【NEW】ICC サミット FUKUOKA 2025 開催情報詳しくはこちら

7. 動画広告の指標として重要なのは「何回再生されたか」ではない!

平日 毎朝7時に公式LINE@で新着記事を配信しています。友達申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! Youtubeチャネルの登録はこちらから!

「動画メディア時代のブランディング広告はどのように進化するのか?」8回シリーズ(その7)は、動画広告や動画メディアの評価軸について。これから大切になる「質的な指標」とはどうのようなものでしょうか? Facebookが重視する3つの広告指標とあわせてぜひご注目ください。

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(インターン)の募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCサミット FUKUOKA 2018のプラチナ・スポンサーとして、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ様に本セッションをサポート頂きました。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18-21日 福岡市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2018年2月20-22日開催
ICCサミット FUKUOKA 2018
Session 10C
動画メディア時代のブランディング広告はどのように進化するのか?
Supported by 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

(スピーカー)

菅原 健一
スマートニュース株式会社
ラージアカウントセールス責任者 兼 アドプロダクトマーケティング責任者(当時)

菅原 千遥
株式会社エブリー
DELISH KITCHENカンパニー長 兼 編集長(当時)

高松 雄康
株式会社オープンエイト
代表取締役社長兼CEO

横山 直人
Facebook Japan
執行役員 新規事業開拓 兼 パートナーシップ事業(当時)

(モデレーター)

坂本 達夫
AppLovin
Business Development, Lion Studios(当時)

「動画メディア時代のブランディング広告はどのように進化するのか?」の配信済み記事一覧


連載を最初から読みたい方はこちら

最初の記事
1. 動画メディア時代に「ブランディング広告」はどう進化する? 注目デジタルメディア企業が真剣議論!

1つ前の記事
6. 動画メディアの役割は「購買促進」よりも「ファンづくり」?

本編

坂本 メディアだと、「アプリが何万ダウンロードされた」「ユーザーが何万人います」といった指標がありますが、今のお話を伺っていると、そのメディアが本当にグロースしていることとはまた少し違うと思います。

健全な状態で伸び続けていられるかどうかというのは、見られないのではないかという思うのですが、いかがでしょうか。

メディアの規模ではなく「質的な指標」を見よう

菅原(健) 規模を見るだけでは絶対にダメですよね。

写真左から、菅原 健一氏、菅原 千遥氏、高松 雄康氏

質的なもの、例えば滞在時間かもしれませんし別の指標かもしれませんが、そうしたものを見ておかないといけないですね。

高松 だからこそ、先ほど申し上げた役割分担の話なのですが、DAU(Daily Active User)が強いものと、WAU(Weekly Active User)が強いものと、MAU(Monthly Active User)が強いものというのはそれぞれあると思います。

一概にダウンロード数やDAUの話になってしまいがちですが、僕達の生活って、そういうことではないじゃないですか。

1週間に1回しか使わないメディアもあるかもしれません。

菅原(健) 1人のユーザーにとっては、DAUなんて関係ないですもんね。

高松 究極のところ、広告主も関係ありません。

だから、役割によると思います。

再生回数当たりの単価競争に巻き込まれてはいけない

坂本 その点で、関係する当事者で言うと、例えば投資家の方や、もう少し近いところでは広告代理店などにどうコミュニケーションするかというのは、かなり難しいのではないかと思ういます。

「なぜこれを分かってくれないんだ」「なぜ広告代理店の人達はこういう売り方しかしないんだ」といったフラストレーションを感じられることはないですか?

菅原(健) 今の質問に、きちんと動画とブランディングで答えましょうか(笑)。

菅原(千) 動画とブランドリフトのところでいくと、先ほどおっしゃっていた一再生あたりの価値がどうなのか?というところを、まだ自分達としても作りきれていない部分があると思っています。

株式会社エブリー DELISH KITCHENカンパニー長 兼 編集長(当時) 菅原 千遥氏

今はどうしても視聴完了率や再生回数などで横並びにして、どれを買いますか、といった形でやってしまっています。

そこはブランドリフトをしていくために、指標をきちんと認知させていかなければならないと思っています。

坂本 セールスは、広告代理店経由と直販ところだと、どれくらいの割合なのですか?

菅原(千) 大体、半々くらいです。

坂本 広告代理店さんも、その辺はちゃんと分かって売って下さっているのですか?

菅原(千) 今はそうですね。ブランドリフトを指標としてお話しして頂いています。

菅原(健) そうではないと、何度も出稿してくれないですよね。

菅原(千) そうですね、再生回数などで見られてしまうと、結局、30万回再生されることがが良いのか悪いのかというのが分からなくなってしまいます。

菅原(健) 「(単位再生当たりの単価が)あと5円安い会社にしようかな」となってしまいます。

坂本 高松さんは以前、「再生回数は金で買える」という名言を残しておられますが。

(会場笑)

菅原(健) 高松さんが買っているという意味で?

