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ICC KYOTO 2022「CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて」に登壇いただき、2位に入賞した、わざわざ 平田 はる香さんのプレゼンテーション動画【よき生活をつくるために、パンも店も会社も手づくりする「わざわざ」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはMakuakeです。
▶【速報】うにの再生養殖で水産資源の未来を創る「北三陸ファクトリー」がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2022)
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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Makuake
平田 はる香
株式会社わざわざ
代表取締役
1976年生まれ 2009年長野県東御市の山の上に趣味であった日用品の収集とパンの製造を掛け合わせた店「わざわざ」を一人で開業する。段々とスタッフが増え2017年に株式会社わざわざ設立した。2019年東御市内に2店舗目となる喫茶/ギャラリー/本屋「問tou」を出店。現在はECサイト2つと実店舗2店で事業を行い、リモートワークと移住者で構成された働き方も注目を集める。2020年度で従業員20数名で年商3億3千万円を達成。2023年度に3店舗目となる体験型施設「よき生活研究所」を同市内に出店予定。
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平田 株式会社 わざわざの平田はる香と申します。
「よき生活者になる」――こちらは、私たちの会社のスローガンです。
創業から13年の思いを込めました。
本日は、このスローガンができるまでのストーリーをお話ししたいと思います。
「わざわざ」とは何か?
まず、わざわざとは何かということなのですが、私たちはコンセプトの違う実店舗2つと、オンライストア2つを運営する、小売業を主体とした事業を行っています。
販売しているのは、自分たちが焼いたパンを中心に、オリジナル商品を30種類ほど、そして、衣食住にまつわる、自分たちが使ってよいと思ったものをセレクトした定番商品です。
駅から徒歩約1時間の「わざわざ」行く店に年間2万人
わざわざという名前の由来は、私たちのお店は長野県東御(とうみ)市という、人口3万人の小さな町にあります。
このような素晴らしい景色が広がる場所なのですが、実は、お店が山の上にあるのです。
公共交通機関が通らない立地にあり、駅から歩いて1時間ほど、そのような場所までわざわざ来てくださってありがとうございます、という感謝の気持ちを込めました。
現在、27名が働いており、その8割が移住者です。
2つのお店を合わせて、年間来店数は約2万人、事業全体では2020年に3億円を超える売上高を達成しています
わざわざ来る価値のある店を作る
さて、なぜ私がこちらのクラフテッドカタパルトに出ているかと言いますと、私は会社をクラフトしてきたからです。
わざわざ来てくださったお客様のために、わざわざ来る価値のあるお店を作りたい、そのような想いで、自分で考え、仕組みを作り、問題を解決しながら、会社を運営してきました。
2009年に、私ひとりで、パンの移動販売から、事業はスタートしています。
移動販売から自宅店舗へ、自宅店舗からマルシェやイベントに出店し、知名度を上げていきました。
会社にしたいと思ったきっかけ
会社にしたいと思った1つのきっかけである出来事が、2011年の東日本大震災でした。
社会の角度を一度変えたいと思ったのです。
私1人の力は小さいけれども、仲間を集めることで、もしかしたら遠い未来が変わるかもしれない――そのように思った私は、自宅の横に、店舗をハーフビルド(※)し、石窯を設計して、お店をリニューアルオープンしました。
▶編集注:ハーフビルドとは、基礎工事・躯体・外壁・屋根など、家の強度や雨仕舞に関係する大切な作業は業者に依頼し、塗装や内装仕上げなど、素人でも比較的簡単にできる作業だけを自分で行う建て方。
よき生活を目指すために、パンの種類を絞る
