【終】量子コンピュータ時代に日本企業が勝てる3つのパターン【K17-5D #8】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

【終】量子コンピュータ時代に日本企業が勝てる3つのパターン【K17-5D #8】

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「先端テクノロジー X スタートアップのCo-Creationを徹底議論」【F17-5D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その8)では、参加者からの質問に登壇者らが答えながら、量子コンピュータ時代のビジネスについて議論しました。尾原さんが量子コンピュータ時代に日本が勝てる可能性を熱く語ります。是非御覧ください。

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ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、IBM BlueHub(日本アイ・ビー・エム株式会社)様に本セッションをサポート頂きました。


ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 5D
先端テクノロジー X スタートアップのCo-Creationを徹底議論
Supported by IBM BlueHub

(スピーカー)

尾原 和啓

菊池 新
株式会社ナビタイムジャパン
取締役副社長 兼 最高技術責任者

西條 晋一
株式会社WiL
共同創業者ジェネラルパートナー

森本 典繁
日本アイ・ビー・エム株式会社
執行役員 研究開発担当

(モデレーター)

高宮 慎一
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ
パートナー/Chief Strategy Officer

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最初の記事
【新】量子コンピュータなどの先端テクノロジーのビジネス化を徹底議論!【K17-5D #1】

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先端テクノロジーを取り込み、ビジネス化できる組織をつくるには?【K17-5D #7】

本編

高宮 では、会場の皆さんからご質問いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

質問者1 DouZenの三浦です。


三浦 謙太郎
DouZen, Inc.
Founder and CEO

1974年カリフォルニア州生まれ。1996年にスタンフォード大学理学部を卒業。1997年から2003年までソニー(株)にてVAIOノートPCやハンドヘルドコンピューター「クリエ」の商品企画に携わる。その後UCLA Anderson校にてMBAを取得し、ソニー・ピクチャーズ(株)のUS本社で勤務のちソニーを退社。数年間日本のベンチャーにてモバイル組み込みソフト関連の事業開発を経て、2011年にSan FranciscoにてDouZen, Inc.を創業。次世代ユーザーインターフェース製品の企画と開発を行う。現在は同社にて12月出荷予定のHale Orb(ハレ・オーブ)というIoT製品の開発を行っている。

量子コンピュータについて、私はエキスパートではありませんので、かじった程度でお伺いしたいのですが、解ける部分が増えるということについてはワクワクしていますが、暗号化に関して、秘密がなくなってしまうという話があります。

それはビジネスだけでなくて、社会的、政治的にも結構大きなインパクトがある話だと思うのですが、その辺りの議論としてはどのようなものが出ているのでしょうか。

量子コンピュータで暗号技術はどうなるか

森本 秘密が解けるというのは、今の暗号技術についてですね。今の通常のコンベンションのコンピュータであれば、解読に100年、1000年かかることを、ほぼ解けないと解釈し、使っているというのが現状です。

それが量子コンピュータになると、その暗号が短時間で解けてしまう可能性がある。そうすると今の暗号は、全部丸裸になって使えないのではないかという話があります。

その一方で、量子アルゴリズムを用いた「量子暗号」というものも出てきますので、イタチごっこというか、それに対する対処の方法はできつつあると思います。

その暗号が本当に解けるまでの間に、まだ少し時間差がありますので、その間に量子による復号に対する耐性がある暗号技術が完成されていくというように思っています。

恐らくその辺りの議論は、今もう完了しているというか、完結しているような気がしていまして、多分大丈夫だろうと思います。

森本 ただその時代になっても、今の暗号を使っていれば、それは話が別です。

ですので、技術の不可逆性と言いますか、そういう風にいったん進み始めたら、それが危ないとかなんとか、だから止めましょう、ということではなくて、「いいもん」がやらなければ、「わるもん」が先にやってしまいますので、やはりそれは不可逆のルールなんですよね。

