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4. ローカルブランドから全国展開するとき鍵となったものは?

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ここからはスピーカーが全員で「地方発ブランドが壁を越える際のボトルネック」について議論。現在は全国区のブランドでも必ず数人で作っていた時代があります。良い共創パートナーとの出会いや量産化の壁、そして人を雇うことのハードルなど、成長過程で直面するリアルな課題と乗り越え方が語られます。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは中小企業基盤整備機構です。


【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 7D 
地方から強いブランドを創るには?(ローカル・コネクテッド連動企画)
Sponsored by EVeM

(スピーカー)

石川 勤
石川樹脂工業
専務取締役

井手 直行
ヤッホーブルーイング
代表取締役社長

門田クニヒコ
五島つばき蒸溜所
代表取締役

宮本 吾一
GOODNEWS
ファウンダー取締役CCO

(モデレーター)

岩田 真吾
三星グループ
代表

各務 亮
電通
クリエイティブ プロジェクト ディレクター

『地方から強いブランドを創るには?(ローカル・コネクテッド連動企画)』の配信済み記事一覧


地域でブランドを創る際、何がボトルネックになるのか

各務 地域の強みは土地の強みであり、それをストーリーに変えていくのだろうなと思ったのですが、そこがスタート地点だとして、戦略論としては、良いプロダクトや流通、仲間達を作るなどいろいろあると思います。

地域でブランドを創るとして、皆さんの経験もしくは一般論でも、ボトルネックになりがちなものについて聞かせていただきたいです。

なぜローカルブランドを超えられたのかという問いですが、逆に言えば、どのへんが詰まりがちなのかという点を含め、コネクテッドしていくためのアイデアをいただきたいと思います。

一旦、皆様からキーワードを頂戴しています。

石川さんは「現代の暮らしに翻訳した」、門田さんが「地と図」、井手さんは「最初から全国展開構想」、宮本さんは「境界線を越えろ」ということです。

どなたからいきましょう。

岩田 では石川さんから。

良い共創パートナーに出会えるかどうかが重要

石川 僕は結構ずるい回答をしていて、一つに絞っていないです。

キーワードは「現代の暮らしに翻訳した」で、僕の場合、さらに3つのキーワードを投げかけます。

まず、僕がめちゃくちゃラッキーだったのはseccaとの出会いですが、これはただのラッキーでしかないです。

ローカルにおいて、良い共創パートナーに出会えるかが、多分一番大きいです。

岩田 seccaはデザイン会社ですよね?

石川 はい、デザイン会社のseccaに出会えたことかなと。

岩田 出会ったということは、seccaは地元にある会社なのですか?

石川 金沢の会社です。

ラッキーだと連呼しているのは、僕が戻ってきた時に父も、自社ブランドにデザイナーが必要だということは理解していたみたいでして、僕が戻る1カ月前に既にseccaと契約をしていて、「あなたはseccaと何かをするんだ」みたいなことを言われたからです。

岩田 いいじゃん、それ。

石川 つまり、自分で探してないのです(笑)。

岩田 僕は後継論を結構聞きますが、お父さん、良いバトンですね。

石川 そうだと思います。まず、そこが本当にラッキーでした。

現代の暮らしに、やはりプロダクト、我々のものづくり……。

岩田 すみません、僕は知っているのですが、石川さんの会社は、もともとは何を作っていたのでしたっけ?

皆さん、今、食器を作っている前提で理解していると思いますが。

石川 もともとは山中漆器の木地屋でした。

木の木地から始まって、時代の流れと共に、合成漆器と呼ばれる、中が樹脂製の漆器を作っていくようになりました。

僕が戻ってきてから取り組んでいるのは、皆さんにとって分かりやすいものだと、有名コーヒーチェーン店の店内用グラスは全て、実は我々が作っております。

ああいうものやインフラなどを作らせていただいている会社です。

岩田 仏具もですよね?

石川 信仰が厚い地域なので仏具も大事な産業でして、我々は、仏具も作っています。

岩田 食器とは違う仕事もしていたのですよね。

石川 そうですね。

クリエイティブに出会えたので、プロダクトを作らなければいけない。

プロダクトを作るにはクリエイターが大事ですので、クリエイターに出会えたことはめちゃくちゃラッキーだったと思います。

もう一つ、振り返って結構大きいなと思うのは、量を作れるようになったことです。

ブランドの種類にもよりますが、ローカルブランドが全国区になる際のバリアの一つが、量を作れないことです。

ある程度の量を作らないとローカルの域を出られない気がします。

特に物の場合、量を作れないと認知の壁を超えられないので、量を作れることが大事です。

我々もめちゃくちゃ設備投資をしていますし、新工場も2027年に稼働予定です。

でも人手は足りないので、AIとロボットをたくさん入れて効率化も同時進行しています。

ですので、量を作れるかどうかが、ローカルブランドの全国展開の壁の一つになり得ると思っています。

「量を作れるか」の壁をどう乗り越える?

