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Netflix、Amazonなどの巨大な黒船プレイヤーと日の丸動画メディアはどう戦う?【K17-5B #5】

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「モバイル動画メディアの今後を徹底議論」【K17-5B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その5)は、競合である巨大な海外プレイヤーとのコンテンツ制作における戦い方について議論しました。是非御覧ください。

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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


2017年9月5日・6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 5B
モバイル動画メディアの今後を徹底議論

(スピーカー)
明石 ガクト
ワンメディア株式会社
代表取締役

荒波 修
株式会社GYAO
代表取締役社長

小池 政秀
株式会社サイバーエージェント
常務取締役

高松 雄康
株式会社オープンエイト
代表取締役兼CEO

(モデレーター)
坂本 達夫
AppLovin
Director, Business Development

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【新】モバイル動画メディアの今後を徹底議論!【K17-5B #1】

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グレーな動画を扱うアプリが人気を得ている状況をどう考えるか【K17-5B #4】

本編

坂本 先ほど、海外プレーヤーの話もありました。

海外プレーヤーといって僕たちが気になるのはNetflixやAmazon、Hulu等の黒船勢です。色々なところが日本にどんどん入ってきています。

彼らは規模の経済があるので、1つのコンテンツにかけられる投資額が非常に大きい中で、皆さんがどう戦っていくのかというお話をお伺いしたいです。

巨大な海外プレーヤーとの戦い方

小池 僕たちは去年立ち上げて、初期はニュースとアニメが中心でした。

今もコンテンツにおけるアニメの占める割合は大きいのですが、(海外プレイヤーの動向から)特に影響が大きいのがアニメです。

新作アニメのいいところの半分くらいは一ケタ位違う単価で青田買いされるようになってきています。

坂本 そんなに買われているのですか。

小池 はい。しかし、それには独占期間があるので、ディレイでやれば(独占期間終了後の調達を活用すれば)勝負の仕方はあります。

どういうことかというと、基本的に、新作のタイトル名だけで押していくようなビジネスモデルとは違う思考をしています。

僕たちは新しくなくても視聴習慣化して毎日楽しく観られるとか、古いものでも週末にパッケージとして観たら面白いとか、工夫する事で価値を上げるような編成でずらしていこうと思っています。

坂本 確かにテレビの金曜ロードショーも、新しい作品ではなくても、みんな「金曜の夜は観ようか」となりますね。

小池 そうです。あの競争には入っていけません。

高松 ずばり、そうなってくると小池さん、テレビが競合になりますね。

小池 いや、テレビの方々は仲間ですね(笑)

(壇上・会場笑)

高松 いえいえ!そんなことはないと思っています!一日の時間シェアの奪い合いですから!

(会場笑)

小池 それをいうと、ネットの動画メディアとテレビだけというよりは、ソーシャルメディアやゲーム等全部ですから。

基本的に今はテレビ朝日さんとジョイントベンチャーをやらせて頂いていますが、できれば僕たちはプラットフォームとして自分たちのチャンネルを色々な人に使って頂きたいという思いもあります。

しかし、最初は何のサービスかわからないと皆から思われるので自分たちでコンテンツを作って大きくして、そこでコンテンツを作ってみたいという人が増えれば良いと思ってやっています。

その中でパートナーさんや各局さんと是非組みたいと思っています。

荒波 ここにいらっしゃる皆さんはNetflix等色々なサービスを使ってらっしゃると思いますが、実は世の中的にはそこまでまだ浸透はしていませんよね。

Netflixさんが日本で事業として大成功しているかというとまだまだです。ユーザー数もまだまだ極めて限定的です。今のところ、Netflixさんが我々の事業に影響を与えているかと考えるとそこまでではないと感じています。

しかし、コンテンツを調達したり制作する「出島」としては非常に機能していると思っています。

このままいくとじわじわと、それこそコンテンツを調達する時にホールドバック(権利行使における一定の制限)をかけられて、しばらくの間独占とか先行という買い方をどんどんされるとボディブローのように効いてくるかもしれません。

また、AmazonはまたNetflixとは違うと思っていて、今後非常に大きな影響を与えるかもしれないと思い注視しています。

坂本 その心は。

荒波 アマゾンプライムのユーザー数は非常に増えていると思います。コンテンツは実質無料で観られます。そこは大きな違いだと思っています。

坂本 要するにマネタイズモデルが映像のところだけで見なくても良いということですね。

荒波 そうです。

コンテンツの作り手は”黒船”側に流れてしまう?