そして、ガス釜でのみ焼いていたパンを、ガスと薪の2種類で焼くことにしたのです。
選択肢は、できるだけ多いほうがよいと思ったからです。
だけど、できることしかできません。
2012年、それまで27種類焼いていたパンを、薪窯の特性を活かした2種類の食事パンに特化しました。
▶日々の糧になりたい、だから普通のパンを焼く。(note)
効率を上げ、供給量を増やし、労働改善をするためです。
自分自身のよき生活を目指すためでもありました。
今、すでにお召し上がりくださっている方もいらっしゃいますが、皆さんのお手元に3種類のパンをお配りしていますので、またのちほどにでもお召し上がりください。
▶編集注:プレゼン中に、審査員席には「わざわざ」のパンが試食として配布された。
店を手作りし、商品選定基準を作る
その後も、DIYを続け、店舗を拡張し、お店の仕組みも作りました。
商品選定基準も定めました。
こちらは、わざわざにお越しくださった皆さんに、わざわざで買えば安心だよねというバリューを提供するためでもあります。
ECも成長し、近所にあった蕎麦の製麺所が閉業したのをきっかけに、リノベーションして、2017年に法人化、翌年、「山の上のパン屋にひとが集まるわけ」というnoteを書いたところ、大変な反響がありました。
▶山の上のパン屋にひとが集まるわけ(note)
そして、2019年に、東御市の公共施設内に2店舗目を、また手作りで、オープンさせました。
本とギャラリーと喫茶を併設した、「問 tou」というお店です。
よき生活とは何かを“問う”ためでもありました。
地方実店舗でいかにリソースを集めたのか
さて、ここまで順調に来たように見える私たちですが、いつも同じ問題にぶつかっています。
地方で実店舗を運営しながらECを運営すると、大変なのは人的リソースの確保です。
まず、私自身の出産により、社内で混乱が起こり、スタッフが1人だけになってしまったことがありました。
しかし、どうしてもお店を閉めたくない、そのような想いをSNSに綴り、ボランティアを募集しました。
すると、約40名の方が参加してくださり、無事にお店を閉めずに済みました。
そして、その経験を『わざわざの働きかた』という本にまとめて自費出版したところ、9,000部が完売、巻末に載せた採用情報に応募が殺到し、法人化に至りました。
失敗を失敗のまま終わらせない、それが、私たちが前に進められた理由のひとつです。
2020年、パンデミックにより、またもやスタッフが激減してしまいます。
長野での雇用を諦め、東京へ倉庫を移転させました。
これが功を奏し、ECの売上が、また伸びるきっかけとなりました。
スローガン「よき生活者になる」に込めた想い
そして、コーポレートサイトも作りました。
ビジョンを「人々が健康である社会へ」とし、そのために必要であるモノ・コトを提供するのが、わざわざのミッションであると定義しました。
そして、会社行動の全体を「よき生活者になる」というスローガンに表しました。
「よき生活者になる」という言葉は、私たちが提唱するよき生活を、皆さんに実践してほしいということではありません。
皆さん自身が考える“よき生活”をつくるお手伝いを私たちわざわざがしたい、そういった想いを込めています。
現在、アメリカの企業認証制度のB Corpにもチャレンジしています。
※B Corp(B Corporation)とは、アメリカのペンシルヴァニア州にあるNPO団体「B-Lab」が考案した、社会や公益のための事業を行っている企業に発行される国際的な民間認証制度。
パタゴニア(Patagonia)など、世界の約5,200社が加盟する、この認証制度は、お金だけが利益ではないという新しい価値基準を持っています。
この点に強く賛同するため、私たちはトライしております。
体験型施設を建設中
こちらのスライド写真は、先ほどご説明いたしました、蕎麦の製麺所だった建物です。
こちらは、今、リノベーションしており、「よき生活研究所」という体験型施設を作っています。
2023年の春に、オープン予定です。
▶クラフテッド・カタパルト登壇決定! パンと日用品の店で年商3億3千万円の「わざわざ」、長野の3拠点を見学しました
皆さん、ぜひ長野へ遊びに来てください。
「わざわざ」「問 tou」「よき生活研究所」の3店舗あわせて、ご来店をお待ちしております。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/中村 瑠李子