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ICC KYOTO 2022 ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 -に登壇いただき、見事5位に入賞した、Rennovater 松本 知之さんのプレゼンテーション動画【住宅確保困難者に心安まる住まいを提供し、“アフォーダブル・ハウジング”の産業創出を目指す「Rennovater」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。
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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ
松本 知之
Rennovater株式会社
代表取締役
1979年大阪市生まれ。同志社大学工学部卒、京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。国際学会(Bioceramics16)にて、最優秀賞を受賞。2004年から2019年まで日本生命保険相互会社にて、主に投資部門、企画部門に従事。会社勤務の傍ら、新宿区中心に都心の築古マンションを購入して生活保護世帯へ貸し出す活動を2011年から個人事業として開始。個人事業の8年間の経験を経て、2018年5月にRennovater株式会社を設立。現在は、大阪、京都、首都圏にて100室以上を提供。5年以内に1,000室、10年以内に1万室の提供を目指す。「かわさき起業家賞」受賞、第3回「日経ソーシャルビジネスコンテスト」ファイナリスト、「京信起業家アワード優秀賞」。中小企業診断士。座右の銘は、「積小為大」「努力は運を支配する」。
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松本 知之さん “全ての人に心休まる住まいを”ということで、Rennovater、松本がお話しさせて頂きます。
増加する空き家と賃貸が難しい人たちという課題
皆さん、こういった空き家をご存知だと思います。
今、空き家は日本に1,000万戸あると言われており、近い将来、3分の1が空き家になると言われています。
家が余る一方、家を借りるのが難しい人たちがいます。
特に、このスライドの下のゾーンにいる人たちは、自ら不動産屋に行くことも難しく、社会との接点も少ないです。
ですから、家を自分たちで確保することが難しい状況です。
そこでRennovaterでは、相続等で発生する空き家を低価格で取得、再生し、家を確保できない方向けに、低価格で、保証人と初期費用なしで提供しています。
居場所がなかった自身の体験から起業
自己紹介をします。
会社は京都府京田辺市にあり、設立は2018年ですが、もともと10年ほど、金融機関で働く傍ら、会社に黙ってこの事業を行っていました。
なぜ金融機関で働きながらこのような事業をしていたのかですが、私をこの事業に導いてくれた人がいるのです。
この写真に写っている人です。
この人は、夫が経営する町工場で、鉄板が落ちてきて左腕を失いました。
夫の会社は倒産し、家は差し押さえられ、親戚の家を転々としていました。
実はこれは、私の母親の話なのです。
つまり私自身が当事者で、クリスマスや誕生日には居場所がなく、すごく嫌な思いをしました。
この写真でジャケットを着ているのは私の父親です。事業で失敗する度に、元気がなくなり背中が小さくなっていきました。目の前で困っている高齢者を見ると、まるで父親のように思いますし、不安げな子どもを見ると、まさに当時の自分と同じように思うのです。
ですから、全ての人に心休まる住まいを届けたいのです。
これが、僕の人生そのもので、命をかけてこの事業にチャレンジをしています。
老朽化した空き家を低コストでリフォーム
ここで、少し日常をご紹介します。
まず、取得する物件の多くは、この写真にあるような戸建物件です。
天井に穴が開いていたり、ひどく老朽化していたりします。
しかしリフォームすることで、家は蘇ります。
既存の設備をそのまま活用することで、コストを抑えています。
これは入居者が退去された後のゴミ屋敷ですが、このように蘇ります。
人形が不気味なこの家も、このように蘇ります。
入居前の転居支援や入居後も親身にサポート
入居者のサポートも丁寧に行っています。
この方の例は印象的だったのですが、朝起きたら強制退去させられて、子どものランドセルや学習用品も全て撤去されたようでした。
私たちに相談があった際、この方は妻と子どもと3人で車中泊を続ける生活をしていました。
それは何とかしたいということで、お金や契約はあとでいいですと伝え、その場でとりあえず鍵を渡し、家に住んでもらうことにしたのです。
一時的には生活保護の状態でしたが、職を見つけて、今は生活を再建されています。
あと、支援の現場で難しいのが、DV被害者の支援です。
なぜが難しいかと言うと、加害者に悟られることなく、着の身着のまま家を出なくてはいけないからです。
このケースでは、被害者は父親から性暴力を受けていました。
計画をし、徐々に荷物を駅のロッカーに移動させ、引っ越しを決行する日にうちの車に積み込んで、生活物資を途中で買い、布団も買って、新しい家に届けたのです。
また別のケースでは、警察の警護の下、夜中に一緒に引っ越しをすることもありました。
そうしないと、引っ越しも新しい生活もできない現状があるということです。
入居中のサポートもしており、高齢者や足が悪い方の場合、毎月の家賃をこちらから家まで受け取りに行きます。
また、ベランダに鳩がいると言われ、そんなことあるわけないと思いながら家に行くと、実際に鳩がいて卵があるというケースもありました。
この写真の赤く囲っているところで、孤独死された方がいました。
孤独死は、定期的に発生します。
不動産業界ですと非常にネガティブなことですが、最後まで自分の家に住めたということなので、私たちは、自分たちの責任を果たしたとポジティブに捉えています。
生活満足度や精神状態を定期的にモニタリング
私たちが重視しているのは、家を貸した後のことなのです。
ですから、生活の満足度や入居者の精神状態がどのくらい改善したかを、定期的にモニタリングしています。
そしてこれが、1つのインパクトだと思っています。
現在の物件数は120で、増えてきてはいますが、まだまだ足りないと思っています。
そこで、色々なファイナンス手法を使いながら、資本調達や社債発行を行いました。
今後は、ファンドも作っていきたいと思っています。
公費負担なしで社会課題を解決、低廉住宅産業の創出へ
そして投資家にリターンを返しながら、社会性と収益性を実現することで、公費負担なしでこの問題を解決できる世界を作りたいと思っています。
5年後に1,000室、10年後に10,000室を目指します。
最終的に実現したいのは、今の日本にはない、“アフォーダブル・ハウジング”という概念の浸透です。
“低廉な住宅”という産業を創りたいと思っています。
▶参考:海外大手企業やスタートアップが取り組む「アフォーダブルハウジング」とは?|ESG Talk #10(Open Network Lab)
それと同時に、尊敬する母が生きている間に、「貴女のお蔭で、社会が変わりました」ということを伝えたいと思っています。
チャレンジングな課題に挑むことになりますが、新たな産業創出にご協力・ご支援頂ければと思います。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/小林 弘美