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【支援募集プレゼン】世界の医療的ケア児が参加するeスポーツのパラリンピック創出を目指す「フローレンス」(ICC FUKUOKA 2023)

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ICC FUKUOKA 2023 ファンドレイジング – 社会起業家に寄付・支援しよう!に登壇いただいた、フローレンス駒崎 弘樹さんのプレゼンテーション動画【世界の医療的ケア児が参加するeスポーツのパラリンピック創出を目指す「フローレンス」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください

本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。

【速報】まちなか留学で子どもたちの世界を広げる「HelloWorld」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2023)


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 12A
<新企画>ファンドレイジング – 社会起業家に寄付・支援しよう! 
Sponsored by ICCパートナーズ

駒崎 弘樹
フローレンスグループ 会長CEO
認定NPO法人フローレンス 会長
HP

1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2004年にNPO法人フローレンスを設立。05年日本初の「共済型・訪問型」病児保育を開始。07年「Newsweek」の“世界を変える100人の社会起業家”に選出。10年から待機児童問題解決のため「おうち保育園」開始。のちに小規模認可保育所として政策化。14年、日本初の障害児保育園ヘレンを開園。15年には障害児訪問保育アニーを開始。その他赤ちゃん縁組事業、こども宅食事業などを行う。内閣府「子ども・子育て会議」委員複数の公職を兼任。著書に『「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方』(英治出版)、『社会を変えたい人のためのソーシャルビジネス入門』(PHP 新書)等。2022年1月、『政策起業家「普通のあなた」が社会のルールを変える方法』を上梓。


駒崎 弘樹さん 皆さん、こんにちは。認定NPO法人フローレンス、会長の駒崎と申します。

今日は皆さんに、「テクノロジーで新しいパラリンピックをつくる」というプロジェクトについて、お話ししたいと思います。

認定NPO法人フローレンスは、日本の親子の課題を解決する団体です。

病児保育、小規模保育、障害児保育、また、ひとり親の支援や貧困の子どもたちの支援、そして虐待死を防ぐプロジェクトなど、様々な事業を通じて日本の子どもたち、そして親子を取り巻く課題に18年間取り組んでまいりました。

大盛り上がりでゲームを楽しんでいたのは…

今日はそのうちの一つ、障害児支援についてお話しします。

まず、この動画をご覧ください。

綱引きをしています。

次は徒競走、かわいいアイコンですね。

次は塗るゲームです。

さて、このゲームをしているのは、どんな人たちだと思いますか?

このゲームをしていたのは全て、医療的デバイスが必要な医療的ケア児でした。

この子たちが視線入力装置を使って、ゲームを楽しんでいたのです。

医療的ケアが必要な子たちの中には、四肢が動かない、動かせない子が多いです。

しかし視線を動かすことでクリックできたり、ポインターを動かせたりできれば、ゲームが楽しめる時代になっているのです。

医療的ケアが日常的に必要な子どもたち

「医療的ケア児」という言葉を、お聞き覚えがない方もいらっしゃると思います。

医療的ケア児とは、人工呼吸器や胃ろう、たんの吸引等の医療的ケアが日常的に必要な子どもたちのことです。

医療的ケア児の数は、15年で約2倍に増えています。

医療的ケア児について(厚生労働省)

なぜなら、日本の周産期医療、つまり出産時の医療の技術がすごく発達したからです。

喜ばしいことです。

日本は、世界でトップクラスの出産時に子どもが亡くならない国なのです。

昔は未熟児や超未熟児と呼ばれる子どもは、そのまま亡くなることもありましたが、今ではたとえ500gで生まれても、生き残ることができるのです。

これは素晴らしいことですよね。

しかし、医療的デバイスを必要とし、医療的デバイスと共に生きていくことになります。

日本初、医療的ケア児専門保育園をオープン

せっかく助かった医療的ケア児たちも、医療的デバイスと一緒に暮らしていると、預け先がどこにもないという問題にぶち当たります。

保育園もダメ、幼稚園もダメということになります、なぜなら、看護師や医師がいないからです。

そうなると、ケアの負担は主にお母さんが負うことになるのです。

お母さんが24時間365日、介護、看護を行います。

当然、お母さんたちは働けません。

仕事は辞めざるを得ない、子どもをケアし続ける、時に追い詰められ、精神的に病んでしまって、子どもと心中してしまうということもありました。

そんな中、我々は立ち上がりました。

2014年に、日本で初めての、医療的ケア児を専門に長時間お預かりする保育園「障害児保育園ヘレン」をオープンしたのです。

そこから、医療的ケア児のためのシッター(ナンシー)や、医療的ケア児の家に行って保育をするサービス(障害児訪問保育アニー)など、次々に作りました。

それによって、これまでは一人きりで、一人ぼっちで医療的ケア児の介護、看護をしていたお母さんたちが医療的ケア児を預けられるようになり、仕事を続けられるようになりました。

保育士や友達との関わりで可能性が花開く

我々には、気づいたことがあります、子どもの可能性です。

ある男の子の事例をお話しします。

この子は入園時、経管栄養といって鼻からチューブを入れて栄養を摂っていました。

しかしヘレンでお友達がご飯を口から食べているのを見て、いいなと思ったらしいのです。

そこで試してみましたが、小さい頃から口で食べる練習をしていないので、食べ物を入れても最初は「うげっ」となってしまっていました。

しかし何度も試すうちに、口に食事を入れられるようになり、噛めるようになり、そのうち飲み込むことができるようになったのです。

それによって、鼻からではなく、口からご飯を食べられるようになったのです。

鼻からチューブを入れて栄養を摂っていた、摂らざるを得なかったその子は、デバイスを外すことができました。

医師から、「この子は一生、鼻から栄養を摂ることになると思います」と言われていた子が、です。

保育士や友達と関わらせることで、子どもたちの無限の可能性の花を開かせることができたのです。

視線入力で描いた絵が東京都知事賞を受賞

また、この絵を見てください。

きれいな絵ですよね、東京都知事賞を受賞した絵です。

誰が描いたと思いますか?

