3.クラウド・サービスを企業に導入して得られる付加価値とは? – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

3.クラウド・サービスを企業に導入して得られる付加価値とは?

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「クラウド化とデータの活用で経営はどのように進化するのか?」8回シリーズ(その3)は、クラウド・サービスの導入が企業にもたらす価値を議論します。「KARTE」を運営するプレイドの倉橋さんは、心掛けているのは“環境を提供することだ”と言います。各社の想いとともにぜひご覧ください!

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ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、ジョブカン(株式会社Donuts)様に本セッションをサポート頂きました。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCサミット KYOTO 2017
Session 1B
クラウド化とデータの活用で経営はどのように進化するのか?
Supported by ジョブカン

(スピーカー)

大宮 英紀
株式会社リクルートライフスタイル
ネットビジネス本部
グローバルソリューション事業ユニット長

倉橋 健太
株式会社プレイド
代表取締役社長

東後 澄人
freee株式会社
取締役COO

宮田 昇始
株式会社SmartHR
代表取締役CEO

(モデレーター)

山内 宏隆
株式会社HAiK
代表取締役

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最初の記事
1.クラウド・サービスの注目プレイヤーがデータ活用のリアルを語り尽くす!

1つ前の記事
2.急速に進む会計・人事労務系クラウド・サービスの普及

本編


山内 大企業に(新しいサービスを)導入してもらうには時間がかかりますが、1回の導入規模が大きく、何より1回導入するとなかなかやめにくいです。

導入するにもそれなりに社内説明をして手間を掛けて導入するので、なかなか変えにくいという傾向があります。

ですので、僕はクラウド系のサービスを見る時に、大企業にどのくらい入っていけるかということを結構注視するようにしています。

そういう意味で、クラウド系サービスもクリティカル・マス(商品やサービスが普及・定着するために最小限必要とされる市場普及率)を超えてきたのかなという印象です。

大企業への導入、という観点ではリクルートさんはどうでしょうか?

店舗系、飲食系というと、クライアントの企業規模が小さいイメージがあります。

サービス標準化とカスタマイズのジレンマ

大宮 そうですね、Airレジはまだそこまで大きな企業には入っていません。

おそらく皆さんが取り組んでいるサービスの種類とは、歴史も含めて少し異なるかと思います。

株式会社リクルートライフスタイル ネットビジネス本部
グローバルソリューション事業ユニット長 大宮 英紀 氏

AirレジがやっているPOSシステム(※)の場合、名前を挙げてしまうと東芝テックやNECのような事業ど真ん中のドメインの人たちがハードウェアとソフトウェアを売り、更に手厚いサービスをワンセットで売っています。

▶編集注:POSシステムとは、小売店で用いられる、商品の販売情報の管理システム。商品を売った時点で、商品名、金額などの商品の情報や、配送、発注の詳細などの情報がコンピューターに送られ、販売地域、時間帯などの情報を基にした販売戦略が可能になる。POSレジとも。(参考:ASCII.jpデジタル用語辞典

大手企業は(各社向けに)カスタマイズされたサービスを当たり前のように受けています。

ですので、標準化したクラウドのシステムを入れるというのは、まだまだ遠いですし、ポイントの仕組みなどが基幹システムと全部繋がっているため、変わるのはまだ先かなと思っています。

山内 それは、大企業のサービスが新興企業に取って代わられる「イノベーションのジレンマ」そのものですね。

最初は安い代わりに標準化されたプロダクトでも、テクノロジーを使えばカスタマイズしていくのはそれほど難しくはありません。

大宮 そうですね、やはりお客様に価値を返さないと使っていただけないので、どのようにやっていくかですね。

「Airレジ」がPOSレジとして大手さんにも入っていくのか、違う形として入っていくのか、やり方はいろいろあると思っています。

まさに機能開発と営業ターゲットをどう増やしていくか、つまり戦略的にどう優先順位づけしていくかというところが課題です。

Airレジはいろいろな業種でやっていますが、業界によってオペレーションがかなり違います。

山内 同じレジと言えども。

大宮 はい。ですので、僕たちも誰のどんなシーンの課題を解決するサービスなのかをずっと考えながらやってきました。

Airレジとしては業界横断でやっていますが、特にレジは毎日使うオペレーションに深く組み込まれているものであり、バックヤードのではなくフロントのオペレーションそのものです。

大きく異なるオペレーションに対して、どこまで業種ごとに対応していくかというのは、大きなテーマです。

山内 クラウドの提供者としては、メンテナンスや開発の問題もあるので標準化したい、というような思いがある反面、お客様によっては、特に大企業になるほど「あれはできないのか、これはできないのか」と要望が来ます。

その辺りのカスタマイズの調整というのは、どうされてますでしょうか。

倉橋さんが一番対応されていそうですが。

付加価値を生み出す「環境」を提供する

倉橋 おそらく、カスタマイズなどを一番求められがちなサービスをやっていると思っています。

山内 そうですよね。

株式会社プレイド 代表取締役社長 倉橋 健太 氏

倉橋 既存市場のリプレイスモデルといいますか、たとえばデータを扱うとなった場合に、アクセス解析ツールやマーケティング・オートメーションなど、既にあるものの代替手段として提供する場合、それなりに機能の先鋭化・カスタマイズ化を求められると思っています。

しかし、僕たちは軸足を「人をどのように可視化できるか」というところに置いているので、コアの部分が、他のサービスとあまり重複していません。

ですからそのコアの部分を、まずシングルプロダクトといいますか、1つのもので統一できているかというのは大きな違いだと思っています。

僕たちの場合はコアはブレていないので、あまりカスタマイズしているという感覚はないですね。

山内 利用者側からすると、ベンチャー企業の場合は特に、クラウドというのは本当に福音で、ほとんど初期コストをかけずに導入できます。

利用料も安いですし、標準的な機能しかなくても、「手でやるよりもずっとましだ」「自分でシステムを買ってきたり、開発したりしたらエライ金額になる」という感覚があるため、導入への抵抗感が少ないと思います。

