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「人口減少社会の到来! 地方創生・活性化のための取り組みとは?」6回シリーズ(その2)では、“ミガキイチゴ”を生産するGRA岩佐さんから、一見過激とも思われる意見が飛び出します。地方農業のパイオニアである岩佐さんが「地方の半分以上を荒野に」と発言した真意とは? ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
ICCサミット KYOTO 2018のプラチナ・スポンサーとして、HRMOS(ビズリーチ)様に本セッションをサポート頂きま
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【登壇者情報】
2018年9月4〜6日開催
ICCサミット KYOTO 2018
Session 6F
人口減少社会の到来! 地方創生・活性化のための取り組みとは?
Supported by HRMOS(ビズリーチ)
(スピーカー)
岩佐 大輝
農業生産法人 株式会社GRA
代表取締役CEO
岩田 真吾
三星グループ
代表取締役社長
栗田 紘
seak株式会社
代表取締役社長
山野 智久
アソビュー株式会社
代表取締役社長
(モデレーター)
西村 勇哉
NPO法人ミラツク 代表理事 /
国立研究開発法人理化学研究所 未来戦略室 イノベーションデザイナー
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1つ前の記事
1. 徹底議論!少子高齢・人口減少の波に「地方」はどう立ち向かうのか?
本編
西村 岩田さんは、事業承継の大変さをどう乗り越えてきたのでしょうか?
岩田 今日は「地方創生」の話だと思っていたので「事業承継」については全く考えてきていないのですが。
(一同笑)
岩田 例えば世間を賑わせた大塚家具の件もありますが、そもそも先代と新しい世代が同じことをするのであれば、事業承継する必要がありません。
本来は変わっていかなければいけないという前提ですが、年齢や株の持分などの要素によって争うケースが多いと思います。
それをスムーズに行うため、各社努力されていると思います。
我々の場合、僕が末っ子で長男だったので、すでに先代が年を取っており、僕が戻ると決めた際、先代は週1度しか出社しないことを決めました。
ケンカもしますが、「最終的な意思決定は実行者が決める」というルールが親子間にあります。
西村 新しいことをする時、社員の方はついてきてくれますか?
岩田 もともといる社員に変革を促すのと、自分のビジョンに共感して入社した社員の両方の掛け合わせが必要です。
その二者には温度差がありますし、まだバランスを図っているところですね。
もともといる社員だけで変革はできませんが、新しい社員だけの会社にしてしまうと、もともとあるユニークネスがなくなってしまいます。
例えば、このICCサミットのような場でブースを出展し、社員に参加してもらって何かを学んでもらうのも1つかなと思います。
そういった機会を積極的につくっていますね。
地方創生には、行政運営コストへの考慮が必要
西村 岩佐さんに伺いたいのですが、岩佐さんの農業のフランチャイズ化の取り組みというのは、新しい人に入ってきてもらってどんどん事業を立ち上げていくのか、もともと農地を持っていた方と始めるのか、どちらでしょうか?
岩佐 私は農業をやったことがそもそもなかったですし、田舎を離れて15年以上経っていたので、地縁血縁がほぼない状態でした。
ですから、外から人を呼んできて立ち上げました。
その土地出身の執行役員は私ともう一人だけで、あとは全て外部の人間でした。
西村 うまくいくものですか?
岩佐 最初に工場を建てた際、少し時代が古いかもしれませんが、「怪しげな施設ができた」と地域から言われましたね…。
(会場笑)
西村 今は違うのですか?
岩佐 我々は「地方創生を頑張ろう」と言っていますが、先ほど控室で、山野さんと「地方の半分以上は荒野に戻した方がいいのではないか」といった話をしていました。
私が事業を行っている宮城県山元町は、7年間で人口が25%減りました。
人口のうち、65歳以上が40%です。
僕は、「何かしらアイコンのようなものができると、どんな地域でももう一度にぎやかになるのではないか」という前提で挑戦しています。
西村 「地域でしかできないことがある」と仰っていた山野さん、いかがでしょうか?
