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「エンタメ・ビジネスは今後どのように進化するのか?」8回シリーズ(その6)は、コンテンツ作りの新たなフレームワークについて。TBSテレビの峠田さんが、「逃げ恥」のエンドロール“恋ダンス”を作製した際に秘めた思いとは? ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18日〜21日 福岡市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2017年9月5-7日開催
ICCサミット KYOTO 2017
Session 7D
エンタメ・ビジネスは今後どのように進化するのか?
(スピーカー)
岡田 一男
株式会社CAMPFIRE
執行役員
峠田 浩
TBSテレビ
制作局 ドラマ制作部
前田 裕二
SHOWROOM株式会社
代表取締役社長
(スピーカー&モデレーター)
新井 拓郎
株式会社Candee
代表取締役副社長 CBDO
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最初の記事
1. 次世代エンタメ業界をリードするプレイヤーを一挙紹介!
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5. SHOWROOM 前田が語る、第3世代のエンタメ・ビジネス「直接支援モデル」とは?
新井 ではラストのテーマ「ヒト」に入りたいと思います。
ヒトには、大きく分けて「出る側」と「作る側」の2つがあると思います。
これまでお話にも出てきた部分はあるかと思いますが、先ほどのヒットとスタンダードの話かもしれませんが、出てくれる人に対して今思っていることは何かありますでしょうか?
峠田 僕は単純にYouTuberの「出る側」の人が凄く気になります。
やはり凄いと思いますし、若い世代、ティーンやさらに下の世代にとても影響を与えています。
ある特定の人たちの間だけの人気ではなくなっています。
あのような人たちには非常に刺激を受けますし、新たな形のスターだと感じています。
新井 ドラマなど各コンテンツを作る中で、まさに出演者候補出しというのが企画会議の中で良くあると思いますが、今特に人を選ぶときに気にしているポイントはありますか。
峠田 人それぞれだと思いますが、僕のドラマにはよくミュージシャンの方に良く出て頂きます。
それは予定調和で、この人はこういうことをやるのだという発想を超えてくる人というか、今までその人がそのような姿を見せない人というか、そこの偶発性が非常に楽しみという理由があります。
観ている方もいつも歌っている方がどんな演技をするのだろうと考えてくれますし、コアなしっかりしたファンがいるので、SNSを含めて広がりも大きく、そういうところは正直意識します。
新井 ある意味、手堅いところもありますよね。
僕らもLINE LIVEで「さしめし」という番組を、毎日の昼の帯を作っていたときがあったのですが、やはりアーティストさんは濃いファンが多いので、視聴数を見るとやはり手堅いです。
たしかにそのような側面があると思いますが、そこも意識されているということですか。
峠田 そうですね。今の時代、そのような広がりもありますし、新しいミュージシャンのファンは若い人も多いですし、色々な世代の人にドラマに新たに参入して欲しいと思っています。
ミュージシャンがきっかけで観はじめるとか、それでもいいんです。
もともとあまりドラマを観ないかたにも入ってきて欲しいという思いはあります。
SHOWROOMが考える「現代のスター」の定義
新井 SHOWROOMにはスターの定義はありますか。
前田 スターは2つに分けられると思っています。
1つは矢沢永吉的な、先ほどの4象限で言うところのC(ファンとの「密度」=インタラクティブさは低くファンが多い)のように、圧倒的に偶像的なスター。
それはそれで時代が求め続けて、一定の確率で生まれ続けると思っています。
これが既存の文脈でのスターです。
もう1つのスターは、今 峠田さんがおっしゃったようなYouTuberやSHOWROOMの中で人気の子や、実際にファンを抱えて「直接支援モデル」でダイレクト課金モデルのビジネスができている人たちという意味でのスターです。
濃いファンを抱えている、「認知」と「人気」でいくと人気側の人です。
矢沢永吉は認知側の人のイメージです。
この後者の文脈でスターを語るときに大事なことは2つあると思っています。
1つは「デバイスを抑えていること」です。
僕には小3と小6の甥っ子がいます。
自分がエンターテインメント業界で仕事をしているということぐらいは甥っ子は知っているので、誰か会いたい人はいるかと聞きました。
そうしたら2人ともYouTuberの名前しか出しません。
なぜかと考えると、2人はテレビではなくてずっとYouTubeを観ているからです。
スマホというデバイス、YouTubeの中のコンテンツを制覇した人たちが彼らの人気や支持を勝ち得ているのだと思いました。
キングコングの西野亮廣さんが言っていることも一緒です。
これは峠田さんにも意見を聞きたいのですが、西野さんの仮説は「テレビのスクリーンが大きくなったからスクリーンの余白を埋めなければいけなくてひな壇という形式を作ったのだ」ということです。
今後はテレビからスマホに可処分時間を奪われていくのだとしたら、スクリーンが小さくなったら、ひな壇番組なんてなくなっていくから自分はあのような番組に出ないと決めた、と言っていました。
ピコ太郎さんが1人であのように映ったというのもそれに当てはまることだと思います。
コンテンツを観る人がどのようなデバイスでどのような環境で見るかということと合わせてソフトを作っていける人というのは、非常にヒット確率が高いと思うのが1点です。
もう1つは、まさに西野さんに近いのですが、一定の偶像性を持ちつつも身近にいて、そうかと思うとまた偶像に戻ってという、「偶像と身近を行き来することができる」ことです。
そのような人が濃いファンを抱えているなというイメージがあります。
新井 それは一番難しそうなポイントですよね。
前田 そうです。
偶像から身近に降りるというときに先ほど言ったようなプライドの壁があるので、プライドの壁に突き返されてしまう人がほとんどの中で、そこを降りていける人が信頼や濃いファンを獲得します。
そのような人がクラウドファンディングをしたら、一番お金が集まるという状況になっていると思います。
先ほど挙げられた2つのスターのタイプのうち後者のスター(YouTuberなど)は、とにかく偶像と身近のゆらぎがとてもある人だと思っています。
新井 ちなみに、今のひな壇の話は峠田さんはどう思われますか?