医療的ケアが必要で、体を動かせない子です。

この女の子が、視線入力装置を使って、この絵を描いたのです。

視線入力装置とは どうやって使うの?(国立障害者リハビリテーションセンター)

素晴らしくないですか?

体を動かせない子たちにどんな創造性が眠っているか、分からないのです。

彼、彼女の中には、無限の可能性と創造性があるのです。

テクノロジーの力で、体を自由に動かすことが難しい医療的ケア児の可能性を、もしかしたら最大限引き出せるかもしれないのです。

医療的ケア児のためのeスポーツ大会を開催!

ワクワクしませんか?

僕たちはワクワクしました。

だから昨年、第一回「フローレンス杯」を開催しました。

重度障害児・者のeスポーツ全国大会【フローレンス杯】アイ♡スポ 8/27(土)初開催!(フローレンス)

これは、医療的ケア児のためのeスポーツ、つまりゲームの大会です。

日本中から、医療的ケアの必要な子たちがオンラインで参加してくれました。

現地に来てくれた子もいます。

ふだん家にいることが多く、時には孤立しながら親子で家にいる子たちが、このeスポーツの大会に参加してくれて、本当に盛り上がったのです。

まさに運動会みたいな形で、親御さんたちも、声が枯れるくらい、一生懸命応援してくれました。

子どもたちはこんな風に言ってくれました、「みんな速い!でもギリギリ勝つことができて、すごく嬉しい!」

ある親御さんは、「どうせわからないから、きっとできないからと、息子に対して希望を持つことを諦めていました。でも、嬉しいと笑い、不快だと泣く息子を見て、いつか息子の声を聴く方法が見つかるかもしれない。私自身、また一つ希望が生まれた大会でした」とおっしゃいました。

また、ある親御さんは、「いつもは車椅子を押してもらわないといけなかったんです。みんなが楽しそうにしている中、息子と2人ぽつんと見ていましたが、息子が自分の力でゴールまで行けて、『できる』が見つかって本当に嬉しかったです。」とおっしゃいました。

これらを聞いて、胸がいっぱいになりました。

そう、医療的ケア児とその親御さんたちが、ゲームでワクワクできる未来が、まさに来ているのです。

でもその未来は、医療的ケア児とその家族だけの素晴らしい未来ではありません。

私たちも高齢になれば、体が動かなくなりますよね。

でも、そうなったとしても、テクノロジーによって最後の最後まで色々な挑戦ができる。

ゲームができる、メールができる、様々なことができる、最後までそういった希望を諦めない社会になる未来です。

医療的ケア児がワクワクする未来は、私たちにとってもワクワクする未来なのではないか、そう思いませんか。

医療的ケア児、重い障害を持つ子が目指す「甲子園」を

皆さんとともに創りたい未来があるのです。

それが、こんな未来です。

実験的に行ったフローレンス杯を、もっと大きくします。

全国から色々な子どもと親が参加できる大会にすることで、全国の医療的ケア児、重い障害を持つ子どもが、あそこを目指そう、全国の友達と競い合える、と夢を描けるようになります。

甲子園みたいですよね、新しい甲子園を作るのです。

そこで医療的ケア児が盛り上がり、モデルとなって各国に紹介します。

そして諸外国の障害者団体と連携し、各国で予選を行い、勝ち上がった親子が日本に来て、例えば京都で決勝大会を行い、医療的ケア児が国を越えて盛り上がれる、競い合って感動を分かち合える大会ができたらどうでしょうか。

これは新しいパラリンピックではないですか。

日本から新しいコンセプト、新しいパラリンピックを生み出せたら、素晴らしくないですか。

日本だからこそできる貢献を世界へ!

日本は医療技術の発達によって、世界でも医療的ケア児の多い国になりました。

世界でトップクラスに入る子どもたちが亡くならない国になれたのは素晴らしいですが、同時に医療的ケア児の行き場がないという課題先進国の日本が、Nintendoを生み出したゲームの国である日本が、重い障害があってもゲームを楽しめる未来を創造します。

日本で生み出し、それを世界各国に輸出することによって、課題先進国である日本が課題解決先進国になれます。

我々が、我々の課題を解決することによって人類に貢献できる、そんなチャンスが目の前に広がっています。

そう思ったら、ワクワクしませんか。

こんな未来を一緒に創ってくれるパートナーを探しています。

皆さんと共に、この新しいパラリンピックを作りたいと思います。

大会スポンサー、会場提供してくださる方々、法人、個人、ぜひ、我々に力を貸してください。

我々と一緒に、素晴らしい、心躍る未来を共に、創っていきましょう。

▶編集注:フローレンスへの寄付はこちらからもリンクしています。

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/小林 弘美

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