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「ビジネスのフロンティアはどこにあるのか?(インド/イスラエル/アフリカの投資機会)」【K17-6E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その3)では、サムライインキュベート榊原さんに、現地での経験も交えながらイスラエルのベンチャー・トレンドを解説していただきました。日本企業が続々とイスラエルベンチャーとのオープンイノベーションを進めています。ぜひ御覧ください。
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【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 6E
ビジネスのフロンティアはどこにあるのか?(インド/イスラエル/アフリカの投資機会)
(スピーカー)
蛯原 健
リブライトパートナーズ 株式会社
代表パートナー
榊原 健太郎
株式会社サムライインキュベート
代表取締役
椿 進
Asia Africa Investments & Consulting Pte.Ltd.
代表パートナー
(モデレーター)
本間 真彦
インキュベイトファンド
代表パートナー
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最初の記事
【新】インド・イスラエル・アフリカ…、ネクスト・マーケットのベンチャー投資家が語るフロンティア【K17-6E #1】
1つ前の記事
アフリカには、高度成長期の日本のようなビジネスチャンスが溢れている(AAIC 椿)【K17-6E #2】
本編
本間 それでは、イスラエルになぜか行ってしまった榊原さん、イスラエルのマーケットについてお話よろしくお願いします。
榊原 健太郎氏(以下、榊原) 皆さんおはようございます。榊原です。
2014年、先ほど本間さんがおっしゃった通り、無謀にも1人でイスラエルに乗り込んだわけなんですけど、サムライインキュベートはムーブメントを作ることが重要だと考えています。
おかげさまでイスラエルには今週、来週だけでも日本企業が200社ぐらい来ていると思います。
「DLD」というイベントがあって、サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)みたいなイベントがテルアビブ市を中心として開催されています。世界中から3万人が来るんですけど、ようやく日本人も来るようになりました。
▶参考記事:イスラエル・スタートアップの祭典「DLD Tel Aviv 2017」が開幕(THE BRIDGE)
榊原 数字で言うと2012年、日本からイスラエルへの投資額が2億円だったのが、僕が行った2014年が20億円ぐらいで、2016年で222億円になったので、約100倍になったんです。
今はなんと日本企業のR&Dセンターが60社ほどできました。
逆にヨーロッパよりもイスラエルの方がセキュリティ度合いが高いので安全といったことがあるぐらい、日本企業の進出がだんだん一般的になってきて、ようやく向こうに自ら進んで行った意味があったかなと思います。
大丈夫、大丈夫と僕が伝えていったら皆さん来てくださるようになって、おかげさまで今はイスラエル現地のユダヤ人メンバー3人で回しています。
椿さんじゃないですけど、僕は(イスラエル以外の)また新しい場所を開拓に行きたい。
イスラエルへの投資は、そのぐらい良い感じになってきました。
3年前にソニーさんがイスラエルの半導体会社を300億円ぐらいで買収されて、それが功を奏していると思っています。
今年に入っても、田辺三菱製薬さんが1,300億円でイスラエルのというアルツハイマーに関する製薬の会社を買収しています。
どちらかと言うとイスラエルはAIとかサイバーセキュリティのイメージが強いと思うんですけど、元々は農業の国でスタートしているので、あらゆるジャンルに強いです。
人口は850万人ほどしかいないんですけど、投資額は相変わらず多いです。
世界中のベンチャーキャピタルもそうですし、イスラエルの投資家自身からの投資額も多くて、合計すると約6,000億円です。日本は1.3億人ぐらいいて、去年が2,000億円ぐらいなので、約3倍ですね。
榊原 いわゆる頭が良い人というか、ノーベル賞を受賞している人にはユダヤ人が多いですし、技術者や科学者の数やM&Aの確率から言っても、イスラエルは非常に有益な国だと思っています。
面白い事例で言うと、ソーシャルカジノの会社が実は大きくて、オンラインで実際に賭けてロンドンの市場に上場できたりします。
最近、イスラエルのソーシャルカジノ会社である「プレイティカ」が中国の会社に4,800億円で買収されています。「プレイテック」という、オンラインカジノができる会社も上場していて、時価総額は4,000億円ぐらいあると思います。
カジノ以外でも、ネタフィムという灌漑農業の技術の会社がメキシコの会社に1,650億円で買収されたりしていました。
一番大きい案件は、モービルアイという自動運転のセンサーの会社がインテルに1.5兆円ぐらいで買収されましたね。僕としてはそういった会社と日本の自動車メーカーをつなげられなかったのは残念でした。
▶インテル、モービルアイを150億ドルで買収へ-自動運転分野を強化(Bloomberg)
脳とインターネットをつなげるブレインテックに注目
榊原 昔からイスラエルで注目されていて、僕も今投資したいなと思っているのが、「ブレインテック」と言われる脳とテクノロジーをつなげるところです。
まさにそこが実用化されているのがパーキンソン病の治療薬で、最近Facebook社やイーロンマスクが脳とテクノロジーをつなぐ分野に興味を持っています。
イスラエルは元々そういうのを進めていて、イスラエルが考える”宇宙”というのはどちらかと言うと脳だったりします。
人間は脳みそを5%しか使っていないそうなので、残りの95%をどう出すかというのがテーマです。
「ルーシー」という映画をご存じですかね?
