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ICC FUKUOKA 2022 CRAFTED CATAPULTに登壇いただいた、石屋製菓 石水 創さんのプレゼンテーション動画【「北海道産の原材料で作る「白い恋人」を目指して、1次産業の課題と向き合う「石屋製菓」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022プラチナ・スポンサーのMakuakeにサポートいただきました。
▶【速報】竹のお箸を、もういちど日本の食卓へ。伝統と竹林を守り続ける「ヤマチク」がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2022)
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【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICC FUKUOKA 2022
Session 8A
CRAFTED CATAPULT
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Makuake
石水 創
石屋製菓株式会社 代表取締役社長
石屋商事株式会社 代表取締役社長
サザエ食品株式会社 代表取締役社長
1982年、札幌市生まれ。2004年に東洋大学法学部経営法学科を卒業後、石屋製菓株式会社に入社。1年間イギリス、スイスへ留学し、語学・製菓技術を学ぶ。その後、2013年に小樽商科大学大学院(商学研究科アントレプレナーシップ専攻)修了。同年8月、石屋製菓株式会社、石屋商事株式会社 代表取締役社長に就任。理念は「しあわせをつくるお菓子」
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石水 創さん 皆さん、こんにちは、石屋製菓株式会社の石水です。
北海道から参りました。よろしくお願いします。
石屋製菓はどういう会社かと言いますと、「お菓子を通じて幸せをつくる会社」です。
ですので、皆さん、ぜひお菓子を召し上がりながら聴いていただければと思います。
ロングセラー商品「白い恋人」
まず、石屋製菓のメイン商品は、「白い恋人」です。
会場の皆さんの中で、「白い恋人」を食べたことがあるという方は、いらっしゃいますでしょうか?
(会場を見渡して)ありがとうございます! ほとんどの方が食べたことがあるということですね。
実は、このことについて調査したことがありまして、日本人の98%の方が「白い恋人」を知っている、もしくは食べたことがあるというデータがあります。
「それほど有名なお菓子(を製造している会社)にもかかわらず、どうしてカタパルトに出場するのですか?」と、よく訊かれます。
しかし私は、長い歴史がある老舗の会社だからこそ挑戦が必要なのではないかと思っております。
そういった理由で、今回カタパルトに登壇させていただきました。
北海道から「しあわせをつくるお菓子」を届ける
簡単に会社の紹介をいたします。
1947年に私の祖父(石水 幸安氏)が創業した会社で、創業家として私は3代目です。
2020年4月期の売上高は180億円で、従業員数は約1,000名の規模の会社となっております。
経営理念は、「しあわせをつくるお菓子」です。
お菓子を通じてしあわせを人々に届けるという会社で、経営ビジョンは「100年先も、北海道に愛される会社へ」です。
北海道とともに育った会社ですので、100年先も北海道にあり続ける、必要とされる会社でありたいという意味です。
コロナ禍によりインバウンド需要が激減
石屋製菓はこのような会社ですが、「白い恋人」はお土産菓子ですので、やはり新型コロナウイルスの影響を思いきり受けております。
こちらは、2007〜2021年の売上の推移ですが、私が社長に就任した2013年4月以降、右肩上がりに売上が伸びていました。
私の経営手腕がどうとか、そういうことではなくて、やはりインバウンドの需要が非常に伸びていたからです。
「白い恋人」は、日本人からすると「北海道のお土産菓子」ですが、外国人からすると「日本のお土産菓子」なのです。
しかし、この売上が新型コロナウイルスの影響によって、一気に半分以下に落ちてしまいました。
「白い恋人」の製造ラインが停止
では、2020年の会社はどのような状況であったかについて、ご説明いたします。
2020年2月28日、北海道は、全国に先駆けて道独自の「新型コロナウイルス緊急事態宣言」を発令しました。
その影響もあり、観光客はパタリと途絶えてしまいました。
▶「白い恋人」の製造停止を延長へ 札幌 新型コロナウイルス 2020年3月19日(NHK)
製造も販売も停止してしまったため、実質半年間ほどはほとんどの従業員が自宅待機というような状況になりました。
若手社員130名が「白い恋人」原材料を作る道内農家で泊まり込み研修
