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目の前の努力を通じてどれだけ自分に自信を持てるか?

「目の前の努力を通じてどれだけ自分に自信を持てるか。自信は大きな武器になる」(FiNC 溝口)

急成長を続ける企業を率いる若手経営者の集ったセッション。大学生活の有意義な過ごし方を含めた20代へのアドバイス、挑戦の大切さ、仕事への向き合い方について真剣なディスカッションが展開された。中編をご覧ください。

登壇者情報
 2016年2月17日開催
 ICCカンファレンス STARTUP 2016
 Session 1「 20代にどれだけチャレンジできるか?」

(スピーカー)
 宇佐美進典 株式会社VOYAGE GROUP 代表取締役CEO
 小泉 文明 株式会社メルカリ取締役
 玉川 憲 株式会社ソラコム 代表取締役社長
 平尾 丈 株式会社じげん 代表取締役社長
 溝口 勇児 株式会社FiNC 代表取締役社長CEO  

(モデレーター)
 小林 雅 ICCパートナーズ株式会社 代表取締役

前編はこちらをご覧ください:20代にどれだけチャレンジできたかで人生は大きく変わる


小林雅氏(以下、小林) 皆さん 自己紹介ありがとうございました。では、今からパネルディスカッションを始めたいと思います。せっかくの機会なので、参加者の皆さんから質問を受付けたいと思います。聞きたい人はいますか?こちらからまずは指名しましょうかね。いきなりですが、お願いします。

「最大8年もあるモラトリアム期間を活かして挑戦するのも良いのでは?」(VOYAGE GROUP 宇佐美)

質問者1 現在、大学に通っているのですが大学に卒業すべきだと思いますか?大学に行く意味があると思いますか?

小林 お子さんが大学生にいる立場で宇佐美さんに聞いてみましょうか。

宇佐美進典氏(以下、宇佐美) ちょうど最近、うちの息子が、「大学を辞めたいんだけど」という話をしていまして(笑)。

小林 でも大学を辞めたいっていうと、必ず反対するのは親じゃないですか。親の立場でちょっとお願いします。

宇佐美 「卒業した方がいいんじゃないか」という話をまっとうにしました(笑)。

小林 ミッション・インポッシブルという話を相反しませんか?(笑)。

宇佐美 そうはいっても、卒業した方がいいんじゃないかっていう(笑)。

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これは起業家というより親心的なところですね、ただ、入学するかという質問でしたっけ?卒業するか、ですね。であれば、他人の子どもであれば、いや、別に卒業しなくてもいいんじゃないかって言いますね(笑)。

大学時代で大事だったなと思うのは、ある意味、人生におけるモラトリアム期間なんですよね。何をやってもいいっていう。そのモラトリアムの期間をどう有効に活用するか、で言えば、それこそ4年間で卒業するのはもったいないと思っていて、休学するなり留学するなり留年するなり、マックス8年間にモラトリアムを延ばせるのであれば、延ばした期間の中で、その中でしか出来ないチャレンジもあると思うので、その立場を活かしながら、挑戦していけばいいんじゃないかな、と思います。すぐに辞めるということを選ぶんじゃなくてね。辞めることはいつでも出来るので。

小林 学生起業家であった平尾さんは、なぜまた卒業なんかしちゃったんですか?

平尾丈氏(以下、平尾) そうですね。僕意外と成績良かったと思うんですよね(笑)。今日エリートの方々が並んでいらっしゃるので下手(しもて)に座ってへりくだりながら謙譲語を使って仕る、という感じだと思うんですけど。

僕は高校生のときは、皆さんの中でも通っていた方がいらっしゃるかもしれませんけど、中高一貫校の海城中学高等学校というところにいきまして、私立の男子校出身なので、大学受験の予備校みたいな中高に行っていたんですよね。それだと東京大学に行きたい人が多いんですよ。で、何で行きたいのかっていうとあんまり理由のない子が多くてですね。やっぱり親に言われたからとか、兄貴が東大なんでとか、一番のがいいでしょとか、色々な理由もあるんですけど、なんかね、僕はしっくり来なかったんですよ。

