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「リアルテック・ベンチャーが世界を変える」7回シリーズ(その6)では、メタジェンの福田さんが、病気ゼロ社会の実現に向けた“便の採取方法”を語ります。そして「腸は第二の脳」ならぬ「脳は第二の腸」と福田さんが語る理由とは? ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月3〜5日 京都開催を予定しております。
ICCサミット FUKUOKA 2018のシルバー・スポンサーとして、内田・鮫島法律事務所様に本セッションをサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2018年2月20-22日開催
ICCサミット FUKUOKA 2018
Session 10D
リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Supported by 内田・鮫島法律事務所
(スピーカー)
粕谷 昌宏
株式会社メルティンMMI
代表取締役
平田 勝則
コネクテックジャパン株式会社
代表取締役
福田 真嗣
株式会社メタジェン
代表取締役社長CEO
(モデレーター)
永田 暁彦
株式会社ユーグレナ 取締役副社長 /
リアルテックファンド 代表
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▶「リアルテック・ベンチャーが世界を変える」の配信済み記事一覧
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最初の記事
1. 注目リアルテック・ベンチャー「MELTIN」「メタジェン」「コネクテックジャパン」は世界をどう変えるのか?
1つ前の記事
5. サイボーグの動力源に生物的エネルギーは有効か? 異分野融合から生まれるイノベーション
本編
永田 では、残りあと15分になりましたので、会場の皆さんからご意見・ご質問や、「こんなこともあるのではないか」というご提案などをいただけたらと思います。
福田 逆に僕から質問したいのですが、いいですか?
この中で、自分の腸内細菌叢のパターンを調べてみたいという方はどのくらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
ありがとうございます。
まあまあいますね、ありがとうございます。でも、自分で便を採るんですよ。
採りますか? 採るという方?
(会場挙手)
ありがとうございます。
僕たちの課題が1個解決しました。3本目の手は、要らないですね(笑)。
シャリ握りロボットで便をキャッチ?
永田 やはり「便が集まらない」みたいな悩みがあるのですか。
福田 悩んでいるというよりも、本当に健康社会を創りたいと思っているのです。
ですから僕たちのターゲットは全地球の75億人です。
健康意識が高い人だけが健康になるのでは「病気ゼロ社会」は実現できないので、健康意識が高くない人も健康になっていただかないといけません。
そうすると当然センサーが必要になります。
現状はまだ、便を送っていただいて、分析して、情報を取って、データベースを作って、そしてどういうパターンが健康で、病気で、というのをやはり調べないといけません。
となると、便を集めるのは、まあまあハードルが高いんですよね。
なかなか、お願いした通りにやっていただけないケースもあります。
あとは、健康な方と患者さんと両方の便を分析しないといけません。
なので、やはり上手く便を集められるようなシステムができるといいなと思っています。
とりあえず、ではここにいらっしゃる20人ぐらいはお送りいただくということで。
名刺をいただければ、後で採り方をお教えします (笑)。
(会場笑)
いや、採り方も大事なんですよ。便は生きているので。
もう少し言うと、便中の腸内細菌は生きているので、便を置いておくだけでどんどん変わっていくんですね。
だから適切な方法で取らないとだめなんです。
▶参照:腸内デザインで病気ゼロ社会を目指す!山形県鶴岡市のバイオベンチャー企業「メタジェン」を訪問しました!
永田 だからすぐキャッチしなくてはならないんですね。
福田 そうです!
粕谷 そう聞くと分かりますね。
永田 僕も今そう聞いてやっと理解しました。
▶編集注:福田さんは、前のPartで「便をキャッチする第三の手が欲しい」という発言をして、「ネタに走った」「陳腐な話」などと理解を得られずにいました。
福田 すいません、説明が足りなかったです(笑)。
そうなんですよ、ダイレクトキャッチが一番いいんです。
永田 出たてで、酸化というか、なるべく空気に触れない状態で採らなければいけないと。
福田 そういうことです。
腸内細菌というのは、実は酸素に触れると死にます。このような菌のことを「嫌気性菌」と言います。
なので、本当にシュッと取って、シュッと密封しないといけないので、3本目の手が必要なんです。
粕谷 なるほど、ようやく理解しました。
福田 ありがとうございます。
平田 それでしたら、まずは便器メーカーさん、それから半導体側では、クリーンルーム、クリーンワークという技術があります。
普通にトイレに座って、その瞬間だけ、一瞬虫取り網のようにピュっとキャッチが出て、真空包装でパウチする、そしてそれ以外の本体は流す、みたいなイメージですね。
福田 いや、素晴らしい、まさにそれです。
平田 でしょう?
