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5. リモートワーク推奨下で考える「オフィスの本当の価値」とは

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「成長企業のオフィス戦略」全8回シリーズの(その5)では、新型コロナウイルスの拡大でリモートワークが推奨される中で、オフィスの本当の価値がどこにあるのかを議論します。新型コロナ禍でオフィスを解約したスタートアップの話をしばしば聞きますが、その選択によって失ってしまうものとは? ぜひご覧ください!

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(インターン)を募集しています。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 ゴールド・スポンサーのフロンティアコンサルティング様にサポートいただきました。


【登壇者情報】
2020年2月18〜20日
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 10F
成長企業のオフィス戦略〜そこに込めた思い、狙いとは?
Sponsored by フロンティアコンサルティング

(スピーカー)

沢木 恵太
株式会社OKAN
代表取締役 CEO

田中 弦
Fringe81株式会社 代表取締役CEO /
Unipos ファウンダー

森 雄一郎
株式会社FABRIC TOKYO
代表取締役社長

(モデレーター)

森山 和彦
株式会社CRAZY
代表取締役社長

▶本セッション開催に先立ち、フロンティアコンサルティング社のオウンドメディア「Worker’s Resort」にて、各社のオフィス取材記事が公開されています。ぜひあわせてご覧ください。

OKAN:
「ABW」「バイオフィリックデザイン」「五感の刺激」「データ分析」で最先端オフィスを構築するOKAN

Fringe81:
「ベンチャーはユニークさの追求」をオフィスで体現するFringe81

FABRIC TOKYO:
小売系IT企業FABRIC TOKYOが「オープンなカルチャー作り」を徹底した東京・代々木本社

「成長企業のオフィス戦略〜そこに込めた思い、狙いとは?」の配信済み記事一覧


連載を最初から読みたい方はこちら

最初の記事
1. 今こそ考えたい「オフィスの魅力とは何か?」成長企業のオフィス戦略を徹底議論!

1つ前の記事
4. オフィスで不稼働スペースが生じる理由は「設計ミス」より「運用ミス」?

本編

森山 「オフィスの価値とは何か?」に気づくためには、逆にオフィスをなくすという方向性もありますね。

今、まさにリモートワーク「超」推奨じゃないですか。

もし本当にオフィスがなければ、固定費が大きく下がるといった話もあるかと思います。

皆さんは、オフィスがなくなっていく方向についてはどう思われますか?

▶編集注:本セッションは、新型コロナウイルス感染症に係る政府の緊急事態宣言が発令される前の2020年2月19日に開催されました。

リモートワーク推奨下で考える「オフィスの価値」とは?

株式会社FABRIC TOKYO 代表取締役社長 森 雄一郎さん

 弊社の場合は、やはりオフィスはあったほうがいいと思っています。

弊社ではこれまでリモートワークを推奨したことはなく、今回は新型コロナウイルス感染症の影響で少しずつ導入していますが、それでもまだコンサバティブにやっている感じです。

僕は初期のメルカリで事業に携わっていたのですが、山田進太郎さんと小泉文明さんは今でもオフィスにこだわっておられるようです。

「リモートワークで仕事をするよりも、集まってディスカッションを重ねていく、そのスピード感をしっかり出していくことが現代のビジネスではすごい強みになっていく」とずっとおっしゃっていて、まさにそうだなと思っています。

リモートワークで成立する仕事というのは、ある意味オフショアで外注できたりする仕事の可能性があります。

ですから、集まって仕事をして、そして他者よりもクリエイティブに仕事をしていく、新しいアイディアを出していくことが大事だと思っています。

また弊社ではフリーアドレスはあまり推奨しておらず、各自の固定席があって、それに加えてオープンスペースを広めに取っているという感じです。

フリーアドレスの導入は社員からも結構要望があったのですが、自分の居場所がないことで、鬱病をなどの精神疾患が増えるといった研究結果があることを知りました。

それを読んで、確かに人間には自分の帰る場所や居場所、そして縄張り意識のようなものが少なからずあるなと感じました。

そのため、小さくても個人の居場所をつくることにこだわりをもって取り組んでいます。

オフィスは今後、企業の差別化ポイントの一つになる

森山 沢木さんはどのようにお考えですか?