山野 地方創生がテーマの場合、リーダーは自治体の首長が多いのですよね。
しかし、自治体内の“忖度”を理解しながら民間の立場で話せる人は少ないのが現状です。
民間企業は「経済合理性」と「成果」の話をしますが、自治体にとっては、「公平性・公共性・平等」がとても大事です。
僕はそれらを理解しているという点で、よくこういったセッションに呼ばれることがあるのですが、よく言っているのは「地域の人口減少を食い止めるだけではなく、行政運営コストを考えなくてはいけない」ということです。
例えば山の上におばあちゃんが住んでいたとして、水道を通すとか、ごみ収集車が巡回するなどの費用対効果を含めた上で、「地方創生」を考える必要があります。
住居や耕作地を集約し、行政サービスの部分最適化をしなければ、経済がサステイナブル(持続的)に回らないという前提があった上で、「地方の半分以上は荒野に戻した方がいいのではないか」という話をしていました。
岩佐 社会維持コストが限界になっているのは明らかなのに、中山間地域に道路ができることが未だにあります。
なぜ進まないのか?ということについては、おそらく、選挙や政治も関わっているのではないかと思います。
「地方の半分以上は荒野に戻した方がよい」の真意
(写真右)アソビュー株式会社 代表取締役社長 山野 智久さん
山野 色々な市区町村に行くと、観光領域を含め「起業家を育成したい」という声が聞かれます。
しかし色々と難しい問題がありますよね。
岩佐さん、山元町の人口はどれくらいですか?
岩佐 10,000人強ですね。
山野 10,000人強で40%以上が65歳となると、生産人口の数自体は相当少なくなりますから、起業するといっても難しいです。
しかし、人間は「やるな」と言われるとやりたくなる天邪鬼なので、例えば「一旦荒野にしてしまえば、パイオニア精神に火がついて開拓していくのではないか?」という話をしていたのです。
西村 手厚くすれば依存してしまうということですかね。
岩佐 どんな時に時代が進むかというと、「開拓」の時です。
歴史的に見れば、それは大陸の開拓だったり戦争によって破壊された後の創造だったりするわけですが、そういう状況を作る方が、地方をそのまま寝かせておくよりかは良いのではないかということです。
山野 日本人は保全性を大事にし、変化を嫌いますから、頭では分かっていても情緒がついていかないのだと思います。
そこにハレーションが起きているのではないでしょうか。
両足を踏み入れることで、初めて開墾者となる
栗田 僕はもともと広告代理店に勤めていて、「農業をやる」と言ったら全農家が反対しました。
実際、藤沢市で得られた農地は木が30本生えているような土地で、「ここしかないけど、いい?」と言われました。
周りの人は、「あの若造は農地を押しつけられたけれど、どうせギブアップしてやめていくだろう」と思っていました。
僕らは1ヶ月で開墾し、ビニールハウスを建てました。
その「両足を踏み入れた」というプロセスをコミュニティの人たちはよく見ていて、コミットメントを実感してもらえた後は、すごく変わりました。
信頼の醸成の仕方、つまり、どこで、どうやって地域やコミュニティと手を握るのかはすごく大事だと思いますね。
経営やブランディング、コミュニケーションなどの「ソフト」ができる人はたくさんいますが、現場で汗水をたらす「ハード」ができる人はあまりいません。
このソフトとハード両方を、反復横跳びしながら実行できる人材が、地方では求められているのではないかと思います。
その人材が、開墾者、開拓者になっていけるのだろうと思います。
結果、その人材が地域の星となり、エコシステムができて、新しい産業が生まれる、という流れになるのではないでしょうか。
(続)
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続きは 3. 地方創生の勝機は「一農村一事業」レベルの選択と集中にあり!? をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/尾形 佳靖/戸田 秀成/大塚 幸
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