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ICCサミット FUKUOKA 2018 スタートアップ・カタパルトに登壇し、2位に入賞したvKirirom 猪塚 武さんの【vKirirom(ヴィ・キリロム)はカンボジアに学園都市を創り、次世代のIT人材を育成する】プレゼンテーションの文字起こし記事をぜひご覧ください。
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
スタートアップビジネスの「エコシステム」を構築し、日本の起業家を支援するプログラム「IBM BlueHub」は「STARTUP CATAPULT」のオフィシャル・サポーターです。
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【登壇者情報】
2018年2月20日・21日・22日開催
ICCサミット KYOTO 2018
Session 1B
STARTUP CATAPULT
-スタートアップの登竜門-
Supported by IBM BlueHub
(プレゼンター)
猪塚 武
vKirirom Pte., Ltd.
CEO
1967年香川県出身。早稲田大学理工学部卒、東京工業大学修士課程修了。アクセンチュアを経て、政治家を志すが落選。1998年に株式会社デジタルフォレストを設立し日本No.1(2006年)のアクセス解析ソフトの会社になる。2009年にNTTコミュニケーションズ社に事業売却。2011年より約1万haの広さの「vキリロムネイチャーシティ」を立ち上げカンボジアのナショナルブランドとなる。中心的役割を果たすキリロム工科大学は世界的なITエンジニアを養成する先端技術IT学科からスタートしカンボジアの上位1%の学生118人が全寮制で学ぶ。学生が応募したアプリ開発コンテスト、ハッカソンなどは開幕6連勝中。vKirirom Pte., Ltd.は「デロイト 2017年 アジア太平洋地域テクノロジー Fast 500」で28位を獲得(日本・ASEAN地域内1位)。世界的な起業家組織EOの日本支部会長、カンボジア支部会長、アジアの理事を歴任。
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猪塚 武氏(以下、猪塚) 皆さんおはようございます、キリロム工科大学 学長の猪塚 武です。
今日は「キリロム工科大学」と「vキリロムネイチャーシティ構想」についてお話ししたいと思います。
まず私は、シリアル・アントレプレナー(連続起業家)です。
以前はデジタルフォレストという会社を経営し「Visionalist」という日本1位のアクセス解析ツールを提供していました。
その後、2005年に「Google Analytics」が無料で登場し、非常に厳しい経営環境になっていきました。
後に会社をNTTコミュニケーションズに売却し、2010年には世界へと旅に出ました。
カンボジアに日本の成長企業のための人材育成拠点を
本日(ICCサミットに)お越しの成長企業の皆さんは、こんな若手人材が欲しくはないでしょうか?
英語が堪能で日本語ができ、最先端の技術を持っている。
地頭が良く、リーダーの素質がある。
そして、すぐに辞めないという若手人材です。
もしGoogle Analyticsが登場した時にこのような人材がいたら、当時の私の会社はもう少しGoogleに対抗できたかなと思います。
しかしながら、そのような人材は一体どこにいるでしょうか?
私たちはインドと中国にも会社を作りましたが、日本にはそもそも英語のできる人材が非常に少なく、インド人の意識はシリコンバレーを向いていて、中国はすでに自国に巨大な経済を持っています。
したがって日本企業にとって、一緒にイノベーションを実現できる、前述のような人材を見つけることは簡単ではありません。
そして、これが私の結論です。
「日本の成長企業のための人材育成拠点を、カンボジアに作る」。
それを具体化したのが「キリロム工科大学」と「vキリロムネイチャーシティ構想」です。
キリロム工科大学は学費・生活費無料の全寮制大学
キリロム工科大学は、2014年にカンボジアに設立された全寮制の大学です。
実は日本には、本学のように英語でITを教える大学はありません。
4年間のインターンシップで最先端技術を学ぶことができ、学費、生活費は完全無料です。
入試倍率は20倍の難関校になっています。
しばしば、なぜカンボジアなのか? と聞かれます。
様々な理由がありますが、一番大きな点は、まだ規制がほとんどないため日本ではできない「未来の教育」が可能である、ということです。
そしてもう1つ、全寮制の大学を非常に低コストで運営できるという強みがあります。
学生を4年間で「著しく」優秀に育てるインターンシップ制度
私たちは、カンボジア人学生を大学の4年間で著しく優秀な人材に育てる仕組みを完成させることができました。
学生はIQ(知能指数)で選別された後、起業家文化を学び、英語でITを学び、先端IT技術を習得します。
全寮制という特徴を生かして、P2Pラーニング(peer to peer learning:学生どうしで評価を行うことで、自主性を高める学習方法)で学ぶことができます。
そしてデザインシンキングの方法に沿ってビジネスで成果を出す、要するに学生でありながら、実際にビジネスを行い「儲ける」ことを実践します。
これはインターンシップの一例ですが、ドローン技術については動画撮影から測量、エンタメに至るまで、全ての実験を実施しています。
VR/AR分野においては、早くからHoloLensやVIVEも導入し、VR/AR対応の不動産用ソフトも開発・販売しています。
また、日本では(規制のため)なかなか難しいことですが、インターンシップを通じて、電気と水道のメーターが合体した「IoTメーター」を開発し、本学が提供している全住居に設置しています。
動画・インフォグラフィックス制作についても、実際に企業から受注し、成果物を納品しています。
さらにFintech分野においては、インターンを通じて学生たちが決済アプリを導入した端末を開発し、私たちの運営するリゾート全体において、キャッシュレス、ペーパーレスを実現しています。