その一方で、クラウドに今後求められる付加価値が、「初期導入コストがこんなに安くて、これができますよ、これぐらいは皆、どの会社でも機能が必要ですよ」というものから、「あれもできます、これもできます」というものになっていくのでしょうか。

更にそのうちのいくつかは、利用者側の企業が敢えてコストをかけて機能を求めてくるようになるなど、要するに差別化が求められるようになるのでしょうか。

コストサイドだけの考え方ではなくて、「金をかけても良いから、他社と差別化されたことをしたい、うちならではの付加価値を提供したい」というゾーンに入ってくると思っています。

そのようなニーズというのは出てきているのでしょうか。

クラウドのプレイヤーというのは、まずは導入数をとにかく増やすことを目標にして良いと思うのですが、その後はそのARPU(Average Revenue Per User)、つまり1社あたりの単価をどのように上げていくかという観点から、各社いろいろなメニューを用意していると思います。

月1,000円よりは5,000円、5,000円よりは2万円というように、プレミアムサービスの方にどのようにユーザーを動かすかというところで、いろいろと苦心されていると思います。

コストを訴求して導入社数を競うというフェーズから脱し、付加価値サイドというのでしょうか、お金を払っても良いから付加価値機能をクラウドで提供してほしい、というような話を結構聞きます。

その辺りについてはご利用企業からいろいろ要望が出ていたりしますか?

倉橋 そうですね、付加価値は大事なのですが、その事業に携わっている人たちがどう改善価値を出せるか、人が考えて何か生み出す・発見するという点が、僕たちの場合はすごく重要だと考えていたりします。

ですから、付加価値を生み出す環境をフラットに提供する、何か気付きのようなものを得られる環境を作るように心掛けています。

山内 なるほど。

大企業しか導入できなかったサービスを中小企業にも

山内 freee社はいかがですか?

会計まわりのクラウド・サービスは導入コストが安い、自動的に仕分けてくれる機能が便利などの理由で導入に至ると思うのですが、会計まわりの情報は上手く扱えば経営に一番跳ね返ってくる情報だと思っています。

リクルート社のAirレジだと、回転率や在庫率などの経営指標が出てくるかと思いますが、その情報を何か利用して、どういうサービスに昇華していくかというのが非常に気になります。

東後 その点について言うと、freeeもまさにおっしゃっていただいた通りで、導入のきっかけというのは、皆さんそれぞれの理由があります。

freee株式会社 取締役COO 東後 澄人 氏

「会計が自動化されるから使ってみようかな」というお客様もいれば、「経費精算機能を使ってみよう」「請求書機能を使ってみよう」「給与計算機能を使ってみよう」というように様々です。

バックオフィスの領域というのは実は結構広いので、その中の特定のところから興味を持っていただいて始まります。

そして、サービスを導入しながら、段々それに合わせてむしろオペレーション側を合わせていくうちに、「結局、1つのクラウドで一気通貫してERPパッケージ(※)のように使う方がより便利だ」ということをお客様自身が体感していただくことで、先ほどの「付加価値が上がっていく」というプロセスが進んでいくのかなと思っています。

▶編集注:ERP(Enterprise Resource Plannning)とは、財務、人事、顧客情報などの企業の基幹業務をサポートするシステムのこと。

山内 何だかERPっぽくなってきていますよね。

東後 そうなんです。

とても重要なことは、今まで大企業でしか導入できなかったことが中小企業でもできるようになっているということです。

これが、大きいです。

実はfreeeのミッションは、「スモールビジネスを、世界の主役に。」というものなのですが、スモールビジネスというもの自体の定義が変わりつつあるのではないかと思っています。

スモールビジネスというのは、単に人数が少ない・売り上げの規模が小さい企業を指すわけではありません。

規模が大きくても、上手くオペレーションをコンパクトに最適化することで、小回りが効いて、意思決定のスピードも早い。

freeeではそういった定義に基づいた「スモールビジネス」の方がかっこいいじゃん、と思って応援しています。

実は最近、数百人規模でも、千人規模でも、「スモールビジネス」たり得るということが分かってきています。

それはERPのような、大企業しか使えなかった非常に付加価値の高いサービスを、スモールビジネスの人たちでも使えるようになってきているということが、大きな変化のポイントなのかなという気もします。

写真左から、東後氏、宮田氏、山内氏

山内 そうですよね。

昔は何億円、何十億円をかけてERPを導入しますという状況でした。

ロードマップとして、少し前だったら数億円単位のシステムがないとできなかったことが、月に数万円~数十万円でできるようになってきています。

これは、昔からIT関連の業界に携わっている者からすると驚くべきことです。

東後 そうですね、しかも自社だけで全て提供する必要もありません。

弊社の場合で言うと、Airレジさんとも連携させてもらっています。

山内 API連携ですね。

(続)

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続きは 4.企業へのクラウド導入に対する反発や既存システムとの被りにどう対応するか? をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/戸田 秀成/本田 隼輝/尾形 佳靖/鈴木ファストアーベント 理恵

【編集部コメント】

freeeさんの「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションに、アリババグループが先の平昌五輪で掲げた「「TO THE GREATNESS OF SMALL」というスローガンを思い出しました。次回はAPI連携の話題を皮切りに、既存サービスや既存人材とのいわゆる“カニバリゼーション”の話題へと議論が進みます!(尾形)

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ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンファレンス「Industry Co-Creation サミット/ICCサミット」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。