【終】人間はバーチャルという快楽の世界に溺れないか?【F17-9C #9】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

【終】人間はバーチャルという快楽の世界に溺れないか?【F17-9C #9】

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「リアルとバーチャルの境界線がなくなった後の世界はどうなるのか?」【F17-9C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その9)では、参加者からの質問をきっかけに、文明の進化と人間の進化に関する議論、バーチャルはリアルの価値を高めるのかに関する議論などが起こりました。是非御覧ください。

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【登壇者情報】
2017年2月21〜23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 9C
リアルとバーチャルの境界線がなくなった後の世界はどうなるのか?

(スピーカー)

伊藤 直樹
PARTY
CCO / Founder

稲見 昌彦
東京大学
先端科学技術研究センター
教授

村井 説人
株式会社ナイアンティック
代表取締役社長

真鍋 大度
ライゾマティクスリサーチ
ディレクター

吉藤 健太朗
株式会社オリィ研究所
代表取締役CEO

(モデレーター)

前田 裕二
SHOWROOM株式会社
代表取締役社長

「リアルとバーチャルの境界線」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】リアルとバーチャルの境界線ー仮想空間の「現実化」を徹底議論【F17-9C #1】

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自分の分身が増えてアイデンティティが拡張する(オリィ吉藤)【F17-9C #8】

本編

前田 せっかくですので、会場の皆さんからご質問があればお受けしたいと思います。

質問者1 貴重なご意見ありがとうございました。

ノキアの生田目と申します。

すごく素人考えなのですが、逆にリアルが何なのかと考えた時に、人間の脳で把握して、且つ多くの周りの人が同じ認識を持てば、それがリアルになるのではないかと思うんですね。

ですから、バーチャルリアリティでもよくて、『ポケモン GO』も、皆がそこに見えていないポケモンが見えれば、それは多分リアルになるのかなと思ったんですね。

そういう意味で、技術がものすごく向上して、バーチャルがすごくリアルに近づくということはあると思うのです。

ただそれが、ハンディキャップを持った方の生活を充実させるとか(心の)穴を埋めていくというのはすごくいいと思ったのですが、一例としておっしゃっていた、AIに囲まれて承認欲求が限りなく満たされる快楽の世界になってしまうのは確かに怖いなと思っています。

バーチャルが今埋められない穴を埋めてくれるのはよいのだけれども、バーチャルがともかく気持ちのよい快楽になってしまったらどうなっていくのかなと思い、その境目についてお聞きしてみたいと思いました。

前田 どなたかご意見ございませんか?

真鍋 昔はそれこそアイドルのポスターを壁に貼って会話をできていた時代もあったと思うのですけれども…(笑)

前田 一部のできている人は、ですよね(笑)。

真鍋 それがビデオになって、もう少ししたら自分の好きなアイドルがレンダリングされて自分の思うようなことをやってくれるようになります。

自分の気持ちいい対象というか、気持ちいいことばかり言ってくれるようになってくると思うのですが、その映像で本物のアイドルなのかどうかが分からなくなってしまったら、予想できない様々なことが起きるのではないかなとは思います。

それこそ新しい詐欺など、いくらでも思いつくと思うんですよ。

前田 新しい詐欺?

真鍋 オレオレ詐欺のレベルじゃないですよね。もう。

前田 そうですよね。

真鍋 だからそこまでいくと結構色々な問題が…その快楽だけではなくて、映像で見て本物かどうか区別できない状態になったときに、また少し時代が変わるのかなという気がしています。

前田 なるほど。

村井さん、いかがですか?

文明の進化なのか?人間の進化なのか?

村井 これから境界線がなくなったらどうなるのかという先ほどのリアルとバーチャルの話は、実は文明の進化についての話だと思っています。

村井 一方で、承認欲求だとか、快楽の世界というのは、フィジカルなものと脳のものとを分けて考えた際の、人間の進化に関する議論だと思っています。

文明の進化で言うと、過去10年間くらいで、インターネットにあるべきものとリアルにあるべきものの棲み分けが随分できてきました。

その文明を進化させるというところで、オーグメンティッドリアリティ(AR)のようなところで言うと、インターネットにあるべきものと、リアルにあるべきものの、ちょうど邂逅点で融合していて、リアルのものにそれを付加してみると、もっと変わったものになっていって便利になっていくのではないかと。

人間ではなくて、文明が進化していくということです。

人間の身体って本当に必要?