ですから、先に進むしかないのですが、先に進んだら進んだで、解決方法は見えているというように理解しています。

質問者1 イタチごっこのレベルは、これまでと同等のレベルで続くという前提ですね。

森本 そうですね。

質問者1 ありがとうございました。

高宮 他にいかがでしょうか。

最適化問題に取り組んでいるベンチャー経営者の顔も見えていますが(笑)。

質問者2 MagicPriceの松村と申します。宿泊施設に自動で最適な宿泊料金を提案するサービスを展開しております。

ビジネス機会を探すという観点からお伺いしたいのですが、これまで普通の人手だとかで行われていたことを、AI化と言いますか、機械学習をして新しいサービスを提供しますというトレンドがあると思います。

量子コンピュータにおける、事業機会を探すにあたり、二つの方法があると思っています。

1つは、機械学習化と同様に、今まで人手や、インターネットサービスとして行っていたことを量子コンピュータ化するというチャンスを探すべきなのか?

もう1つは、それとも、既に機械学習でやっているけれど、それを量子コンピュータ化したら、こういうことができるというような方向で探すべきなのか?

どの辺りにヒントを探るのが一番打率高そうか、ということをお聞きしたいと思います。

森本 恐らく今のコンピュータで機械学習やAIを使ってできていることを量子コンピュータにさせるのは、あまり魅力的ではないと思います。

本当に一発当てようと思ったら、今できていないことを探すべきです。

今はできないので、試すことすらできていない、このぐらいのところを狙っていただきたいなと、私は個人的には思っています。

尾原さん、いかがですか?

量子コンピュータ時代に日本が勝てる3パターン

尾原 ずっと黙って考えていたのですが、量子コンピュータの実用化が進んだ時に考えられる破壊的なオポチュニティー、しかも日本の独自性を使って勝てるパターンを三つくらいに抽象化できました。

一つは……

高宮 尾原さん、残り五分なので……

尾原 五分で……分かりました!

簡単に言うと、先ほども言ったように、機械学習というのは基本的にせいぜい多くても三次元などの固有値におけるローカル最適化問題です。

片や、量子というのはn次元に強いんですね。

ですから、次元数が大きければ大きいほど、要は要素数が多ければ多いほど、今まであり得なかった最適化が作れるんです。

日本というのはやはり歴史的に長くデータを取っているケースが多いです。

長いスパンでの最適化は、海外勢が今からやろうと思ったらデータから集めなくてはなりませんから、単純にいうと、10年かかってやるサイクルの最適化というのは、他が追い付こうと思ったらデータの結果が出るまでに9年間かかるんですよね。

分かり易い話では、競馬というのは、異様なほどのデータが溜まっていて、親子四代にわたり全ての競馬レースの結果と、全ての体重遷移のようなデータが残っているわけです。

そうするとどの馬とどの馬を高配させれば本当に速い、しかもダートの時だけ速い馬を作るというような答えを見つけられるかもしれない、というのが多分量子における最適化だと思います。

以上が一つ目です。

つまり時間スパンが長くて、要素数が多くて、しかもデータがたくさんある空間の最適化というところを探すということが一番目です。

二番目が……まだ二つあります、すいません。

機械学習に対して、量子最適化のいいところは、ローカルトラップというのですが、一見するとここが最適に見えるのだけれど、実は遠く離れたところに極めて最適な答えがある、ということを見つけるのが強いんですね。

それをやるためには、種になる最適化のベースがあった方が早いんですよ。日本の良さは多分、過去失敗したデータがたくさんあることです。

失敗したデータというのは、実は最適化にギリギリ近いことが多いんですね。

それを、アニーリング(最適化問題のための汎用解法)の種にすると、多分、過去の失敗作からとんでもない化け物のような正解が出てくるという可能性があるのが、多分日本のすごいところです。