小林 なんでそんなに上から目線なんですか(笑)。

平尾 そのときすごく反骨精神が強かったので(笑)。世の中に対して、主体的に生きていくために自分なりの解釈をしたくて、大学に行くことが近道にならない気がしたんですね。

そのとき自分は、新聞配達とかではなくて、ゲームがうまかったので、ゲーム大会のチャンピオンとかライターとかやったりしながら、お金を稼いでいたので、大学に行く必要もないと感じていました。ただ、たまたまテレビ番組を見ていて、一個上の大学生の18歳の大学一年生が起業をしているっていう話を聞いて。すごくそのときにビビビときて、大学に行ったら起業家になれる、と思ったんですよ。

で、そこでその学生がSFCだったんで、SFCを目指しました。起業家になっていったんですけどやっぱりですね、時代も変わって大学に行かなくても様々なチャンスが溢れている今を思うとどっちでもよかった可能性は正直あるんですけど、チャンスは広がっていったと思うんですよね。人との出会いっていうのが自分の人生を広げていったところがあって、大学の先生もそうですし、一生懸命やっているとついてきてくれる方とか協力してくれる方とか、喧嘩も多いですけど、自分の色がひとつ増えたところはありますね。

ただ、今日も先輩方がおっしゃったように、卒業という話はまた別の話かもしれませんし、あなたが例えば人脈も持っていて、能力も高くて、全部持っているんだったら、別にいま行く必要ないんじゃないかな、と思っています。当時から10年くらい経って、家でも勉強できたり、インターネットでも授業が聞けるようになってきてたりするので、あんまり集って行く必要とかは前よりは薄くなっている気がしますね。

「大学へ行く行かないは枝葉の問題。「自分が一生懸命頑張れる環境は何なのか」ということを考えるべき」(FiNC 溝口)

溝口勇児氏(以下、溝口) 僕はちなみに大学に行っていないんですけど。宇佐美さんの場合だと、大学の期間はモラトリアムで色々な経験をした方がいいとおっしゃられていたと思うんですけど、僕はひとつのことを一生懸命やってきたタイプなんですよね。

僕の昨年からのテーマは「起業家以外の人と付き合おう」なんですね。特に同じステージの起業家ってみんな似たり寄ったりで、すごく楽しいんですけど、あまり新しい気づきや刺激は少ないんですよ。

昨日一緒に食事していた方は俳優やアスリートだったので、違う領域を極めた人のわけですが、全然違うんですよね僕とバックグランドが。やっぱり活躍する人たちの共通項は、目の前のことを一生懸命頑張っていますよね。一生懸命目の前のことを頑張っていれば、その道のプロになるんですよ。例えば僕だったら、高校生のときからトレーナーをやっていて、プロ野球選手とかプロバスケットボール選手の指導をしていたんですけど、一生懸命やっていたらその道のプロになって、その道のプロになるとやりたいことが結構明確になるんですよね。

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いま僕が事業を通じて解決したいと思っているのは、大きく3つで、ひとつは不健康期間というのがあって、簡単に言うと寝たきりの期間ですね。それは1人当たり平均して11年間あります。「人の支えがないと生きられない期間」が11年間あって、なかなか皆さんこれを知らないんですけど。例えば、ここにいらっしゃる方は少ないかもしれないですけど、ものすごくコンプレックスを抱えている人ってたくさんいらっしゃるんですね。

肌が荒れている、太っているとか、猫背だったりとか、色々なコンプレックスを持っていたり、腰痛、膝痛とか、偏頭痛を持っている人とか。それが重たくて、今を快活に生きられない人っていっぱいいるんですよね。一生懸命その道を頑張っていたら、そういう人と出会ったりして、それをなんとか解決したいな、と思ったときに、「今の環境じゃないな」「もっと多くの人に」とか「よりコストを安く」とか「より多くの人に届けるにはどうすればいいんだろう」という感情が湧いてきたんです。

ですから、大学を卒業するとかしないとかって枝葉末節の話だと思うんですよ。つまり、「自分が一生懸命頑張れる環境は何なのか」っていうことを選択することが大切なんじゃないかなと思っています。

