「組織のミッションを成し遂げることが自分の人生の幸せに繋がるんだ、と信じてる仲間で固めたい」
「みんなが主体性を持ってフラットに議論していくような環境を作ることが良いチームを作ること」
「他人が自分以上に自分のことに対して期待をしていることは絶対あり得ない。絶対何があっても、自分自身が一番自分に期待しないといけない」
「若い力が、世界を変える。世界を変える一歩を踏み出して欲しい。」
「社会を変える起業家になる」をテーマに真剣な議論を行いました。パネル・ディスカッションの後篇はチーム・マネジメントについての議論や社会起業家を目指す大学生に対する熱いメッセージを頂きました。ぜひご覧ください。
登壇者情報 2016年2月17日開催 ICCカンファレンス STARTUP 2016 Session 2 「社会を変える起業家になる」 (スピーカー) 安部 敏樹 一般社団法人リディラバ 代表理事/株式会社Ridilover 代表取締役社長 松田 悠介 認定NPO法人Teach For Japan 創業者 兼 代表理事 三輪 開人 NPO法人 e-Education 代表理事 米良 はるか READYFOR株式会社 代表取締役CEO (モデレーター) 小林 雅 ICCパートナーズ株式会社 代表取締役
前編はこちらをご覧ください:今後の教育のあるべき姿は?
「組織のミッションを成し遂げることが自分の人生の幸せに繋がるんだ、と信じてる仲間で固めたい」
小林氏 「教育」に関するトピックから組織運営について議論したいと思います。NPOのような社会課題を解決する活動は金銭的な報酬ではなく、実現したいことなどのミッションを大切にされていると思います。松田さんに伺いしたいのは強いチームを作る上で心がけていることはどのようなことでしょうか?
松田氏 明確に組織のビジョン・ミッションと、パーソナルミッション・ビジョンが一致してるというのが強い組織だと思います。
例えばエベレストを登ろうとするとチームで登るんですね。頂上にいくぞというビジョンに共感しているチームが編成されていて、お互いの役割で、チームの1人も欠けちゃいけないんですよ。誰1人として「俺、あの山登りたくないな」と思ってはいけないんですよね。
Teach For Japanはエベレストに登るぐらい難しい社会課題の解決に取り組もうと思っているので、Teach For Japanのチームにおいては、限りなく組織のビジョン・ミッションと、個人のミッション・ビジョンをリンクさせて、組織のミッションを成し遂げることが自分の人生の幸せに繋がるんだ、ということを信じる仲間で固めたいなと思っています。
「みんなが主体性を持ってフラットに議論していくような環境を作ることが良いチームを作ること」
小林氏 次にチームビルディングに関する本を書いている安部さんにチームビルディングとの極意を教えていただけないでしょうか?
安部氏 チームビルディングを東京大学で教えていますし、なんかそれらしいこと言えればと思っています。
私は修士論文のときに、非営利な環境下で人と人が集まった時にどういう状態になると成果が出やすいか?ということを、定量的に測る研究をしていました。その時に作った概念が、ちょっと難しい言葉なんですが、「発言確率のエントロピー」というものです。
例えばここに5人います。5人いた時に、小林さんがリーダーだとします。今は「T-0」のタイミングとし、次の瞬間を「T-1」としましょう。その瞬間に五人のうち誰が話をしているかという不確実性を測るというような研究です。
そこで会議をする時を考えてみましょう。たいていの場合、最初にリーダーがめちゃくちゃ喋ります。他の人は「そうですね」となど言いながらほとんどしゃべらない。
ところが次の「T-1」や「T-2」あるいは「T-100」と、時間発展が進んで行くとします。時間が発展するごとに、だんだんリーダーの発言数が減っていき、他のメンバーそれぞれが均等にランダムに発言するようになり、「私も話したい」となってくる状態が出てくるチームもあれば、相変わらずリーダーばかりが話しているチームもある。
で実際にパフォーマンスを見てみると、パフォーマンス高いチームは、前者のようなチームばかりであった。
まだまだより調べていきたいテーマであるのですが、いずれにせよこのことはどの組織やチームにおいても、価値のあるTIPSだと思っています。スタートのタイミングでは、リーダーが独占的にコミュニケーションをするんですね。そういうところからだんだんと他の人も議論をしていくような形に誘導し、フラットなディスカッションを生み出し、主体性が高まってくる状態をいかに作っていくかが大切な考え方です。
時間発展とともに発言確率のエントロピーが高まる、つまりみんなが主体性を持ってフラットに議論していくような環境を作ることが良いチームを作ることではないでしょうか。
「自分がこれをやってみたいと思うことがあったら、是非一歩踏み出してほしい。」(READYFOR 米良)
小林氏 安部さん、素晴らしい回答ありがとうございます! さすがですね。私も発言確率のエントロピーを意識したセッションのモデレーションを心がけたいと思いました。
もっと深く議論したいとこところではありますが、時間となったため最後に登壇者の方から参加者(大学生)の方へのメッセージをいただきたいと思います。
米良さん、メッセージをお願いいたします。
米良氏 私も大学生のときに若くして活躍している人の講演を聞いて、「何でこの人達はこんなに分かったような感じで喋ってるのかな」と思っていました。年齢はあまり変わらないし、目の前の課題を一生懸命解決しようと頑張っているだけなんですよね。
皆さんも「このような頑張っている人達もいるんだな」という刺激を受けるだけではなく、まずは行動してみるということを是非やっていただきたいです。自分がこれをやってみたいと思うことがあったら、どういう立場でもいいので、是非一歩踏み出してもらうことをしていただきたいですね。
