1.「革新的である」とはどういうことか? ゼロイチの発明か、華麗な横展開か – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

1.「革新的である」とはどういうことか? ゼロイチの発明か、華麗な横展開か

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「革新的な新規事業/プロダクトを生み出すには?」6回シリーズをお届けします。まずは「革新的とはどういうことか?」の議論から。BCGデジタルベンチャーズの平井さんは、「バーティカルな革新」と「ホリゾンタルな革新」に分類できると解説します。ぜひご覧ください!

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(正社員&インターン)とオフィス/コミュニティマネジャーの募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ様に本セッションをサポート頂きました。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18-21日 福岡市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCサミット KYOTO 2017
Session 2D
革新的な新規事業/プロダクトを生み出すには?
Supported by 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

(スピーカー)

大宮 英紀
株式会社リクルートライフスタイル
ネットビジネス本部 グローバルソリューション事業ユニット長

林 信行
ジャーナリスト/コンサルタント

平井 陽一朗
BCGデジタルベンチャーズ
パートナー&ジャパンヘッド

村上 臣
ヤフー株式会社
執行役員CMO(当時)
(現:リンクトイン 日本代表)

(モデレーター)

琴坂 将広
慶應義塾大学
准教授(SFC・総合政策)

「革新的な新規事業/プロダクトを生み出すには?」の配信済み記事一覧


本編

琴坂 将広氏(以下、琴坂) それでは、セッション2D「革新的な新規事業/プロダクトを生み出すには?」を始めたいと思います。

よろしくお願いいたします。


琴坂 将広
慶應義塾大学
准教授(SFC・総合政策)

慶應義塾大学環境情報学部卒業。博士(経営学・オックスフォード大学)。小売・ITの領域における3社の起業を経験後、マッキンゼー・アンド・カンパニーの東京およびフランクフルト支社に勤務。同社退職後、オックスフォード大学サイードビジネススクール、立命館大学経営学部を経て、2016年より現職。ユーザベース、ラクスル、五常アンドカンパニー、アピリッツの社外役員、仏EHESSのアソシエイト・フェローを兼務。専門は国際経営と経営戦略。新著『経営戦略原論』(2018年 東洋経済新報社)が好評発売中。

ICCサミットではできる限り“深み”に入り込めるような討議ができればと思っておりますので、自己紹介や事業紹介は特にしません。

万が一この著名な登壇者のことを知らないという方がいらっしゃいましたら、ググってください!

村上 臣氏(以下、村上) ヤフーで「ググっ」ていただいてもいいですか?


村上 臣
ヤフー株式会社
執行役員CMO(当時)
(現:リンクトイン 日本代表)

大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。その後統合したピー・アイ・エムとヤフーの合併に伴い、2000年8月にヤフーに入社。一度退職した後、2012年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。2017年11月にLinkedInの日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問を務めている。

琴坂 失礼いたしました(笑)検索といえば、ヤフーでした(笑)

村上 エンジンは一緒なので、国産を使っていただけるとありがたいです!

「革新的なもの」とはどうのようなものか?

琴坂 今日は「革新的な新規事業/プロダクト」ということですが、一番重要な皆さんの関心事は、どうやって創るのか、そのためにどういうプロセス、組織があるのかということだと思います。

本セッションはそこにフォーカスをして進んでいきたいと思います。

取っ掛かりとして「革新的」という言葉は何なのかというところから入っていきたいと思います。

皆さんがご自身でやられていることは革新的ですか?

革新的なものって見たことありますか? それはどんなものでしょうか?

大宮 全然革新的なことをしてきた覚えがないですね(笑)。

琴坂 やっている側からするとそういうイメージがありますよね。

林さんはどんなものを見て革新的だと思われますか?