高松 違います(笑)。

菅原(健) あ、広告主の立場ということですね(笑)。

高松 再生回数をお金で買えるというのは、本当にそうだと思いますね。

なので再生回数を売りにしているサービスなんて、僕が逆の立場だったら買わないですよね。

再生回数よりも、やはりブランドリフトや、完全視聴率などを見ます。

数値で出せるのはそこしかないので、先ほども申し上げたように、コンテクストを加味してどういうことをやっていくかという話が重要です。

それから、リーチ数の議論だけではメディアの価値は測れないので、メディア側も伝える努力をしなければいけませんし、投資家も広告主もそれは同じだと思います。

「やっていることにはすごく想いがあって、ユーザーと繋がっている」ということを何をもって証明するかということを、今申し上げた指標以外できちんと出さなければならないのではないでしょうか。

自分のことは置いておいて(笑)。

プラットフォーム側が重視する広告の指標とは?

坂本 横山さん、Facebookでは広告主さんに対して、「どういう指標を見るべきだよ」といった踏み込んだコミュニケーションはされているのですか?

横山 企業さんがそのタイミングで何をしたいのかという目的にもよると思うのですが、プラットフォーム側として、特に広告の部分で気を付けていることというのは3つくらいあります。

Facebook Japan 執行役員 新規事業開拓 兼 パートナーシップ事業(当時) 横山 直人氏

1つめはビューアビリティ(Viewability)ですね。

どこまできちんと見られているのかということです。

2つめは、プラットフォーム的な考え方でいくと、いわゆるアドフラウド(Ad Fraud)、例えばその広告をロボットが観て視聴数が水増しされているのではないかといったことなどを、どう整理できるかです。

つまり、きちんと利用者が観ているということを確認できる対策をきちんとできるかどうか。

3つめが、ブランドセーフティです。

例えば、政治的な映像の中に広告が出てしまうことで、ブランドイメージが悪くなるのではないかといったところを、どうオペレーション上マネジメントしていくかということです。

3軸ある中で、ビューアビリティの部分に関しては、広告という観点で言うと「全部観たらエンゲージメントが高いからいいですよね」というのはもちろんある一方で、動画というのは、一瞬で印象に残ることもあるじゃないですか。

初めの3秒である人に対してインパクトを与えることができたら、それは価値のあるものだから、完全視聴したから必ずしもよいとは言えないのかもしれません。

次にどのようなアクションが起こったのかということをきちんと測るような、そういう設計まで考えなければならないと思っています。

大事なのは「1人のユーザーが何分使っているか」

坂本 なるほど、同じプラットフォームという立場から、菅原(健)さん、今のことに付け加えることはありますか?

菅原(健) スマートニュースのことをあまりプラットフォームだとは思っていなくて、ニュースアプリだと思っています。

スマートニュース株式会社 ラージアカウントセールス責任者 兼 アドプロダクトマーケティング責任者(当時) 菅原 健一氏

僕がスマートニュースに入社してもう少しで2年になるのですが、この2年くらいで大きく変えたのは「数の見方」です。

先ほども申し上げたように、ダウンロードやMAUなどと一応は言うのですが、それは1人の利用者・読者にとっては何の価値もありません。

自分のアプリが月間600万人の人に使われていようが、“私”は1人だし、そこに何が出るのですかという話じゃないですか。

ですから、ここ2年で「1人のユーザーが何分使っているのか」というのを見始めました。

やはりそれはすごく大事なことです。

僕は、それが伸びているのはすごくいいことだと思っていますし、メディアさんにとっても、それが伸びれば伸びるほど観てもらえる可能性が高まります。

まだまだとは言え、マネタイズの可能性も高まります。

広告主さんにとっても、ユーザー1人あたりの視聴時間の中で観てもらえないといけないわけですよね。

例えばDELISH KITCHENさんでは、何分くらいの動画コンテンツを作りますか?

菅原(千) 長さは1分や1分半などです。

菅原(健) 1分くらいですよね。

一方で(広告をクリックして飛んだ先の)ランディングページだけを見ていても、多分1分くらいかかる訳です。

例えば1日あたりの利用時間が3分のアプリに1分の広告なんか出しても絶対に見てもらえませんよね。

ですから広告主さんにとっても、現在のスマートニュースの「ユーザー1人あたり12分」という利用時間が割とギリギリです。

僕達はそれを20分、30分と伸ばしていきたいと思っていますが、着眼点を「1人のユーザーが楽しんでいるかどうか」に転換したことは大きかったと思います。

坂本 ありがとうございます。

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 8. 広告は「世界観をもったコンテンツ作り」に進化する【終】 をご覧ください。

平日 毎朝7時に公式LINE@で新着記事を配信しています。友達申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! ICCのYoutubeチャネルの登録はこちらから!

編集チーム:小林 雅/本田 隼輝/尾形 佳靖/戸田 秀成/Froese 祥子

他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

更新情報はFacebookページのフォローをお願い致します。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!