小泉文明氏(以下、小泉) 最近思うのが、僕らの会社(メルカリ)に中学生や高校生から応募が来るんですよ。開成とか灘とか、昨日は高校1年生が面接に来ていて、「大検は簡単に受かるから、高校辞めたいんです」って言うんですよ。ビジネスの勉強をしたいって言っていて。

いま日本のグローバルで勝てる会社は、うち(メルカリ)が一番進んでいると思うんですよね。いまUSのAppStoreのショッピングのランキングで僕らが8位なんですね、その上はAmazonとかeBayとかそういうところまで、今きているんですけど。

僕ら創業して3年なんですが、そういうスピード感ある中でグローバルで戦っているので、そういうのを勉強してきて、メルカリでインターンしたいという高校生が最近すごく増えてきているんですね。それは、すごく新しいトレンドだな~と思っています。しかも、それを親が推奨している、という。親も、「別にいいよ、辞めなよ、大学までなにしてもいいよ」っていう感じで、親から「メルカリいいからメルカリ行って来なさい」と言われた子もいたりして。結構キャリアの多様化とか、みなさんが得られる情報の多様化とかって非常に進んでいると思うので、思ったときにチャレンジしてみるっていう、その一歩が非常に大事なんじゃないかな、と思っていますね。

小林 ありがとうございます。それでは他に質問したい人はいますか?

「目の前の努力を通じてどれだけ自分に自信を持てるか。自信は大きな武器になる」(FiNC 溝口)

質問者2 溝口さんは、幼少の頃から様々なご経験をされてきたと思うんですけど、「若い頃の苦労はお金を払ってでもしろ」という言葉があるぐらいなんですけど、幼少の頃や10代、20代のご経験というのは、今にどのように活かされているのでしょうか。

溝口 僕の中ですごく大きかったのは、やっぱり人間って自信がどれだけ自分に対して持てるかっていうのは非常に武器になって。自信は内からにじみ出てくるんですよね。ですから、言う人によって、同じ言葉でも届き方が違ったりすると思うんですけど。僕は、自分に対して何が自信があるかって言えば、ひとつは今31歳ですけど、物理的に先進国で僕よりも長い時間働いてきた人は存在しないと思っているんですね、同じ位の年齢だったら。ですから、僕は本当に地道に積み上げてきたという自負があって、それだけやってきたからこそ、誰にも負けたくないなって思っています。お世話になっている人もいま社内も社外も含めて、幸運なことに本当に一流の人に支えて頂いているので、逆にこれだけの環境があれば、大事を成し遂げられないはずがない、みたいないわゆる客観的な根拠も含めた自信がついたっていうのが大きかったですね。

小林 平尾さん いかがでしょうか?

平尾 私は中学生ぐらいの頃から、ゲームブームが来ていて、皆さん、もう知らないと思うんですけど、スーパーファミコンとか、ストリートファイターとかですね。私は家が貧乏だったので、ゲームを買ってもらえなかったんです。友だちより早く帰って、友だちの家に行って、ゲームをするっていうのをずっとやっていて、どんどん上手くなりました。

プロゲーマーぐらいの域までいきまして。やればやるほどどんどん上手くなって、動体視力がめちゃくちゃ良くなりましたね(笑)。60分の1フレーム、60分の1秒で1コマが動くんですよね。僕は60分の8フレーム程度まで、当時見られたので、格闘ゲームであれば、昇龍拳という技がありまして。人が飛んできたときに、アッパーカットで打ち落とすんですよ。それは普通の技なんですけど、無敵時間っていうのが、3フレームだけあって、相手が何を出してきても、後出しジャンケンで、見えてからコマンド入力して4フレームで入力すれば、ぎりぎり見えてからの動きで、昇龍拳で打ち落とせるんですよね。

100連勝とかしていて、今は起業家としてご存知の方が多いですが、中高のときはゲーマーやゲーム攻略で少しは名が通ってました。その時の経験から集中力と探究および向上心が芽生えて大体1週間位あれば何でもキャッチアップ出来るかなと思うようになりました。その集中力と努力する力は会社経営でもとても役に立っています。