林 信行氏(以下、林) 21世紀に入ってからだと、スマホは革新的だなと思いますね。


林 信行
ジャーナリスト/コンサルタント

ifs未来研究所研究員。ジェームズ・ダイソン財団理事。Revolver社社外取締役。「ステキな未来」をキーワードに執筆や講演や企画プロデュースを行う。1990年頃からテクノロジージャーナリストとしてアップル、グーグル、マイクロソフトを始めとするIT業界の最先端を20年以上に渡って取材。最新トレンドをテレビ、新聞、雑誌、Webなどで伝えてきた。2007年以後はメーカーや通信会社にスマートフォン時代の戦略を指南したりIT系ベンチャー企業を社外取締役や顧問として応援。昨今は主にファッション、教育、ヘルスケアの3領域がテクノロジーでどう変わるかをテーマにしている。日経産業新聞やベネッセ総合教育研究所にて連載を執筆中で著書多数。仕事の感と勘を磨く「カタヤブル学校」副校長。

今日は僕だけジャーナリストというジョーカーみたいな立場で、実体験に基づかない話になりますが、やはりちょうど10年前の2007年にiPhone等のスマホが出てきたのは、当時は本当に革新的かどうかはわからなかったけど、今振り返ってみると革新的だったと思います。

琴坂 革新的なものというのは最初は革新的ではないのかもしれないということですね。

どういうふうに、革新的かそうでないかを見分ければいいのでしょうか?

平井さん何かご見識ございますか。

「バーティカルな革新」と「ホリゾンタルな革新」

平井 陽一朗氏(以下、平井) 私たちが「革新的」と言うときに、本当に革新かどうかは別として、大きく二種類に分けています。


平井 陽一朗
BCGデジタルベンチャーズ
パートナー&ジャパンヘッド

三菱商事株式会社を経て2000年にBCGに入社。その後、ウォルト・ディズニー・ジャパン、オリコンCOO(最高執行責任者)、ザッパラス社長兼CEO(最高経営責任者)を経て、2012年にBCGに再入社。オリコン、ザッパラスでは数々の新規事業立ち上げを主導した。BCGハイテク・メディア・通信グループ、および、戦略グループのコアメンバー。メディア、エンタテインメント、通信業界を中心にアライアンス、成長戦略の策定・実行支援、新事業構築などのプロジェクトを手掛けている。 また、BCGデジタルベンチャーズ(BCGDV)東京センターの創設をリードし、2016年4月の同センター開設後は、BCGDVジャパンヘッドとして、新規事業アイデアの創出、新規事業の出資を含めた立上げなどを幅広く手掛けている。

一つはいわゆるゼロイチ(0→1)のバーティカルな革新。

もう一つが、1を2にするホリゾンタルな革新。

バーティカルは当然0から1なので、「わーっ!」と驚かせてくれます。

ホリゾンタルな革新の例には、例えばNTTドコモの「iモード」があります。

既存のアセット、顧客ベースと既存の決済プラットフォームを、完全に同じものを使って新しく違うビジネスを作りました。

そうしたものも一つの革新かなと思うので、何も0→1にこだわる必要はないかなというのは最近思っています。

琴坂 革新というと「0→1」というか、見たこともない・聞いたこともないというものを想像しがちですけれど、実はそういったものではないほうが多いのではということですかね。

大宮さんは、Airレジ(※)を作る際には革新的だと思ってやられていましたか?

▶編集部注:Airレジは、リクルートライフスタイルが提供する無料で利用できるPOSレジのアプリ。手持ちのタブレットなどにダウンロードできるため、初期費用を削減する。詳細は「クラウド化とデータの活用で経営はどのように進化するのか?」の書き起こし記事をご覧ください。

大宮 英紀氏(以下、大宮) 最初は思っていなかったです。


大宮 英紀
株式会社リクルートライフスタイル
ネットビジネス本部 グローバルソリューション事業ユニット長

エンジニアとしてキャリアをスタート。リクルートに転職後、「じゃらん」を担当したのち「ポンパレ」の立ち上げ及び事業拡大を経験。その後、「リクルートID・ポイント」の担当を経て、「Airレジ」を立ち上げ、サービス責任者として国内及び海外での展開を担う。

ただこれが出来上がった先の5年後には、データが色々と集まり、今までできないことができるようになると信じてやっていました。

とにかく一人とか一店舗の体験を向上させて、それがより集まると世の中全体のうねりとなって、5年後はこう変わるだろうということを信じてやり続けるしかなかったです。

最初からこんなアイディアがあって、絶対にこれは上手くいくとか、これが絶対もてはやされるとかは何も考えていなかったですね

琴坂 つまり最初は大宮さんやそのチーム以外の方はなかなか気づいていなかった?

