?
宮本 ストーリーは過去から現在だと思いますが、ナラティブは過去から現在、そして未来に続いていくものという違いがあると僕は思っています。
岩田 ありがとうございます。分からない人もいるかと思って、質問してみました。
なるほど、そういう整理ですね。
宮本 お菓子を作っています。

てんちょ(井手)さんが軽井沢で僕は那須ですが、てんちょさんの話を聞いて、僕は、観光地の特徴を使うことをあまり考えていなかったと思いました。
違う角度で見ていただいたら面白いかなと思いますが、那須も軽井沢と同じような観光地で、600万人の観光客が来ます。
どちらかと言えば僕は、社会課題解決がどう世の中に浸透するかという見方をしています。
牛乳からバターを作る「森林ノ牧場」というものがあります。
バターを作りたいと思った時、バターは牛乳に対して4%しかできなくて、90%を超えるスキムミルクの利活用をどうしても考えなければいけないのですが、これを地域の課題として捉え、ナラティブに変わるのではないかと考えて作ったお菓子が「バターのいとこ」です。

少し見づらいかもしれませんが、左側の牛乳の絵を見ていただくと、バターが4%でスキムミルクが90%となっています。
バターのいとこは、このスキムミルクをあえて活用したお菓子です。
岩田 バター自体も作っていらっしゃるのでしょうか?
宮本 バターは、森林ノ牧場が作っています。
牛乳は1週間しか保てないのですが、バターは1カ月以上保ち高付加価値がつくので、それを応援する仕組みとなっています。
「農福観」の産業を作っている
宮本 人口減少によって住む人がいなくなると、どうなるか。

ものづくりをしていれば同じ状況だと思いますが、まず生産物や食材の調達があり、製造があって、それから販売があります。
それぞれを課題と捉え、「農福観」という考え方の産業を作っています。

最初は生産者がいなくなってしまって、製造は働く場所がなくなって、産業衰退するのが課題だとすると、未利用食材を使い、地域の子育て中の方やしょうがいをお持ちの方たちと一緒に製造をし、お店ができると、まちづくりになる。

つまり、課題自体がナラティブになり、共感し、共創してもらう、こういう活動を行っています。
岩田 ありがとうございます。食系3人と食器1人という感じですね。
各務さん、ここまで聞いて、いかがでしょうか。
各務 うーん、分かったような、分からないような。
(一同笑)
素晴らしいと思います、でもだからこそ、問2、そして問3でさらに深めていきたいです。
進めていいですか?
岩田 お願いします。
(続)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

