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ICCサミット FUKUOKA 2019 CRAFTED カタパルトに登壇いただいた、ライフスタイルアクセント 山田敏夫さんのプレゼンテーション【日本の“創意工夫”を世界へ!工場直結ファッションブランド「ファクトリエ」の新たな挑戦】の文字起こし記事をぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 プレミアム・スポンサーのLexus International Co.様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2019年2月19日〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 8B
CRAFTED CATAPULT
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by Lexus International Co.
(プレゼンター)
山田 敏夫
ライフスタイルアクセント株式会社
代表取締役社長
公式HP|STARTUP DB|LinkedInページ
1982年熊本生まれ。1917年創業の老舗婦人服店の息子として、日本製の上質で豊かな色合いのメイドインジャパン製品に囲まれて育つ。大学在学中、フランスへ留学しグッチ・パリ店で勤務。2012年1月、ライフスタイルアクセント株式会社を設立し、同年10月に「ファクトリエ」をスタートさせる。著書に「ものがたりのあるものづくり(日経BP社:2018年)」がある。
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▶「ICC FUKUOKA 2019 CRAFTED カタパルト」の配信済み記事一覧
山田 敏夫氏 皆様こんにちは、ファクトリエの山田です。
本日は、「クラフトマンシップをどのように世界に持っていくか」というお話をしたいと思います。
私たちファクトリエは、日本製の服を作って販売する、というとてもシンプルなことを行っています。
「語れるもので日々を豊かに」というミッションを大切にしています。
そして、「作り手の想いで買う」という価値基準を作っています。
「ファッション性」「経済性」という既存の2つの軸に加えて、「作り手の想いで買う」という3つ目の軸を作りたいと思っています。
そして「世界一のクラフトマンシップの伝え手となる」というのが私たちのビジョンです。
私自身が、熊本にある創業100年の婦人服屋で生まれ育ったというのが、そうした想いの原体験になっています。
「作り手」をオープンにして伝える、モノづくり
ファクトリエは、インターネットで洋服を販売しています。
私は普段、工場を回っていることが多く、毎月10~20の工場を回り、そこでの新たな出会いを楽しみにしています。
これまでに600以上の工場を回り、現在、55の工場と一緒にモノづくりを行っています。
これまでの軌跡ですが、会社を立ち上げて6年の間に、55の工場と2,400の商品を作りました。
私たちは「伝え手」ですので、誰が作っているかを伝えることを大切にしています。
「熊本の山並次男さんが作ったシャツです」
「福岡の市丸和幸さんが作ったスニーカーです」
というように、それぞれの作り手をオープンにして、
「この人たちが作った素晴らしい商品を、ぜひ買ってください」というコミュニケーションをとっています。
日本のモノづくりの強みは、現場で生まれる「創意工夫」
6年間にわたって、こうした「伝える」ということを続けてきてわかったことがあります。
それは、日本には世界が驚くような素晴らしいモノづくりがあるということです。
その強さは何かと考えると、LEXUSの鏡面仕上げもそうだと思いますが、私は「創意工夫」という言葉に尽きると考えています。
その創意工夫を商品化した一例を、ご紹介したいと思います。
「汚れない白デニム」です。
この商品は、徳島で紡績を行い、ジーンズの聖地と言われている岡山で作っています。
ジーンズの世界で初めて「ワンウォッシュ(※)」をかけたのが岡山と言われています。
▶編集中:ワンウォッシュとは、ジーンズにおける加工手法の1つ。出来上がったジーンズを文字通り一度“洗い”(ウォッシュ)にかけることで、新品にはない柔らかさや風合いを出す。
私たちはこのワンウォッシュに新技術である「汚れないプルーフェクト加工」を加えることで、新たな商品を生み出しました。
手作業でよく揉み込んで、そのまま數十分間、溶剤に浸します。
その後ベイキングと言って、高音の熱で数分間焼くことで、溶剤が固着します。
100回洗っても撥水効果は落ちないので、半永久的に汚れずに使えます。
工場が持つ創意工夫を「知財」として世界へ
私は、この「汚れない白デニム」を単に“面白アイテム”として紹介したわけではありません。
これまで私は、何を以ってクラフトマンシップを世界に持っていくか、ということにずっと悩んでいました。
悩みに悩みながら「伝えるだけでは日本の工場は復活しない」ということも分かりました。
そこで我々は、そうした創意工夫を「知財」として世界に持っていくという取り組みをスタートしました。
出典:【Fresh Faces #202】山田敏夫(ファクトリエ 代表)(YouTubeチャンネル「Fresh Faces 〜アタラシイヒト〜BS朝日」より)
これも、私たちが作っている商品です。
何を作っているのか、少し想像してみてください。
先ほど「絶対に汚れないデニム」をご紹介しましたが、これは「絶対にやぶれないソックス」です。
ソックスは摩耗検査を500回して破れなければ「強度が高い」とされていますが、このソックスは30,000回の摩耗検査を行いました。
しかも、もし万が一「破れたら永久に交換します」という保証をつけています。
これを実現することによって私たちからお客様にお渡ししたい価値は、「長く使っていただける商品である」ということです。
家族のように愛着を持って長く使ってもらい、「消耗」から「愛着」に変えたいと思っています。
分野を横断した“クラフトマンシップ アライアンス”を
ちなみに、「ファクトリエ」というのはブランド名で、「ライフスタイルアクセント」が社名です。
ファクトリエは伝えることを主軸としたブランドで、ここで発見した技術をクラフトマンシップに活用しています。
例えば自動車。クルマは一つひとつがブランドですが、その過程でできたエンジンは、他の色々なブランドに使われています。
小説『下町ロケット』で言えば、佃製作所が開発したバルブシステムが帝国重工で使われたように、この技術をあらゆるところで使っていくというのが、私たちが行っていることです。
そして、今日私がここに来たのは、ぜひ皆さんとコラボしたいと思っているからです。
私たちが提携している55社は、今日も明日の創意工夫に打ち込んでいます。
その55の工場の創意工夫のネットワークこそが、僕らの強みだと思っています。
フライパンのテフロン加工の技術を活用してできたのが、先ほどの「汚れない白いデニム」(商品名:ずっときれいなコットンパンツ)です。
洋服だけではなく、あらゆる分野の方たちとご一緒して、その価値を日本のクラフトマンシップとして世界に持っていければと思っています。
本日はありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/戸田 秀成/城山 ゆかり
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