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ICC FUKUOKA 2023のセッション「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か? (シーズン9)」、全9回の⑥は、前回は育休で1回お休みしたレギュラースピーカー、北川 拓也さんが復活。自分を理解するため、他人を理解するために「なぜ前の仕事を辞めたのか」を問います。北川さんは、自分がなぜ理論物理を学んだのか、なぜ辞めたのかを告白します。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは ノバセル です。
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【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 2F
大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か? (シーズン9)
Supported by ノバセル
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▶「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か? (シーズン9)」の配信済み記事一覧
第一子誕生で、人間の理解をより深めている北川 拓也さん
村上 次は北川さんからの投げ込みで、ここからはもうちょっと未来に向けた目線づくりの話になります。
引き続き(石川)善樹さんもそういう話になるので、北川さんからその辺りの話を巻き気味にお願いします。
北川 はい。
村上 北川さんが前回、なぜお休みしたかというと、こちらです。
(ここで会場に北川さんのお子さんの写真を紹介)
カワイイわあ! おめでとうございます!
(会場拍手)
北川 ありがとうございます。ゆうた(結大)君が、生まれまして。
村上 最高ですね。
井上 カワイイなあ。
北川 先ほど中村さんとお話しして、中村さんのご家族もみんな「結」という字が入っているそうで。
中村 そうですね。
北川 先ほどの話で、つながることの重要性をみたいな。
中村 Well-connected being(ウェル コネクティッド ビーイング)。
村上 そうか、もう時空を超えて結ばれましたね。
中村 はい。
北川 我々、だいぶつながってましたね、こういう意味でね。
中村 はい。言ったら、僕の子でもありますからね。
北川 そうですね、もはや(笑)。
中村 (笑)。
井上 いろいろ問題になりますよ(笑)。
▶編集注:本Partからお読みになって、意味の分からない方は、本セッションのPart.2〜3で中村さんの発言「拡張した自分」についてお読みください。
村上 北川さんのセッション育休は非常に良くて、我々のテーマとも非常にね。
やっぱり人間を理解するには、できたてのものを見ると、すごく理解が進むと思うんですよ(笑)。
(会場笑)
北川 そうですね(笑)。深い理解が進んでいます。
村上 そう。僕は子育ての最初の頃はむっちゃ観察と実験ばかりしていて、3歳児ぐらいだと公園に行って繰り返しすべり台とかすべるじゃないですか。
「これ、何回までやるんだろう?」と思ってずっと数えていたら、MAXでも40回はいかないことが分かったんです。
北川 (笑)。
村上 どんなに夢中になっても飽きると。キャップがあると分かったら次の週から気が楽になりました。
北川 待てると。なるほど。
村上 「いつ終わるんだ?」と思っていると、途中で嫌になるんですけど。
井上 無限じゃないことが分かるのね。
村上 あと38回くらいかなと思うと、ちょっと余裕が出てきます。
北川 めちゃくちゃ面白いなあ。
村上 やっぱり計測は大事ですよね。さて、人間を理解したい北川さん、いかがでしょうか?
採用面接での究極の質問
北川 今回は自分を理解していきたいなと思いまして。
僕が採用担当者をしていたときに、候補者の方、これから一緒に働く仲間をどうやって理解しようかとすごく悩んでいた時期がありました。
そのときに聞いた話が、この質問なんですよね。
「あなたはなぜ前の仕事を辞めたのですか?」と。
これはギャラップ社が発表しています。
村上 キークエスチョンの一つですよね。
北川 はい。本当に1つの質問しかできなかったら、この質問をするという全世界のエグゼクティブたちが多かったということです。
大きな意思決定に人の本質が出るので、僕は毎回これを聞き続けたんです。
面接をするたびに、「なぜ前の仕事を辞めたのですか?」「なぜ今の仕事を辞めようとしているんですか?」と。
それで、僕は「上司が悪いからですかね?」とか、結構意地悪な質問をするんですね。誘導尋問みたいな。
村上 「給料がねえ」とか「待遇がねえ」とかね。
北川 そうそう。面接の相手が「そうですよね! ムカつくんですよ」みたいにポロっと言ってしまったら、「ああ、この人は他責の念が強くて、ちょっとまずいな」みたいに思います(笑)。
井上 誘導してるじゃない(笑)。
北川 (笑)。でも出るんです、他責が。面接の場でそういうことを言ったら。
面接されていると分かっていて他責にしてしまう人は、やっぱり他責が出ているんですね。
井上 ああ、そうか。面接の場でね。
北川 見られているのを分かっているのに言うみたいな、なかなかこう強い。
村上 本質がそこだということですね。
サッカー少年だった北川さん
北川 これをやっぱり自分に対して聞くことが、自分を知る上で大事だろうということで、まず自己開示から始めたいなと思います。
「なぜ北川は理論物理を辞めたのか?」とみんなから聞かれますので、説明しておこうと思いまして。
なぜかは、小学校の頃に戻りますが、僕は実はサッカー部のキャプテンだったんです。
村上 ほう!