脳を覚醒する、具体的には薬を飲むと過去の記憶が全部思い起こされたりとか、他の人の記憶まで頭に入ってくるという内容なんですが、まさに攻殻機動隊の世界です。記憶をハードに落としてテレパシーとしてインターネットを通じて使うとか。
そう考えると、イスラエルという国では、20年ぐらい先のことをやっているイメージです。
日本の大企業のオープンイノベーションを進めたい
榊原 イスラエルに行った理由は、最初、日本のITベンチャー企業をグローバルで成功しているグーグル、フェイスブックみたいな世界を席巻する会社にしたいなと思ったんですけど、やはりレベルが高すぎました。
榊原 どちらかというと最近テーマになっているオープンイノベーション、日本の大企業とイスラエルのスタートアップとで共創することが増えていて、重要だと思っています。例えば日本の自動車メーカーが関連会社と自動運転の仕組みを作ったりしました。
イスラエルのスタートアップは独自のテクノロジーに強く、日本の大企業が自社だけでなく海外にテクノロジーを求めているという点も影響していると思います。
なので、今は1兆円前後の規模の日本の大企業の方々と一緒にイスラエルのスタートアップとサービスを作っています。
非常に新しいサービスを日本企業と一緒に作り始めているところで、他の大企業さんもそういうところをやりたいということでたくさん来ている。
インドとかアメリカだと、日本企業は上から目線だと言われたり、なめられたりしてしまうんですけど、ユダヤ人の方はそもそも日本人が好きです。歴史として、杉原千畝さんが6,000枚のビザを配ったおかげで、その子どもたちが今10万人いて、日本人に感謝してくれているところがあります。
▶詳しくは:『杉原千畝(すぎはら ちうね)という外交官が守った未来』(SAMURAI ISLAND EXPO 2017)
嬉しい話が、サムライインキュベートのオフィスで杉原千畝さんのお孫さんがインターンしていたんです。
シリコンバレーで日本人がたくさん来たという時期があるじゃないですか。それと同じように、「情報交換しませんか」という依頼が凄く来るのをまさに僕は今体験しています。本当に昔のプラグ・アンド・プレイ センターじゃないですけど、ものすごく来ます。
見学依頼や情報共有をしてくださいという依頼がものすごく多いです。
実は、イスラエルは国として企業を売っていこうとしていて、スタートアップ等を見つけてもらいやすくするためのデータベースがあるんです。
サイトに6,000社程度載っていて、そこを見るとだいたいLinkedinとかフェイスブックとかの連絡先があるので、そこでアポを取ってくださいとお願いしたりします。
僕のところに来なくてもサイトを見れば6,000社、オールジャンルありますし、ユダヤの方は日本人のことが好きなので、そこで直接行ってもらえます。
日本を支えている製造メーカー、特に自動車メーカーさんがイスラエルに魅力を感じられているので、それはすごい動きだなというのを感じています。
今後のコミットメントとしては、イスラエルと日本で成功事例をたくさん作らないと意味がないと思っているので、そこをしっかりやりたい。現地のユダヤ人メンバーをもっとブラッシュアップして彼らで結果を出してほしいと思っているんです。
そして、僕自身は、新しい場所を開拓して皆さんに情報を提供するというのが仕事なので、そこをまたやっていこうと思います。
実際にイスラエルに投資している会社がシードで30社ほどあります。バリエーション(時価総額)は日本円に換算すると1億円程度に対して、1,000万円程度投資をしていて、10%普通株で持っています。
イスラエルは普通株が一般的です。
向こうのエンジェル投資家はだいたい5000万円から1億円ぐらい出すのですが、僕らはエンジェルよりも先に、1億円の企業価値に対して、1,000万円投資をしています。シードのプレイヤーが非常に少ないんです。
課題としては、次のラウンドで資金調達するレベルが相当難しい。だいたい次のラウンドでいきなり、1ショット20億円とか30億円ぐらいの水準なので、日本みたいにVCさんに会えないですね。
本間 まずシード(ラウンド)でのバー(調達金額水準)が結構高い?
榊原 高いですね。
いわゆるシードと言われているのがバリエーション(時価総額)10億円ぐらいです。50億円のファンドがマイクロファンドと言われる感じです。
ANRIさんのファンドがマイクロファンドです。
参加者(佐俣アンリ氏) やっとマイクロになれました。
(会場笑)
榊原 逆に、日本の大企業さんに投資いただく方が確率が高いので、日本のVCなどに投資いただいた方が良いのかなと思って作戦を練っています。
今 弊社はイスラエルで投資先社数が30社ぐらいになって、エンジェル投資家から投資をいただくことはできるようになりましたが、現地に集まるVCさんから大きなお金を投資いただくのが難しい。
30社投資していて資金調達できそうな可能性があるのはまだ5社ぐらいなので、そこはまだまだこれからかなという感じです。
(現地では)VCさんのプレゼンスが日本と比べてかなり高いので会えないですね。
だから、僕らのところにも、わっとシードベンチャーが来てくれる感じです。
本間 ありがとうございます。
(続)
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続きは “地球上最後の超大国”インドを支えるITベンチャーのエコシステムとは?(リブライト蛯原) をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/本田 隼輝
【編集部コメント】
ニューロサイエンスやニューロコンピューティングを研究するベンチャーがイスラエルで盛んだとの話は初めて聞きました。イスラエルのテクノロジーベンチャーを観察しておけば、20年後、30年後の未来が予想できそうです。(横井)
続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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