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「ビジネスのフロンティアはどこにあるのか?(インド/イスラエル/アフリカの投資機会)」【K17-6E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その2)では、Asia Africa Investments & Consultingの椿さんに、アフリカのベンチャー企業トレンドについてお話しいただきました。農業から送金、ヘルスケアまで話題は多岐にわたります。是非御覧ください。
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【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 6E
ビジネスのフロンティアはどこにあるのか?(インド/イスラエル/アフリカの投資機会)
(スピーカー)
蛯原 健
リブライトパートナーズ 株式会社
代表パートナー
榊原 健太郎
株式会社サムライインキュベート
代表取締役
椿 進
Asia Africa Investments & Consulting Pte.Ltd.
代表パートナー
(モデレーター)
本間 真彦
インキュベイトファンド
代表パートナー
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最初の記事
【新】インド・イスラエル・アフリカ…、ネクスト・マーケットのベンチャー投資家が語るフロンティア【K17-6E #1】
本編
本間 今日はアフリカの投資エキスパートの椿さん、イスラエルになぜか行ってしまった榊原さん、インドを語らせれば俺だという蛯原さんというベンチャー業界をよく知っているマーケットのエキスパートが来ています。
マーケットの概略をご存じない方もいると思うので、順番に自己紹介を兼ねて情報提供したいと思います。
椿 進氏(以下、椿) よろしくお願いします。椿です。
Asia Africa Investments & Consulting 代表パートナー 椿 進
自己紹介はもう省いて良いですね。
(会場笑)
アフリカには10件ぐらい投資しているのですが、どんなものをやっているかという話と、向こうにどんなベンチャーがいるのかという話をしたいと思います。
ルワンダ × 農業
椿 1つはルワンダで、農業です。
300ヘクタール、東京ドーム80個分の農園を持っています。
▶詳しくは:「今、ルワンダのマカデミアナッツ事業が熱い」(AAIC椿)
これをドローンで監視してみたり、イスラエルのネタフィムを使ってみたりと、ITを入れながらやっております。
世界最貧国エリアで近くの家はまだ電気も水道もないです。
ケニア × IT・ヘルスケア
椿 2つ目はケニアのITの会社で、GEの代理店としてヘルスケアもやっています。
これもかなりイケてる子がやっています。マサイのハーフで身長2メートルぐらいあります。
ザンビア × 超大規模農業
椿 もう1つザンビアで投資しているのは、ものすごい大きい農園です。2,700ヘクタールありまして、中央区の2倍!
(会場笑)
農業ってこういうふうにやるんだと思いますよね。円で栽培するんですね。丸1つが86ヘクタールで、東京ドーム20個分あります。なぜ丸いかというと、スプリンクラーが一周するのに四角より丸い方が灌漑のコストが10分の1で済む。
▶詳しくは:ザンビアでの大型穀物生産のスケールの違いに驚愕!(AAIC椿)
これがお話した円形農法です。
これはすごくて原野を買い取ってそのまま開墾していきます。
こちらのトラクターはクボタさんの10倍大きい世界最大のトラクターのジョンディアさんのを買っています。
このコンバインも1台6,000万円するんですけど、GPSで自動走行して刈り取ってしまう。
日本の平均農家が2ヘクタール、北海道で4ヘクタールと言われていますが、これは1,200ヘクタールという規模でやります。中央区の2倍です!
椿 エチオピアでやっているのは日本のアパレルです。
エチオピアは人口が1億人もうすぐいくんですけど、アパレルが立ち上がる可能性があり、アジア型で成長するかもしれない国です。
自社農業
椿 これが最初に買った土地で、湖の向こうは世界最貧国のブルンジという国です。
椿 時々ネッシーがいると思ったらカバが泳いでいるというようなところです。
でね、カバはどうしようもないですね!強すぎて追い払えない(笑)!
(会場笑)
侵入されたらもうダメです。こういうふうに木を植えて、やっと採れ始めました。
これは我々が買わせていただいている契約農家さんです。
ケニア × ショッピングモール(不動産)
椿 それから、不動産も投資していて、これはケニアのショッピングモールです。続々と建っています。
こういうのが今続々と出来上がっています。
正確に言うと、こういうところに投資するファンドをお手伝いしているという形です。
アフリカで注目のヘルスケアテック
それから最近2号ファンドで立ち上げたのが、アフリカのヘルスケアファンドで、ファーストクローズド(第一回目の募集締め切り=投資活動ができる状態)が無事にできました。
椿 もしご興味ある方がいたら非常に面白いです。
後で話しますけど、注目はやはりヘルスケアテックですね。
今までアフリカっていうとエイズやマラリアの問題がありましたけど、だいぶ今は治まってきました。逆に、癌や糖尿病がすごく問題になってきている。
その中で、向こうは「AI診断とか遠隔診断とかどんどんやってくれ!」なんですね。
日本だと「医師会の判断が・・・」などありますけれども、アフリカでは、スマホで全部診断して、そこで診断結果ももらえて、お金は通話料で払ってしまうというモデルがあります。
こういうのもどんどん出てきています。
それから、実はナイロビには結構インキュベーションオフィスもありまして、「iHub(アイハブ)」という名前のものなど5、6個あります。
椿 イケてる子たちが来てやっていまして、もちろん日本のような盛り上がりはこれからですけど。
昔、西川さん(ネットエイジ代表取締役 西川 潔さん)と一緒にビットバレーを立ち上げたんですが、あの雰囲気に近いですね。
わーっと白人含めて皆が来て、初めてピッチコンテストみたいのができたり、インキュベーションオフィスができたり。
本間 イケてるVCとかって決まっているんですか?ここがイケてるとか?