小林 どんどん自慢大会になってますけど(笑)。

玉川憲氏(以下、玉川) 努力型に関して、報われなくても、気持ちいいというか、感動する経験があるっていう話をしたいと思うんですけど。

さっき言ったように、20代後半で、「留学しないとダメだ、グローバルで活躍したいし、どっかでやらないといけない」と思っていたんですね。いわゆる日本人で英語にふれずに育った人って、もう耳がね、バカになっているんですよ。英語の子音の音が聞こえないようにフィルタリングされているんですよね。あとで知ったんですけど。そうなると、どうならないといけないかというと、英語を聞いたときも文脈の中で頭を使って、その子音の音を推測しないといけないんですよ、それぐらいハンデがあるんですけど。

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僕はカーネギーメロンのMBAに行こうと思って、そうするとTOEFLという留学の試験があるんですよね。それで高い点数をとらないと入れないんですね。1ヶ月に1回しか受けられないんですよ。そのTOEFLがうまく出来ていて、昔は300点満点で、270点をとらないといけなかったんですけど、毎回ほぼ260点なんですよ。毎回、毎月そうで。それでずっと受け続けて、8回9回受けていて、このまま行くとやばい、行けなくなる、と。会社から許されている期間もあって、あと4ヶ月位しかなかったんですよね。で、もう何をやればいいか分からなくなったんですけど、MBAに行った先輩に聞いたら、やれることを全てやらないといけない、と。

その先輩が言ったのが、聞き取る能力を高めるためには、自分がしゃべる速度の2倍か3倍までしか聞き取れないっていう、それらしいことを言ってくれたんですよね。これだ、と。じゃあ、俺は早くしゃべらないといけない、そうすると聞き取れるようになる、と。その日から朝早起きして、5時くらいに起きて、2時間シャドーイングといって早い速度を真似するっていうのをずっとやったんですよ。

秋ぐらいから始めて、大晦日もやって、正月もやって、やっているときに涙が出てきて、「なにこれ、この感覚。やるべきことをやっている」みたいな感覚が出たその月に270点ちかくとれたんですよ。そこで、自分自身で壁を突破したという感覚があったので、とはいえ、まだ耳は弱いのでネイティブみたいにはならないんですけど、でも何らかの道はあるっていう。

小林 玉川さんは耳が良くなって、平尾さんは目がいいということですね(笑)。ちなみにですね、スピードって、仕事をする上で基礎体力として非常に重要だなと思っていて、同じことするんだったら、人の10倍のスピードで出来ると、人の10倍仕事が出来るようになるから、経験値が10倍というか更に色々な経験が出来るようになるので、同じことやるんだったらすぐにやろうと、というのは非常に重要かな、と思いますね。

玉川 ひとつ言えるのは、英語は若い頃からやっておかないと、ダメですね。耳がダメなので。子どもの教育っていう意味だと適齢期というのがあって、運動神経とか音楽とかそれぞれの適齢期にきちっとやっておくというのがすごく大事みたいですね。

小林 何でもそうですよね。サッカーも子どもの頃からやっている人はうまいし、英語もそうだと思うんですけど。当たり前ですよね。生活習慣そのものなので、子どものとき歯磨きしていない人は大人になっても歯磨きできないみたいな。

続いて、何か質問ありますか。スタッフの人に聞いてみますかね。

「一つの武器でなく複数の武器を持つのは強みになり得る」(じげん 平尾)

質問者4 私は、今の会社で、新卒採用にも携わっているんですけれども、その中で学生さんを見ていると、今インターンをしている方が多いのかな、と思っていて、良くも悪くもそれがトレンドになっているのかな、と思っています。皆さんにお伺いしたいのが、学生の内に、インターンなどに限らず、これはやっておいて良かったということであるとか、これはやっておけばよかったなというのがあれば教えて頂きたいな、と思います。

小林 平尾さん いかがでしょうか?