福田 それです。
平田 (起立し、会場に向かって) ぜひ皆様、私に投資いただければ(笑)。
福田 いいですね、コネクテック・ベン。
平田 実際、現在日本に存在する技術、ほかの製造分野で使われている技術を組み合わせれば、多分もうできます。
シャリ握りロボットを使えばいいですね。
シャリ握りロボットというのは、8ニュートンの力でご飯をふわりと掴みます。
米粒は、絶対に潰しません。
それで便をキャッチしたら、実現できそうです。
福田 いや本当にそうですね、絶対に潰さないように。
平田 ではぜひ、開発受託やっていますので(笑)。
あのセンシング技術と圧力技術には、すさまじいものを感じます。
永田 僕たちユーグレナも2017年10月にジーンクエストという会社が仲間に加わったので、腸内細菌の分野とは少し感覚値が似たところがあると思います。
腸内細菌が食文化や生活文化によって変わります、という話だと思うのですが、今、メタジェンが集めている範囲はどの辺りなのでしょうか?
まずは日本からなのでしょうか?
福田 まず日本ですね。
なぜかと言うと、国ごとに食文化が違うので、腸内細菌のベースが変わるからです。
そのため、例えば日本人の疾患の予測をしようと思ったら、日本人の腸内環境のデータベースが必要ですし、アメリカ人だったらやはりアメリカ人のデータベースが必要になります。
さらに、日本人がアメリカに行って、2、3年住むと腸内細菌のベースがアメリカ人型に変わるんです。
ハンバーガーなどをより頻繁に食べるようになることで変わってくるんですね。
なのである程度、やはり国ごとにデータベースが必要になってくると考えています。
「腸は第二の脳」それとも「脳は第二の腸」?
井上 浄さん(以下、井上) 先ほど脳の話をされていたと思うのですが、腸内細菌も少なからず脳に影響があって、腸内細菌のいないマウスは、行動がおかしくなったりするということが分かっています。
加えて、サイボーグで生きるようになった時に顕著になるであろう問題は「性」なのではないかということで、例えば腸内細菌以外に皮膚細菌叢、口腔内細菌叢などがありますが、仲のいいカップルは口腔内細菌叢がそっくりだということが書かれた論文があります。
それによって親密度が分かるというものです。
細菌の交換をしながら、実は意識の交換をしているのではないかみたいなことまで言われています。
そこのところ、つまり脳と腸内細菌の関係を鑑みれば、いわゆるサイボーグ化された時の未来の腸内細菌というのはどうなるのか、僕たちを構成している細胞と細菌とでスーパーオーガニズム、超個体と言われていますが、あれはどうなってしまうのかというのを実はすごく心配しています。
粕谷 そこは僕もすごく興味があります。
僕は脳こそが人間のコアだと思っていたのですが、最近では、そうではないという説も多く出てきているので、そこは丁寧に議論していきたいと思っています。
僕は逆にそちら側の知識がないので、これからサイボーグをやるうえで、議論していかないといけないと考えています。
福田 そこはまさに大事なポイントで、例えば、「腸は第二の脳」と言われていたりするのですが、皆さんご存知でしょうか。
「脳腸相関」と言って、腸と脳はつながっています。
迷走神経で繋がっていますし、ホルモンでもやり取りをしています。
でも僕は、むしろ「脳は第二の腸」だという立場です。
(会場ざわつく)
僕の話は飛ぶので(笑)、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、どういうことかもう少し説明をしたいと思います。
粕谷 説明してもらった方がよさそうですね。
福田 生命の起源を考えていただくと、脳を持たない動物というのは存在します。
しかし、腸を持たない動物というのは、ほとんどいません。
これはなぜかというと、やはり栄養素が大事だからです。
進化の源流をたどると微生物がいて、僕たち人間というのは後発隊です。
地球上における生命は微生物からスタートしているんです。
実は、腸内細菌がいることによって、脳機能が変わるということが分かっています。
近年ですと、性格とか、さらにはうつ病などの疾患とも関連するということが分かっています。
となると、果たして私たちの本体はどこにあるのか? ということになってきます。
例えば自分たちの食の好み、何を食べたか、何を好きか、こういったことは誰が決めているのでしょうか。
日本人がアメリカに出張してしばらく滞在すると、なぜだか急に野菜が食べたくなったりしますよね。
普段はそんなに野菜を食べたいと思わないのに。
これはなぜでしょうか?