大宮 そうですね。

Airレジは今3年半(2017年9月時)ですけど、実は始める3年ぐらい前から色々な仕込みをしていました。

当時僕はポンパレ(※)というサービスを立ち上げて担当していましたが、競争に精神的に疲れていました。

▶編集注:ポンパレは、リクルートが運営していたグルメやホテルのクーポン・チケットサイト。当時、米国シカゴに拠点をおく「グルーポン」と競合関係にありました。

私は、リクルートはお金を使ってサービスを大きくするばかりではなく、そのものに「価値のあること」をしなければいけないのではないかと考えました。

立ち上げて1年ぐらいして違うことをしようと考えた結果、ホリゾンタルな事業を検討することにしました。

リクルートの強みは色々な業種を持っていることです。

しかも、リアルのお店×ローカルで、Googleさんなどに勝つにはストック情報ではなくフロー情報をより集めることが今後の肝ではないかと思って、決済領域やスマホのウォレットみたいな構想をピックアップし始めたのが最初です。

サービス化されるもの、されないものの違い

大宮 Airレジをやる前に5個ぐらいサービスを立ち上げて、4つぐらいが夢と散って、Airレジだけが無料だからなのか、反則技的なものも使って広がりました。

琴坂 今回のセッションでは「生み出す」というのがトピックなのですが、、生み出されそうでされなかったサービスと、実際に生み出されたサービスの一番の違いは何ですか?

大宮 生み出されなかったのがいくつかあるんですけど、国の規制に引っ掛かりそうになって最後落とされたというのが一つあります。

あとは、「これはできる!」と思ったんですけど、一定の層にのみ粘着性があるものでした。

コアなユーザーは集められるものの、規模が拡大しなくてビジネス上成り立たなかった。

他には、検証したら思った通りにユーザーが広がっていかなかったのが二つぐらいあります。

琴坂 村上さんは世の中に生み出されたサービスをたくさんご担当されていますが、生み出されなかったものとの違いというのはどんなものでしょうか?

村上 大宮さんがおっしゃったように市場が小さいということで見切りをつける、というのがパターンとして多いと思います。

いいサービスなんだけどスケールしないとか、そもそも市場規模の見立てを見誤ったというところがありますね。

あとは競合関係が厳しい場合において、どうしても一番が突き抜けて、二番手以降は団子になるという状況になる。

私はメッセンジャーのアプリで思い知りました。

LINEさんが今残っていますが、僕はカカオトークを韓国から持ってきました。

(会場笑)

笑わない、そこ!頑張ったんだよ、俺だって(笑)

特にSNSみたいな今の時代になると、皆さんがおっしゃったように粘着性、つまりどれぐらい日常的な習慣に組み込まれるか組み込まれないかで全然違ってきてしまう。

デイリーで積み重なった部分が1年経つと大きな差になって、ダブルスコアで負けてしまうということになってくる。

大宮さんの今の話で、ポンパレからAirレジという流れがすごく面白いんですけど、札束殴り合いみたいなマーケットになりました。

大宮 Googleさんとヤフーさんの売上にすごく貢献したと思います。

村上 本当にありがとうございます(笑)。

リクルートさんの本業に競業してはいけない、怒ると怖いな、本気出すなというのを皆さん思い知ったと思いますね。

特にスタートアップ界隈の人は、「やばい…」と思ったんじゃないですかね。

周辺でやる分には怒られなさそうだけど。

本題をお聞きしたいのですが、Airレジを導入してもらうお店を開拓する時に、ポンパレを担当していたことは役に立ったのでしょうか?

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 2. 2007年、最初のiPhoneは「革新的」とは評価されなかった をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/横井 一隆/尾形 佳靖/戸田 秀成

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