村井 我々は、今、この観点で仕事もしているのですけれども、人間の進化というところで言うと、本当に身体って必要なのだっけ、という議論になる訳ですよ。

そうなった時には、人間の脳がもっともっと発達していって、実は脳の刺激だけで生きていった方が、別の言い方をすれば、チューブを入れていれば栄養が入ってくればいいだけの話になってくれば、でもそれでも100歳まで生きているかもしれない訳ですよ。

それで、そちらの世界(身体のないところ)では経済が動いていて、実はそこ(身体のあるところ)で動かなくてもなにかできてしまうという世界ができる可能性がある。

村井 人間が進化していく上で、我々の体を残したいのか、それとももっと違った世界に入っていきたいのかというのかという議論をしなくてはならないのです。

文明を進化させるには多分そちらではなくて、もっとインターネットの世界とリアルの場所というのをくっつけていって、まさに文明の世界にAIなんかが入ってくるのだと思っているのですけれども。

そこの議論をより冷静に、皆が頭の中でパキッと理解をした上で議論をしていくというのが、ここ5年や10年すごく必要なところで、やはりそういったところのディスカッションをもっとしていくことで、より明確に答えが見えてくるのではないかと思います。

不便なリアルと便利なバーチャル

稲見 そういった場合、リアルとバーチャルの対比というのは、自然と都市との対比で考えればよいと思うのです。

自然は大切だと、誰もが言うではないですか。

でも、自然で暮らしていると、コンビニもないし大変ですよね。

恐らく、それと同じような変化がリアルとバーチャルにもあって、そういう意味では人が頭の中で生活しやすいところを作っていった結果、都市という人工物ができたように、今はバーチャル世界という人工物ができていると思うのです。

稲見 自然と都市との関係性で議論されてきたようなことを、今度は今あるリアルとバーチャルの世界の間で議論していくとよいと思います。

だって、リアルでは不便なことが沢山ありますよね。

Undo(元に戻す操作)できないし、コピペできないし、光の速さで移動できないし、検索もできない。

そこを何とかしてできるというテクノロジーが、新しい知の構造であるバーチャルリアリティ空間であると捉えています。

バーチャルの発展はリアルの価値を高める

前田 自然と都市に例えるというのが、面白いですね。

これは個人的にも思うのですが、例えばバーチャルリアリティでコンテンツが発達していって、その中で現実では体験できないようなことが体験できるようになっていけばいくほど、都市化が進めば自然が評価されるように、リアル側に価値が出てくるようになるのではないかと思っているんですよね。

例えばライブが体験できたり、Perfumeのライブがバーチャルリアリティで観られるようになったりしても、触覚や匂いなどの制約もあって、実際のライブで体感できることは超えることはないと思っています。少なくとも短中期的にはですけれども。

長期的には、先ほどのテクノロジーの進化による解像度など色々なこと、もしかしたらそれすらも凌駕してしまうかもしれないという、更に何十年後の未来というのは分からないのですけれども。

ですから、短い未来に関して言うと、個人的には、バーチャルの発展というのはリアルの価値をより増幅していくものなのではないかと考えています。

稲見 『ポケモン GO』、だいぶOKになると思いますよ。

前田 そうですよね。

稲見 まさに未来にとっては。

前田 まさにそうですよね。

伊藤 そういう意味では、最近、テレイグジスタンスというのを言われるじゃないですか。

嗅覚や味覚などがもし移せるようになって遠隔地の現実感が増せば、やはり人はどんどん移動するだろうなと思っています。

そんなにいい香りがする場所があるのだったら行ってみたいと絶対思うはずで、そこはモビリティの発達と相性がよいのです。

ですから、バーチャルが発達すればするほど、実はリアルの移動性というのがどんどん増して人は移動するし、だからインバウンドで沢山の人が日本に入ってきている訳ですよね。

コストが安くなっているということもそうですけれど。

どちらかの「極」に針が振れていくということはないのではないかなと。

『ポケモン GO』がそのいい証明をしているのではないかなと思いますね。

高解像度映像はリアルの価値を下げる

村井 でも、最近すごく感じていることがあるんですよ。

ナイアンティックは、サンフランシスコにオフィスがあるんですよ。

我々は日本で仕事をしているのですが、毎日海外とのやり取りを行っていて、早朝からアメリカ側とビデオカンファレンスをしているのです。

でも、やはり問題を解決するためにface to faceで会わなければならないということが必ず起きるんですよ。

それをどういう風に解決しようかとずっと考えていたのですが、やはり1か月に1回は行かなければならない感じなのです。

行けばすごく仕事がはかどるのでよいのですが、それがもっと楽にできるようになるには何が必要なのかと考えると、実はeコマースがよくなったのは、今すぐ欲しいものがすぐに手に入るようになるという物流革命がインターネットで起きたからなのです。