もしかすると、こっち(腸)から脳に指令がいっているのではないでしょうか。
つまり、野菜に含まれる食物繊維は腸内細菌の大事なエサであり、それが不足すると、腸内細菌から「足りないよー」と脳腸相関を介して脳に司令がいくとか。
僕はいつもそんなことを妄想しています。
なのでそういう時代になったら、脳と腸を残してもらって、そこに人工のサイボーグ化した腸内細菌を入れたらもう最適ですね。
粕谷 それが一番いいと思いますね。
福田 それで完璧ですよ。
その時は僕の腸内細菌をモデルにしていただいて(笑)。
永田 それ、外から見たらどんなもんなんですかね。
脳と腸が残っているって……。
福田 どうなんでしょうね。
(手を上下させて) でもこうだから……。
平田 スケルトンモデルだけは怖いので止めましょうね、ちゃんとカバーをかけていただいて。
粕谷 カバーは必要ですね。
永田 やはりSFの映画や漫画だと、大体脳しか残っていないですよね。
そこは、まだ理解が足りないということですね。
福田 イケてないですね、全然だめですね。
それこそ、腸内細菌を上手く変えると性格も変わるという話があるぐらいです。
その説はまだ検証が十分ではないのですが、そう考えると脳機能を正常に保つためには、やはり腸内細菌が必要になる可能性は恐らく非常に高いですよね。
永田 面白いですね。他に会場からいかがですか?
腸内細菌由来の「微生物カクテル」が薬になる
質問者1 先ほど便を売って生活できる人が現れるのではないかというお話がありましたが、便というのは1日に1回ぐらいしか出ませんよね。
それを人々にあまねく配給したり供給したりということは、複製することが可能ということなのでしょうか?
福田 便中の腸内細菌がとても大事だということが見えてきているので、適切な腸内細菌を取り出して、試験管や発酵タンクといった外部環境で培養することができれば可能だと考えています。
培養する技術は既にあるので、それでたくさん増やせればたくさんの人に販売することは恐らくできるはずです。
実際に、例えばヨーグルトに入っているビフィズス菌とかも、あれも昔は誰かのお腹の中にいた菌なので、同じですよね。
ただその中で、どういう微生物を選んでくるかが非常に大事で、ここで最先端のテクノロジーと知識が必要になってきます。
それらを上手く使えれば、本当に自分の便から得られた腸内細菌を薬として色々なところに提供するということが現実的になってきます。
質問者1 そういう研究も、世界レベルではアメリカや中国が先行しているのですか?
福田 アメリカでは、そのような「微生物カクテル」を作るベンチャーがどんどん登場してきています。
ヨーロッパでも出てきていますし、もちろん我々もこれからやろうとしています。
世界各国が本当に便を薬にしようと、あるいは便中の腸内細菌を薬として使おうとしているところです。
なぜかというと、人間の体側のことを考えて開発された薬だけではどうしても治らない疾患というものがあります。
それが実は、ここ(腸)をコントロールしたら、なぜか分からないけど良くなったというケースが出てきています。
その一例が潰瘍性大腸炎という難病に対する便移植療法なのですが、このように成果が出てきているので、まさに今非常に注目されている分野です。
ですので、まずはそのメカニズムを明らかにするために便を解析して、そして何が効くのかどの様な腸内細菌が重要なのかが判明したら、それをサイボーグ化すると。
そうしたら、1回使ったものを他の人にも使えるかもしれないです。
質問者1 ありがとうございます。ICCに来てよかったです。
永田 ICCに来て良かったというコメントがありました。ありがとうございます。
(会場笑)
福田 すごいコメントをいただきましてありがとうございます(笑)。
永田 ちなみに今は、腸内細菌の代謝物質を測っているのですか? それともゲノムを読んでいるのですか?
福田 両方必要です。
なぜかというと、微生物は生き物なのですが、私たちのお腹の中というのは、人によって環境が全然違います。
そうすると同じ腸内細菌が私たちのお腹の中にいても、作り出す物質が変わるんですね。
逆に、違う菌がいたとしても、同じ物質を作るケースもあります。
なので、どういう菌がいるかというメタゲノム解析と、どういう代謝物質がつくられていあるかというメタボローム解析のいずれか一方の情報だけでは足りないということです。
永田 なるほど、面白いですね。
便というのは誰しもが、自分ごと化ができるので、質問が出やすいですよね。
他に何か質問はありますか?
(続)
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編集チーム:小林 雅/本田 隼輝/浅郷 浩子/尾形 佳靖/戸田 秀成/鈴木ファストアーベント 理恵
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