北川 友だちに囲まれてすごく楽しんでいました。
なんと、阪神淡路大震災が小学校3〜4年生の頃に起きまして、転校せざるをえませんでした。
そこで、実は自分は友だちの作り方がイマイチ分かっていないことに気づきまして、逃げたんですよ。
井上 えー。
友達作りから逃げた先は勉強!
北川 何に逃げたかと言うと、勉強ですね(笑)。
(一同笑)
井上 普通、勉強から逃げますけどね(笑)。
北川 実は僕はこれを2回繰り返していまして、1回勉強して灘高校という進学校に入り、灘でもあまり友だちを作りませんでした。
その後にハーバード大学に入った時も同じように友達の作り方が分からなかったんですよ、英語をしゃべれないから。
村上 ああ、確かに。つらいですよね、もっと。
北川 本当に。もう全然学んでいないということですよね。
友達作りを学ばずにそのままアメリカに行って、ハーバードでも分からずに勉強に逃げて、当時得意だった物理に逃げました。
その結果、延長線上として理論物理学者が出来上がったわけですよ。
井上 だから物理やってるんだ。
北川 そうなんですよ。
井上 知らなかった(笑)。
なんなら友達と遊びたかった
北川 びっくりするぐらい別に物理じゃなくてもよかった感が極めてありまして、それなりにちょっと上手くいったのでよかったのですが。
理論物理学者でそれなりに成功した後にふと振り返って気づいたのが、「物理じゃなくてもよかったし、なんだったら友達と遊びたかった」という。
(一同笑)
村上 とにかく友達と何かしたかったということが分かったんですね(笑)。
北川 はい。この片鱗も出ていたんですよ。
僕の理論物理の仕方は、めちゃめちゃ特異なやり方でした。
ハーバード大学ではユージーン・デムラー(※)という方が僕の指導教授でした。
普通は指導教授以外の人と論文を書くのを嫌がったりするのですが、彼はすごく包容力のある人だったので、好きにやれという感じで、実は僕はありとあらゆる人と論文を書いたんですよ。
井上 ほう、すごい。
北川 僕が尊敬できると思った理論物理学者とはほぼ全員と論文を書くと決めて、博士課程中に25本ほど論文を書いていまして。
名前の並びも見たら分かると思うのですが、とにかくたくさんの人と議論をするのが僕は好きだったんです。
だから、ときにはアイデアを渡したりもしながら、結構巻き込む。
なんだったら、「名前を載せなくてもいいよ」という人たちばかりだったんですよ。
僕は、「いや、そう言わずに」みたいな感じで勝手に名前を載せて、一緒に書くみたいなことを結構やっていて、それで仲良くなって、少しでもディスカッションしてくれたらそれでありがたいというのでやっていたんですよね。
「何をするか」ではなく「誰とするか」が重要だった
北川 とにかく僕は人との会話の中で、やる気、創造性を発揮するタイプでした。
振り返ってみたら僕はサッカー部のキャプテンでしたが、スイーパーと言って、ゴールキーパーの前の全体像を見ている守りのキャプテンだったのですね。
▶参考:サッカーのスイーパーって何?【スイーパーの意味と役割を徹底解説!】(KENCOCO)
井上 ベッケンバウアーですか?
北川 ベッケンバウアーと言っても過言じゃないでしょう(笑)。
(一同笑)
まあそういうタイプだったんですね。
だから、自分のリーダーシップ像というのは、実は仲間と一緒にやっていくと。
実は「何をするか」ではなく「誰とするか」だったのではないかという気づきが、この3カ月ぐらいでありました。
(続)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成