「恋ダンス」はYouTube視聴を考えて制作された
峠田 ちょっと分からないですね(笑)。
そうなのでしょうか。
しかしやはりドラマを作る上でもTVer(※)などでも見られるので、それは意識しなくてはいけないという気はしています。
▶︎編集注:TVerとは、番組放送後、無料で動画視聴できる(見逃し番組配信)サービス。スマホアプリでの視聴も想定される。
映画で観ることとテレビで観るのとの違いというのは昔良く言われていたことです。
映画では小さく映っていても顔の表情まで分かりますが、それをテレビサイズに戻して観ると分からなくなります。
そのようなことが今度はテレビとスマホの間でも起きるのかという気はしているので、やはりそこは意識します。
「逃げ恥」のときに「恋ダンス」というものをエンドロールで作ったのですが、あれもいつかはインターネット上、YouTubeなどで観ていただきたいコンテンツだという思いはありました。
だからある程度、そこで見るときに見やすいサイズで、画面を無駄に動かさないようにしていました。
あれはずっとフィックス(固定)です。
サイズが変わっているだけです。
小さい画面を含めて、パソコンの画像が荒くてもちゃんと新垣結衣さんの笑顔や星野源さんのダンスが分かるようにといった意識が、僕たちの制作チームの中にありました。
このように、視聴者がどのように見てくれるのか、については意識していかないといけないと思っています。
新井 画角の違いは大きいですよね。
それこそ今縦画面になってきたりもしています。
古い話ですが、僕も昔BeeTVというの動画サービスを立ち上げたときに、コンテンツをテレビ系制作会社の人に作って頂きました。
しかし皆さんテレビ画角で作ってくるので、あまりに困って秋葉原に行ってガラケーを分解して組み直した、ガラケーサイズの画角チェック用のモニターを30個作ってもらいました。
それをテレビ制作会社に配って「このモニターでチェックしてください」くらいまでやらないと、やはり画角の違いに腹落ちして作ってくれないということはありました。
ハード面から逆算したソフト作りがヒットに繋がる
前田 無視されがちですが、そのハードの違いというのをソフト側が意識しているのは結構大事ですね。
新井 そうです。
前田 最近ゴールデンボンバーの鬼龍院翔さんが、8秒の曲を作りました。
出典:YouTubeより
あれは「CDは買わないけど、音つきのLINEスタンプは買う」という話ですよね。
そもそもCDを再生する機械を持っていない人たちにどうやって音楽を届けようかと考えたときに、LINEスタンプが思いついたと話されていました。
ハード面や環境から逆算してソフトを作るという発想がある人はヒット率が高いだとうと思いました。
新井 そうですよね。
音楽CDの長さも、もともとはレコードに入れられる長さに依存しているというような話がありますよね。
岡田 そうですね、74分です。
確かクラシックの何かの曲でソニーの会長かどなたかが、「この曲を入れたいから74分だ」という風に企画が始まったそうです。
新井 皆そのことに依存しているという話ですよね、「なんとなくそこに収まっている」という。
岡田 そうですね。
ハード、インフラのあり方がどんどん変わっていっていますが、例えばクラウドファンディングというお金の集め方も今までビジネスをやってきた方からするとイレギュラーですし、芸能や音楽をやってきた方からするとSHOWROOMで直接ファンを集めるというやり方もそうだと思います。
1つの成功体験がある方の中には、色々なインフラごとにソフトを変えていかなければいけないということは、特に成功体験と真逆のことをしなければいけなかったりするときに、そのことを非常に躊躇する人がいます。
特に成功した経験がある人ほどその傾向があるように思います。
だからこそ逆に今が面白いということもあります。
成功したことがない若い人などによって、ソフトに関してもインフラに関しても、全く新しいルール、ニューワールドオーダー(新世界秩序)のようなものができている感覚があります。
それが面白いと思うと同時に、その使い方や「このようなファンにはこういうことをやったら面白い」というようなことがもっと広がっていけばいいなと思います。
先ほど、台本の話(ネットでは台本を作らないことが求められている)を説明するのが面倒だとおっしゃっていましたが、そのようなこともなくなっていくと思います。
(続)
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続きは 7. 個が力を持つ時代、プロデューサーに求められるのは「育成能力」と「出口の確保」だ(SHOWROOM・前田) をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/戸田 秀成/立花 美幸/尾形 佳靖
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