「他人が自分以上に自分のことに対して期待をしていることは絶対あり得ない。絶対何があっても、自分自身が一番自分に期待しないといけない」
小林氏 米良さん、素晴らしいメッセージありがとうございます。ぜひ一歩を踏み出しましょう! 次に安部さん お願いいたします。
安部氏 次のアクションを何にしようかと悩んだ時に、1つの基準として、リスクが高い選択肢をとればいいんじゃないかなと思います。なぜかというと、働くことは生活が確保されるのであればそこからは自分の人生としてやりたいことは何か、ということを突き詰める段階に入ってくる。
例えば僕が自分でリスクをとって今の活動をやろうと思った時に、「最悪マグロを取れば食っていけるな」と思ってたんです。
ここにいる皆さんは能力があるし、おそらく何をしても食えないということは無いと思うんですよね。
それよりかは、自分の心が動くところにいくべきかな、と強く思っています。その際に是非お願いしたいのは、周囲の評価は気にしないということ。
僕は、自分が孤独な時間が長かったので、自分とはどういう人間か、周りは何を求めているのか、ということを考える時間が非常に多くあった。
是非 熱いメッセージを 動画でご覧ください
そうした中で思うようになったことは、他人が自分以上に自分のことに対して期待をしていることは絶対あり得ない、ということ。
絶対何があっても、自分自身が一番自分に期待しないといけないよ、というのは皆さんに最後伝えておきたいです。
先生や親や周囲の大人たちがいろいろと言ってくると思うのですが、最後は自分が自分に期待するしかないんですよ。他人が決めたキャップのために自分の人生を台無しにするのはもったいない。
自分自身で「これがやりたい」、「これがしたい」、「僕はこれぐらいいけるんじゃないか」、というふうに思ってやっていく。そうすると躓くこともあるし、辛い思いをすることもある。
それでも自分に対する期待値だけは下げないで欲しい。是非自分に期待してあげる人々になってもらいたいです。
「人間は堕落するんだから、堕落をなるべくしないような、お互い切磋琢磨する仲間作りを今からやってみよう」
小林氏 安部さん、素晴らしいメッセージありがとうございます。次に松田さんお願いいたします。
松田氏 これだけ世の中が複雑化していて、ますます社会課題であったり読めない世の中になってくると、リスクを取らないことが最大のリスクになってくる。積極的に踏み込んでやってほしいと思いますし、ここにいる登壇者の方々とか、他のセッションに登壇されている方々というのは、皆さんリスクを取られてるのですが、誰一人として後悔してる人なんていないと思うんですよね。
そういったものを1つのロールモデルにしていただきたいな思っています。とはいえ人間は堕落するものなので、講演を聞いて今はとてもモチベーションが高くなってるかもしれないですが、3日後には忘れています。心配しないで、人間はそういうものなんです。堕落するものなんです。
今出来ることとしては、堕落することを想定に入れながら、堕落をなるべくしないような、お互い切磋琢磨する仲間作りをすることです。今隣に座ってる人もそうかもしれないですし、自分の宣言を伝えていって、それが繋がって、「お前あんなこと言ってたけどどうなってんの?」みたいなことを、お互いが堕落をせずになるべく上に引き上げられるような関係性、環境を自分の周りにどんどん作っていく。
そうすればより魅力的な人も集まってくるし、いい循環になると思います。今から、今日からできることだと思いますので、是非アクションをとっていただきたいなと。一人で戦う事は孤独で辛いことなんでね、まず周囲を固めることを今日からやってみてはいかがでしょうか。
「若い力が、世界を変える。世界を変える一歩を踏み出して欲しい。」
小林氏 松田さん、ありがとうございます。最後に三輪さんにしっかりまとめていただきましょう。それでは三輪さんお願いします!
三輪氏 皆さんには一歩を踏み出して欲しい。
是非 熱いメッセージを 動画でご覧ください
起業のきっかけになった1人が、実は松田さんなんですよ。松田さんはハーバード大学に行くまでの記録というものをブログに書いてたんですね。しかも毎回自分で点数とか今日何時間勉強するというのを公開していたんです。
私それに感動して、当時バングラデシュにいたんですけど、誕生日にスカイプ(インターネット電話)をしたことを覚えています。あの頃は私はまだJICAで働いてたんですよ。
私は創業する前に何を決めたかというと、もし起業することを自分で選択するのであれば、松田さんのように人知れず小さく自分でブログを毎日続けてみようかなと。365日、自分が每日続けられるというところができたら、それは起業の準備ができてるかもしれないな、と決めて活動してたんですね。
ここにいらっしゃる皆さんは、努力家の方々も多いですし、おそらく始めたら上手くいくと思うんですよ。続ける力も、やめない粘り強さも持ってるんじゃないかと思うんです。
しかし、なんだかんだで最初の一歩が踏み出せないことが多い。私にとってはそれがブログでした。誰だって始められますよね。それくらいのことでも良いですし、なんだったら今日 登壇した方がの会社でインターンでもいいですし、ボランティアでもいいですし、何か声をかけてみる。その一歩が踏み出せたら、皆さんにとっても価値のある時間になる。
若い力が、世界を変える。世界を変える一歩を踏み出して欲しいです。
小林氏 三輪さん、最後にまとめていただきありがとうございます。それではセッションを終了したいとおもます。盛大な拍手をお願いいたします。
(終)
編集チーム:小林 雅/小林 泰/城山 ゆかり/藤田 功博
本セッションに登壇した4名の登壇者は2016年9月13日開催予定の「ICC/AIESEC ソーシャル・イノベーション・カンファレンス2016」に登壇します。学生は参加費無料です。是非ご参加ください。
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