株式会社OKAN 代表取締役 CEO 沢木 恵太さん

沢木 オフィスが必要・不要の話は「振り子」のようなものだと思っています。

今のトレンドはリモートワークやテレワークだと思うのですが、そうなってくると逆に、オフィスが差別化戦略の一つになってくる気がします。

一時はトレンドがリモートワークに向かい、ある時にはすごく高性能なオフィスに向かう時代が出てきたりと、行ったり来たりする気がします。

 そうかもしれないですね。

沢木 人が集う場所は、もちろんあったほうがよいと思います。

ただしそのサイズ感については、必ずしも全員分が必要かどうかは、分析する必要があります。

また、そもそも時代によってオフィスの定義自体が変化するかもしれません。

いわゆるオフィスワークをする場所がオフィスと呼ばれるだけではなく、もしかしたら、どこかのレストランで人が集まっているのもオフィスと呼ばれるようになるのかもしれません。

その定義が今後、もっと広がりそうな気がします。

オフィスは「企業のユニークネス」の象徴

Fringe81株式会社 代表取締役CEO / Unipos ファウンダー 田中 弦さん

田中 僕は、オフィスは「企業のユニークネス」の象徴だと思っています。

リモート前提となっても、完全にオフィスはなくさないと思いますし、象徴として残したいと思っています。

沢木 でも今、半分くらいリモートワークだとしたらスペースは結構空いていますよね。

田中 そういう意味では“無駄”という考えもあるかもしれませんが、一方で“あと2倍増やせる”なんて思ったりしました。

森山・沢木 なるほど。

田中 象徴としては必ず残し、出勤はローテーションしてもよいと思うので、なるべく今のスペース自体は確保しておきたいですね。

ビジョンを反映したオフィスが、企業に独自性を生む

(写真左) 株式会社CRAZY 代表取締役社長 森山 和彦さん

森山 この10年くらい、「これからフリーアドレスやリモートワークがどんどん取り入れられて、働き方にも独自性が見られるようになるだろう」と言われてきました。

僕が学生時代に就職活動で行ったインテリジェンス(現パーソルキャリア)には、オフィス内に自動販売機があって、無料で飲み物が出てきました。

田舎者なのですごく驚いて、「この企業は無料の自動販売機がある!すごいな」と思ったのですが、今は当たり前じゃないですか。

沢木さんからまさに「振り子」という表現がありましたが、そういうふうに色々なものが当たり前になってくると、逆にこれから何がユニークなのかという話になってきますよね。

皆がユニークな取り組みを始めているので、逆にこれまでのスタンダードが今後はユニークになるかもしれません。

沢木 何か特殊なことをやるユニークネスというよりは、まさに田中さんがおっしゃっているような、その裏側にきちんとした意味とストーリーがあり、会社のビジョやミッションに繋がっていて、それを語れるから独自性になっているのだろうなと思います。

田中 オフィスというのは、やはりビジョンを伝えたり、非言語で伝わるものになるのではないでしょうか。

会社のバックグラウンドとオフィスのファシリティがストーリーとして首尾一貫していることで、社員は納得してくれるのだと思っています。

 弊社は、ITもやるしリアル店舗もあるし、メーカー的な機能もあったりして、色々な人が働いています。

現代的なビジネスは今後さらに複雑化すると思っていて、その中で一番大事なのはやはり組織だし、組織を支えるカルチャーです。

ですから、オフィスを起点にどうカルチャーをつくっていくのかは、すごく大事だと思っています。

ビジョンから逆算してオフィスをつくることはすごく大事で、弊社ではオフィスに壁を一つも作っていません。

誰が何をしゃべっているかもオープンにしたいと思っていて、少しやりすぎたのですが、会議室も全部ガラス張りにしました。

Fringe81のオフィスは、執務スペースもオープン空間

森山 次のスライドは、すごいですね。これは執務スペースですか?

田中 はい。これが弊社の執務スペースです。

横が結構うるさいのですが、うるさくても構いません。

 すごくオープンなカルチャーですよね。

そういうカルチャーが土台になって、組織の良さでビジネスに勝ってゆく、そんな価値観を持って賛同してくれる社員は、弊社も結構多いかなと思います。

でも僕には、田中さんと違い社長室があります。

田中 それは、いいと思うのです。

秘密のこともありますし、僕もたまにすごく篭もりたいたいなという時があります(笑)。

社長室のドアが開いているときは、いつでも入ってOK

 僕はまさに篭もりたい派ですが、社長室は全てガラス張りにしていて、ドアは基本的にオープンにしています。

「オープンドア」という仕組みで、閉まっている時は自分の仕事に集中しているけれども、開いている時には誰でも入ってきていいよ、としています。

ドアが開いていたら社長と1on1できる時間「オープンドア」ってどんな取り組み?(FABRIC TOKYO | Wantedly)

前のオフィスには社長室がなく、皆のいる島の一角に座っていましたが、話しかけられる頻度はむしろ、社長室を持ってからのほうが増えました。

皆と同じ島にいても、結局パソコンのキーボードを叩いていたり、スマホをいじっていたりすると話しかけづらいものですよね。

でも、ドアがそのスイッチを切り替えてくれているという感覚で、逆に入ってきてくれる社員が増えました。

オープンにしているときは僕と話せる、そうではないときは話せないと、社員にとっても分かりやすくなったのかなと思います。

田中 社長室をつくろうかなあ(笑)。

(続)

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続きは 6. “会社の思い出”をオフィスに散りばめることで、カルチャーが醸成される をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/小林 弘美/フローゼ 祥子/戸田 秀成

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