岩田 その点、てんちょは「最初から全国展開構想」というキーワードですが、石川さんがおっしゃった壁を感じられたことはありましたか?

井手 ある! 後で喋る!

(一同笑)

岩田 なるほど(笑)。

ちなみに、他のお二人は「量を作れるか」の壁について、どうでしょうか。

宮本さんは全国展開されていますよね。

宮本 はい、最初3坪の、2人だけしか作業できないような場所を作りましたが、半年も経たず、これでは間に合わないと思って、40坪の場所を作りました。

それでも半年も経たず、これでも間に合わないと思ったので、今、300坪です。

岩田 お客様が来すぎて、ですか?

宮本 そうですね、ありがたいことに。それで生産が間に合わなかったです。

岩田 それを人海戦術で乗り越えたということですか?

宮本 そうです、全部手作りなので。

地域のお母さんやしょうがいを持った方が作るので、作業を簡単にしないといけないのです。

そうなると、人手が必要になります。

人手がいると場所を取るので、作業場所を大きくしていかなければいけない。

それで、大きくしていきました。

岩田 それだけ土地があったのは良かったですね。

宮本 土地はいっぱいあるんですよね(笑)。

岩田 ローカルの強み、土地(笑)。

門田さん、いかがでしょう? 量の問題に直面されていますか?

残業せず楽しく生活しながら酒を造りたい

門田 そうですね。でも、それもラッキーでした。

3年前にキリンを飛び出して事務所を作ったのですが、最初は月800本しか製造できないような事業所でした。

それでも、注文が最初から3,000、4,000本と入っていて、6カ月待ちとかになっていました。

50歳をすぎた3人で始めていたこともあり、我々は基本、残業ゼロです。

岩田 釣りをしたくて五島に移住したみたいな(笑)。

門田 そうです(笑)。

東京から取材が来ると、「それだけ注文が溜まっているなら、作れば売れるのだから作ればいいのでは?」と言われるのですが、そういうことをしに五島に来たわけではなくて。

五島で釣りをして、合唱をして、楽しく生活しながら酒を造りたい、と思っていたのです。

6カ月待ちとなると、それが逆に噂になったのです。

もちろん、狙ってないですよ。

そんな狡猾なマーケティングはしていませんが、それがプラスになりました。

最初は、元サラリーマンでお金がない中だったので、設備投資をするのがやはり厳しかったですが、補助金をうまく頂き、3年かかって今は5,000本まで造れるようになっています。

岩田 月産5,000本ですか?

門田 はい。

岩田 お酒業界の中では、5,000本だとキャズムを超えていますか?

井手 どこを目指すかにもよりますが、それでもまだ多分、かなり小規模ですよね?

岩田 月産5,000本でも?

井手 はい。

岩田 でも800本の時に比べると、6倍くらいですね。

門田 ジンというカテゴリーで、5,000円する商品を月に5,000本販売できれば十分かと。

宮本 今も3人で造られているのですか?

門田 今は、正社員が6人になりました。

若い方3人にも入っていただき、パートやアルバイトも入っていただきました。

岩田 へー、すごい。

設備投資以上に怖いのは、人を雇うこと

石川 あと、設備投資をする意思決定の壁があるかなと思っています。

設備投資はどうしても結構時間がかかる投資で、資金調達もしなければならないです。

地方ブランドで、売れているので、設備投資をして人を集めればもっと大きくなれる可能性があるのにやらないという例はたまに聞いていて、もったいないと思いますし、そういう壁があると思います。

岩田 どのくらいリスクを取るか、どのくらいの期間でそれを回収するかということですよね。

あえて踏み込みますが、石川さんの場合、その期間についてはどう考えていますか?

石川 設備投資は国の補助金を頂いてリスク軽減しているので、5~10年で考えています。

僕がそれ以上に怖いのは、人を雇うことです。

設備投資はお金の問題なので最終的には何とかなるのですが、人を雇うとなると、特に我々の場合は県外から来ていただいている人もいるので、その方々の人生を変えるかもしれない採用になるので、その方が悩みますね。

期間だけの問題ではないので。

岩田 門田さんが雇われたのは、五島の人ですか?

門田 1人は五島市役所勤務の夫を持つ方、1人はキリンからエースの後輩を引き抜き、もう1人は上五島出身で、長崎の大学を出た後に7年ほど東京の広告PR会社で働いていた方に、五島に帰ってきてもらいました。

岩田 雇う側は責任を感じていても、実は、雇われる方は意外と軽やかに来るのかなと思ったのですが。

門田 軽やかに来てくれていればいいのですが……。

岩田 彼らは、五島で一生を過ごすつもりなのでしょうか?

門田 そうだと信じているのですが。

岩田 なるほどね。

門田 分かりませんが(笑)。

岩田 ありがとうございます。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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