今クリックすると夕方までには着いている。

今すぐ欲しいものはもしかしたら買いに行かなければならないかもしれないけれども、買いに行くコストと待っているコストとを考えると、物流革命が起きたことによって待っていてもいいかなと思える商品が出てきたというのが、eコマースが活性化した大きなポイントです。

村井 一方で、ビデオカンファレンスをしながら、僕は1か月に1回アメリカに行かなければならない状況にある。

これには何が必要かと考えた時、やはり航空産業やそういったところのモビリティの部分の革命が必ず必要になってくるのだろうという風に思ったんですね。

ただ、冷静に考えると、これからコンコルドが飛ぶことはないだろうし、自分があっという間に西海岸に行くということは絶対にあり得ないという風に思っていて、そこの進化を待っていると、恐らくこの問題は解決しないかもしれません。

考えたのが先ほどの解像度についてです。

その解像度が8Kなりもっとすごい解像度になって、質感から何から映像で再現できたら「今からカンファレンスしよう」と言って、仮想のドアをガチャンと開けた瞬間に向こうもガチャンと開けると、全く同じ空間の世界があって、そこは映し出しているだけなのだけれども、質感が全部通じれば、まさにここに座っているかのように話ができてしまう可能性がある。

オフィスもリモートでやろうとしても、実はそういったオフィスが実は解像度のあるディスプレイがすぐそこにあって、まさに横に視点があるというような世界が起きたら変わるのではないかなと思っています。

6Kで質感が出るというのであれば、もうすぐそこなんですよ。

飛行機に何か革新が起きる前に、恐らくディスプレイが6Kから8Kになって、もっと安くなって手に入るようになるかもしれない。実はそちらの革命の方が早いのではないかなと思ったりしています。

そうすると、face to faceで会っているような世界って、会わなくても実は可能なのであればそれはすごく面白いなと思っていて、先ほどおっしゃったテクノロジーが進化するとより人が動くのではないかというのもあるのですが、僕の仕事からすると、テクノロジーが進化すると毎月アメリカに行かなくてもよくなる可能性はある。

稲見 NTTの方は、8Kで会議すると、もうリアルな人が前にいるようで人の表情がよく分かっていいといったお話をされていましたよ。

もうそういう時代も来ますよね。

村井 6Kを超えるとそういう風だと言われていますよね。

真鍋 あとは遅延の問題ですよね。

遅延がなくなるだけで、映像の解像度が今くらいでも結構解決されるのではないかなという気がします。

村井 通信も結構必要なのですね。

吉藤 あとは認識の問題ですよね。

自分がそこに行くということがどういうことなのかを考えた時、恐らく自分が行っている感覚が100パーセントあって、且つ向こうの人も、自分がいるということを100パーセント感じているということであれば、それは多分「行く」ということなんだと私は思っているんですよね。

「OriHime」のようなものを作っている訳なのですが、これがバーチャルだとすれば、こちらのリアル側の身体に精神的な部分が10パーセントか20パーセント残ってしまっている訳なんですよね。

恐らくそれをどんどん減らしていくことができて、本当に自分が「行く」となったら、今この会場に皆さんがいるように感じている訳ですけれども、これは架空かもしれなくて、でも皆がいると認識している限り、その認識によって仕事がはかどるということが実現されるのではないかと思います。

村井 まさにおっしゃっていた脳のことですよね。

前田 まとめの時間もないくらい盛り上がってしまいました。

やはり皆さん、バーチャルとリアルの境目というところを超えて、もっと本質にある、人間にとって何が大切なのかとか、人はどういうところを求めているのかというところをすごく深く考えながら事業やサービスとか企画を作られているのだろうなということを感じて、非常に刺激的なセッションでした。

お時間ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/Froese 祥子/横井 一隆/立花 美幸

【編集部コメント】

私、東大VRサークル”UT-virtual”に属しております。部員は常に募集しておりますし、いろいろな団体とのコラボレーション案件もぜひご連絡ください!(横井)

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