高松 もう1つ影響として大きいのは、黒船たちが日本でオリジナルコンテンツを作り始めています。その制作プレーヤーは日本国内で限られているということです。

結局コストをかけた分だけ良いものが作れるし、お金が使えるところに人が集まります。

その時にサイバーエージェントさんにしてもGYAOにしてもどうやって戦っていくのかが気になります。制作体制はとても重要ですよね。

坂本 作り手になるのであれば同じだけ頑張って作ったときの売上が、向こうで作った方が非常に売れますし。

高松 明石家さんまがCMに出ちゃうし(笑)

坂本 ギャラもたくさんもらえますし(笑)。皆そっちに行ってしまうのではないかというコンテンツサプライ側の話ですね。

小池 作り手の話で言うと、僕たちはニュース1番組に対して40人、バラエティーだったら5人や10人など体制がチーム毎に変わるのですが、作り手も押さえられてしまい、僕たちが作り手さえ集められない状態になるかというとそうは全く思っていません。

今までテレビを作るのはテレビ局の方々だけでした。それはそのような構造だったからです。

しかし、そのようなコンテンツをAbemaTVも作れるようになったら映画監督の方も作れるようになっているし、今までテレビのコンテンツを作っていなかったCMの方なども作るようになります。

このように作り手が増えてきているので、市場さえあれば最適化していくと思います。作り手の方は出てくると思っています。

高松 ONE MEDIAにも弊社にもAbemaTVにも番組を作るチャンスはあるということですね(笑)

小池 もちろんそうです。

坂本 でも・・・ONE MEDIAさんは短尺ですよね?

作れるのでしょうか・・・?(※笑いをこらえながら)

明石 これはプロレスですか?(笑)

僕たちも実は長編を用意しています。

今キラーパスのような形で話題がまわってきましたが。

(会場笑)

小池さんがおっしゃったように、日本は映像を作る会社が非常に多いです。

テレビ局という強いディストリビューションを持つところがあり、そのコンテンツづくりを支えている会社が非常にたくさんあります。

動画マネタイズとも絡みますが、テレビの広告費は今のインターネット広告費の倍ぐらいの規模があります。

そのような強い収益性がある業界には、IT業界では知られていないすごい会社がたくさんあります。

例えば、ポリゴン・ピクチュアズという、僕がとても好きなCGアニメの会社があるのですが、そこはすでにNetflixにがっつり絡めとられています。

しかし、それ以外の会社で素晴らしい映像をつくる会社はまだまだたくさんあります。そこに例えばAbebaTVさんが投資しますとなれば、その会社はNetflixには配信できなくなるだろうし、そういった形で最適化は行われていくのでは?と思っています。

アテンションが短い人に響くコンテンツを作る

明石 むしろ僕らが戦わなければいけない重要なポイントだと思うのは、そのような素晴らしい映像をつくる会社がたくさんいる中で、どこに映像を頼むかという話になったときに選ばれる会社にならなければいけないということです。

現在の自動再生中心の動画視聴環境の中で若者の平均アテンション時間は8秒らしいです。8秒しか持続しないなんて、従来と状況は全く異なりますよね。

僕たちが子供の頃は「この続きはCMの後で!」とあってからCMを見て、CM明け後も、なぜかCMに入る3分前の戻った状態からもう一度観させられる、そんな状況に慣れていました。

忘れもしないのは、ドラゴンボールのアニメ、フリーザ編で悟空がスーパーサイヤ人に変身するまでに、およそ1ヶ月かかった思い出です。

(坂本さん爆笑)

僕らの世代は、あのようなものに耐えてきましたが、坂本さんのお子さんとかはYouTubeを観て育っているので無理だと思います。

坂本 広告が出た瞬間に画面右下のところをクリックし始めます。5秒たって「次に進む」が出来たらすぐ飛ばす、みたいな。

明石 そういう人たちがどんどん大人になっていく世の中で必要な動画コンテンツの形は変わると思っていて、それを長編になった時にやれる会社は僕たちみたいな会社だと思います。

今、ドヤってしまいましたね(笑)

坂本 要するに、最初からずっと長編を作ってきたというのではなくて、今のユーザーのアテンションをいかにキープさせるかというノウハウを持った状態で次にまた長編に行くということですね。

明石 そうです。そうするとそのようなアテンションの力みたいなものをきちんと把握している会社とそうではない会社があったら、小池さんは「ONE MEDIAだな」といってくれるのではないかと思っています(笑)

(続)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸

【編集部コメント】

「8秒しかアテンションが続かない」世代の話は少し衝撃でした。長編の映像作品のあり方が変わるとしたらどのように変わるのか、個人的に興味があります(ワンカットがやたらと短くなったりするのでしょうか)。

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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