三番目が、これはまだきちんと抽象化できていないのですが、先ほどおっしゃったように、最適化するためにはセンシングが要るんですよね。

日本人というのは不思議な感覚があり、職人にしか見えないものがまだたくさんあるので、それを何らかの形でスコアリングしていくと、それは日本人にしかできないスコアリングだから最適化が進む、この三つくらいがあるのではないかということを抽象化しました。

ごめんなさい、長くなりました。

高宮 ありがとうございます。

では、最後に一言ずつ、会場の皆さんへのメッセージをスピーカーの皆さんからいただきたいのですが、尾原さんにたくさんお話しいただきましたので、森本さんから一言いただいて、順に尾原さんまでお願いします。

顧客ニーズを数字に落としていくと何ですか?

森本 先ほども何度かお話をしましたが、重要なことは、今さらに新しいテクノロジーが出てきています。

ベンチャーの皆さんには、テクノロジードリブンということはいったん置いておいて、ぜひニーズドリブン、新しい発見、こういうところから出発していただき、それから技術を探しにいくというようなアプローチも考えていただきたいと思います。

技術の提供に関しては弊社には大量にプールがあるので、上手くパートナーを組んで、痒いところに手が届くような新しいイノベーションを日本で起こしたいというように思っていますので、ぜひよろしくお願いします。

西條 今日は私も勉強になりました。

やはり普段考えているようなビジネスのやり方ではなくて、割と妄想レベルのこと、もしくは社内にいる変人レベルの人を大切にしていかないといけないなというように強く思いました。

後は、ぜひIBM社の知財を、量子コンピューティングでどのようなビジネスに落としていけば最適なのかというようなものを発表していただけると嬉しいなと思います。

もう一つは、ベンチャーキャピタルの仕事はいずれなくなるのかな、というような危機感も感じました。

投資の仕事などは特に、このような技術が活用できそうです。

僕らも10年くらい投資をやっていますが、「え?こんな会社が?」というようなことがしょっちゅう起こりますし、実は投資で儲けたお金よりも、見逃した案件から得られただろうキャピタルゲインの方が大体の場合において遥かに大きいんですね。

そういうことも含め、いろいろと考えさせられるセッションでした。

菊池 ありがとうございました。

先ほどテクノロジードリブンとニーズドリブンのお話がありましたが、私はもともとエンジニアなので、やはりテクノロジードリブンからアプローチしていきたいと思います。

量子コンピュータというものを使いたい、そこには制約もそれなりにありますが、そこをかい潜ったような技術で何かを解決したいという方向性で、これから考えていきたいと感じました。

尾原 私はまだしゃべってもいいですか(笑)?

すいません、いろいろなことを言いまして。でも本当にすごいことを言っているんですよ、すごいこと!

理系屋としては本当にいろいろなことを考えているのですが、先ほどのニーズドリブンということをもう少し言葉に直すと、本当にお客さんが求めていることを、数字に落とすと何ですか?、ということだと思うんです。

僕たちは今、仕方なく売り上げとか、利益とか、少し賢い会社だとライフタイムバリューという指標を使っているけれど、本当にお客さんを幸せにして、同時に会社も満足になるというために最適化しなくてはならないゴールは何なのか、ということを突き詰めていくことが多分一番大事なのではないかなと思います。

高宮 ありがとうございます。

お話を聞いていて僕が思ったのは、やはりCTOであれ、技術が分かるCEOであれ、ビジネスオポチュニティーを見つけた時に、どの時間軸でそのオポチュニティーが実現されていくのか、技術側の時間軸のマッチングをきちんとできる機能というのがビジネスを創る側に求められているのだなと思いました。

ぜひベンチャーの皆さん、基礎技術を持っているところと上手く連携しながら、ホームランを狙ってかっ飛ばしてください。

ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/鈴木ファストアーベント 理恵

【編集部コメント】

新技術と戯れる余裕を僕個人も持ちたいと思いました。ワクワクさせてくれるセッションをありがとうございました。(横井)

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