平尾 学生時代やった方がいいっていわれることは、結構いっぱいありますよね。だから大学生のとき迷うんですよね。色々な勉強しないといけないことがあるし、それ以外にも選択肢がすごくあるし。しかも私たちの時代よりも、今の皆さんの方が選択肢がより多い。そうすると余計に「これやった方がいいんじゃないか」とか、「あの人がこれ言っていた」とか、すごく迷うわけですよね。

自分も起業家になりたくてSFCに入ったんだけど、そのテレビに出ていた方にお会いしてみたら、何かちょっと違うなと思って、大学1年生の春学期に一気に自分のキャリアのロールモデルを失ったんですよ。そこで「なんで大学行っているんだろう」という疑問が湧いて、そこからもう一回ロールモデルを探したくて、1万人に会おう計画というのをやったんですよ、社会人限定で。そこからひたすら色々な方にお会いして。

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その中で20代のキャリアで皆さんが苦戦されていらしたところって、何のスキルか、とか、何に没頭するべきかっていうところで、時間を使っているなと思っていたんですよね。大学2年生位までは、環境情報学部っていうところで、「ITのスキルで、ITハッカーになったらIT社長になれるだろう」みたいなキャリアを描いていたんですけど、そこから少しキャリアチェンジというか、やっぱり自分の方向性を見直したんですよね。

SFCに村井先生という日本のインターネットの父がおりまして、村井研ってすごいハッカーがいっぱいいるんですよ。彼らを1週間で倒せるだろう、と思っていたんですけど、なかなか倒せなくてですね(笑)。スーパーエンジニアがいっぱいいて、自分は彼らと同じ土俵で戦うんではなくて、違う土俵で戦ったらいいんじゃないか、彼らが成長し、興奮し続ける舞台を創ることが自分の強みなのではないか、テクニカルスキルよりも自分はポータブルでどこでも持ち運べるものにスキルを分解していったんですよね。それは例えば、問題発見能力や解決能力。こういうプレゼンテーションもそうですし、一対一での話の仕方とかですね、スキルとも言えないような話はいっぱいあるんですけど、それをいっぱい持つことですね。ひとつの分野で1万人の中の1人の方はいっぱいいらっしゃったんですけど、それを3つとか4つとか5つを持っている人はほぼいなかったので、そうなったら自分はすごく希少性が上がってバリューアップするんじゃないかな、と思ってやっていました。様々なタイプの人間に対して、その時その時に対応できるように変わっていったので、ポータブルなスキルを今からやっておくといいですよ。というのがありますね。

「仲間を集め、何かを成し遂げる経験は若い時にやっておくべき」(メルカリ 小泉)

小林 小泉さん、いかがでしょうか? 部活をずっとやっていたんですよね。

小泉 僕は小学校から大学まで、部活のキャプテンとか大学もサークルのトップとかですね、その経験が今のマネジメントに活きているな~という実感は正直ありますね。やっぱり組織のトップに立つって、学生はフラットな関係じゃないですか、それは別に、お給料を払うとか利害関係がないですよね。そういう利害関係がない中で、組織の上に立つって、何かしら工夫がないとみんなが振り向いてくれないというところがある中で。学生にアドバイスをするとすれば、何でもいいので組織を引っ張るとかグループを引っ張るとか、何か事を成し遂げるために、仲間を集めるとかですね、そういう経験は若い内にやっておかないと、おそらくその後は基本的に就職活動して、社会に出て行った後は、ずっと下っ端なんですよね。

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上に立つ立場っていつ来るか分からないんですよね。学生時代は、その上に立つ立場になるチャンスだと思っているし、若い内からトレーニングしないといけない。学生時代からみんなを率いるということをやってみるといいのかな、と。その分失敗もしますし、学生内で喧嘩をしたり、辛い思いもしたりするんですけども。僕が大学のとき、サークルに名簿で280名くらいいたんですよね。非常に大きいサークルだったんですけど、その中での経験が、人間は給料ではないところで、どうしたらモチベーションが上がるんだろう、という問いとかが、今にすごく活きているのでいいかな、と思います。

小林 具体的に言うと、学生時代に、マネジメントという視点でいうと、どのような取り組みをしていたんですか?