また本学の学生はERP(財務、人事、顧客情報などの企業の基幹業務をサポートするシステム)に長けており、ERPを全社導入してします。
セキュリティーオートメーション技術については、敷地が広いためメッシュネットワークのWi-Fiを用いてセキュリティーカメラとAIシステムを繋ぎ、違法伐採者はいないか、象が来ていないか、お客様が迷子になっていないか等を通知する仕組みを作っています。
また私たちの不動産事業はサブリース(転貸)のため登記簿が出ませんので、スマートコントラクトを使ったブロックチェーンの仕組みを開発し、不動産契約に利用しています。
▶参考:「不動産業へのブロックチェーンの応用可能性~不動産テックの動向とブロックチェーンの応用例~」(ニッセイ基礎研究所)
このようなインターンシップの結果、カンボジアのアプリ開発コンテスト・ハッカソンにおいて、本学の学生は開幕から5連勝中、一度も負けなしという状況です。
世界の優秀な人材が集まる「インターナショナル大学」に
なぜ、キリロム工科大学から優秀な学生が生まれるのか。
まず一番に、入試倍率が20倍と高いため才能のある学生が集まる、これがほぼ全てです。
加えて、学生は青春を犠牲にして猛勉強しています。
授業とインターンシップを合わせて週44時間です。
さらに、提携する企業と学生のWin-Winソリューションが挙げられます。
企業が1人の学生に200万円の奨学金を支払い、学生は卒業後4年間、その企業で働く制度があります。
そして大学は、学生の価値向上のみに集中しています。
この仕組みの結果として、ある学生さんの例を紹介したいと思います。
彼女は、本学を出ていなければ年収は38万円程度だったと思いますが、日本で働くことが決まり、その年収は10倍の380万円となる予定です。
そして今年の4月には、10人以上の日本人学生がキリロム工科大学の正規の学生として入学します。
▶編集注:当プレゼンテーションは、2018年2月に開催されたICC FUKUOKA 2018で行われました。
そして、教育・就職・生活等、世界の様々な問題を集め、解決する「インターナショナル大学」になります。
キリロム工科大学のユニークなビジネススキーム
次に、キリロム工科大学のビジネスについてお話ししたいと思います。
私たちは寄付や政府助成金に依存しておらず、民間の学校として独立した経営を行っています。
ここに米国のスタンフォード大学との比較を示しますが、私たちにも大きな土地がありますので、学生や住民に部屋を貸出し、企業に土地を貸出し、学生発ベンチャーに投資し、寄付を集めることができます。
大きな違いは、キリロム工科大学では「エコツーリズム」(※)が成立することです。
▶編集注:エコツーリズムとは、地域ぐるみで自然環境や歴史文化など、地域固有の魅力を観光客に伝えることにより、その価値や大切さが理解され、保全につながっていくことを目指していく仕組み。(環境省 自然環境局「エコツーリズムのススメ」より)
これによって、世界中のお客さんを集めることができます。
そして、キリロム工科大学は企業から奨学金と仕事の発注をもらい、企業に対して人材確保と開発力を提供する、そういった仕組みです。
vキリロムネイチャーシティー:10万人の都市開発事業
次に、私たちが「vキリロムネイチャーシティ」と呼んでいる都市開発事業についてお話ししたいと思います。
私たちには、他の企業や行政にはできない社会実験を行える強みがあります。
1つ目は「教育の実験」
2つ目は「観光のイノベーション」
3つ目は「都市のイノベーション」です。
イメージを持って頂くために、私たちのTV CMをご覧ください。
「vKirirom Pine Resort TV CM」(出所:Youtube)
私たちのFacebookは100万を超えるいいね!をもらっており、カンボジアの人口(約1,600万人)比で考えると、日本における楽天さん並の認知度です。
カンボジアの若い人たちは全員、私たちのことを知っています。
私たちの大学はドリームスクールと呼ばれ、これまで別の大学で成績1位だった学生が、中退して本学に入学するというケースも出ています。
私たちの都市の最終目標は「10万人の街」です。
約1万haの土地に、観光客200万人(年間)、学生3万人、そして定住者5万人。
ゴルフ場もできる予定です。
シンガポール法人なので表には出てきませんが、私たちはテクノロジー企業として、実は「デロイト 2017年 アジア太平洋地域テクノロジー Fast 500」における影の日本1位です。
参考:「テクノロジー企業成長率ランキング「デロイト 2017年 アジア太平洋地域テクノロジー Fast 500」発表」(デロイト トーマツ ニュースリリース)
そして2021年には、IPO(株式公開)を目指したいと考えています。
最後に、今日(ICCに参加された)皆さまに3つのお願いがあります。
1つ目は、学生1人当たり200万円の奨学金を提供頂く、学生の奨学金パートナーになって頂きたいということです。
これまで、12社から20人の学生が奨学金を得ています。
2つ目は、先端技術の開発を皆さんと一緒に行いたい、ということです。
そして3つ目は、投資家の方々へのお願いです。
これまでエンジェル投資家から約6億円を調達していますが、街を作っていますので、もう少し調達を継続したいと思います。
そして最後になりますが、ぜひ皆さんに視察に、そして遊びに来て頂けたらと思っています。
今日はどうもありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/戸田 秀成/浅郷 浩子/尾形 佳靖/平井 優花
【編集部コメント】
日本でも筑波市などの研究学園都市がありますが、vKiriromではそこにリゾート開発も含めた設計を、それもカンボジアにされているということで、その壮大な構想に度肝を抜かれました。カンボジアへの出張・旅行の際には、ぜひvKiriromにお立ち寄りください!(尾形)
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