その際に、何か将来につながるようなことができないかと、ある1つの取組みを行いました。
それが、北海道中の農家へ若手社員を研修として出向かせようという取組みで、130名の若手社員が北海道中の農家に1カ月間泊まり込みで研修に行きました。
▶石屋製菓が若手社員を農家に、新研修制度を創設 2020年5月28日(日本経済新聞)
実は「白い恋人」をはじめ、石屋製菓の商品は原材料のほとんどが北海道産です。
カカオ以外の、小麦やバター、砂糖などはすべて北海道産の原材料を使っております。
▶「石屋製菓」北海道にこだわる全国区の土産菓子「白い恋人」(J-Net 21)
しかしながら、そういったメーカーに勤めていながら、実は1次産業のことを何も知らないということに気づいたのです。
それは若手社員も同じです。
やはり、自身の現場に集中してしまうと、1次産業である農家の課題や苦しみ、こだわりといったことが分からないのです。
こういったことは実際に農家へ行って肌身で感じるしかないと考え、未来ある若手社員130名に研修に行ってもらったのです。
そして、その中で気づいたことがいくつかあります。
生乳が廃棄される様子を目の当たりに
新型コロナウイルスの影響もあり、2020年は生乳の消費量が激減しました。
緊急事態宣言によって、小学校もほぼ休校となり、給食もなくなったため、牛乳を消費する機会が失われてしまったのです。
▶給食休止で余る生乳「廃棄も」 一斉休校の影響 2020年3月4日(中日新聞)
そのため、ほぼすべての生乳は廃棄となり、2020年だけで約5,000tの生乳が廃棄されました。
実は、全国の生乳の約6割が、北海道産です。
研修に行った若手社員も、実際に生乳が廃棄されている現場を目の当たりにしておりました。
ならば、もう製造しなければよいのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、牛は毎日搾乳をしないと病気になってしまうのです。
そのため、廃棄するしかないという現状がありました。
▶なぜ起こる? 生乳大量廃棄の危機(よつ葉牛乳オンライン)
若手社員発のプロジェクトがスタート
こうした食の廃棄問題をどうにかして解決したいと、若手社員がプロジェクトをつくりました。
今、北海道が置かれている状況を全国の皆さんに知ってもらい、我々にできることはないかと考えたのです。
我々はお菓子メーカーですので、やはりお菓子によって付加価値をつけて、全国の皆さんに現状を知ってもらいたい、おいしさを届けたい、そういった思いからプロジェクトがスタートしました。
ただ、販路がありませんでした。
お土産屋さんもほぼ営業停止で、百貨店も閑古鳥が鳴いているような状況でしたので、壊滅的だったのです。
道産の生乳を使用したロールケーキをMakuakeに出品
では、どのようにして伝えようかと思案した結果が、実は、Makuake(マクアケ)でした。
おかげさまで、非常にご好評をいただきまして、目標金額の2,000%を達成することができました。
▶きっかけは農業研修――。白い恋人のイシヤが考えた「しあわせをつくるロールケーキ」(Makuake)
また、「Makuake Award 2021」における「Makuake of the year 2021」を受賞させていただき、本当に多くの方にご賛同いただいた取組みとなったと思っております。
▶応援購入サービス「Makuake」の表彰イベント「Makuake Award 2021」における「Makuake of the year」のノミネート20社を発表(PR TIMES)
農業研修で気づいた本質的な課題
実質5カ月間ほど農業研修に行ったのですが、その中で1次産業の本質的な課題が見えてきました。
それは何かと言いますと、「食の安定供給」、そして「農業の6次産業化」です。
北海道は、1次産業はとても魅力的であるにもかかわらず、それをそのまま提供しているような形で、付加価値をつけるのがとても下手なのです。
例えば、博多明太子の原材料であるタラは、ほぼ北海道産です。
北海道こそ、そういった付加価値をつけて提供することをしていく必要があるのではないかと、私は思っています。
北海道産バニラの収穫に成功
実は今、石屋製菓でもチャレンジをしていることがあります。
それは何かと言いますと、「北海道産バニラ」の栽培です。
2年間の試作を重ねて、北海道産バニラを作ることに成功しました。
▶菓子作りに欠かせない熱帯の植物バニラ 札幌で栽培・収穫に成功 2022年4月14日(HTB北海道ニュース)
「100年先も北海道に愛される会社へ」という経営ビジョンのもと、今後は、北海道の1次産業ともっと密接に関わり合って、原材料100%北海道産の「白い恋人」を作れたらという夢を持っております。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/中村 瑠李子
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