小泉 企業ですと、四半期にコミットメントたてて、達成の度合いを見るじゃないですか。結構ああいうのをやっていましたね。社会人みたいなマネジメントをしていて、飲み会の人数がこのくらい必要だから、それに対してどうアプローチしていこう、とか(笑)。
新歓の時期は、チラシを5万枚くらい配るんですよ。僕らは営業しに行って、広告費をとってきて、ビラを全部ただで配っていたんですけど、そういう営業戦略をたてたりですね。ほぼ社会人に近いことをやっていまして、僕らのサークルは一年間で2千何百万円を動かしていたので、利益が百何十万円出ているみたいなですね。そういうのは具体的な例でいうとありましたね。

小林 そういうのってやれって言ってもやらない人っているじゃないですか。金銭的なモチベーションがない状態で、何をどうやってモチベートしていたんですか?

小泉 やっぱりゴールの設定ですね。1個上の先輩の代が完全に失敗しちゃっていたんですよ。僕が3年生のときに、2年生の代にほとんど人がいなかったんですよね。で、建て直さないといけない、という中で、「もう一回楽しいサークルを作ろう」「日本一のサークルを作ろう」というのをモチベーションにしましたね。
結構ターンアラウンドに近くてですね、何でもやったというか、がむしゃらにやったという感じですね。

小林 なるほど。この中で部活やサークルの代表とか副代表とかしている人は、どのぐらいいらっしゃいますか?ラクロス部の人がいましたよね?今マネジメントで気をつけていることとかありますか?

「働きがいって、会社に与えてもらうものではなくて、自分で創りだしていくもの」(VOYGAGE GROUP 宇佐美)

質問者5 東京大学のラクロス部に所属しておりまして、4年間選手としてやって、その後に120人くらい選手がいる中の2軍の監督をしていました。

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小林 その経験で、今聞いたことはありますか?

質問者5 そうですね。給料がない中で、人をどうモチベートするか、というところは聞きたいな、と思いましたね。

小林 この中で、給料以外のところで人をモチベートするのに長けている人に聞いてみましょうか。宇佐美さんですかね。働きがいのある会社ですよね。

宇佐美 2015年、2016年と働きがいのある会社ランキングで1位になりました。

小林 おめでとうございます。

(会場拍手)

宇佐美 働きがいって、会社がつくるものとか与えるものではなくて、自分で創りだしていくものなんですよね。モチベーション自体を誰かに与えてもらうものではなくて、やっぱりそれぞれが自分で自分をどうモチベートさせていくのか、というのがすごく大事で、それをどう仕組み化させていくのかっていうのは、すごく大事だと思っています。

なので、僕らとしては基本的に会社や事業が向かう方向性と個人がやりたいと思っている方向性をいかにすり合わせるのか、というところを大事にしています。「会社の方向性はこうだけど、自分はこうやりたい」とか1人で考えていると結構ベクトルがずれるんですよね、誰かが翻訳してあげて、「こっちやりたいと思っているって言ったけど、実はこっちじゃないの?会社がやろうとしていることとベクトル合うんじゃないの?」っていう風に翻訳してあげることって大事だと思っています。それが多分目標設定であったり、目標に対してのフィードバックであったり、日常のコミュニケーションなんじゃないかな、と思っています。

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あとは、仕組みで出来る部分と、仕組みではなくて、相互作用の中でモチベートさせていくみたいな雰囲気創りも大事だと思っています。それは例えば承認欲求をどう満たしていくのか、例えばちょっと褒めるであったり、とか、逆に褒めるだけではなくて、ちゃんと叱るであったり、それをうまくバランスをとってやっていくことが大切なんじゃないか、と。

組織作りは布を織るイメージを持っています。例えばレポートラインは縦のラインですね、トップがいてマネージャーがいてメンバーがいて。一方で同期や同じ職種での横同士のコミュニケーションであったり、斜めのコミュニケーションであったりがあって、これらをいかにメッシュ状の厚い布にしていくのかが大事なんです。そのうえで、組織内でのコミュニケーション内容をどう創っていくのか。オフライン、オンライン、あとはオフィシャル(公式)、アンオフィシャル(非公式)というのをどう組み合わせていくのか、という、そういう感じでやっています。

小林 宇佐美さん 深い話をありがとうございます。

(続)

編集チーム:小林 雅/小林 泰/城山 ゆかり/藤田 功博

続きはこちらをご覧ください:「完全燃焼せよ。常に自分に問いかけよ。」

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