椿 欧米系が少しいますけど、まだまだこれからですね。
資源とかに投資する人はいますけど、アーリーベンチャーに投資するのはまだまだこれからですね。
先進国で上手くいったモデルをそのままアフリカで使う
椿 面白い会社はいろいろありますが、1つ紹介します。cellulant(セルラント)というナイロビの会社で、「アフリカ版のアリペイ」モデルをそのままやろうとしていまして、100万人ぐらいのユーザー数になったんじゃないですかね。
椿 彼らは、「中国と比べても同じぐらいの市場規模があるんだ」、「我々はアリペイになるんだ」、「お金を投資してくれ」という話をしています。
椿 こういうふうに先進国で当たったモデルをそのままやるのがまだ通用してしまうので、ロケットインターネット(※)もいっぱいやっていますが、こういうモデルがたくさん出てきています。
▶参考記事:驚愕 世界中のビジネスを「コピペ」して丸儲け!|ドイツ「ロケット・インターネット」戦略の全貌(クーリエジャポン)
アフリカで少し面白いのは、ここに書きましたけど、基本的に高度成長なんです。それゆえ、タイムマシーン経営ができます。
椿 我々にはすごく懐かしいんですけど、ちょうど70年代、私たちが小学生、中学生ぐらいの頃の感じで、まだ砂利道があってバキュームカーが走っていて、ダイエーが来たとかマックが来たから銀座に並びに行こうとかそういう感じです。
高速道路ができて、新幹線ができてという流れが次々に来ます。
それからロケットインターネットさんが投資しているジュミアというECがありますが、そのままパクッてナイジェリアとかケニアでやってナンバー1になって高値で売り抜けるというようなモデルも通用します。(※)
▶参考記事:電子商取引が急成長、2大ECサイトが牽引(JETRO)
リバースと書きましたけど、固定電話もない・電気もきていないけどスマホだけ持っているという状況になってきているので、それをベースにビジネスがどんどん始まります。
有名な例ではM-PESA(エムペサ)(※)と言いますけど、通話料をそのまま決済の機能として使うのがあって、これがケニアでは銀行取引の倍ぐらい、5兆円ぐらいやりとりされています。
▶参考記事:LINE Payのモデルがケニアに!?ケニア人の生活を支えるモバイル送金サービス『M-PESA(エムペサ)』が面白い!
マイクロペイメントみたいなものも1日100円払いの分割払いとかにして、全部携帯のチャージで取ってしまう。
さらに、既得権益者がいないのでスピードが速い。例えば、ルワンダはドローンの空港を作っています。
すぐに大臣に会って「明日MOU(覚書)を結ぼう」、「法律を変えてほしい?わかった、変えてやる」とかそういう感じのスピード感で事が運びます。日本みたいに「XX区を飛ばすな」とかが全くないです。
AI診断もAI読影もどんどんやってくれと言われます。要は医者が全然足りないので、逆にスマホで診断してくれということです。
あと、すごく面白いのは、アフリカで実は普通にお金を借りると金利が19%とか20%などと高くて、成り立たないんです。
日本には、中小企業向け融資とか東京都の融資とかベンチャー促進の融資とかたくさんあるんですけど、向こうにはそういった制度もマネーも一切ないのでお金を借りることができない。
だから、リスクマネーを持っていると非常に強いです。
そういう人がバイク10台持てば、バイクの宅配会社もできるし、トラックを持っていればトラック運送会社ができる。初期投資のリスクマネーを持っている人がそもそもいないんですよね。
それがあると普通のビジネスでも、たこ焼き屋をやろうと回転寿司屋をやろうとオペレーションさえ失敗しなければ、ビジネスが成り立つという特徴があります。
https://www.worldremit.com/en/romania/vodafone-m-pesaより引用
椿 これがエムペサです。
アフリカはまだ95%がプリペイド携帯なので、通話料をチャージするんです。
面白いのが、1回チャージしたものをSMSで他人に送れて、チャージしてあなたに1,000円送ります、家族に送りますということができる。さらに、エムペサ ショップに持って行くと現金を引き出せるというところがすごいんです。
日本はSuicaでも何でも1度入れてしまったら引き出せないですけど、これは引き出せるので、送金ソリューションとなったということです。
彼らはクレジットカードの普及率はまだ2割、銀行口座も3割も持っていないので、皆さんこれに貯めて送った方がいいということなんです。
アフリカの田舎では全財産を皆ポケットに入れています。壺に入れて土に埋めるとかもあるんですけど。
普通に持っているとカツアゲされたりとか問題があるので、ケータイに入れましょうというやり方が、爆発的に当たった。
今はこれで買い物ができてしまいます。
まだまだ色々お話はありますが、いったんこのぐらいで、あとは議論にとっておきたいと思います。
宜しくお願い致します。
本間 ありがとうございます。
(続)
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続きは 日本企業×イスラエルのビジネスチャンスとは?(サムライ榊原) をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/本田 隼輝
【編集部コメント】
アフリカではタイムマシン経営が可能とのことですが、日本企業が現状の考え方をそこまで変えずに進出することができるのかが気になりました。(横井)
続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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